2022年1月4日火曜日

世界「10大リスク」1位は中国の「ゼロコロナ政策」失敗…各国の政情不安定化も―【私の論評】今年最大の地政学的リスクは、中国の対外関係ではなく国内問題(゚д゚)!

世界「10大リスク」1位は中国の「ゼロコロナ政策」失敗…各国の政情不安定化も

米政治リスクの調査会社ユーラシア・グループは3日、2022年の世界の「10大リスク」を発表した。1位に「No zero Covid」(ゼロコロナ政策の失敗)を挙げた。中国が新型コロナウイルスの変異型を完全に封じ込められず、経済の混乱が世界に広がる可能性を指摘した。


報告書は冒頭で、米中という2つの大国がそれぞれの内政事情から内向き志向を一段と強めると予測。戦争の可能性は低下する一方で、世界の課題対処への指導力や協調の欠如につながると指摘した。

国際政治学者のイアン・ブレマー氏が率いる同社は年頭に政治や経済に大きな影響を与えそうな事象を予測している。21年の首位にはバイデン米大統領を意味する「第46代」を選び、米国民の半数が大統領選の結果を非合法とみなす状況に警鐘を鳴らした。予測公表の2日後、トランプ前大統領の支持者らが選挙結果を覆そうと米連邦議会議事堂に乱入した。

22年のトップリスクには新型コロナとの戦いを挙げた。先進国はワクチン接種や治療薬の普及でパンデミック(感染大流行)の終わりが見えてくる一方、中国はそこに到達できないと予想する。中国政府は「ゼロコロナ」政策を志向するが、感染力の強い変異型に対して、効果の低い国産ワクチンでは太刀打ちできないとみる。ロックダウン(都市封鎖)によって経済の混乱が世界に広がりかねないと指摘する。

先進国はワクチンの追加接種(ブースター接種)を進めている。ブースター需要が世界的なワクチンの普及を妨げ、格差を生み出す。ユーラシア・グループは「発展途上国が最も大きな打撃を受け、現職の政治家が国民の怒りの矛先を向けられる」と指摘し、貧困国はさらなる負債を抱えると警告する。

2番目に大きいリスクとして挙げたのは、巨大ハイテク企業による経済・社会の支配(テクノポーラーの世界)だ。米国や欧州、中国の各政府は規制強化に動くが、ハイテク企業の投資を止めることはできないとみる。人工知能(AI)などテクノロジーの安全で倫理的な利用方法を巡って、企業と政府が合意できていないため、米中間、または米欧間の緊張を高めるおそれがあるという。

米議会の中間選挙後の混乱もリスクに入れた。11月の同選挙では野党・共和党による上下院の過半数奪還が「ほぼ確実視されている」と指摘する。与党・民主党は共和党系州知事が主導した投票制限法に批判の矛先を向ける一方、共和党は20年の大統領選で不正があったとの主張を強めると予想する。共和党がバイデン大統領の弾劾に動き、政治に対する国民の信頼が一段と低下する可能性にも言及した。

【私の論評】今年最大の地政学的リスクは、中国の対外関係ではなく国内問題(゚д゚)!

昨年暮れに、日本では、中国の台湾侵攻がまことしやかに囁かれていました。このブログでは、それはあり得ないことをいくつかのデータをもとに解説しました。

ユーラシア・グループの今年の予測でも、中国の台湾侵攻に関するリスクについては掲載されていません。地政学的危機の分析に定評のある、ユーラシア・グループも、それはあり得ないと分析しているのでしょう。

ユーラシア・グループによる昨年2021年の10大リスクは、以下のリンクからご覧いただけます。興味のある方は、是非ごらんになってください。


今年の最大のリスクは、UG(ユーラシア・グループの略、以下同じ)によれば、何と中国のゼロコロナ政策の失敗です。

確かに、UGは中国のゼロコロナ政策は20年には非常に大きな成功を収めたのですが、今は「はるかに感染力の強い変異株に対し、より広範囲のロックダウンと効果の限られるワクチンといった手段で闘う」状況にあると説明。

「オミクロン株に対する人々の抗体は実質的にゼロだ。ロックダウンを2年続けたことで、再開するリスクが一層大きくなった」と分析しました。コロナ対策の当初の成功とそれへの習近平国家主席の執着が「方向転換を不可能にしている」というのです。

ユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「極めて容易に感染し得るが命を脅かすことがそれほどないウイルスと共生する力は、中国のゼロコロナ政策とは正反対に位置している。ゼロコロナ政策はこうしたウイルスに対して機能しないだろうが、中国はそれを堅持するだろう」と述べ、「これは主としてウイルスが招いている課題ではなく、中国政府が自国のやり方から抜け出せないという問題だ」と論じました。

中国のコロナ発生状況のグラフを以下に掲載します。

クリックすると拡大します

昨年から、かなり少ないです。今年1月1日の7日間の平均でも、204人です。中国の人口は、14臆人ですから、これは収束したようにもみえます。

私自身は、この統計自体は信用はしていません。以前GDPに関しても、このブログでは中国のそれは信用できないことをその根拠をもとに主張したことがあります。中国の経済統計は、「政治的メッーセージ(ブロパガンダ)」に過ぎない、断じました。

ですから、コロナ感染者数もプロパガンダに近いものなのだと思います。ただ、それは別にしても、習近平中国指導部は、「ゼロコロナ」であらねばならないと考えているのでしょう。

中国社会は、すべてを国家が決め、国民はそれに従います。国民の間には上から知らされた「とにかくウイルスは怖い」という観念が強く刻まれたままになっています。そうであるからこそ、ゼロコロナの政策を変えられないのです

ゼロコロナの維持は、中国の閉鎖性をさらに高める政策が継続されることで、中国国内の人々とその他世界の人々の意識との落差がいま以上に大きくなり、中国をめぐる国際環境はますます悪化することになります。

ありていにいえば、中国では国家が国民を信用していないのてで、国民にすべての情報を知らせ、国民の判断を尊重するという仕組みが機能していません。そのため政府は失敗が許されなません。権力者は常に全知全能、無謬の存在を演じ続ける以外にないのです。

自らの手段が功を奏したがために、それを国威発揚に利用してしまったがため、その後は他の選択肢が取り得なくなるというパターンは、今回のコロナ対策に限った話ではありません。「一党専制」という一見、強力な仕組みの最大の弱点はここにあります。

これが地政学的な危機をもたらすのは間違いないようです。中国各地でロックダウンが行われれば、昨年あったマスク騒動のようなことが、日本でもおこる可能性があります。それも、大規模に起こる可能性もあるでしょう。生活必需品で中国に頼っているようなものは、要注意です。

昨年までは、中国といえば、中国による外国への介入や干渉が大きな地政学的脅威だったのですが、今年は中国の国内問題がそうなりそうです。

コロナ対策といえば、日本も中国と同じ間違いを犯す可能性は十分にあります。「ゼロコロナ」に拘泥して、しかも病床を増やさないなどの状況が続けば、最近はオミクロン株の感染が増える傾向があり、感染者が増えた場合、しなくても良いというか、本来日本では死者がかなり少ないので、起こりようもない医療崩壊が起こる可能性もゼロとはいえません。

岸田首相

幸いなことに、岸田文雄首相は4日、三重県伊勢市での記者会見で、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の対応について、「自治体の判断で、陽性者を全員入院、濃厚接触者を全員宿泊施設待機としている現在の取り組みを見直す」と述べています。

習近平政権よりは、柔軟な対応ができそうです。ただし、現状ではまだそうでもないですが、感染者が本格的に増えた場合、保健所が対応できない事態は起こりえます。それをなくす意味でも、コロナ感染症を現在の感染症分類の2類から5類に変えるべきです。

5類に分類を変えてしまえば、コロナ感染症もインフルエンザや普通の風邪と同じ扱いができるようになり、保健所がパンクすることも、病床が不足することもなくなります。

2番目、3番目の予測もありそうです。4番目はこれまた、中国の内政に関するものですが、習近平政権は、昨年は中国企業に対する規制を強化したばかりです。この傾向は今年も続くとみられます。これにより、中国経済停滞のリスクはますます強くなるでしょう。

5番目の、ロシアのウクライナ侵攻については、このブログでは、年末にその確率は低いと予測しました。その根拠は、ロシアはいまや一人あたりのGDPが韓国よりも大幅に劣ることと、兵站の大きな部分を鉄道に頼るという致命的な欠陥があることです。

ただ、ロシアはウクライナの侵攻をちらつかせ、米国に対して制裁を弱めることを期待してると私は睨んでおり、実際プーチンはバイデンとの電話会談をする機会を得ました。ウクライナ問題がなければ、このようなことはなかったかもしれません。

バイデンが煮えきらない態度をとったり、譲歩をしてしまえば、地政学的な危機を生み出すのは間違いないです。

ロシアがウクライナに侵攻するしないは別にしても、地政学的なリスクが高まるのは間違いないです。

前線のウクライナ軍を視察するゼレンスキー、ウクライナ大統領

6番目の、イランによる地政学的な危機も理解できるものです。

7番目の、「脱炭素政策とエネルギー政策」も納得できます。脱炭素政策の内容を知れば知るほど、脱炭素と安易に語るべきではないことが、誰にでも納得できると思います。

8番目の、アフガニスタンなどの力の空白も理解できます。アフガニスタン情勢に、中露などが中途半端に介入すれば、泥沼にはまるのは必定です。

9番目の「価値観の衝突に敗れる多国籍企業」にも納得です。米中の対立などにより、中国に進出したり拠点を置いている企業、米中双方からデカップリングされることになりかねません。

10番目のトルコについても、納得です。トルコ統計局が3日発表した2021年12月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比36%でした。単月では19年ぶりの高さで、前月の21%から跳ね上がりました。通貨リラ安による輸出増がけん引して国内総生産(GDP)は膨らむが、賃金上昇が物価高に追いつかず、市民生活は圧迫されています。

今年も、さまざまリスクがありますが、今年最大の地政学的リスクは、中国の国内問題になりそうです。当ブログでも、これに注目し、何か新しい動きがありましたらお伝えします。今年もよろしくお願いします。

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