2022年11月5日土曜日

北朝鮮が黄海へ短距離弾道ミサイル4発、米軍は戦略爆撃機を展開―【私の論評】北が黄海にミサイルを発射したのは、朝鮮半島浸透を狙う中国を牽制するため(゚д゚)!

北朝鮮が黄海へ短距離弾道ミサイル4発、米軍は戦略爆撃機を展開

4月15日、平壌の金日成広場で行われた市民パレードに登場した巨大な北朝鮮国旗

 韓国軍合同参謀本部は5日、北朝鮮が同日午前11時32分~同59分ごろ(日本時間同)、北西部の東林(トンリム)付近から朝鮮半島西側の黄海に向けて短距離弾道ミサイル4発を発射したと発表した。北朝鮮は米韓の軍事訓練に反発し、前例のない頻度で連日、弾道ミサイル発射や砲射撃といった軍事的挑発を繰り返している。

 韓国軍はまた、5日まで米軍と韓国周辺で実施中の合同航空訓練「ビジラント・ストーム」に米空軍の戦略爆撃機B1Bを2機投入したことも明らかにした。B1Bを朝鮮半島周辺に展開させるのは2017年12月以来、約5年ぶり。

 北朝鮮はこれまでも米戦略兵器の展開に強く反発してきており、今回の発射は戦略爆撃機の投入を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。

【私の論評】北が黄海にミサイルを発射したのは、朝鮮半島浸透を狙う中国を牽制するため(゚д゚)!

黄海とは具体的にどこなのか、以下に地図を示します。


北朝鮮にとって、黄海の対岸は中国です。黄海に向けて、ミサイルを打つということは中国に向けてミサイルを打つということです。

韓国軍は、北朝鮮が2日午前、東部から日本海に向けて短距離弾道ミサイル3発を発射し、このうち1発が分断後初めて国連軍が設定した海上の境界線を越えて落下したと発表しました。

北朝鮮は、この3発を含めさまざまな種類のミサイル合わせて10発以上を日本海と朝鮮半島西側の黄海に向けて発射しています。何発なのかはわかりませんが、北朝鮮はこの日も黄海に向けてミサイルを発射しているのです。

北朝鮮はロシアに向けてもミサイルを発射したことがあります。今回は、発射はしていないようです。

黄海に向けて、北朝鮮がミサイルを発射することの意味は何なのかということは以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
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2014年金正恩第1書記が、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)のロメオ級潜水艦を視察

この記事は、10月4日のものです。この記事より一部を引用します。 

北朝鮮の核はSLBMも含めて、北京など中国も標的にしているということです。北朝鮮に核が存在することと、北朝鮮が朝鮮半島に存在するということ自体が、中国が朝鮮半島に浸透することを防いできたという面は否めません。金王朝は明らかに、朝鮮半島が中国に浸透されることを嫌がってきました。中国に近かった金正男氏の暗殺は如実にそれを示しています。

北朝鮮が存在しなければ、中国はずっと以前に、朝鮮半島を中国に併合し、中国の朝鮮省か、自治区にしたことでしょう。少なくとも半島全体に深く浸透していたことでしょう。朝鮮半島に中国傀儡政権が誕生していたかもしれません。

中国は常に北朝鮮の核を「暗黙の了解」で庇ってきました。しかし、庇ってきた背景には、北の核に対する脅威もあったものと考えられます。米国は北核放棄の条件付で韓国、日本、台湾の「核容認外交カード」を対中国外交カードとして交渉するのが望ましい選択肢ではないでしょうか。中国にとって一番怖いのは日本の核武装だからです。
米国は北核放棄の条件付で韓国、日本、台湾の「核容認外交カード」を対中国外交カードとして交渉するのは確かに理想的ではあります。北が核を放棄したとしても、韓国、日本、台湾が核武装すれば、それは中国を牽制し、中国が朝鮮半島に浸透することを牽制できます。

ただ、北朝鮮は簡単には核を放棄しないでしょう。北が民主化すれば、米国は北を守るでしょうが、そうでなければ、守らない可能性のほうが大きいです。だとすれば、金王朝を守ることを使命としている金正恩は、中国の浸透をおそれ、やはり核ミサイル開発を放棄しないでしょう。

国連安全保障理事会は4日、北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイルの発射を受け、緊急の公開会合を開きました。中国とロシアを除く13カ国が非難や懸念を表明したましたが、中ロは北朝鮮擁護の姿勢を堅持。声明発出など安保理は一致した行動を取れませんでした。

ロシアは、現状ではウクライナで手がいっぱいです。中国も米国との対立や国内の経済の悪化などで、手がいっぱいという状況です。

そのため、北がミサイルの発射をすることを養護していますが、ロシアは軍事的にも経済的にも落ちていく一方ですが、中国はまだ余力があります。

北が核ミサイルを放棄するようなことでもあれば、すぐに北朝鮮への浸透を開始するでしょう。

米国は北は核ミサイルを放棄することはないとみているでしょう。それを承知の上で、空母や攻撃型原潜や死の白鳥とも呼ばれるB1Bを派遣して、北朝鮮を牽制しています。

米国としては、北朝鮮を牽制しているとみせて、中国に対する牽制もしているとみるべきでしょう。

それは、台湾有事もありますが、朝鮮半島への中国の浸透への牽制という意味もあるでしょう。

多くの人は、台湾有事を差し迫ったものと考えているかもしれませんが、私としては、朝鮮半島有事もそれと劣らずあり得る危機だと思います。

米国は、北が核ミサイルをすぐに放棄するようなことがあれば、それこそウクライナにロシアに侵攻したように、北朝鮮も中国に侵攻される可能性があると考えているでしょう。

そうなると、ロシアがウクライナに侵攻して苦戦しているようなことにはならず、中国はすぐにも北を打ち負かすことになるでしょう。そうなれば、朝鮮半島はすぐに中国の手に落ちることになります。

米国は、北に核ミサイルを放棄させるにしても、それによって中国に浸透されないようにするため、ある程度時間が必要だと考えているでしょう。

だとすれば、日本は北の脅威に対して自らも対処できる体制を整えるべきです。すぐに核武装とはいかないまでも、少なくとも長距離ミサイルを配備し、北の脅威に備えるべきです。そうして、それは中国に対する牽制にもなります。

日本は長距離ミサイルを開発する能力はあります。実際に、現行の中距離ミサイルを改良し長距離ミサイル(12式改ミサイル)を開発し実戦配備する計画があります。

10月19日、井野防衛副大臣 は三菱重工業㈱小牧北工場を視察し、12式地対艦誘導弾(12SSM)能力向上型をはじめとする誘導弾の開発・製造の状況を確認しました。

 スタンド・オフ防衛能力や総合ミサイル防空能力の構築・強化に向けて、開発・製造態勢の強化を進めていくことは重要です。


ただこの12式改ミサイルを実践配備するまでには、数年間を要します。そこで、そのブランクを埋めるために米国からトマホークミサイルを輸入しようと考えているようです。

これには、バイデン政権も大賛成のようです。なるべく早く実施すべきです。そうして、いずは自前で長距離ミサイルを配備するようにし、国内の防衛産業を育成していくべきです。

ただ、現在検討されている12式改ミサイルは、威力は十分でないという意見もあります。最初はそうであっても、とにかく開発して、その後さらに改良したり、別のものを開発して、北朝鮮とともに中国も牽制できるものにすべきです。

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