2021年7月17日土曜日

【日本の解き方】「政府日銀連合軍」安倍氏の発言、大型財政措置の断行を後押し 衆院選への危機感と打開策に―【私の論評】菅総理は、マクロ経済音痴・親中派政治屋のきな臭い蠢きを断って、政治の表舞台に立てないようにせよ(゚д゚)!

【日本の解き方】「政府日銀連合軍」安倍氏の発言、大型財政措置の断行を後押し 衆院選への危機感と打開策に


安倍晋三元首相


 前回の本コラムでも取り上げたが、安倍晋三前首相が「政府と日銀の連合軍による経済対策の必要性」について発言した。あらためて「連合軍」の意味を解説したい。

 新潟県三条市で10日に行われた講演で、安倍氏は以下のように発言した。

 「昨年いわゆる金融政策も含めた形でコロナ対策に挑んだ。政府と日本銀行が連合軍で200兆円という対策をとった。このうち100兆円くらいはしっかり財政措置をした。『子供たちの世代につけを回すな』との批判がある。ずっとこの批判は安倍政権に対してあった。でも必ずしもその批判は正しくない。なぜかというと、今回のコロナ対策においては、政府と日本銀行が連合でやっているから、政府が発行する国債は日本銀行がほぼ全部買い取ってくれている」

 続けて「皆さん、どうやって日本銀行は政府の出す巨額な国債を買うと思いますか。どこからかお金を借りてくるか、持ってくるのか。それは違う。それは紙とインクでお札を刷る。20円で1万円札ができるから。つまり、それは新しいお金が誕生して世の中に出ていくから、それはデフレの圧力に対抗する力にもなる。日本銀行というのは、政府の言ってみれば子会社の関係にある。連結決算上、実はこれは政府の債務にもならない。ですから、『孫、子の代につけを回すな』というが、これは正しくない」と説明する。

 さらに「ただ、1つだけというか2つだけ副作用がある。それはインフレがどんどん進んでいくという問題。もう一点は円の価値がどんどん暴落していくという問題。でも、皆さん、そんなことになっていますか。まったくなっていない。私は今の状況であれば、もう1回、もう2回でもいい。こうした大きなショットを出して、国民の生活を支えていく、大きな対策が必要であり、スピードアップして、足の速い対策を打っていかなければならない」と述べた。

 これらの説明は「完璧」だ。

 実際に安倍政権と菅義偉政権とで、昨年3回の補正予算を計上した。その総事業費はおおむね200兆円で、真水の財政措置は約100兆円だ。この両者はマスコミ報道でも混同されているが、安倍氏はきちんと使い分けている。

 日銀が政府が発行した国債を買い取るという本質論も正しい。本コラムの読者であれば、昨年5月の麻生太郎財務相と黒田東彦(はるひこ)日銀総裁による記者会見で明らかにされたことをご存じだろうが、マスコミはあまり報道していない。

 副作用が2つという整理も正確だ。通貨が物に対して多くなるのがインフレで、他の通貨に対して多くなるのが円の価値下落だからだ。

 今の時期に安倍氏がこの発言をしたのは、東京都議選や緊急事態宣言、東京五輪の「無観客」などで自民党への逆風を感じ、このままでは秋の衆院選で勝てないという危機意識によるものではないか。実際、内閣支持率は低下し、飲食業者の締め付け問題で政権運営も危うくなっている。その打開策が党内から上がっているのだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】菅総理は、マクロ経済音痴・親中派政治屋のきな臭い蠢きを断って、政治の表舞台に立てないようにせよ(゚д゚)!

日銀と政府の連合軍に関しては、昨年このブログにも掲載しています。その記事のリンクを以下に掲載します。

麻生氏の「豹変」が象徴する政府と日銀の“対コロナ連合軍” 相変わらずのマスコミ報道には笑ってしまう ―【私の論評】ピント外れのマスコミには理解できない日本国債の真実(゚д゚)!

麻生財務大臣

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の元記事の高橋洋一氏の記事から一部を引用します。
政府と日銀との連合軍では、政府が大量の国債発行によって財源調達を行うが、その一方で、日銀がその国債の買い入れを行う。これによって政府が巨額の有効需要を創出でき、不況の下支えをする。まさに大恐慌スタイルの経済政策だ。

この政策のリスクは、インフレ率が高まることだ。しかし、コロナ・ショックは基本的に需要蒸発した需要ショックなので、当面はインフレというよりデフレを心配すべきときだ。

ご存知のように、日本ではコロナ・ショック以前からデフレ気味でした、それに輪をかけて、コロナショックで、需要ショックが起こったわけで、現状ではインフレの心配など全くする必要はなく、それよりもデフレを心配すべきなのです。

いまこそ、日銀政府連合軍で政府が空前絶後の大量の国債を発行し、日銀がそれを引き受け、現在の需要不足30兆〜40兆円を埋めるべく、財政出動をすべきときなのです。いまやらずしていつやるのかという次元なのです。

この方向で、具体的に、どのくらいの対策をどの程度実行するかについては、様々な論議があるでしょうが、これに対して、日銀政府連合軍方式の調達そのものに対して様々な屁理屈を言って反対する人たちは、すべて間違えています。なぜなら、この方式は欧米では常識といっても良い方式だからです。

さて、なぜこのようなことを安倍元総理がいいだしたかといえば、やはり東京都議選や緊急事態宣言、東京五輪の「無観客」などで自民党への逆風を感じ、このままでは秋の衆院選で勝てないという危機意識によるものであると考えられます。

新型コロナウイルスをめぐっては、東京都で緊急事態宣言を発令して五輪を無観客とするか、蔓延防止等重点措置として一定の観客を入れるかという二択でした。当初、菅義偉政権は一定の観客を入れる方針でしたが、結局、大半の会場で無観客にせざるを得ませんせんでした。

東京で新規感染者が増加していることが宣言の根拠ですが、今回の感染者増は過去と比べて顕著な差があります。それは、ワクチン効果により高齢者の感染が大きく減少していることです。さらに、若者の感染者数が増えたといっても、交通事故の死者よりはかなり低いです。

政府は宣言発令について「先手を打った」といいますが、それは現状を説明できないことを白状してしまったようなものです。

では、なぜこのような非合理的な決定をしてしまつたのでょうか。この背景には、小池百合子都知事の影があるようです。小池氏は、都議選の自軍の「勝利」後の5日、自民党の二階俊博幹事長、公明党の山口那津男代表とそれぞれ面会し、五輪無観客の流れを作ったようです。7日には政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長とも2時間近く会談しています。

五輪や緊急事態宣言に関して都は当事者であるので小池氏が表に出てもいいはずですが、あえて水面下で行い、決して過度に露出しませんでした。この政治的老獪さは驚くばかりです。

こうした小池氏の戦略はまんまと当たり、今回の緊急事態宣言・五輪無観客についても、世間は菅政権が決めたことと思い込んだようです。そうして菅政権が各方面から批判を受けています。

自民への逆風をはね返すのは容易なことではないようです。このブログでも当初、五輪・パラリンピック直後の9月上旬に臨時国会召集、大型対策を含む補正予算を通してから、9月下旬に衆院解散、10月上旬に衆院選の投開票というスケジュールを想定していましたが、ここにきて10月解散、11月投開票の可能性も出てきたと思います。

幸いにもワクチン接種は順調に進んでいるので、その効果が十分に出てから、衆院の任期満了直前に解散、その後総選挙という荒業もありそうな気配になってきました。

ただ、その前に、菅政権は臨時国会を開催して、真水の30兆円〜40兆円のコロナ対策補正予算を組み、潤沢な資金を得て、飲食業への手厚い保護等の対策を行うべきです。

11月選挙となると、小池知事の策謀も間が空きすぎて、コロナの収束も目処が立ち効力を失う可能性が大きいです。それでも、選挙には勝つでしょうが、大きな話題になることはないかもしれません。さらに、最近の二階氏、小沢氏のきな臭い動きも封じることができるかもしれません。

安倍総理が議員に初当選したのは1993年の衆議院選挙で、自民党が初めて野党に転落した時です。この選挙で自民党は過半数を失ったのですがそれでも第一党でした。他の政党と連立を組めば野党には転落しませんでした。しかし小沢一郎氏がいち早く日本新党の細川護熙を担いで8党派をまとめ上げ自民党は野党に転落しました。

二階幹事長の初当選はそれより10年前、小沢一郎氏の後輩議員として自民党田中派に所属しました。政治改革を巡って自民党が分裂した時、二階氏は小沢氏に付いて自民党を離党、安倍総理が初当選した93年には運輸政務次官に就任しました。その後、小沢側近となり新進党、自由党の結成に加わりました。

小池都知事は細川護熙氏が日本新党を作った1992年に参議院議員に初当選、翌93年の衆議院選挙で衆議院に鞍替えしました。彼女も小沢側近として新進党、自由党結成に加わりました。

街頭演説する小沢一郎新生党代表幹事(当時)。右は小池百合子氏(1994年撮影)


安倍元総理と小沢氏にも因縁があります。安倍総理の父親である安倍晋太郎氏は小沢氏を高く評価し、息子の後見役に考えていました。衆議院議員に初当選した時、母親の洋子さんが小沢氏に頼みに行ったことがあると野上忠興著『沈黙の仮面』(小学館)は書いています。

いずれにしても二階氏も小池氏もその後小沢氏と袂を分かち、安倍総理を含め3人とも今では小沢氏と対立関係にあります。一方でこの3人は小泉純一郎氏から引き立てられ現在の地位を築いた。その小泉氏と小沢氏はこのところ反原発などで近い関係にあります。

二階氏や小池氏が保守党から自民党に入ったのは小泉政権時代です。入党するとすぐに小池氏は環境大臣として初入閣し、夏の軽装「クール・ビズ」の旗振り役となりました。二階氏は小泉総理から郵政民営化法案を審議する特別委員長を任され、郵政選挙では自民党の選挙責任者として自民党圧勝の功労者となりました。

安倍氏、小池氏、二階氏、小沢氏にはこのような因縁があります。ただ、大きな違いは、安倍氏が先にあげたように、「政府日銀連合軍」に関して説明するなど、マクロ経済を熟知していようですが、他の3人はそうではない事が挙げられます。

小池、二階、小沢は、政治的には「老獪」なのですが、マクロ経済政策などには全く無頓着なようで、マクロ経済政策などにそもそも関心がなく、単なる政争・派閥争いの道具であるかのように考えているようです。

実際彼らからは、政局に対応して、減税とか積極財政などの話などを聞いたことはありますが、上述の安倍総理の「政府日銀連合軍」の説明ように、まともで具体的なマクロ経済政策の話を聞いたことがありません。彼らにとっては、国民経済・都民経済などどうでも良いのでしょう、経済対策等はその時々の政局の道具でしかないようです。

もう一つの大きな違いは、安倍総理は、自他共認める反中派ですが、小池、二階、小沢は親中派・媚中派です。二階、小沢については説明の必要がないほどの、根っからの親中派です。彼らの頭の中は、田中角栄氏が存命だった頃からほとんど進歩していないようです。

小池氏はどうなのかといえば、最近でも以下ようなことがありました。

新型コロナショックが起きて間も無くの昨年、まだ日本ではマスクや防護服の必要性が希薄だった頃に、親中派二階幹事長の要請を受けて、小池知事は備蓄している防護服220 万着の内、33万6000着を中国に送りました。報道では10万着とか14万着とも言われていましたが、どうやら33万6000着のようです。

時系列で見ますと、以下の通りです。
1/28、武漢から日本人を国内に引き上げる際の往路便に、日本から中国への支援として、2万1000着の防護服を東京都の判断で送付。

2/7、自民党、二階幹事長からの要請で、10万着を中国が用意したチャーター機で送付。

2/13、武漢から日本人を国内に引き上げる際の往路便に、外務省からの要請で5000着送付。

2/14、北京の清華大学からの依頼で1万着送付。

2/18、3回に分けて北京に20万着送付。
これらの合計が33万6000着という事です。

新型コロナ感染対応でドタバタしている最中に、都民の税金で備蓄された防護服を、当時尖閣諸島への連続45日間に及ぶ領海侵犯を繰り返す中国に贈呈したのです。

4月14日に、大阪市の松井一郎市長は、大阪府内の医療現場で防護服が不足していると訴え、「使用していない雨合羽があれば、ぜひ大阪府・市に連絡してほしい」と提供を呼びかけるほど、大阪の医療現場の物資不足は切羽詰まっていました。

日本国内でそれ程の厳しい状況に陥る可能性を未然に予見できたにも拘らず、上述しました様に、2月の段階で、小池知事は何故か二階幹事長の要請に従って大変貴重な防護服を33万6000着も中国に送ったのです。

この事実をみても、小池氏は自ら親中派であるか、あるいはそれよりも始末の悪い、政局のためには何でもやる政治屋なのかもしれません。

小池、二階、小沢の頭の中は、おそらく政局だけなのでしょう、いかに派閥争いや権力闘争で勝ち抜くか、そうして小池氏の頭の中には、日本初の女性総理大臣になることしかないのでしょう。

昨年の都知事選の各候補の公約


安倍氏と、小池、二階、小沢とを比較すれば、いずれが政治家にふさわしいのか、特に有権者からみて、誰がふさわしいのか明らかだと思います。

安倍元総理は、現在は菅政権が継続することを前提としているようです。それはまともな政治家なら、現在のようなコロナがまだ完璧に収束していないような時期であれば、政権が継続するのが望ましいと考えるのが当然だからだと思います。

この時期に政権交代を望むような連中は、本当はコロナなどたいしたことがないと思っているか、あるいは国民のことなど二の次で政局しか頭にないのだと思います。

9月末には、総裁任期切れに伴う党総裁選が行われます。安倍元総理は、当然のことながら、安倍政権を継承する菅総理を応援することになるでしょう。

菅総理には衆院選前に、大型補正予算を成立させ、それをもって様々な財政政策を実施して、その後に衆院選に挑み、大勝利していただきたいです。

そうして、その後小池、二階、小沢のマクロ経済音痴、親中派政治屋のきな臭い蠢きを断って、二度と政治の表舞台に立てないようにしていただきたいものです。

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