10月3日に臨時国会が召集されて1ヵ月が経った。既に69日間の会期の半分近くが過ぎたことになる。
不安を煽って高額な壺などを買わせる霊感商法の契約を取り消せる現行の消費者契約法について、政府・与党の改正法ではその要件緩和が柱となっている。
旧統一教会の集団結婚式 |
元役人の感覚から言えば、野党案はなかなか野心的なもので、興味深い。被害者の家族による返金要求では、家庭裁判所が認定すれば返金が可能になるなど、行政だけでコトを進めないのもいい。
野党案はやや乱暴なところもあるが、国会で修正すればいいものとなる可能性もある。ただし、与党の公明党は大変だろう。なにしろバックにいる創価学会への飛び火の可能性もあるからだ。その意味で与党が今ひとつ乗り気でないので、成立の可能性は少ないだろう。
次は物価対策の補正予算だ。一般会計では29兆円程度の規模であるが、その財源は、23兆円程度の国債発行によることになった。
岸田政権はこれまでも経済対策を打ってきたが、本コラムに書いたように補助金系ばかりで、その執行は必ずしもうまくいっていない。正確な数字は決算まで分からないが、筆者の直感などでは20兆円程度の使い残しがあるように見える。
「埋蔵金」と「消費増税」
今回、一般会計で29兆円の補正予算となり、その財源は23兆円程度が国債発行になると報道されている。この補正はこれまでの未消化分でかなりの程度予算を組めると思っていたら、さすがに未消化を前面に打ち出すのは不味いので、国債発行で対応するようだ。
ということは、未消化分はまた「埋蔵金」になる可能性があるということだ。
このように埋蔵金は、その時々の財政運営や経済環境によって変わりうる。財務省によるフローの一般会計における各種の会計操作は、結局特別会計のストックによって調整せざるを得ない。この点が筆者が特別会計の「埋蔵金」に着目する所以だ。
本コラムで指摘した外為特会(外国為替資金特別会計)の埋蔵金の存在については、相当な反響があった。11月1日のテレビ朝日「ワイドスクランブル」に出演してくれと言う依頼があり、VTR取材があった。そのためか、与野党の議員からも様々な連絡があった。彼らには、国会で議論してほしいと答えている。
いわゆる「霞が関埋蔵金」について、民主党は政策の財源として掲げていたが、政権交代後は十分に出すことができなかった。
筆者は、埋蔵金について「民主党政権関係者は埋蔵金が出せず、あると騙されたという人もいるが、民主党はZによる事業仕分けやZによる消費税増税したくらいだからZの言いなりだっただけ。ちなみにオレは事業仕分けに参加せず消費税増税反対だったけど」とツイートした。ここでのZとは財務省の意味だ。
すると意外なことに、立憲民主党の原口一博氏が「確かに、反省している。あるはずの埋蔵金を出せずに、見当違いのところを掘り続けたからだ。後の方は、Zの言いなりの政治家が自爆装置のスイッチを押した。」と返した。
やはりだ。それにしても、民主党内で消費増税で内部分裂していたのは知っていたが、原口氏の言うとおりの「自爆」で、民主党は政権を失った。筆者は「今国会での論議を期待しています」と返事した。
安倍元首相に失礼だと思わないのか
埋蔵金というのは、筆者は特別会計における資産負債差額で、使っても特別会計運営に支障の出ないものとしている。筆者が小泉政権時代に着目したのは、財政融資資金特別会計、外国為替資金特別会計などだった。もちろんすべての特別会計をみていたので、少額なものを含めれば他にもたくさんあった。
民主党政権時代にも埋蔵金はなかったわけではない。国債整理基金特別会計にも10兆円程度弱あったので、当時の野党議員が質問したが民主党政権はやらなかったので、第二次安倍政権になったとき、最初の景気対策で使った。安倍・菅政権の時には、労働保険特別会計にもメスを入れて、景気対策に活用した。
それにしても、財務省の補正予算のやり方は酷い。標準的な手法なら、使い残しを集めてきて、できるだけ国債発行を抑えるのだが、そうなっていない。
そのことは、政府税調の消費税増税論議が報道されていたから、筆者にとっては想定内だった。政府税調では「未来永劫10%では日本の財政もたない」などの声が委員から出たと報じられている。国債発行は増税への地ならしなのだ。
何しろ故安倍元総理は、民主政権の負の遺産である二度の消費増税をやらざるを得なかった。不本意ながらそれを果たした後、「後10年は増税不要」と言ったわけだ。故人に失礼なことを言ってるのが分からないのが、「ザイム真理教」こと財務省だ。
岸田首相は1年前の自民党総裁選において、安倍首相と同じフレーズを使っていた。それなのに、財務省から増税主張が出てくるというのは、財務省はもはや岸田政権を見限っているのでは、と邪推してしまうほどだ。
財務省の言いなりのままでは、岸田首相の支持率も低下し、そのうちポイ捨てされてしまうだろう。ここは、外為特会などの埋蔵金50兆円を活用し、新規国債発行なしで補正予算を組み、来年度予算の防衛費なども賄う必要がある。
髙橋 洋一(経済学者)
上の記事にもあるように、埋蔵金を活用すれば、新規国債発行なしで補正予算を十分に組むことができます。にもかかわらず、新規国債発行するのは、高橋洋一氏も指摘するように、一重に財務省が埋蔵金を埋蔵させたままにしたいからです。
2008年当時の埋蔵金 |
政府は今後の防衛費増額に充てる財源の一つとして、厚生労働省所管の2つの医療系独立行政法人に対し、積立金(利益剰余金)の国庫返納を前倒しで求める方向で調整に入りました。
返納を求めるのは、全国有数の公的医療機関グループである国立病院機構(NHO、楠岡英雄理事長)と地域医療機能推進機構(JCHO、山本修一理事長)の2法人。令和3年度の積立金はNHOが819億円、JCHOが675億円となっています。
両法人は、政府が新型コロナウイルス流行時の病床確保に向けた補助金を支給し始めた2年度以降、収益が急速に改善しました。計87ある独法の中でも積立金が突出して増えたことから、早期の国庫返納を求めるとされています。
JCHOは、政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長が今年3月末まで理事長を務めていました。コロナ病床だと申告し、補助金を受け取りながら患者を受け入れない「幽霊病床」の存在も指摘されていました。
両法人の中期目標期間はともに5年度までの5年間で、積立金の返納は通常ならば6年度となります
政府は防衛費増額の財源確保策の一つとして両法人の積立金を計上するため、今月に入り、両法人に早期の国庫返納を求める方向で検討に入りました。独法の関連法には国庫に前倒しで返納する規定がないため、新たな立法措置も検討するとしています。
独法による早期の国庫納付を巡っては、東日本大震災の復興財源にあてるため、平成23年度に特例法によって鉄道建設・運輸施設整備支援機構が積立金1・2兆円を納付した例があります。
財務省は自分のところの巨額な埋蔵金(50兆円)を温存するために、他省の小粒な埋蔵金(0.1兆円程度)に話をそらしているとみえます。
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日本は確かに、原爆を2発も落とされ、主要都市はことごとく爆撃され、とんでもない状態になりましたが、それでも統計上は終戦直後には、国富の70%が残り、そこからスタートしたのであり、良くいわれているように戦後のやけのヶ原でのゼロからのスタートではなかったのです。
大都市や中核都市は焼け野原になっていても、地方での農産物や、製造の基盤は残っており、そこからのスタートであり、決してゼロではなかったのです。そのような物資や基盤を求めて、終戦後しばらくの間は北海道への他地区からの移入が続きました。
しかし、日本の場合は他の先進国では見られなかった特殊な現象がありました。それは、軍部による様々な物資の莫大な隠匿でした。それは、金塊から、米、小麦粉、砂糖、塩、医療品、衣服など様々な膨大な隠匿物資があったことです。
NHKスペシャル「東京ブラックホール」で紹介された、旧日本軍による隠匿物資 |
これらは、戦争中は戦争継続という意味合いで、まだ理解できますが、戦争が終わっても隠匿していたのは理解できないところです。これは、はっきり言うと犯罪です。
このように、様々な物資が隠匿されたため、終戦直後の多くの国民の生活はかなり貧しいものでしたが、それら隠匿物資も、米軍に摘発されたり、闇市で売られるようになったり、その闇市が日本の警察によって摘発されるなどして、市場に出回るようになりました。そうして、ご存知のように日本は驚異の高度成長を遂げることになるのです。
日本の軍人というか、陸軍省等実体は役人ですから、何やら日本の役人には、物資を隠匿するような習性が元々あったようです。そのような習性は、現在の財務省の官僚や、日銀の官僚などに今でも色濃く受け継がれているようです。
主戦直後の食糧不足については、親や祖父母からも聞いたことがあります。ただ、こちらは、北海道札幌市ですから、まだ本州と比較すれば、さほど酷いとは言えなかったようですが、それでもひどかったようです。
多くの人が飢えに苦しまされたといわれています。闇市などもありましたが、法外な値段で売られておりなかなか多くの人が入手することはできませんでした。
闇市というと、闇市で捕まった人たち裁判で裁く裁判官が、一切闇市のものは口にしなかったので、餓死してしまったという悲惨なこともありました。
終戦直後は、軍(とはいえその本質は役人)は、米や小麦粉、金塊などを隠匿しました、それは現在の価値に直すと、数兆円に及ぶといわれています。信じがたいことです。そのため実際に多くの人がなくったり、栄養失調になったりしたのです。
そんなことをすれば、自分の家族や親戚や、知り合いだって、とんでもないことになるかもしれないことなどは、お構いなしでそのようなことをしたのです。
現在の財務官僚も同じです。埋蔵金をため込み、それを放出しようとしないのですから、隠匿物は異なるものの、その本質は変わりません。
結局どの時代にも役人なるものは、その機会があれば、物資でもお金でも、溜め込む習性があるのです。
この役人の習性はどこかで必ず打破しなければなりません。岸田総理が経済対策のために、埋蔵金を利用することを決心すれば、その一歩となるはずです。
それを実行すれば、岸田総理は名宰相として歴史に名をとどめるでしょう。財務省にいわれるまま、増税などしてしまえば、国民から離反され、財務省からはいいように使われ、捨て石にされるだけになります。
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