2022年1月9日日曜日

「習政権なす術なし」中国“ロックダウン失敗” 北京五輪まで1カ月…経済低迷、国内では物々交換も 石平氏「今後は国民の不満や批判の『ゼロ』対策」―【私の論評】コロナがインフル並になることを信じ、強権的な中国版「ゼロコロナ政策」にすがり秋の党大会を迎える習近平(゚д゚)!

「習政権なす術なし」中国“ロックダウン失敗” 北京五輪まで1カ月…経済低迷、国内では物々交換も 石平氏「今後は国民の不満や批判の『ゼロ』対策」

鉄条網で封鎖された居住区の出入り口で、生活物資を受け取る住民ら=24日、中国陝西省西安

 中国のコロナ対策が「世界最大のリスク」に浮上した。北京冬季五輪まで1カ月を切り、国内の一部都市をロックダウン(都市封鎖)しているが、米調査会社は封じ込めに失敗する可能性が高く、国内外の経済混乱を招くと指摘した。封鎖地域では食料不足や当局者による暴行騒動などに発展、住民の不満も噴出している。

 米調査会社ユーラシア・グループが年初に公表した今年の「10大リスク」をまとめた報告書で「最大のリスク」に挙がったのが、中国の「ゼロコロナ」政策だ。「幅広いロックダウンと効き目が限定的なワクチン」でオミクロン株との戦いを強いられていると説明。「当初の成功と習近平国家主席のこだわりで、方針転換は不可能になった」と分析する。

 その上で、感染拡大の封じ込めに失敗する可能性が高く、政府による社会・経済統制の強化とそれに対する不満の増大を予測。中国経済の低迷が続き、世界的なサプライチェーン(供給網)への打撃を深刻化させ、インフレのリスクを増大させると警鐘を鳴らした。

 中国製ワクチンについては効果の低さも指摘されており、国内各社が、ファイザーやモデルナと同タイプのmRNAワクチンの製造・開発に着手している。前出の報告書は、混乱状況が「少なくとも自国製のmRNAワクチンを国民に行き渡らせるまで、最短でも今年末まで」続くとの見方を示した。

 昨年12月下旬からロックダウンを行っている陝西省西安市では、食料品や生活必需品の不足、医療サービスの受診などに影響している。

 同市内で痛みを訴えた妊婦が陰性証明の期限が切れていたため病院に入れず、寒い屋外で約2時間待たされた末に大量出血、死産したと報じられ、住民らの非難が噴出した。保健当局は謝罪し、病院を受診する人に48時間以内の陰性証明の提示を義務付けていた措置をやめると発表した。

 中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」では、ポータブルゲーム機とインスタントラーメンに中華まん、白菜やにんじんなどの野菜と生理用品などを物々交換する映像も投稿されている。

 防疫担当の職員が住民を暴行する映像もSNSに投稿されたほか、ロックダウン前に住民が脱走したことも報じられた。

 河南省禹州市でも3日からロックダウンが行われている。

 関西福祉大の勝田吉彰教授(渡航医学)は「重症呼吸器症候群(SARS)流行当時、1人の感染者のみで住居を封鎖するなどした対策の成功体験があるのだろうが、今後はロックダウンだけで抑え込みはなかなか難しい。(mRNAなど)欧米のワクチン導入も検討すべきではないか」と語った。

 評論家の石平氏は「習政権は従来の対策と自国産のワクチンについてメンツを重視するあまり、なす術がない。今後はコロナの『ゼロ』対策ではなく、強権的抑圧によって国民の不満や批判の『ゼロ』対策をするしかないのではないか」と皮肉を込めた。

【私の論評】コロナがインフル並になることを信じ、強権的な中国版「ゼロコロナ政策」にすがり秋の党大会を迎える習近平(゚д゚)!

米調査会社ユーラシア・グループが年初に公表した今年の「10大リスク」をまとめた報告書で「最大のリスク」に挙がったのが、中国の「ゼロコロナ」政策であり、そのことはこのブログにも掲載しました。

ユーラシア・グループの予測では、習近平がコロナ感染症を制御できなくなり、国内でサプライチェーンが崩壊し、それが世界に悪影響を与えるとされました。

これを巡っては2つ対照的な出来事があります。一つは、中国のゼロコロナ政策の失敗を予感させるものです。

それらは、中国・西安で妊婦が陰性証明の期限切れを理由に診療を拒否されて死産した事件で、衛生当局のトップが謝罪しましたというものです。 

中国では、西安市衛生健康委員会・劉順智主任:「女性に深く謝罪する。果たすべき仕事が果たされなかったことを深く謝罪する」 という報道がなされています。主任というと、日本では職位としては低いですが、中国ではその部署のトップを意味する言葉です。

冒頭の記事にもあるとおり、事実上のロックダウンが続く陝西省西安では1日、妊娠8カ月の女性が陰性証明の期限が4時間ほど切れていたため、診療を拒否されておなかの赤ちゃんが亡くなりました。 

西安市衛生部門のトップは6日、女性に謝罪したうえで、こうしたケースが他にも起きているとして、「直ちに改善措置を取り、コロナ禍の医療ニーズを確保する」と頭を下げて謝罪しました。


中国では、この他にもコロナ感染に関して、とんでもない動画が出回り、すぐに当局によって削除されています。

陝西省興平市では、感染地区から帰ってくる家人を家に入れないために、家のドアノブを男が針金で固定したり、扉を溶接しました。ある都市では、規則を破った市民に対しては反省文を書かせ、公開謝罪をさせました。ロックダウン中の西安では、なぜか防護服を着た作業員が路上火炎放射器で消毒作業をしている動画が出回りました。

日本では、大企業や政府役人が頭を下げて謝罪するという姿は、見慣れたものですが、中国では地方政府の幹部がこのように頭を下げて謝罪するというのは、初めてではないでしょうか。

これは、中国では異例中の異例です。私自身は、このようなことで下級幹部が謝罪した事例はあったことを知っていますが、中共の地方幹部のトップが公に謝罪した例を知りません。これは、国民の不満が鬱積しており、それに対する中国共産党の懐柔策なのだと考えられます。

中国では、元々国民の共産党政権に対する不満はかなり強く、建国以来毎年平均数万件の暴動が発生したといわれています。それが、2012年あたりから、10万件を超えるようになり、政府も暴動件数を公表しなくなりました。

もともと国民の憤怒のマグマが煮えたぎっていたところに、中国版「ゼロコロナ政策」である「社会面清零政策」が行われたのです。これは先進国などでいう「ゼロコロナ政策」とは似て非なるものであり、数字上コロナ感染者がゼロになれば、住民の生活や命はどうなっても構わないという政策です。

「社会面清零」に関する報道をする中国CCTVの画面

これでさらに国民の憤怒がさらに高まっていたところに、このような事件が起こり、国民の憤怒が頂点に達したのでしょう。これは、さすがに中共政府も従来のように隠蔽、弾圧や日本を悪者に仕立てるなどの方法では乗り切ることができないと判断したのでしょう。だから、トップの謝罪という事態になったのでしょう。

もう一つは、中国がゼロコロナ政策でなんとか難局を切り抜ける可能性もでてきたという事実です。

現在爆発的に感染が増えつつあるオミクロン株について、各国のデータをみると従来の変異株より入院率や死亡率は低く、「インフルエンザ並み」との指摘もあることです。

英統計サイト「アワー・ワールド・イン・データ」によると、5日時点の新型コロナによる致死率(感染者のうち死亡した割合)は英国が0・15%、イタリアは0・46%、フランスは0・29%だった。昨年1~2月時点では各国ともに3%台で、低下傾向は顕著です。

国立感染症研究所の資料によると、昨年12月23日までに報告されたイングランドのオミクロン株感染例など29万5694例のうち、19日までに入院が366例、死亡が29例認められました。2日のタイムラグはありますが、単純計算で入院率は約0・12%でした。

昨年8月、英公衆衛生庁の研究者が英医学誌「ランセット」に掲載した論文では、同年3~5月の新型コロナ患者のうち2週間以内に入院したのはアルファ株が2・2%、デルタ株が2・3%にのぼっていましたた。

日本では、第5波当時の入院率や死亡率はインフルエンザより10倍リスクが高いとされましたが、現状はインフルエンザと現時点のオミクロン株の入院率はいずれも0・1%程度で同等のレベルです。

歴史的にみると急性ウイルス感染症でパンデミック的な流行が3年以上続いた記録はなく、そろそろ風邪の一種になる方向に収束する可能性も高いです。

もし、そうなると、習近平政権は、中国製ワクチンがオミクロン株に効き目が低かったとしても、「社会面清零政策」をやり抜いても、しばらくすれば、コロナ感染症は中国でも収束する可能性があります。

習近平政権にとって、今回のオミクロン株の急速な感染は、悪い面ばかりではありません。それは、北京五輪の各国の外交的ボイコットを、国内ではオミクロン株のせいにできるからです。

習近平政権は、たとえ東京五輪のように無観客でも強行し、北京五輪を成功させ、国威発揚に利用するでしょう。

そうして、焦点は秋の党大会に移ることでしょう。中国共産党は2022年秋、5年に1度の党大会を開きます。通例であればトップが交代する10年に1度の節目ですが、今回は習近平総書記(国家主席)の3期目続投が確実視されており、習氏を支える指導部人事が最大の焦点です。

昨年の共産党大会

この直前までに、コロナ禍が収束していれば、良いでしょうが、それまでにコロナが収束していない場合は、習近平の国家主席の3期目続投は危うくなるでしょう。

それに加えて、個人崇拝の復活や経済・社会の統制強化など毛沢東時代への回帰を強める習氏の路線には、党内で異論も根強いです。減速する経済や長引く米中対立も、3期目始動の不安材料です。

それまでは、習近平は気を抜けません。海外からオミクロン株にも効き目があるとされる、ワクチンを導入すれば、面子が丸つぶれとなるので、なす術はありません。ただコロナがインフルエンザ並になることを信じて、強権的な中国版「ゼロコロナ政策」にすがり、その日を迎えるしかないでしょう。その過程で、「社会面清零政策」はますます苛烈になるかもしれません。

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