2022年11月30日水曜日

“ゼロコロナ”中国デモが飛び火も 「外国勢力ではない」参加者訴えの訳は…―【私の論評】今までみられなかった、都市部の新中間層と農村部の利害の一致が中共を追い詰めることに(゚д゚)!

“ゼロコロナ”中国デモが飛び火も 「外国勢力ではない」参加者訴えの訳は…

中国だけではなく海外にも飛び火しているゼロコロナ政策に対する抗議活動。当局が取り締まり強化に乗り出すなか、デモの参加者たちが「外国勢力ではない」と訴えている訳とは。


 抗議の声は国境を越え、広がり続けています。

 アメリカでは中国人留学生らがハーバード大で、そしてオーストラリアでは最大都市・シドニーで…。

 そのなかにいたのは「くまのプーさん」。

 姿形が似ているとして中国のネット上では習近平国家主席を表す隠語になっていましたが…。そのため今では検閲対象です。

 各地のデモで人々が掲げるプラカードが白紙なのも、まさに中国の検閲を表しています。

 デモ参加者:「少なくとも中国の学生の多くは30年前に起きたことを知りません。彼らの自由が政府に奪われないか心配です」「33年前、中国共産党は戦車を出動させて学生と市民を鎮圧しました。そして33年後の今、中国共産党はまたもや大きな罪を犯しています」

 人々が懸念するのは天安門事件の再来です。

 締め付けが強まるなかでも、香港大学では抗議が行われました。

 女性が掲げた白紙の裏に書かれた「境外勢力」という言葉。「外国勢力」という意味ですが、「外」の字にバッテンが付けられ、「内」と書き添えられています。

 この「外国勢力」という言葉。政府への批判が起きた際に中国当局が使ってきたものです。

 批判は市民の自発的なものではなく、敵対的な外国勢力によって扇動されていると印象付けるためです。

 抗議する市民は、そのことを見越しています。

 デモ参加者:「今、一部の人が外国勢力にそそのかされていると言ったが、そうだろうか?我々は中国国民であって外国勢力ではない!」

 外国勢力という言葉で中国共産党を皮肉る場面もありました。

 デモ参加者:「外国勢力であるマルクス、エンゲルスに気を付けろ!外国勢力であるレーニンに気を付けろ!スターリンに気を付けろ!」

 一方、中国の治安当局のトップ。

 29日付の国営・新華社通信によると、「敵対勢力の浸透、破壊活動に打撃を与える」としたうえで、「社会秩序を乱す違法な犯罪行為を断固取り締まる」と強調しました。

【私の論評】今までみられなかった、都市部の新中間層と農村部の利害の一致が中共を追い詰めることに(゚д゚)!

中国共産党のゼロコロナ政策への反対デモは、日本国内でも行われていました。何日か前に、テレビで報道されていました。本日そのニュースをサイトで探したのですが、見当たりません。

中国共産党の友達である、日本メディアは中国に忖度したか、あるいは中国共産党の司令があったのかもしれません。

きっかけの一つは11月24日に新疆ウイグル自治区で起きた火事でその際にコロナ規制があだとなり、相当数の死者が出たとされます。相当数の死者とは公になっている10名より実際ははるかに多いのではないかという情報の不確定さ故に断言できないのです。

以下に、その火事とされる、動画を含んだツイートを掲載します。
助けを求める女性の悲痛な叫び声がはっきり聞こえます。ウイグル人のイスラム教徒と、都市部の新中間層とは、なかなか理解しあえないところがあると思いますが、この動画はさすがに、多くの漢人の怒りにも火をつけたとみられます。

これは国民の不満が相当溜まっていて、きっかけがあればすぐに反応する状態だったともいえ、今後、似たような「惨劇」が起きれば一気に事態が悪化する公算はあります。

中国のコロナ対策は当初は素晴らしいものとされました。感染者を徹底的に追い込んだからです。平たく言えば「力づく」での対策です。一時は、パンデミック対策は中国のような先生主義国家のほうが、撲滅しやすいなどともてはやされた時期もありました。

これは、中国の威信を高める結果となり、中国は得意満面で、マスク外交や、コロナ支援外交を大々的にはじめました。

得意満面で始められた中国のマスク外交だったが・・・・・

ただこれは考えるまでもなく、中国全体を一種の無菌状態にしようとしたわけです。ですが、抑え込みという発想そのものが、荒唐無稽としか言いようがありません。100歩譲ってそれが出来たとして数年後、多くの無感染の中国人が諸外国の人と接点を持った時、中国人は自分を守る免疫がないので高いリスクを負うことになりかねません。

これでは中国発のコロナ無免疫者災害になりかねません。そんな事が起きればそれは人災という声すら上がるでしょう。

結局はゼロコロナ政策こそが中国の最大のリスクであると考えられます。ユーラシア・グループのイアンブレマー氏が2022年の最大のリスクはゼロコロナの失敗と年初に指摘していたのですが、本当にそういうことになりそうです。イアン・ブレマー氏は、今年最大の地政学的リスクとしして、ゼロ・コロナ政策の失敗を挙げ、中国は新型コロナウイルスの完全な封じ込めに失敗して世界経済が混乱に陥る事態を予測していました。

今回の大規模デモに先立ち、中国では様々な異変が起こっていました。

10月末には、河南省鄭州市にある、iphoneを受託製造するフォックスコンの工場で、新型コロナの感染者が確認されたということで、外部との接触を遮断する「バブル方式」を導入しましたが、家に帰れず、生活環境が悪化するばかりの状況に嫌気が差した従業員たちの不満が爆発、多くの従業員が工場のフェンスを乗り越え脱出、家までの道を延々と歩く姿がニュースでも報じられました。

アイフォンなどを生産している工場から、労働者が“大量脱走”。残されたのは建物の周囲に残る、2階部分まで届くような大量のゴミ

10月31日には、上海のディズニーリゾートが、ゼロコロナ政策のためとして、突然、出入り口ゲートを封鎖、来場者が園内に閉じ込められるという事態が発生しました。これにより場内にいた2万人が足止めされました。このように中国では突然の封鎖が何の前触れもなく発令されるため、上海のイケアなどでは、店舗や職場から人々が逃げ出しているといいます。

そのイケアは8月13日に、突然封鎖されたことで、一部の客が外に出ようと、ドアや窓を無理やりこじ開けて逃げ出していく姿が多く見られました。

チベットでも、異例の大規模デモが発生しました。参加者の多くは、漢人だと言われています。

このように、中国では一部の都市でパニックが起こっていました。情報統制の国であるだけに、市民は当局発表を信じず、それが荒唐無稽な噂を信じ込む原因となっています。

たとえば、河北省の当局が、石家荘市での集団検査中止を発表したところ、ネットでは「新型ウイルスの感染拡大を放置することで、住民になにが起こるのか」を当局が人体実験しようとしているという憶測が出回り、薬局から検査キットが消えたということがあったそうです。

情報統制という「愚民政策」を行っているだけに、ひとたび疑心暗鬼が広がってしまうと、これを修正することは非常に難しくなります。政府当局に対する信頼がほとんどないからです。

しかし、中国では習近平が自ら「ゼロコロナ政策」を推進してきただけに、そう簡単にやめることはできないでしょう。これから感染者が増えるにつれ、ますます厳しい対策を取らねばならくなっていくと思います。しかし、それだと市民の心がさらに抑圧されて、いつか暴発する可能性が高まっていくでしょう。

これから中国国内で動乱が頻発してくる可能性が高いです。そうして、動乱から内乱へ発展していく可能性も高まりました。

中国共産党が今、最も恐れているのは内乱だと考えられます。

現在、中国国内では経済発展に取り残された民衆による暴動が年間20~30万件ほど発生しているとも言われています。そうして、中国共産党は内乱を鎮圧するために人民武装警察(武警)を150万人配備しているとされています。

ただ、中国共産党が厳しい情報統制をしているので、目立たないだけです。しかし、ここ数年は、日々中国の暴動の様子が、SNNなどに動画が配信されています。動画によっては、どの都市なのか説明があったりするものもあります。

2020年6月20日、李克強首相は中国人口14億人程の内の6億人が貧民層だと発言しました。最近では貧富の格差に絶望した中国人はキリスト教へ入信しているといわれ、中国政府が認めていない「地下教会」で活動する信者も加えると、キリスト教人口は1億人を突破しています。

中国共産党が宗教に対して不寛容であり、キリスト教徒を激しく弾圧しているのは、まさに「太平天国の乱」の様な歴史が繰り返されるリスクを恐れているからだと考えられます。

経済的に豊かな沿海部都市と比較して、格段に貧しい内陸部農村地区の人々の間では、中国共産党に対する不平不満がフツフツと煮詰まっており、いつキリスト教と結びついて大反乱が起こっても不思議ではない、まさに一触即発状態であるという見方もあります。

中国の「人民」は経済発展で自分たちの生活水準が上昇するならと、一党独裁体制をこれまでのところは許容してきました。実際、中国は鄧小平時代から強靭な経済発展を続けてきました。

1990年の中国のGDPは、日本のGDPの7分の1程度に過ぎなかったのですが、2010年には日本を超え、今や日本のGDPの2.5倍以上となっており、年々米国との差を縮める傾向にあります。ただ、一人あたりのGDP(≒一人あたりの所得)ということになると、一万ドル(日本で約100万円)を少し越えた程度であり、これは米国をはじめ、日本にも全く及びません。

ただその成長は近年鈍化しており、新型コロナウイルスの影響によって世界経済が停滞する中、中国経済もまた停滞期に入ると思われます。

経済が好調であるから共産党に対して黙っていた都市住民も、今後生活水準が悪化する可能性があります。

そうして、中国にとって別の大きな脅威は、どんな発展途上国も通らなければならない社会の階層化です。中国の経済成長は新しい中間層を生み出しました。彼らの要求は、貧困から抜け出そうとしている農村部の望みとは全く違います。


いずれ中国政府は、新中間層と農村部という異質な2つの層を調和させなくてはならないです。これは、長期的に取り組むべき問題ですが、手つかずのまま放置されれきたといえます。それ故、中国はもともと社会不安が高まっていました。

だかこそ、習近平は共同富裕という概念を打ち出したのですが、経済発展が停滞している現状では、これは下手をすると、新中間層を貧乏にし、農村部もあまり豊にせずに終わってしまうかもしれません。

今までは、新中間層と農村部は、全く異質であり、これらが互いに理解しあうことはありませんでした。ただ、今回のコロナ政策に対する批判では利害が一致しています。裕福であるとか、貧乏であるかにかかわらず、中共のゼロコロナ政策で、苦しめられていることには変わりありません。

実際、これを示す実例があります。先にも述べたように、上海や南京など中国各地で26日夜、政府が進める厳しい新型コロナウイルス対策に対する抗議行動が起こりました。

きっかけは、24日夜に新疆ウイグル自治区ウルムチ市で起きた10人が死亡したマンション火災です。同マンションはコロナ対策で長期間封鎖され、“部屋のドアや非常口扉が封鎖されたために逃げ遅れて亡くなった”、“封鎖で消防車がマンションに近づくことができなかった”などの批判がSNSに次々に投稿され、怒りが広がりました

今回、中国での大規模なデモが話題となっていますが、中国では元々このようなことが起こる素地が十分にあったわけで、ゼロコロナ政策への反対や憎悪ということで、社会階層を越えた一致点が出来上がったわけです。

これが過去のデモとの大きな違いです。先にも、述べたように中国においては、暴動そのものは珍しくはないのですが、それにしても、それぞれの地方で単発的に起こっていました。今回は明らかに違います。

新中間層らがこれからも、体制に対して大規模なデモを起こし、それが農村部の大規模な暴動と連動するようなことになれば、中国全土で大動乱に拡大し9200万人の共産党一党支配は崩壊してしまうかもしれません。現在中国共産党は、これを最も恐れているでしょう。

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