トンガ沖海底火山噴火の様子 |
<平成の米騒動って、覚えていますか(略)あの時、初めてタイ米食べたわ 今回はそれ以上の、世界的な気候変動がありそう> ツイッターに投稿された「平成の米騒動」を引き合いに出すこの投稿は、16日正午現在で1万3000件以上リツイートされている。
平成の米騒動は、93年に起きた深刻なコメ不足だ。80年ぶりとなる記録的な冷夏で日本全国のコメが不作に。コメの全国作況指数は74と戦後最悪で、国の備蓄も底を突いた。国はタイ米を緊急輸入し、コメを販売する店には長蛇の列ができるなど、大騒ぎになった。
この原因になったのが、20世紀最大級とされる91年のピナツボ火山の巨大噴火だ。噴出物が成層圏に大量に放出され、地球全体の平均気温が最大約0・5度下がるなど、世界の気候に影響を及ぼした。
今回のトンガ噴火も、噴火の規模がピナツボ火山と同程度の可能性がある。ツイッター上では、ピナツボ火山と同様、気候変動や穀物生産への影響を懸念する声が相次いでいる。<噴火の粒子で日光が遮られて農作物生産に影響でたら目も当てられないんだけど、どうなるか……>
中には、平成の米騒動にちなんだ「令和の米騒動」という言葉をツイートする投稿も。<さて…今年は冷夏と厳しい冬になりそうですね……令和の米騒動にならなきゃ良いけど><トンガの大噴火で令和の米騒動が起こりうるのか……津波だけの問題じゃないし対岸の火事でもない>
一方で、<当時とは気候も栽培環境も違っている。同じ事が起こるとは思えない>、など、大規模な影響を否定する意見もあった。【山下智恵/デジタル報道センター】
【私の論評】本当の大問題は、中国経済の低迷とトンガ噴火による寒冷化の悪影響が重なるかもしれないこと(゚д゚)!
大規模な海底火山噴火から30時間以上が経過したトンガの詳しい情報は依然分かっていません。一方、津波は南北アメリカ大陸にも到達しています。
ニュージーランドのアーダーン首相は、
「沿岸部では商店などの建物に被害があり、大がかりな撤去作業が必要です。首都ヌクアロファは厚い火山灰に覆われているが状況は安定しています」
こう述べたうえで17日に軍の偵察機を派遣するとしています。被害が最小限に留められることを祈るばかりです。日本も、トンガに対してできるだけの支援をすべきと思います。
こう述べたうえで17日に軍の偵察機を派遣するとしています。被害が最小限に留められることを祈るばかりです。日本も、トンガに対してできるだけの支援をすべきと思います。
これだけ大きな噴火となると、日本にも何らかの形で大きな影響がでるかもしれません。
私は、この頃には函館に転勤になったばかりの頃でした。確か8月になっても、18度くらいの天候が続き、涼しいというより寒いという感じでした。セブンイレブンの前に、たたずむライダーが厚手の革ジャンをまとったままだったのを記憶しています。
今回のトンガ噴火では、コメ不足への不安はさほど深刻にはならないように思います。それにはいくつかの理由があります。
1つが品種改良の進歩です。当時、冷害の被害が特に大きかった品種が宮城県を中心に栽培されていた「ササニシキ」でした。「コシヒカリ」に次ぐ、全国2位の作付面積を誇ったほどの銘柄米だったのですが、寒さには弱かったのです。ササニシキを中心に作付けしていた宮城県では、93年の水稲の収穫量が19万1100トンと前の年に比べ62%も減ったほどでした。
これを機会にササニシキは急速に作付面積を減らしていきましたた。代わりに伸びたのが、ササニシキより寒冷地に強い品種として作られた「ひとめぼれ」でした。ひとめぼれの全国の作付面積に対する割合は18年産で9.2%とコシヒカリの35%に次ぐ2位になっています。
寒冷地に強いコメ作りが進んだ結果、産地がさらに北に進んだというのが2つ目の理由です。亜熱帯が原産のイネですが、今では北海道が日本で第2位の大産地となっています。けん引役となっているのが全国5位の作付面積を誇る「ななつぼし」です。
ひとめぼれ系列の品種に、耐冷性に優れた品種を掛け合わせており、いっそう寒さに強いです。梅雨のない北海道のなかでも温暖とされる道央の日本海側を主な産地としており、冷夏の原因とされるオホーツク海高気圧の影響は比較的受けにくい地域とされます。
日本では、米の作付けが始まるまでには、まだ間があります。冷夏が予想される場合は、冷夏に強い米の作付けが強化される可能性もあります。
さらに日本人の食生活の変化も見逃せないです。農林水産省によるとコメの総需要量は93年度の971万トンから17年度には824万トンと15%減りました。家庭におけるコメの購入量はパンや麺類の購入に比べても減少のペースが大きいです。「コメがなければパンを食べればいい」。そんな実態に日本人の食生活が近づいているといえます。
さらに、その後も噴煙が漂い続け、北半球にも悪影響を及ぼし続ける可能性もあります。そうなると、全世界的に経済か落ち込む可能性もあります。
年明けに、このブログではユーラシアグルーブによる、今年の10大リスクを掲載しました。最大のリスクは中国のゼロコロナ政策の失敗です。さらに、4位には「中国の内政」が上げられていました。習政権に対するチェック機能が働かず、中国経済の停滞など政策を誤るや恐れが指摘されていました。
私自身は、オミクロン株が流行仕出してから、コロナの脅威はかなり減り、全世界的に収束にむかいつつあることから、習近平政権は、結局コロナ対策を間違えたにしても、強権政策で乗り切り結局は中国でも近日中にはコロナは収束に向かうのではないかと考えています。
それよりも、中国経済が停滞するのは間違いないと思います。それについては、先日もこのブログに掲載しましたので、その記事を参照していただきたいと思います。
問題は、中国経済の低迷の悪影響と、トンガの海底沖火山の噴火による寒冷化の影響が重なるかもしれないということです。
この両方は、今後少なくと2年くらいは続きそうです。このダブルパンチにより、世界経済は悪影響を受ける可能性があります。
これについては、ある程度はっきりするのは1〜2ヶ月後になると思われます。その後も岸田政権がもたついて、これに対する対策として、積極財政や量的金融緩和を迅速にしなければ、政権支持率が落ちることが考えられます。
元岸田政権の現在のグタグタぶりは、以下の動画をご覧いただければ、おわかりいただけるものと思います。
岸田政権にとっては、トンガ噴火で夏の参院選に向けて、大きな不確定要素を抱えることになるでしょう。ただ、反応の鈍い岸田政権では、大きな不確定要素を抱えていることも気づかないかもしれません。
なぜなら、立憲民主党をはじめ、最近では全部の野党がグタグタ感を醸し出しているからです。これについては、長くなってしまうので、また別の記事にまとめようと思います。
そのため、岸田政権は参院選でも圧倒的勝利というわけにはいなかいまでも、なんとか体面を保つ程度には勝利できるかもしれません。
しかし、中国経済の低迷と、トンガの海底沖火山の噴火による寒冷化の影響が今後2年くらい続くとなると、岸田政権の経済政策では、乗り切るのが難しくなる可能性が高くなります。
そのときに岸田政権がどのような行動をするか、もっと大きなくくりで自民党がどのような動きをするかによって、大きな政局含みの展開となるかもしれません。
最後に、トンガは2011年の東日本大震災の時、「トンガより愛を込めて」のメッセージとともに里芋などを日本に届けた親日国であるとともに、複数のラグビー日本代表選手の母国でもあることを述べてきおきます。
トンガは、ラグビーがさかんで、日本代表のバル・アサエリ愛、中島イシレリの両選手らの母国です。トンガ代表が試合前に披露する戦いの踊り「シピタウ」も有名です。
トンガ代表が試合前に披露する戦いの踊り「シピタウ」 |
1人当たりの国民総所得(GNI)は日本の4万1500ドルに対し、トンガは4300ドル(19年)。主にマグロやカボチャを日本に輸出しています。輸出額は約3800万円(20年度)です。
日本は「草の根・人間の安全保障無償協力」を通じ、学校や診療所の建設、給水施設の整備などを支援しています。青年海外協力隊による日本語、そろばん教育も20年以上続いています。
南太平洋唯一の王国として知られるトンガの王室は長年、日本の皇室と親密な交流を重ねています。東日本大震災の際は、義援金20万パアンガ(約900万円)を寄せ、11年4月には里芋などを届けてくれました。
外務省ウェブサイトには、この時、里芋生産者の代表が「トンガと日本の人々の愛であふれた里芋は、被災者にとってどのような味がするでしょうか。被災者が一日も早く元気を取り戻すことを願っています」と述べたことが掲載されています。
トンガの被災者が一日でも早く元気を取りどすことを願います。
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