2021年12月29日水曜日

潜水艦建造、予算巡り与野党攻防 装備品、来年引き渡しピークへ/台湾―【私の論評】台湾は潜水艦で台湾を包囲して、中国の侵攻を長期にわたって防ぐことに(゚д゚)!

潜水艦建造、予算巡り与野党攻防 装備品、来年引き渡しピークへ/台湾

台湾初の国産潜水艦(試作艦)の模型

 潜水艦の自主建造の予算を巡り、立法院(国会)で与野党が攻防を繰り広げている。予算執行の凍結を訴える野党・国民党に対し、軍は来年、装備品の引き渡しがピークを迎えると説明し理解を求めている。

 外交および国防委員会は29日、来年度の国防部(国防省)の予算を審議。国民党は進捗(しんちょく)の遅れなどから急いで予算を通す必要はないとして、30億台湾元(約125億円)の凍結を求め、民進党の立法委員(国会議員)と応酬した。

 海軍の蒋正国・参謀長は、装備品107項目の調達のめどは全て立っているとし、来年はこれらの装備品が順次、台湾に到着する重要な1年になると指摘。建造や支払いもピークを迎えるとし、予算の執行が凍結されれば、国際社会や海外企業の台湾に対する信頼に影響が出るとの見解を示した。

【私の論評】台湾は潜水艦で台湾を包囲して、中国の侵攻を長期にわたって防ぐことに(゚д゚)!

海軍司令部は先月16日、台湾で初となる国産潜水艦の主要ブロックの完成を記念した式典を南部・高雄市で開催しました。2025年の試作艦引き渡しを目指しています。

蔡英文(さいえいぶん)総統は、軍艦や軍用機などの国産化を推進しており、先月21日には自主開発、製造した新型高等練習機「勇鷹」が初飛行に成功しています。

国産潜水艦は昨年11月から建造が進められていました。式典は、船体の主要ブロックの耐圧殻とセイルの結合が完了したことを受けて行われたもので、今後耐圧試験を経て問題がなければ、潜望鏡や通信用アンテナなどの設備を設置します。

式典には海軍司令の劉志斌上将(大将)や台湾国際造船の鄭文隆董事長(会長)らが出席した。劉氏は建造チームに対し、蔡総統と国民の期待と支援に応えるために、協調性と協力の精神を保ち、計画通りに初の潜水艦建造を進めるよう激励しました。

海軍司令の劉志斌上将(大将)

台湾国防部(国防省)は4月2日夜、台湾による潜水艦の新規建造計画を欧州の複数の主要国が支援していると発表しました。建造支援が米国からだけでないことを認めるのは異例です。

米政府は2018年、この近代化計画に米メーカーが参加するのを承認。台湾が主要部品を確保するのを助ける動きと見なされていました。ただ、関与する米企業名は明らかになっていません。

欧州諸国は全般に、中国の不興を買うのを懸念して台湾への武器売却承認には後ろ向きでした。ただ、台湾は18年、英領ジブラルタルに拠点を置く企業と新潜水艦の設計について協議していることを明らかにしていました。

現在台湾で活動できる台湾の潜水艦4隻のうち、2隻はオランダが1980年代に建造したが、同国はその後、さらなる潜水艦の売却を拒んできました。

フランスもこれまでに台湾にフリゲート艦と戦闘機を売却。台湾は昨年、艦船のミサイル妨害システム最新化のため、フランスから機器購入の意向があると表明している。

台湾国際造船(CSBC)は昨年、新潜水艦8隻の建造を開始。25年に最初の引き渡しを目指すとしていました。

一方、2019年の台湾報道を引用して北朝鮮が台湾の潜水艦支援へ協議していたとの米メディア報道について、国防部は2日これを否定しました。

台湾は、新型潜水艦によって、台湾の台潜水艦攻撃能力(ASW)を強化することを目指しています。これは、ASWが劣っている中国に対して、コストパフォーマンに優れた戦略といえます。潜水艦の建造にも多額の資金が必要となりますが、大型空母ほどではありません。

昔からの諺にあるとおり、艦艇には二種類しかありません。まずは、水上に浮く空母、戦艦、強襲揚陸艦などの艦艇です。もう一つが潜水艦です。水上の艦艇はいずれミサイルや、魚雷で撃沈されます。しかし、潜水艦はそうではありません。

そのため、現代では潜水艦こそが、海戦での決定打になるのです。だから、本当の海軍力とは、潜水艦とそれをサポートする能力なのです。

そうして、潜水艦の静寂性や攻撃能力などの能力の差異が、決定的な戦力の優劣につながります。第二次世界大戦中でもそのような傾向がありましたが、当時は水中から発射できる誘導弾(ミサイル)や、誘導魚雷などはありませんでしたし、艦艇や潜水艦を発見する電子機器などが発達していなかったため、潜水艦が海戦の主役になることはありませんでした。

第二次世界大戦中のドイツの潜水艦「Uボート」

当時は、空母打撃群が花形でした。しかし、第二次世界大戦後は、対艦・対空誘導弾(ミサイル)が実用化され、誘導魚雷も開発されたため、潜水艦が海戦の主役となりました。もはや空母打撃群は、時代遅れなのです。

台湾の潜水艦の能力がどの程度になるのかは、軍事秘密ですので、表にはでてきませんが、当然のことながら、日本の最新鋭潜水艦のようにステルス性(静寂性)に優れた、中国海軍には発見するのが難しい潜水艦の建造を目指していると思います。

ASWの強化には対潜哨戒機なども欠かせません。これに関しては、台湾はすでに導入しています。

台湾ではすでに2017年12月1日に米国から購入した哨戒機P3C12機の部隊編成が完了し1日、台湾南部・屏東県の空軍基地で式典が行われた。増強が進む中国海軍の潜水艦に対応するほか、中国が人工島の造成を進める南シナ海での哨戒任務にも当たるとされました。

それまでの対潜哨戒機S2Tは艦載型で航続距離が短い上、導入は50年前の1967年で老朽化が進んでいました。P3Cは2001年の米ブッシュ(子)政権下で売却が承認されましたが、1機目の納入は2013年まで遅れました。台湾の国防部(国防省に相当)は、P3Cは約12時間の連続飛行が可能で、対潜哨戒能力が大幅に向上するとしていました。

式典では蔡英文総統が訓示し、「P3Cの全機納入で、軍の戦力はさらに強化される」と述べました。台湾では13年以降、哨戒機は海軍ではなく空軍が運用しています。

台湾の対潜哨戒機P3C

台湾が潜水艦を自主開発することにより、P3C12機の運用ともあいまって、飛躍的にASWが高まります。これは、ASWが弱い中国にとっては、頭が痛いことでしょう。

米国の専門家は、台湾が潜水艦の開発に成功すれば、今後数十年にわたって中国の侵攻を止めらるだろうと論評しています。それについては、以前このブログにも掲載したことがあります。以下にその記事のリンクを掲載します。

台湾が建造開始の潜水艦隊、中国の侵攻を数十年阻止できる可能性―【私の論評】中国の侵攻を数十年阻止できる国が台湾の直ぐ傍にある!それは我が国日本(゚д゚)!

詳細は、この記事をごらんいただくものとして、この記事では台湾が8隻の優れた潜水艦を持つことができれば、中国の侵攻を数十年阻止できる可能性を指摘しました。元記事よりも、私の記事では根拠を明確にして説明しました。

ただ、この記事では、潜水艦8隻で最終的にどのような戦略をとるのかについては説明しませんでした。以下にこれを説明しようと思います。

台湾は、常時2〜3隻の潜水艦で台湾周辺を包囲する計画なのだと思います。ASWに劣る中国海軍は、多くの艦艇をもっていたのしても、潜水艦のステル性が低いのと、対潜哨戒能力が劣るため、台湾の海域に潜水艦が潜んでいれば、台湾に兵を送ることはできません。

送ろうとすれば、台湾の潜水艦に撃沈されてしまいます。その前に、台湾近海の中国の潜水艦は、台湾の潜水艦に撃沈されることになるでしょう。

それでも、中国が台湾に無理やり兵を送り込んだにしても、今度は補給船や航空機が台湾の潜水艦に破壊されることになります。それでは、中国軍は武器・弾薬、食料・水が補給できずにお手上げになってしまいます。

私は、台湾はこのようなシナリオを描いていると思います。常時2〜3隻で台湾を包囲するためには、交替艦としして2〜3隻は必要になります。さらに、故障や訓練のなどのことも考えて予備に2隻は必要となります。だから、最低でも8隻必要なのでしょう。

このような戦略をとられると、中国は台湾に今後少なくとも数十年は手出しかできなくなるでしょう。

ただ、こうした戦略すでに、米国の攻撃型原潜が実施していると思います。米攻撃型原潜は、台湾近海にすでに潜んで中国海軍の動きに睨みを利かしていることでしょう。日本もステルス性に優れた潜水艦により情報収集などに当たっているでしょう。何しろ、潜水艦の行動などは、各国とも表に出さないのが普通です。日本も例外ではありません。

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