2021年12月24日金曜日

米、ウイグル輸入禁止法成立 強制労働防止、来年6月発効 日本企業に影響―【私の論評】ウイグル人への人権侵害をやめない限り、国際社会はより厳しい制裁を加えるだけ(゚д゚)!

米、ウイグル輸入禁止法成立 強制労働防止、来年6月発効 日本企業に影響

 バイデン米大統領は23日、人権侵害を理由に中国・新疆ウイグル自治区からの輸入を全面的に禁止する「ウイグル強制労働防止法案」に署名、同法が成立した。

中国・新疆ウイグル自治区で監視カメラの下を歩く子どもら=2019年6月4日

 180日後の2022年6月下旬に発効する予定。自治区全体を禁輸対象とするのは初めて。人権をめぐる米中の対立が制裁と報復の応酬に発展する可能性もあり、米国に進出する日本企業は厳しい対応を迫られる。

  同法は新疆ウイグル自治区で「全部または一部」が生産された製品の輸入を原則禁止。輸入企業に説明責任を負わせ、強制労働を利用していないことを「明確かつ説得力のある証拠」に基づき立証できなければ輸入できない。米政府に対し、強制労働に加担する海外の個人や団体の制裁リスト作成も求めている。 

【私の論評】ウイグル人への人権侵害をやめない限り、国際社会はより厳しい制裁を加えるだけ(゚д゚)!

同法案は今月、全会一致で上下両院を通過していました。民主・共和両党の間には大半の問題で大きな隔たりがあるが、対中国政策ではほぼ一致しています。

新疆ウイグル自治区は衣服に使用される綿花の主要産地で、太陽光パネルの原材料となるポリシリコンの生産でも重要な地位を占めています。世界的なサプライチェーンへの影響が大きい同地域で、イスラム系の少数民族ウイグル族らが抑圧されていることが懸念され、同法案の成立が後押しされました。

23日法案に署名するバイデン大統領

この成立で、新疆産の製品を米国で使用している企業は対応を迫られます。成立前からすでに、米インテルが新疆の労働力や製品を使用しないようサプライヤーに要請し、その後謝罪するなど、物議を醸していました。

新疆ウイグル自治区で2021年3月26日、綿花畑で働く労働者たち

同法は、新疆でのウイグル族や他の民族弾圧で中国政府に加担している企業・団体のリスト作成を国土安全保障省に義務付けています。米税関・国境警備局(CBP)局長が例外として認めない限り、同自治区からの全ての産品が強制労働で製造されていると見なす「反証を許す推定」も盛り込まれました。

これまで米国は、自治区で生産された綿製品や農産物の加工品などについて、強制労働で生産された疑いがあるとして輸入を停止してきましたが、この法律はすべての品目を対象としており、自治区で生産された製品などを米国に輸出してきた日本企業に影響が及ぶことになります。

一方日本では、新疆ウイグル、チベット、内モンゴルの各自治区や香港の出身者らで作る複数の民族団体は24日、中国政府による諸民族への迫害行為を黙認しないという日本政府の表明などを呼びかける要望書を中谷元首相補佐官(国際人権問題担当)に提出しました。

要望書は日本ウイグル協会やチベット亡命政権の代表機関ダライ・ラマ法王日本代表部事務所、南モンゴルクリルタイ(世界南モンゴル会議)など9団体が作成。ウイグル協会は「ウイグルジェノサイドに抗議の声を上げるタイミングはとっくに過ぎている」と訴えました。

自治区の出身者らが中谷氏に面会することは認められず、自民党の山田宏参院議員と長尾敬前衆院議員が代わりに要望書を手渡しました。山田氏によれば、中谷氏は「(海外での重大な人権侵害行為に制裁を科すための日本版)マグニツキー法も含めてしっかり検討する」と語ったといいます。

もう「検討」の時期はすでに終了したと思います。中谷氏には、日本版マグニツキー法成立に向けて努力すると、言い切ってほしかったです。

ウイグル人に対する人権侵害の実体は、様々なメディアで報道されていますが、以下のマンガでもその実体験が綴られています。ぜひご覧になってください。
私の身に起きたこと ~とある在日ウイグル人男性の証言2~

来年の北京オリンピック・パラリンピックへの対応をめぐり、24日松野官房長官は記者会見で、閣僚など政府関係者の派遣を見送り、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長ら3人が出席すると発表しました。

これは遅すぎです。中国と心中するという腹もない、現状の日本が、北京五輪に閣僚級を送り込むことなどできないことは、最初からはっきりしていました。閣僚送り込むだけの勇気もないのなら、もっと早い時期に決めるべきでした。

同盟国の米国、友好国のオランダなどが12月上旬に(外交的ボイコットを)表明していたのですから、同じ価値観外交を展開している日本としても早く表明しなければ、日本は人権より経済かという疑念を持たれかねないです。

中国外務省は24日に発表した報道官談話で、米国で中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区を産地とする物品の輸入を原則禁止する「ウイグル強制労働防止法案」が成立したことに対し、「中国の内政に乱暴に干渉したものであり、強烈な憤慨と断固とした反対を示す」と強く反発しました。

談話は「米国の行為は市場ルールとビジネスのモラルに完全に背く。全世界のサプライチェーン(供給網)の安定を破壊し、国際貿易の秩序を妨げるだけだ」と非難しました。

新疆の問題については「人権問題ではなく、反テロ、反分裂の問題だ」と主張。「中国は事態の発展を見て、さらに反応をとる」と米国を牽制(けんせい)したが、具体的な対抗措置については明らかにしませんでした。

中国政府は「さらに反応をとる」と虚勢を張っていますが、実際のところ米国に対して有効な対抗措置を何一つも取れないでしょう。毛沢東のいう「張子の虎」とはまさに今の習近平のことです。ウイグル人に対するジェノサイドをやめない限り、国際社会はより一層の制裁を加えることになるだけでしょう。

行き着く先は、ドルと元の交換禁止措置などになると思います。そうなると、現在の貿易の決済はほとんどがドルで行わているので、中国は貿易決済ができなくなります。

米国は、貿易などでも、投資の面でも、中国にとって上客であるはずです。そもそも、中国人民元は、最近はそうでもなくなりつつありますが、中国が大量のドルや米国債を保有しているから信用されているという事実を中国は忘れているのではないでしょうか。

そのドルの胴元でもある米国を怒らせて、何のメリットがあるというのでしょうか。通常の感覚なら、上客の頼みだからといって何から何まで聞く必要まではありませんが、できる範囲ではなるべくお客の要望に沿おうとするというのが、まともな商売人の道だと思います。

中国には、その程度の倫理感もないようです。

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