2021年7月30日金曜日

【日本の解き方】かけ声ばかりのコロナ対策 医療や補償の予算も未消化 ワクチン接種急ぐしかない―【私の論評】コロナと共存できる強靭な社会を目指すべき(゚д゚)!

【日本の解き方】かけ声ばかりのコロナ対策 医療や補償の予算も未消化 ワクチン接種急ぐしかない


モデルナ社製のワクチンの瓶

 現状の新型コロナウイルス感染は50代以下が大半で、入院患者数は増えているが死者や重症者は大きく増えていないという状況だ。東京都は緊急事態宣言下にもかかわらず目立った人出の減少はみられていないが、どのような対策が望ましいのか。

 筆者が理想としているコロナ対応は以下の通り。まず、一定期間後(例えば2カ月後)の新規感染者数、重症者数を予測する。そこで、現時点の医療キャパシティーで、病床数などで対応できるかどうか判断する。

 もし対応ができない場合、まず「供給」対策として医療資源の増加を試みる。公立医療機関であれば直接的な予算措置が必要だし、民間医療機関でも間接的な助成措置が必要となるので、その適否を検討する。

 供給対策ができないのであれば、「感染」対策として、感染者数の増加を抑制するために、人々の行動規制を考える。この場合も、何ら対策をしないで行動規制だけに依存するのではなく、「3密」を避けるために諸施策を組み合わせて実施する。

 以上が基本であるが、感染症の増加はある時点から指数関数的になるので、そうなったら「供給」対策は意味を持たなくなる。その意味で将来予測が極めて重要だ。

 しかし、今の日本の対策を見ていると、まず将来予測でとんでもない数字が出て人々の不安をあおり、その結果、供給対策に意味はなく、感染者数の増加を抑制するために、人々の行動規制を「自粛」という形で政府が要請する。その中で、決定的なエビデンスがあると思えない飲食・旅行規制を、業者に対する規制の形で行ってきた。

 実際、医療機関がコロナ患者を受け入れる病床の確保に必要な費用などに充てる「緊急包括支援交付金」は約1兆5000億円の予算措置がなされたが、その多くは未消化だ。飲食・旅行規制での業者への代償として、地方自治体の協力金の財源となるはずの「地方創生臨時交付金」は約4兆5000億円も予算措置がなされたが、これもかなりの部分が未消化になっている。

 これらの未消化については、実務的にできなかったとされているが、官僚が裁量的に支出を渋ったのかどうかを含め原因をしっかり究明する必要がある。

 要するに、予算では供給対策も業者規制への補償も手当てされていたが、それらがあまり実行されずに、人々への行動規制という「かけ声」ばかりが行われたというのが実態だ。

 こうしてみると、政府のコロナ対策が、前提となるべき科学的な予測がないので、それに基づく供給対策も業者規制に対する補償も行われない中身のないものであったことが分かる。

 この中で、かろうじてうまくできているのがワクチン接種だ。ワクチン接種は海外の例でも、コロナの感染者数を減少させ、特にその中でも重症者数や死者を減らし、医療崩壊を防ぐ。今となっては、ワクチン接種を進めていくのがベストの策だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】コロナワクチン接種の推進で、

厚労省の発表によれば、7月27日の全国の新規感染者数は7000人を超えていますが、移動平均では6000人程度です。新規感染者数は急増しており、これがマスコミ報道で強調されています。しかし、より重要な重症者数、死亡者数はそれぞれ500人、10人程度であり、これは過去の1月の3波や5月の4波のピークの半分以下の水準です。


なお、人口あたりの新規感染者数と新規死亡者数、それに、100人当たりのワクチン接種状況のG7における国際比較をみると、いずれも日本はG7の中では優等生です。

なぜ、新規感染者数が急増しているのに、重症者数が増えない理由は簡単で、ワクチンが順調に接種され、新規感染者のほとんどはリスクの低い若者で、リスクの高い高齢者はそれほど多くないからです。 

ちなみに、東京都でみると、28日の新規感染者は3177人(移動平均では1954人)ですが、そのうち60才以上は172人(移動平均では98人)で、1月の第3波の三分の一程度です。 


重症者数や死者数が著しく多いと医療逼迫やひいては医療崩壊をもたらすので大変ですが、ワクチン接種のおかげで、それらのリスクの高い高齢者の感染が抑えられているので、すぐには大事に至りにくいです。 

7月27日、東京都福祉保健局の吉村憲彦局長は、重症化のリスクの高い高齢者の割合は少なくなり、病床の確保も進んでいるとして、「年明けの第3波のときとは本質的に異なっているので、医療に与える圧迫は変わっている。いたずらに不安をあおることはしていただきたくない」と述べています。

日本のコロナ感染の状況はこのようなものですが、結局のところ上の高橋洋一記事にもあるように、ワクチン接種を進めていくことが、決め手です。これが進めば、感染者数が増えたとしても、さほど気にしなくても良いようになります。

そのワクチンですが、厚生労働省は8月後半に配布を予定していた新型コロナウイルスワクチンについて、「在庫があると判断した自治体への供給量を1割減らす」としていた方針を撤回すると発表しました。自治体からは、在庫とされるなかには予約済みのワクチンも含まれているなどとして、反発の声が上がっていました。

 V-SYSという厚労省が管理しているワクチンの在庫管理システムのなかで、在庫が積みあがっているように見えるのですが、もう既予約済みのワクチンも含まれている場合もあります。

そもそも在庫は、極めて管理するのが難しいです。需要を予測しなければいけないわけです。どんな業界でも、在庫管理をすることは難しいので、少し余分にあるくらいがいいのです。 さらに、新型コロナワクチンは厳しい温度管理も必要です。

足りないよりは、少し余るくらいでちょうど良いです。たくさん余っても、管理すれば良いだけです。冷凍庫への保管が重要です。そこで期限切れにならなければよいわけです。これは、アイスクリームに近いです。アイスクリームも長いこと保存できます。 

ワクチンはそれに近いですから、在庫管理より電源管理の方が重要な品物なのです。だから積極的に出して、余ればストックでいいのです。削減なんて、何を言っているのか理解できません。 在庫は多くて良いです。米国では、どんどん製造してどんどん接種しています。

日本でも、ワクチンはどんど製造してどんどん接種するという方式で、良いです。なぜ供給の削減をしようとしたのか理解に苦しみます。

そもそもコロナワクチンは、国外から入って来るものですから、厚生労働省に貯めないで、どこにでも配るべきです。配っておけば、あとは自治体間で調整が必要ですが、ワクチンを打ちたい人がどこでも打てるという大規模接種会場のようなものを実施すれば、在庫は無駄にせず使い切ることができるはずです。

コロナと共存できる強靭な社会を目指すべき

高齢者へのワクチン接種は一巡したようですが、これからは若年層に対して接種を強化し、コロナと共存できる強靭な社会を目指すべきです。

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