2021年12月18日土曜日

対中非難決議また見送り…「外交的ボイコット」対応決まらず 茂木氏、採択に難色 門田隆将氏「親中対応続けば、自民は厳しい」―【私の論評】日本は、新冷戦で戦勝国になるか、敗戦国になるかの瀬戸際にある(゚д゚)!

対中非難決議また見送り…「外交的ボイコット」対応決まらず 茂木氏、採択に難色 門田隆将氏「親中対応続けば、自民は厳しい」

高市早苗政調会長

 中国当局の新疆ウイグル自治区などでの人権弾圧を非難する国会決議案が、先の通常国会に続き、21日に閉幕する今国会でも採択が見送られることになった。自民党の高市早苗政調会長らが採択に向けて動いたが、茂木敏充幹事長が、北京冬季五輪に政府代表を派遣しない「外交的ボイコット」をめぐる岸田文雄政権の対応が決まらないなかでの採択に難色を示したという。岸田自民党は大丈夫なのか。

 「臨時国会こそは、と思って公明党との文言の調整も含めてやってきた。茂木氏の署名がないと国会に出せない。大変悔しい。本当は今のタイミングだ」

 高市氏は17日、党本部で茂木氏に面会後、記者団にこう語った。

 この日、高市氏は党内有志による「南モンゴルを支援する議員連盟」会長として、超党派の「日本ウイグル国会議員連盟」の古屋圭司会長や、「日本チベット国会議員連連盟」の下村博文会長らと、茂木氏に今国会での採択を申し入れた。

 だが、古屋氏によると、茂木氏は「決議案の内容はいいが、タイミングの問題だ。五輪に政府関係者を派遣するかの問題に今一番、世論が注目するなか、今はタイミングが良くない」と受け入れなかったという。

 同様の決議案は先の通常国会でも、他党との文面づくりを終えていながら、当時の党執行部の「承認」が得られず、提出されなかった。

 今回の党執行部の対応について、党内保守系グループ「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」幹事長の山田宏参院議員は18日朝、「国会決議を先にすれば、岸田政権も、政府代表派遣をめぐる判断をやりやすいはず。茂木氏のいう『タイミング』は意味不明だ。順番が違う」と語った。

 岸田政権はいつまで、「対中」で煮え切らない姿勢をとり続けるのか。

 作家でジャーナリストの門田隆将氏は「欧米諸国が、中国の暴走を食い止めようと非難決議や制裁を発動するなか、日本は何周も遅れている。『人権を重視する国際社会の輪から離脱しようとしている』とみられても仕方がない。世界に恥ずかしくないのか。こんな『親中』対応が続けば、自民党は来年夏の参院選は、かなり厳しくなる」と語っている。

【私の論評】日本は、新冷戦で戦勝国になるか、敗戦国になるかの瀬戸際にある(゚д゚)!

わずか半年前にも、似たようなことがありました。当時の二階幹事長らが、対中非難決議文案への「承認」サインを求めた自民党の下村博文政調会長と古屋圭司元国家公安委員長らと、同党の二階俊博幹事長と林幹雄幹事長代理による応酬があり、結局都議選での公明党との連携を見据えて、二階氏のサインを制止したのは林氏だとされました。

これについては、このブログでも掲載しました。以下に当該記事のリンクを掲載します。
「自民党の風当たり強くなる」有本香氏のコラム「以読制毒」詳報で波紋 対中非難決議見送り 本紙ツイッターには「日本人として申し訳ない気持ちだ」―【私の論評】中国共産党と似ている自民媚中"三人組"(゚д゚)!

17日発行の夕刊フジに掲載された有本香氏のコラム「以読制毒」の紙面

これは今年6月18日の記事です。ちょうど半年前の記事です。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より長くなってしまいますが一部を引用します。
本当に情けないです。自民には、親中的な公明が採択に及び腰だったことが見送りの原因との声がある一方、公明は閉会間近まで自民から正式な交渉の呼びかけがなかったとして、「根回し不足」(幹部)を指摘しています。

「根回し不足」どころか、林幹事長代理が、これを意識して止めたというのですから、問題外です。無論、止められる二階氏にも大きな問題があります。
二階俊博幹事長、林幹雄幹事長代理、森山裕国対委員長
この三人、中国共産党に非常に似てきたと思います。まずは、一党独裁ということで、中国は多くの人民の意向など完璧に無視します。その不満のマグマがたまって、自らに跳ね返りそうになれば、城管、警察それで事足りなければ、人民解放軍で人民を弾圧して黙らせます。

日本は、民主主義体制ですから、さすがにそこまではできませんが、それにしても長期政権が続き、国民の声を聴くということをしなくなってきたという点では似ています。この三人と、中国共産党の違いは、民主主義体制と全体主義という政治体制によるものだけかもしれません。

この三人は、昨年の米ピュー・リサーチ・センターの世論調査では、日本人の86%もが、中国に対して否定的な考えを持っていることが明らかになっていることなど気にもしていないのかもしれません。この三人も、自民党や公明党も、国民に顔を向けた政治をすべきです。

今回の決議案は、野党は全部賛成していたというのですから、この三人の態度は国民をないがしろにしていると言わざるを得ません。このようなことを平気でできるということは、中国共産党の人間と親しく交わっているうちに、知らず知らずに彼らの影響を受けているのではないでしょうか。

さらに、海外よりも、自国内を優先するということでも似ています。中国ではこのブログでも以前示したように、元々外交があまり重視されず、対外関係も自国内の都合や中国共産党の都合で動く度合いがかなり強いです。そのため、中国の外交政策は、ほとんどが失敗ばかりです。いっとき中国外交を「したたかな外交」と褒めそやす向きもありましたが、私自身は、昔から中国は外交ベタというか、外交劣等生だと思います。結局この三人も、党内事情などで、中国との対応を決めるなど、中国共産党と似た動きをしています。

また、中国共産党が内部で派閥闘争にあけくれるということでも、この三人は似ていると思います。彼らも、多くの議員を籠絡して味方につけたり、場合によっては恫喝してみせたりと、党内政治に明け暮れているようです。そのためでしょうか、中国共産党は夢のようなことを言うのですが、結局何をやりたいのかさっぱりわかりません。

戦略などなく、ただその時々で派閥抗争に勝利するために行動するというのが、中国共産党の本質です。その実自分たちは、「孫氏の兵法」の継承者であると悦にいっているところがあります。古代の戦略が現代に通用すると思っているところが、共産党の最大の弱点だと思います。この三人も腹黒く様々な姦計をめぐらして、権力を手中におさめていると悦にいっているところがあると思います。この点でも、中国共産党と似たり寄ったりのようです。
9月に総裁選があり、岸田総裁が誕生し、二階氏が幹事長を退き、新たなに甘利幹事長が誕生して、金輪際無用な中国忖度はなくなると思っていたところ、衆院選で甘利氏が小選挙区で落選し、比例で復活はしたものの、辞任してしまいました。

その後、岸田総理は新幹事長は茂木氏、外務大臣は林氏という、重要なポストに中国と距離の近い人物を選んでしまいました。

いくら中国に近いとはいっても、まさか茂木幹事長が、北京五輪の「外交的ボイコット」を受け入れない等の事態が発生するとは思いも寄りませんでした。

林外務大臣と茂木幹事長

ただ、なぜ、岸田首相は中国に対して煮えきらないのかを考えると、納得できるところもあります。

最大の理由は、岸田派=宏池会に染み込んだ「親中DNA」でしょう。同派の生みの親である池田勇人元首相は「日中友好」を唱え、日中貿易を推進しました。大平正芳元首相も、田中角栄内閣で外相として、「日中国交回復」に尽力しました。

宮沢喜一元首相に至っては、官房長官時代に歴史教科書検定をめぐって、中国の批判に応える談話を発表し、天安門事件の後には「天皇訪中を実現」して、中国の国際社会復帰に道筋を付ける役割を果たしました。

こうした「親中DNA」を受け継いだ岸田首相が、中国に腰が引けた振る舞いをするのは、ごく自然なことなのかもしれません。

ただ、現状の中国は一昔前の中国とは違います。一昔前の中国は、経済的にも軍事的にもとるに足りない存在でした。現在の中国は一人あたりのGDPでは世界で72位と100ドルを切るレベルで、現在でもとるに足りない存在ですが、人口が14臆人であり、全体では米国に次ぐ第二位となっており、近年は軍事力を強化し続けています。

そうして、何よりも南シナ海の環礁を埋め立て軍事基地化するなど、海洋進出に地道を上げています。経済発展の原動力の一つともなった、WTOのルールも無視しています。

そのような中国は、習近平が世界秩序を変えるとはっきりと宣言しています。それに対抗するため、米国は中国に経済制裁を課し、それにEUなども同調し、今や世界は中国対世界という対立軸で新たな冷戦状態になっています。

民主国家であり、米国と同盟国でもあり冷戦戦勝国日本は、中国共産党と対峙する以外に道はありません。

ロシア、中国、北朝鮮、東欧諸国などは、冷戦敗戦国であり、冷戦敗戦の直後には、中国や北朝鮮は経済的にも軍事的にもとるに足りない存在だったので、失うものはあまりありませんでしたが、ロシアや東欧諸国は失うものが大きく、経済的にもかなり疲弊しました。


冷戦戦勝国である日本は、経済的にも国際的な地位ということでも、戦勝で大きな恩恵を受けてきたのは間違いありません。安倍氏が総理大臣のときに、「自由で開かれたインド太平洋戦略構想」を提唱したり、QUAD構想を提唱したりできたのは、そのような背景があったからに他なりません。

その日本が、米国でさえも、中国に対峙する道を選んだにかかわらず、親中的な態度を継続していれば、冷戦戦勝国からすれば、裏切り以外のなにものでもありません。

冷戦のさらなる進展により、日本は中国とともに沈み、今度は新冷戦敗戦国になるかもしれません。このような厳しい現実に対応することもなく、「親中DNA」をそのまま引き継ぎ親中的な行動をし続ければ、そうなります。


安倍氏は、岸田首相が中国に対して毅然とした姿勢に改まるまで、圧力をかける続けるでしょう。それでも、首相が動かなければ、自民党内の保守派を本格的に動員して、党内世論を主導することになるでしょう。

高市氏は党内有志による「南モンゴルを支援する議員連盟」会長として、超党派の「日本ウイグル国会議員連盟」の古屋圭司会長や、「日本チベット国会議員連連盟」の下村博文会長らが、14日、岸田首相に北京冬季五輪の外交的ボイコットを求めたのは、その手始めでしょう。

この、3つの国会議員連盟の代表は、17日茂木氏に今国会での「人権弾圧非難決議案」の採択を申し入れました。 ところが、古屋氏によると、茂木氏は「決議案の内容はいいが、タイミングの問題だ。五輪に政府関係者を派遣するかの問題に今一番、世論が注目するなか、今はタイミングが良くない」と受け入れなかったといいます。

岸田政権が行動を改めない限り、今後このようなことが頻発し、岸田政権では参院選を戦えない、ねじれ国会だけは避けたいという声がまきおこり、政局に発展する可能性が大です。

これを機会に、既存政党の枠組みを超えて、親中派と反中派が完璧に分かれる大規模なガラガラぽんが起これば良いと思います。そうなれば、親中派は少数派ですから、必ず反中派が優位になります。

今まさに日本は、新冷戦戦勝国になるか、敗戦国になるかの瀬戸際です。このくらいの政局の波乱が置きても不思議ではありません。親中派は、いままでやってきたことを繰り返しているだけだし、純粋な党内派閥抗争くらいに思っているでしょうから、あまり危機感はないでしょうが、反中派はかなりの危機感を感じていることでしょう。

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