林外務大臣(左)と岸田総理大臣(右) |
「一部の方に混乱を招いてしまった」
岸田首相は2日、官邸でこう陳謝した。
オミクロン株対策で 国交省は11月29日、独自の判断で、日本人も対象にした国際線の新規予約停止を航空各社に要請した。
「感染防止の緊急避難的な予防措置」とはいえ、国家の最大の責務は「国民の生命と財産を守り抜く」ことだ。日本人の帰国ができないとなると、邦人保護の観点から問題となる。憲法22条が保証する「移動の自由」を妨げることにもつながりかねない。
しかも、国交省は1日に官邸に事後報告したといい、岸田首相は同日夜、慌てた様子で邦人の帰国には適切に対応するように指示を出した。
ネット上では、《はっきりいって素人内閣》《邦人保護の責任放棄》《何も考えず、人に言われるままにやるからこうなった》などと厳しい批判が噴出している。
第2次岸田政権は発足から1カ月もたたないが、内政も外交も「不可解な政策・報道」が立て続けに指摘されている。
一連の岸田政権の対応をどうみるか。
政治ジャーナリストの安積明子氏は「岸田首相は政権基盤を固めるのに必死なあまり、行政全体が見えていないようだ。国際線予約停止でも、批判を受けて朝令暮改で撤回した。政策遂行での環境づくり(=根回し)ができていない。もともと、国民の人気は高くはないが、さらに行政運営で疑問符が付けば、『岸田政権では日本は危ない』と国民に飽きられるだろう」と語っている。
◆第2次岸田政権による主な「不可解な政策・報道」
日本到着便予約停止と撤回 (産経新聞など、12月2日)
中国念頭「日本版マグニツキー法」の見送り報道 (共同通信、11月16日)
外国人労働者の在留期限をなくす方向で検討報道 (日経新聞、11月18日)
「親中派」の林芳正外相起用と、訪中調整示唆 (BS朝日など、11月21日)
住宅ローン減税の控除率の縮小を検討 (産経新聞、11月19日)
金融所得課税の強化検討 (共同通信、11月18日)
「炭素税」検討の方向 (日経新聞、11月20日)
【私の論評】岸田総理は国民を納得させよ、財務省・中国を納得させる政策をとれば、そっぽをむかれる(゚д゚)!
上の記事には掲載されていませんが、岸田内閣の不安は他にもあります。2021年度補正予算案で約22兆円の国債を発行することで、財政悪化を懸念する報道もありますが、岸田氏がこれを真に受けて東日本大震災時の菅内閣による復興増税のようにコロナ増税が実施されるのではという懸念です。
こうした懸念を抱かざるを得ないのにはそれなりの理由がありすま。それは明らかに財務省が岸田政権に強い影響力を与えているからです。実際、東日本大震災後、財務省には、ホップ(復興増税)、ステップ(消費増税第1弾)、ジャンプ(消費増税第2弾)という考えがあったようです。
こうした懸念を抱かざるを得ないのにはそれなりの理由がありすま。それは明らかに財務省が岸田政権に強い影響力を与えているからです。実際、東日本大震災後、財務省には、ホップ(復興増税)、ステップ(消費増税第1弾)、ジャンプ(消費増税第2弾)という考えがあったようです。
野田佳彦氏 |
ポップは菅直人政権、ステップとジャンプは野田佳彦政権という財務省にとって「いいなり」ともいえる政権で実行されました。大規模自然災害への復興などは、古今東西増税で実施されたことは、それまで一度もありません。これは、本当です疑念を感じた方は調べてみてください。しかし、唯一の例となったのが、復興税です。
今の岸田文雄政権は、財務省の言いなりだった民主党の野田政権に似ています。野田政権については、かつての「みんなの党」の代表であった、渡辺喜美氏が興味深いことを語っています。これは、民主党政権の最後の、2012年の野田総理による衆院解散に関するものです。
この動画の7:30あたりのところから、渡辺氏が記者になぜこのタイミングでの解散になったのか、問われて以下のように話しています。
「これは、財務省の路線そのものなのであって、とにかく新政権で、予算編成をしたいと・・・。旧政権でつくった予算をグタグタにされるのは困るという財務省の路線が、そっくりそのまま、野田総理を動かしたというだけのことですね。
党首会談をやったときに、もう自分は財務省に見放されているということを、はっきりと言っていました。その見放された総理が、最後まで財務省路線に乗っからざるをえないと、まあー、非常に情けない内閣ですね」。後は、ご存知のように野田佳彦氏は財務省の意向を反映した自民党が提案した消費税増税を法定化して民主党政権が壊滅する道を突き進みました。これは、本当に理解に苦しみます。民主党は政権交代直前の選挙の公約では「民主党が政権の座についている間は増税しない」としていました。
岸田政権が野田政権になるかもしれない根拠は他にもあります。それは矢野康治財務次官が月刊「文芸春秋」11月号に書いた記事てす。このブロクでも以前指摘したように、矢野氏は、財政が危機であるとして「ワニの口」と称する一般会計収支の不均衡と債務残高の大きさだけを示したグラフでした。それだけを根拠に衆院選や自民党総裁選を巡る経済対策を巡る議論を「バラマキ合戦」と指摘。
このデータは、会社でいえば一部門の収支と、バランスシート(貸借対照表)の右側にある一部門の負債だけで、財政破綻を主張する全く筋違いというか、幼稚きまりないものでした。これと同じような主張をまともな企業の取締役会などで主張すれば「馬鹿」といわれるくらいのレベルです。矢野氏は会計を全く理解していません。
BSで財務を語れない幼稚な矢野次官 |
これに比較すると、安倍・菅義偉政権で行った累次の補正予算では国債100兆円増ですが、それらはほぼ全て日銀が最終的には購入したので、政府と日銀を含む連結されたバランスシートでは負債100兆円増ですが、資産も100兆円増となり、ネット負債は増加していません。このため財政悪化にはならずに、増税という対策も不要でした。
これでは、岸田内角は野田内閣の復興税と同じように、コロナ復興税を推進する可能性は否定できません。
もう一つの心配としては、岸田政権が中国にとって都合の良い政権になることです。これは、上の記事でも一部指摘されています。
そもそも茂木さんが幹事長になって、林芳正さんが外務大臣という人事を岸田総理は実行してしまいました。この二人は比較的中国に近いということで有名です。林氏は日中議連の会長です。
茂木幹事長 |
通常はバランスをとって、一方で中国に近い人をつければ、片方は厳しい人を選ぶでしょう。そのため茂木氏が幹事長になったときに、外務大臣は例えば小野寺さんなどにするというのが王道なのでしょうが、岸田総理はそうしませんでした。
そこで、バランスを取るという意味あいでも、安倍晋三氏がマレーシア特使として、マレーシアを訪問した後で、台湾を訪問するということもありえます。特に、安倍氏は現在は、議員という立場ですから、十分あり得ます。
国民からすると、無論増税は反対でしょうし、中国に期待されるような政策には反対でしよう。国民の嫌がることをする政権の支持率は、下がることはあっても上がることはないです。
政権支持率が下がり続ければ、来年の参院選を戦えぬという声があがり、再度総裁選ということにもなりかねません。
そんなことにならないためにも、岸田総理はまともな経済政策、対中政策を実施して国民を納得させるべきです。財務省や中国が納得するような政策をとれば、党内はもとより多くの国民から糾弾されることになります。
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