4日に投開票された東京都議選の結果を受けて、今度の衆院選など国政にどのような影響が出てくるだろうか。
投開票の結果は、都民ファーストの会が31議席、自民党が33議席、公明党が23議席、共産党が19議席、立憲民主党が15議席、日本維新の会が1議席、その他が5議席を獲得した。
事前の予測では、都民ファ惨敗、自民圧勝というものもあったが、ふたを開けてみれば、自民はかろうじて都議会第1党だが伸び悩み、自公で過半数という目標も達成できなかった。一方、都民ファはかなり踏みとどまった。
自民がそれほど勝てなかった要因はいろいろ考えられるが、まずは低投票率が不利に働いたのは否めない。自民は支持者の多くが若い世代であるが、それが投票に行かないのでは話にならない。
次に、政策論争というより、新型コロナで、東京に「第5波がくる」というメディア報道が関係したのかもしれない。菅義偉政権の内閣支持率も、新型コロナ感染状況と密接に関連している。
それとともに、見過ごせないのが、小池百合子都知事の老獪(ろうかい)ともいえる選挙戦略だった。
小池氏の過労による緊急入院以降、同情や判官びいきもあり、都民ファの支持率が上昇し始めた。選挙戦最終日の3日に一部の都民ファ候補者を応援したものの、選挙期間中の街頭演説はなく、事実上選挙活動をしなかった。それでも、都民ファの健闘につながった。政治は結果がすべてだ。
一般に政治家の病気や過労、入院にはいろいろな見方がある。小池氏は実際に過労だったのだろうが、病気を実にうまく使ったともいえる。
小池氏をめぐっては、東京五輪・パラリンピック後に国政復帰の観測もある。小池氏の地元は菅原一秀元経済産業相が議員辞職した東京9区と目と鼻の先だ。
自民にとって、今回の都議選は大誤算だっただろう。かろうじて都議会第1党になったが、公明と合わせて過半数は取れなかった。今後は10月にあるとされる衆院選までに、五輪・パラリンピックでの不測の事態を避けるとともに、徹底したワクチン接種を行い新型コロナを抑え込む必要がある。
幸いにもワクチン接種は順調に加速しており、重症化リスクの高い高齢者の感染率は顕著に下がっている。その意味で、若者を中心とした感染者数だけを見ていると本質を見誤ってしまう。いずれにしても10月までにはかなりの国民にワクチンが行き渡っているだろうから、新型コロナは別の風景になっているだろう。
しかし、五輪とワクチンだけでは必ずしも十分とはいえず、適切な経済対策を打ち出す必要もあるだろう。経済政策ではいい財源も出てきた。2020年度税収は60兆8216億円と過去最高になった。
5兆6966億円もの上振れとなったことで、一時的な消費減税を含め国民に還元するチャンス到来だ。それが若者を選挙に向かわせることにもつながるのではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
【私の論評】緊急事態宣言、五輪無観客開催を決めた現状では、減税などの思い切った手を打たなければ自民は衆院選で敗北(゚д゚)!
確かに、野党がいうように政権交代に関しては、かなり無理がありますが、それにしても
自民党が次の衆院選で惨敗する可能性は出てきたと考えられます。
その要因は、なんといっても、上の高橋洋一の都議選の自民の敗北とともに、最近てば東京都都などで、緊急事態宣言を発令しつつ、五輪を開催するという矛盾した政策をとったことです。
まだまだ国民の自粛は通じる |
昨日も分析したように、最近のコロナ感染は、高齢者のワクチン接種がすすんだことにより、高齢者の重症化がかなり防げるようになったせいですが、若い世代の感染が多いです。そうして、若い世代は感染しても重症化する率はかなり低いです。
今年のはじめころの状況とはかなり異なっており、うまくリスク管理をすれば、緊急事態宣言を出したり、他の都府県のよう、重点措置をとらなくても、医療崩壊などを起こす可能性は格段に減ったといえます。
にもかかわらず、緊急事態等を発令しつつ、五輪無観客開催をするという政策をとってしまいました。無観客であったにしても、世界中から選手団が来日するので、感染リスクは高まると考える人も多いでしょう。しかし、こちらのほうもまともなリスク管理をずれば、マネジメントは可能だと考えられます。
しかし、こうなると、マスコミや野党などの無責任な主張とあいまって、染拡大が起こっているのに、医療を脅かすオリンピック開催強行に拘泥し続ける姿勢は完全に矛盾していると都民等には受け取られるでしょう。都民は総じて鼻白むことでしょう。
他の重点措置が取られている道府県でも同じことです。本来は、都道府県の首長が、緊急事態宣言や重点措置などを望んだにしても、政府としては、リスク管理上の観点から、その必要なしと突っぱねるべきだったでしょう。
そうなれば、各都道府県知事のほうから、政府に対して強い要請ということになり、たとえ緊急事態宣言等を出すにしても矛盾したようにみられるということはなかったと思います。しかし、一番良かったのは、緊急事態宣言等はださず、五輪無観客開催は突っぱねることだったと考えられます。
そうしていれば、すぐに経済対策など打つ必要はなくなり、衆院選後に大規模な補正予算を組むことを公約にして、衆院選を戦えば、楽に勝てる可能性がありました。
実際、菅義偉首相は8日夜の記者会見で、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた経済を立て直すための2021年度補正予算編成について、「経済の状況を見ながら臨機応変にしっかり対応する」と述べ、前向きに検討する考えを示した。自民党の二階俊博幹事長は30兆円規模の補正予算を編成すべきだと主張しました。
4度目の緊急事態宣言発令を決め、記者会見する菅義偉首相(左)。右は政府の 新型コロナ対策分科会の尾身茂会長=8日午後、首相官邸 |
現在コロナで、経済が落ち込み、30兆円から40兆円のGDPギャップがあるので、これは、正しい措置です。
しかし、緊急事態宣言や重点措置が出された現時点では、この補正予算の以前に、何らかの大型の政策を打ち出すべき状況になってきたといえます。
しかし、緊急事態宣言や重点措置が出された現時点では、この補正予算の以前に、何らかの大型の政策を打ち出すべき状況になってきたといえます。
多くの国民は、一部野党の無責任さやいい加減さにも辟易としているので、次の衆院選で自民が負けたにしても、それで政権交代になったり、そこまでいかなくても、後の政権交代へのきっかけになることもないでしょう。ただ、自民党が議席数を減らせば、国会運営や政権運営が難しくなるのは当然です。
こうした動きのほかに、小池百合子氏、二階氏、小沢氏など新進党・自由党の結成にもかかわた古株たちのもきな臭い動きをしています。
こうしたことを防ぐためには、確かに高橋洋一氏が語るように、減税などは良い方法です。何しろ、実行しようとした途端に実現できます。これほど素早く効果をあげられる政策は現状では減税以外にありませんし、実際、欧米では減税がなされ、大きな効果をあげています。日本だけが実施しないのが、奇異でもあります。確かに消費税減税など大型減税をすれば、目に見えて経済が回復し、国民からは一定の評価が得られるでしょう。
その後、選挙と補正予算を組んで実行すれば、日本経済の回復ははやまることが予想されます。それで、菅内閣への支持率も高まるもとのと考えられます。補正予算の他、何もやらなければ、衆院選での敗北ということになり、政権運営が難しくなることでしょう。
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