2021年7月29日木曜日

安倍前首相、台湾訪問の意向 外交部「全力でサポート」―【私の論評】台湾は日本の優れた海洋戦能力に期待し、中国はこれに脅威を感じている(゚д゚)!

安倍前首相、台湾訪問の意向 外交部「全力でサポート」

自民党が野党だった2010年10月、訪台した安倍晋三氏(左)と面会した李登輝氏

安倍晋三前首相が日本紙の取材に対し、李登輝(りとうき)元総統の逝去から30日で1年を迎えるに当たり、台湾を訪問したい意向を示していることについて、外交部(外務省)は28日、安倍氏の訪問を強く歓迎するとし、必要なことがあれば全力でサポートするとの姿勢を示した。

産経新聞によれば、安倍氏は李氏について、世界でこれほど日本を思ってくれたリーダーは他にいなかったとした上で「諸般の状況が許せばお墓参りをしたい」と述べた。

同部は、安倍氏が李氏を強く慕っていることに感動させられたと言及。台湾の国際参加への支持表明や日本政府による新型コロナウイルスワクチンの無償提供の後押しなど、安倍氏の長きにわたる台湾への支持と深い友情に心から感謝するとの立場も示した。

頼清徳(らいせいとく)副総統は28日、日本語でツイッターを更新。安倍氏が訪台の意向を示していることに「とても感動しています」として歓迎する考えを示した。

【私の論評】台湾は日本の優れた海洋戦能力に期待し、中国はこれに脅威を感じている(゚д゚)!

安倍晋三氏の台湾訪問は、総理大臣だった頃はなかなかできなかったことだと思います。現在の元総理大臣という立場だからこそできたことです。李登輝氏の葬儀のときには、安倍氏は現役の総理大臣でした。葬儀に参加したのは、当時の安倍総理の指名を受けた森元総理でした。

その安倍晋三氏は、日本と米国、台湾の議員有志は29日、安全保障などを議題に「戦略対話」のオンラインの初会合に参加しました。日本側は日華議員懇談会(古屋圭司会長)の与野党議員が参加しました。中国の抑止策を巡って意見を交わしました。

日華懇顧問自民党の安倍晋三前首相は、新疆ウイグル自治区や香港などにおける中国当局による人権侵害に懸念を示し、「香港で起こったことが台湾で起こってはならないとわれわれは固く考えている」と強調しました。

「インド・太平洋地域の海が自由で開かれていることは決定的に必要だ。先般の日米首脳会談やG7サミット(先進7カ国首脳会議)で台湾海峡の平和と安定が明記されたことは極めて大きい」とも述べました。

安倍氏はまた、中国側に台湾の世界保健機関(WHO)年次総会へのオブザーバー参加を認めるよう要求。米国と台湾に対しては、連携を強めるために環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を呼びかけました。

一方、米国のハガティ上院議員(前駐日大使)は「なんのために戦っているのかを明確にしなければならない。米国と日本、台湾は民主主義と自由を守ってきた。われわれの生き方がかかっている。自由に発言し、自由に信仰し、自由に繁栄することを必ず守らなければならない」と訴えました。


軍事的圧力を強める中国に対して、最近では中国の軍事費の伸びが突出しているので、かなりの危機感を抱く人もいますが、現在の水準でも米軍の軍事費にははるかに及びません。

そうして、戦闘能力といえば、米国の戦闘能力が突出しているのは事実ですが、中国の戦闘能力も突出していると考えるひとも多いようですが、それも間違いです。

米英と同じく海洋国である日本は、核や原潜はもっていないものの、海戦においては中国を圧倒しています。

このブログでも何度か指摘しているとおり、自衛隊が台湾有事で活躍できるのは潜水艦隊の運用です。P1やP3Cといった哨戒機で、中国の潜水艦の位置を探知し、その位置情報を米軍に伝え、米艦艇や攻撃型原潜が対潜ミサイルなどで沈めることができます。無論、自衛隊の潜水艦や自衛隊機が対潜魚雷などで沈めることもできます。

海自の『そうりゅう』型やその後継の『たいげい』型は世界最高性能を誇る通常型潜水艦です。特に、静寂性(ステルス性)に関しては、世界一です。これを中国の貧弱な対潜哨戒脳呂では発見できません。

さらに、性能の高さだけでなく、世界最強の米海軍と共同訓練を行なっているので、練度も高いです。 

洋上を機動する中国海軍の空母をはじめとする水上艦艇に対しては、高性能の魚雷やハープーン対艦ミサイルで攻撃できます。もちろん中国潜水艦に対しても優位に戦う能力があります。

日本の潜水艦が展開するだけで、中国側はこれを発見できないのです、中国海軍の行動を牽制することができるでしょう。 

敵の潜水艦を駆逐する戦闘でも、自衛隊に分があります。対潜水艦では索敵能力が極めて重要で、先に相手を発見したほうが勝つとされています。 

海自の対潜能力(ASW)は米国とならんで世界トップレベルです。海上自衛隊はその誕生から、対潜水艦作戦に重点を置いてその能力向上に努めてきました。保有する護衛艦には最新鋭の対潜装備の他、高性能の哨戒ヘリコプターも搭載しています。さらにP1およびP3C哨戒機も多数保有しており、これらを駆使して水中の中国潜水艦を探知して捕促し、対潜魚雷、対潜ロケット、対潜弾投射機で攻撃し撃沈できます。

P1哨戒機

台湾有事では、巷の軍事評論家は、米中が空母や航空機やミサイルなどでドンパチやることを想定しているようですが、その発想はもう古いです。特に初戦においては、文字通り水面下で、潜水艦による“神経戦”が繰り広げられ、日本の潜水艦隊はその静寂性を最大限に活用し、情報収集にあたるでしょう。

中国がそれに怯むことなく、台湾を奪取しようとした場合は、瞬時にして米原潜が、中国潜水艦、艦艇のほとんどを撃沈するでしょう。場合によっては、日本もこれに加勢することになるでしょう。さらに付け加えると、日本の潜水艦隊だけでも、ほとんどを撃沈できます。

それでほとんど勝負がつきます。日中開戦となれば中国がもっとも恐れるのは海上自衛隊の対潜哨戒能力と潜水艦隊の戦力です。中国は、これには全く歯が立ちません。

現状の法制度では、台湾有事に自衛隊が本来持つ能力を発揮するのは難しいです。ただ、自衛隊の軍隊としての能力は中国軍を上回っていると見て間違いないです。中国の装備は徐々に向上していますが、まだ自衛隊のほうがレベルが高く、隊員の練度も中国より高いです。

正面からぶつかれば自衛隊は中国軍に負けないです。 制度を整え米軍と一緒に作戦を行い、初戦で日米が空母やその他の艦艇や海兵隊などを多数送り込み中国に格好の的を提供するようなバカ真似をせずに、初戦を潜水艦隊で戦い抜き、中国の艦艇・潜水艦のほとんどを撃沈し、台湾を潜水艦隊で包囲すれば、すぐに決着がつきます。

軍事評論家の中には、有事になってからでは遅いと主張するものも多いですが、そのようなことはありません。有事になったとしても、日本の潜水艦隊が無事なら、そこからゆっくりとでも十分勝負になります。

有事になっても日本はのらりくらりと、国会で審議したりして、台湾有事対応をするかもしれません。2年も3年も時間をかけていては、だめですが、すくなくとも数ヶ月以内に対処すれば十分間に合います。

何しろ、中国には日本の潜水艦を探知できないわけですから、数隻の潜水艦で台湾を常時包囲すれば、中国艦隊は撃沈をおそれて、台湾に近づけなくなります。そうなると、たとえ人民解放軍が多数台湾に上陸していたとしても、補給ができなくなり、お手上げになります。ただし、あまりのらのくらりしていると、台湾軍や中国軍の犠牲が多数ででしまいますので、はやめにすべきでしょう。

私が、最も恐れるのは、初戦で日本が何も対処しない場合、中国軍が調子づき多くの艦艇を台湾に派遣した場合です。その場合、日本の潜水艦隊がこれらをすべて撃沈せざるを得なくなる場合が想定できます。そうなると、中国の艦艇がほとんど全滅し途方もない数の犠牲者がでる可能性が大きいです。

そうならないように、普段から台湾有事の対応を決めておくべきです。ある段階を過ぎた場合、すみやかに潜水艦隊で台湾を包囲し、場合によっては条件を満たせば中国艦艇を撃沈できるように法的な裏付けをとっておき、最初から中国の艦艇が台湾に近づけなくすべきです。そうすれば、無用な犠牲者を出さずにすみます。

このようなことをいうと、中国のプロパガンダに煽られた人々が、「ドローンがぁー」、「超音速ミサイルがぁー」、「空母がぁー」、「核兵器がぁー」と叫ぶ人がいるようですが、どのような破壊力のある兵器であっても、探知できない敵を攻撃することはできません。

ロシアは核魚雷を開発中だそうですが、これさえも探知できない敵を攻撃できません。やまかんで、何発も核魚雷を発射することはできません。

現在台湾は国産の潜水艦を建造中で、最終的には8隻を建造しようとしています。これに対して、米国の軍事アナリストは、もし台湾がこれに成功すれば、今後中国は数十年にわたって台湾に進行できないだろうとしています。

無論、これは、台湾が日本の潜水艦と同等のステルス性と攻撃性を有することを前提として、このように語っているのだと思います。そこまでいかなくても、中国側に探知されにくい潜水艦を作れば、これは成就すると思います。実際、台湾の潜水艦建造には日本の技術者も参加していますから、そうなることでしょう。

自前の潜水艦の着工式に出席した蔡英文総統=2020年11月24日、高雄市

ただ、現在は建造中ですから、すでに潜水艦22隻体制をとっている日本は、台湾にとってそれまでの間、強力な助っ人になりえるわけです。

以上軍事的には、日本が台湾有事に十分対抗できるわけですから、日米台の戦略対話に、日本が参加する意味が十分あるわけです。もしそうでなければ、参加の意味は半減するわけです。「インド太平洋戦略」も同じことです。

日本のこの優れた海洋戦能力があるからこそ、台湾は日本に期待しているのです。中国は、これに脅威を感じているのです。

安倍元総理には、議員による「戦略対話」から、日米台の政府による「戦略対話」にもっていくための架け橋になっていただきたいです。日米台が協力すれぱ、中国による台湾侵攻は、不可能になります。

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