2021年12月22日水曜日

山口県職員ら公選法違反か 林外相の後援会に勧誘で県警が事情聴取―【私の論評】外交の失態をしでかした、林外相は失態を重ね岸田政権が揺らぐことになる可能性も(゚д゚)!

山口県職員ら公選法違反か 林外相の後援会に勧誘で県警が事情聴取

林芳正外相

 10月末に投開票された衆院選山口3区で当選した自民党の林芳正外相の後援会に入るよう勧誘活動をしたとして、山口県職員らが県警に事情聴取されていることが分かった。村岡嗣政知事が記者団に明らかにした。山口市職員も聴取対象になっていることも判明。県警は公選法に抵触するかどうか慎重に捜査しているもようだ。

山口3区をめぐっては、自民前職の河村建夫元官房長官と参院議員からくら替え出馬する意向を示した岸田派の林氏が激しい公認争いを繰り広げた。自民党本部は最終的に林氏を公認し、河村氏は政界を引退した。

林外相は21日の記者会見で「捜査機関の活動に関わることなので答えを差し控えさせていただく」と述べた。

【私の論評】外交の失態をしでかした、林外相は失態を重ね岸田政権が揺らぐことになる可能性も(゚д゚)!

一般職地方公務員については、地方公務員法第 36 条により、一定の政治的 行為が制限されています。 

地方公務員法第 36 条第 2 項においては「政治的目的」と「政治的行為」を 規定しており、「政治的目的」をもってする「政治的行為」に限り、制限の 対象となります。

詳細は以下の文書を御覧ください。


この事件では、小松一彦山口県副知事が、衆院山口3区の林芳正候補の後援会に入るよう県庁内で勧誘活動した公選法違反の疑いで書類送検されます。同副知事は無論辞任でしょうがが、林外相にも政治責任が生じる可能性はあります。


林氏が後援会への加入勧誘を公務員に依頼した事実が判明すれば、大臣辞職はもとより、議員辞職にも発展しかねないです。

林芳正外務大臣は11月21日、フジテレビの番組に出演し、18日の中国・王毅外相との電話協議のなかで、中国訪問を打診されていたことを明らかにしていました。応じるかどうかについては、「現時点では何も決まっていない」としていました。

公式訪問は、招いた側が招かれた側の同意か感触を得たうえで発表するのが、普通の外交儀礼だ。招いた側が友好姿勢を示す一方、応じるかどうかの選択を相手に委ねるのが普通です。ところが、今回は招かれた側の日本の外務大臣が3日遅れで、一方的にテレビで公表しました。これだけでも、十分に異例でした。

11月21日フジテレビ日曜報道 THE PRIMEに出演する林芳正外相

そもそも、いま中国と日本は、どういう関係なのか林外相は認識しているのでしょうか。

中国は沖縄県・尖閣諸島周辺で挑発行動を繰り返す一方、11月19日には中国軍艦が鹿児島県・屋久島沖の領海を侵犯しました。中国とロシアの艦隊が日本列島を一周したかと思えば、中ロ爆撃機の4機編隊が同月19日、日本上空を飛行していました。

一言で言えば、中国は日本を一段と脅しにかかっていました。 脅している中国が、脅かされた側の日本の外相を招待するというなら、日本の外務大臣なら「ふざけるな。まずオマエの態度を改めろ」と強く指摘して、招待を断るのが普通の対応でしよう。

強盗に襲われそうな家の人間が、強盗の招待を受けるなど、ありえないです。

ところが、林外相は番組で日程は未定としたものの、「招請を受けたので、調整はしていく」「ただ待っているのではなく、米中両方と話ができるのが日本の強みだ」などと、招請を受ける方向で前のめりに語ったのです。

林大臣には、「国家としての矜持」はないのでしょうか。事務方が慎重だったにもかかわらず、なぜ林大臣は公表したのか。

林氏は日中友好議員連盟の会長を務めており、自民党親中派の代表格です。外相就任に当たって、会長職を辞任しましたが、それで政治姿勢が変わるはずもないです。林氏には「米中の仲介役」「橋渡し」をしよう、という意図があったのではないでしょうか。

そんな思惑は「米中両方と話ができるのが日本の強み」という発言ににじみ出ている。そうだとしたら、訪中前から、中国の掌中に乗ったも同です。

中国は日米豪インド4カ国の協力枠組みである「クアッド(QUAD)」や、米英豪の軍事同盟である「オーカス(AUKUS)」に神経を尖らせています。そんな中国包囲網で、もっとも中国に近い日本が中核になるのを阻止するのは、中国の最重要課題といえるでしょう。

日米同盟の分断こそが、彼らの戦略目標です。林氏は「過去の田中角栄氏の中国訪問のように、政治家として、名を上げる絶好のチャンス」とみたかもしれないです。緊張関係が高まる米中の間に立って、緊張緩和のきっかけがつかめれば、大きな功績になると思ったのかもしれません。しかし、それは大きな勘違いです。

中国を訪問をして周恩来(右)と食事する田中角栄(左)

当時と今では、状況が全く異なります。当時は中ソ国境紛争があり、ソ連核攻撃を恐れる中国は、米国を仲間にしたいと考え、冷戦でソ連と対峙する米国は、中国を対ソということで、仲間に引き入れようとして、互いの利益が一致し、当時のニクソン米大統領が中国を電撃訪問した直後です。今思えば、これがその後の間違いの始まりだったかもしれません。

状況が変われば、互いに親しかった国々が反目しあようになったり、その逆に互いに反目しあっていた国々が親しくなるというような事例は過去にいくらでもありました。人間関係でさえも、一度親しくなったから、未来永劫親しくあり続けることなどないのです。特に相手が裏切った場合はそうです。そのような当たり前のことが、林氏には理解できないようです。

そもそも、日本は米国の同盟国です。しかも、このブログにも以前から掲載しているように、日本は冷戦戦勝国です。ロシア、中国、北朝鮮、東欧諸国は冷戦敗戦国です。中国は、米国などと国交を回復したこともあり、敗戦国といえるかどうかは、微妙なとこもありますが、冷戦前からの体制を維持した中国は、やはり敗戦国といえるでしょう。

日本は、冷戦中には、米国に基地を提供するほか、米国の要請にもとづきオホーツク海(ソ連原潜の聖域)において大規模な対潜哨戒を実施し、ソ連の原潜の行動を封じ込めました。そのため、日本の対潜哨戒能力は今日世界のトップクラスです。

日本も大きな貢献をしたのです。そうして、西側諸国は冷戦に勝利して、日本の国際社会における地位も高まり、国内も安定しました。

そのような日本が米中と等距離を置いて、仲介者になれるわけがないです。そんな思惑をにじませたからには、米国は当然、警戒します。仲介者どころか、二股外交の韓国のように、米国と中国の双方から信頼を失うことになるでしょう。それどころか、裏切り者とみられることになりかねません。

林外相の訪中発言は、米国の疑念に火を点けたに違いないです。そんな状況で訪中すれば、米国を怒らせ、逆に訪中しなければ、中国の面子を丸潰れにしてしまいます。どちらに転んでも、日本に良いことはありません。

これは明らかに「外交的失態」です。 いずれ結論は必ず、出さなければならないです。大臣自ら表面化させた外相訪中問題は、自民党の基盤である保守層を強く刺激して、岸田政権を揺るがす騒動になる可能性が高いです。

そこに降って湧いたのが、今回の山口県職員ら公選法違反の疑いです。警察が捜査に着手するのは、時間を掛ける価値と、それなりの手がかりや根拠があるからです。

後援会への加入勧誘を、林氏が公務員に依頼するなどということが通常まったくありえないことです。しかし、外交でも通常ありえないことをしでかしてしまった林氏です。選挙活動でも、ありえないことをしでかした可能性はあながち否定できません。

これが、きっかけとなって、岸田政権が揺らぐことになる可能性は十分あると思います。今回のことが大事にならなかったとしても、さらに何か大失態を起こしそうな予感がします。今後の趨勢を見守りたいです。

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