2021年版の「防衛白書」では台湾情勢について、「わが国の安全保障や国際社会の安定に重要」と初めて明記。急速な軍拡を進める中国を地域と国際社会の「安全保障上の強い懸念」と位置づけていますが、中国政府は反発しています。
「これは極めて間違った無責任なことだ。中国は強烈な不満を表し、断固として反対する」(中国外務省 趙立堅報道官)
会見で中国外務省の趙立堅報道官は「台湾は中国の領土で、中国は必ず統一する」と改めて主張しました。
また防衛白書で、尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返す中国当局の船の活動について「国際法違反」などと指摘されていることについては、「正当で合法」だと強調しました。
呉基地に出撃待機する日本の潜水艦隊 |
日本は戦略兵器を持っていませんが、潜水艦は唯一、戦略兵器に近い性格の装備です。潜水艦は実は最強の海軍兵器で、究極のステルス艦です。特に日本の潜水艦の探知は難しく、魚雷一発で空母、揚陸艦などのハイバリューユニットを無能化できます。
台湾の旧式潜水艦をなぜか怖がる中国軍これは、JBプレスに掲載されていた記事ですが、潜水艦に関して記載された部分のみを以下に引用します。
最も頻繁に接近飛行した空軍機は、4隻の台湾潜水艦を追う対潜哨戒機だ。台湾に接近した中国空軍機の機種は、対潜哨戒機、情報収集機、電子戦機、早期警戒管制機、爆撃機および戦闘機の6機種だ。これらの機種で最も活動日数が多かったのは、対潜哨戒機で、123日だった。台湾の潜水艦は、1945年と1985年前後に建造された旧式の潜水艦の4隻と100トンクラスの特殊潜航艇2隻だけだ。中国海軍は、たった6隻の潜水艦・艇の情報を収集するために、最も頻繁に活動している。中国軍は、台湾の潜水艦の動きに、かなり神経質になっていることが分かる。2021年5月20日の飛行航跡を見てのとおり、対潜哨戒機が台湾の周辺を飛行している。台湾を不安にさせる軍事的な威嚇そのものである。
中国の対潜哨戒機 |
1988年以降現在に至るまで、台湾海軍は4隻の潜水艦を保有しています。そのうち2隻は、第2次世界大戦中にアメリカが建造したグッピー級潜水艦の「海獅」(44年起工)と「海豹」(43年起工)で、骨董品と言ってもよい代物です。
残る2隻はオランダのズヴァールトフィス級潜水艦を基にしてオランダで建造された「海龍」(82年起工、87年就役)と「海虎」(82年起工、88年就役)です。後者の海龍級潜水艦といえども40年以上前の設計構想(同レベルの潜水艦で、海上自衛隊が使用していた「うずしお」型潜水艦は、96年までに全て退役した)で、すでにかなり時代遅れの潜水艦となっています。
台湾海軍潜水艦「海獅」 |
このような骨董品ともいえるような台湾の潜水艦に、中国が神経を尖らすでしょうか。確かに、中国の対潜哨戒能力はかなり低いですから、台湾の旧式潜水艦でも脅威なのかもしれません。
ただ、よく考えてみれば、これは、日米等の潜水艦に対する牽制のつもりなのかもしれません。日米の潜水艦は、台湾付近はもとより、南シナ海へも巡航しています。
中国が台湾統一の強力なメッセージを発すれば、当然のことながら、日米の潜水艦は、台湾付近に潜み、人民解放軍の潜水艦の動きなどを監視しているはずです。というより、日米、それにロシアや他国の潜水艦など、台湾付近や南シナ海などに潜んでいるのは常態です。
潜水艦の情報などは、昔から発表しないのが普通であり、一般に知られていないのが普通です。そのため、中国としてもその動向、特に日米の動向を探るために、対潜哨戒機を派遣していると考えられます。
ただし、彼らが対潜哨戒機を台湾付近の海域に派遣したとしても、日本の潜水艦は彼らには発見できません。米国の原潜は、動き回れば、発見できる可能性があります。ただし、航行せずに潜んでいれば、発見できません。
ちなみに、原潜は乗組員の水や食料が尽きるまでは潜りつつけることができます。燃料は原子力ですから、無尽蔵と言ってもよく、酸素も作り出すことができます。ただ、原子力潜水艦は構造上どうしても騒音が出るのて、動いていれば、中国側も発見できる可能性があります。中国側はこれを狙っているのかもしれません。
中国軍は、日本の潜水艦隊が台湾を包囲してしまえば、自国軍の艦艇は台湾に近づくことができず、台湾統一は絶望的になります。だから、台湾有事に日本が参戦したり情報収集をすることを極度に恐れているのです。
【関連記事】
0 件のコメント:
コメントを投稿