2021年6月2日水曜日

ワクチン巡り問われている野党とメディアの存在意義 批判ありきで中身の議論なし―【私の論評】マスコミと野党は、経済・感染症等でもマクロ的な見方を養わないと存在意義を失う(゚д゚)!


立憲民主党の枝野代表

 新型コロナワクチンの接種が本格化している。ワクチンをめぐっては、野党からは当初、治験を含めて慎重な実施を求める声が主流だったが、いまになって日本の接種が遅れていると批判している。メディアも以前か危険性を強調する報道が多く、現状でも余った分の接種や予約の問題など重箱の隅をつつく報道が多い。こうした姿勢が公衆衛生や防疫に資するだろうか。

 一般論として、ワクチンは各種の疾病の抑制に効果が大きい。実施にあたっては副反応のリスクと効果のメリットのバランスを比較考量すべきだが、メリットが大きければワクチン使用の社会的な意義は十分にある。

 日本は1994年の予防接種法改正で、ワクチンはそれまでの義務接種から任意接種に変更された。その結果、日本は他の先進国と比較してワクチンを打たない「ワクチンギャップ」の国として批判されている。

 海外生活を経験した人なら分かるが、特に90年以降に生まれた日本人は国内でのワクチン接種が少ないので、海外生活する際、大量のワクチン接種が義務付けられる。こうしたワクチン政策の変更は、副反応を過度に強調したメディアの報道によるところも大きいと筆者は思っている。

 実は、リスクだけを過度に強調する報道はワクチンに限らない。原発や金融緩和政策などでも同じ傾向である。副作用のリスクを気にして、原発をやめるべきだ、金融緩和すべきではないと主張するが、やめた場合のリスクやコストも同時に考え、両者を比較考量しなければならない。副作用のリスクのみで政策を判断するのは間違いだ。

 一部野党は日本のワクチン接種が遅れていると言うが、それは日本が欧米などに比べてコロナの感染が少なかったゆえの結果であって、特に問題でない。

 また、立憲民主党の枝野幸男代表が「菅義偉首相はワクチン頼み」と批判したと報じられた。枝野氏は「ワクチン接種の重要性を前提に述べた上での発言」と釈明しているが、ワクチン接種による感染の抑制効果は定量的にもはっきりとしている。つまり、エビデンス(科学的根拠)があるのだから、それを活用しない手はない。

 一方で他国で普通にやっている行動制限については、前提となる憲法改正議論に乗らずに否定する。さらに、ワクチンの打ち手拡大で政府が超法規的措置をしたことについては、法律改正が必要だという。一部野党はこの種の法改正には規制緩和反対という立場で反対していたが、言うことと行動が矛盾していないだろうか。

 はっきり言って、ワクチンの議論にかぎらず、一部野党とメディアは、政府のやることにケチをつけるだけで、国民にとって建設的なことはまず言わないと思っていい。

 筆者のツイッターでの各種表現を巡っては、多方面にご迷惑をかけたことをおわびする。ただ、表現への批判ばかりで、内容についての議論がなかったことは残念だ。こうした点でも、一部野党とメディアの存在意義が問われているのではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】マスコミと野党は、経済・感染症等でもマクロ的な見方を養わないと存在意義を失う(゚д゚)!

そもそも野党とマスコミ、さらには現状の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の専門家たちも、公衆衛生への配慮が欠けているのではないでしょうか。

そもそ公衆衛生こうしゅうえいせい、英: public health)は、集団の健康の分析に基づく地域全体の健康への脅威を扱います。健康は多くの機関により、さまざまに定義されています。

疾病の実態調査の標準を設定・提供する国際連合の機関である世界保健機関 (WHO) は、健康を「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない」と定義しています。

WHOは中国寄りであると批判されてりしてはいますが、この公衆衛生の定義はこれで良いのではないでしょうか。

公衆衛生は多くの分野からなりますが、典型的な区分としては疫学、生物統計学、医療制度があります。また、環境・社会・行動衛生、職業衛生(労働安全衛生)、食品衛生も重要な分野です。

世界保健機関は公衆衛生を「組織された地域社会の努力を通して、疾病を予防し、生命を延長し、身体的、精神的機能の増進をはかる科学であり技術である」と定義している。

大学の教室の名称等で公衆衛生学と称される場合もあります。

臨床医学が個人水準で健康を扱うのに対して、公衆衛生は社会水準で健康を取り扱います。例えば、ゴミ収集・生活習慣病対策・伝染病(感染症)予防・公害対策・上水道・下水道・食品衛生など社会保障の基礎となる分野について研究します。

類義語に衛生学があります。衛生学は「生ヲ衛ル学」、すなわち人の命を守るための学問であり、具体的には人とそれを取り巻く環境を研究し、健康と長寿を保つ方法を明らかにして実践することにより、人類の健全な発展を図るものです。

東洋の古典「大学」の八条目に沿って考えますと、科学的根拠に基づいて正しい知識を獲得し(①格物②致知)、それをひとりひとりが日々誠実に実践して心身を健全に保つことにより(③誠意④正心⑤修身)、より良い社会を築くことを目指す(⑥斉家⑦治国⑧平天下)、ということになるかと思います。

以前このブログで、いわゆる感染症専門家といわれる人々にも疑問を感じる旨を掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
台湾、感染拡大止まらず 16日は207人 動揺広がる―【私の論評】感染者・死者数ともに他国と比較して少ない日台は、ワクチン接種でも常識的な動き(゚д゚)!


この記事は、5月16日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、台湾の感染者数が増えたということが当時いわれていたのですが、それでもワクチン接種が随分進んでいる米国よりも、感染者数がかなり少ないことを掲載しました。

日本も米国と比較すればかなり低いのですが、それでも台湾よりは多いです。この状況ですから、公衆衛生学的にいえば、米国のような感染者の多いところから、ワクチンを打ち始めるというのは当然であり、日本が台湾より接種が進んでいるのも当然だということを掲載しました。

しかし、このようなことは、冒頭の記事を書いている髙橋洋一氏を除き、語っている人は皆無です。そもそも、マスコミも野党も、コロナ感染者数の実数や、その時々の増減だけで、物事を語ったおり、結果として何を言いたいのかもわからないような状況になっていました。

それは、昨年コロナが流行りはじめたころからそうでした。その後、私自身は、感染者数だけでみていても何もわからないことに気が付き、当該国や当該都道府県の人口で感染者数を割って、感染率を出すということをはじめました。

それで、わかったのは、日本のコロナ感染者数は昨年のはじめから現在に至るまで、桁違いに少ないということでした。そのうち、公衆衛生学においては、国の感染症を見るには、 100万人あたりの感染者数を見るということを知り、その後はこの指標で感染者数や死者数を見るようにしました。また、そのようなデーターがネットで公表されていることも知り、それを見るようにしました。

医師で元厚労省医系技官の木村盛世氏(56)が先月10日、ツイッターで当時物議をかもしている内閣官房参与の高橋洋一氏の“さざ波”投稿に言及しました。

高橋氏は9日のツイッターで各国の新型コロナ感染者のグラフを掲載し「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」と投稿。これが大きな批判を浴びました。これがなぜあれほどの批判を浴びるのか、私自身は未だ理解できません。

これを受け木村氏は「高橋洋一さんが使用した、“さざ波”は私が使い始めたものです」と自身が使い始めたことを明かした上で「グラフは新たに新型コロナ感染症と診断された人であり、死亡者ではありません。氏のG7+インドのグラフみて、大波と言うのは無理があります」と主張しました。

また、高橋氏から「炎上している」と聞かされ驚いたといい「このグラフ見て、大波と言う人、いるのかしらん? 謎すぎる」と疑問の声を上げました。

私自身は、国単位では100万人あたりの感染者数や死者数の推移をみていたので、この"さざ波"という表現には何の違和感もいだきませんでした。しかし、実際に髙橋洋一氏はかなり批判を浴びて、結局内閣参与を辞められたのですが、髙橋洋一チャンネルでは、自らの主張を間違いと認めたのではない、ただ表現は確かに下品だったとしています。以下にその動画を掲載します。


このような状況もあったので、先程掲載した台湾に関する記事には、以下のような疑問を投げかけました。
最近は、テレビに顔を出す感染症専門家というのもあまりあてにならないと思えるようになってきました。無論、彼らもその分野においてはそれなりの専門家であることは間違いないのだと思います。

しかし、経済学においてはマクロ経済とミクロ経済があります。ミクロ経済学とマクロ経済学では見方が、全く違います。ミクロで正しいことが、マクロでは正しいとは必ずしもいえません。たとえば、家計と、日本経済は全く別ものです。これを同次元に扱うことは間違いです。

しかし、マスコミなどでは、これをないまぜにして論じて、国の借金国民一人当たり1000万円超などとして、不安を煽っています。

それと同じように、感染症学にも、ミクロとマクロの見方があり、現在テレビに出ている専門家は、ほとんどがミクロの専門家であり、当然のことながらマクロ的な見方ができず、それをマスコミに利用されているのではと思えるようになってきました。これに関しては、いずれまともな専門家自身の方に是非聴いてみたいです。

この疑問に関しては、専門家自身の方に聴く機会はありませんでしたが、この疑問に関しては、最近解消することができました。それは、高橋洋一チャンネルの以下の動画を視聴したからです。


この動画では、「社会的にマネジメンできれば良い」という発言が、7分20秒あたりにあります。7分48秒あたりには「パブリックヘルス」という発言があります。

この発言をみていて、先の疑問は解消しました。やはり、経済のように、マクロ的なミカタとミクロ的な見方があり、感染症においては、マクロ的な見方はパブリックヘルス的な見方であり、ざっくり言ってしまうと、感染症学・医学的見方は、ミクロ的な見方ということです。

結論を言うと、テレビには、感染症学、医学的な見方の人たちが、コメンテーターとして登場し、パブリックヘルス的な見方をする人はほとんど出なかったということです。

結果として、ワイドーショー視聴者などは、煽られっぱなしなってしまったのです。

本来ならば、テレビや新聞などのマスコミでは、パブリックヘルス的な見方をするひとたちも登場させるべきだったのです。

それにしても、経済においても、マスコミや野党の政治家などは、マクロ経済的な見方がわからず、いつも頓珍漢な報道や、政府批判をしていますが、コロナ禍についても、パプリックヘルス的な見方ができずに、頓珍漢なことはばかり語ったり報道しているようです。

本当に困ったものです、実際に治療にあたる医師や患者やその家族、あるいは一般の人たちは、感染症に関して、ミクロ的な見方しかできないのはある程度仕方ないと思います。とにかく、目の前の感染症に対して戦わなければならないからです。

しかし、政治家や報道機関などは、ミクロ的な見方だけではなく、マクロ的なパプリックヘルスの見方ができなければ、まともな論議になりません。ミクロ的な見方ばかりしていれば、パブリックヘルス的には、間違いということも生じるものと思います。

平成年間においては、そのほとんどの期間がデフレでしたが、それは日本の実体経済などはお構いなしに財務省は緊縮財政ばかり行い、日銀は金融引締ばかりやってきた結果です。そうして、マスコミや野党も、そうして与党も含めた多数の政治家、多くの識者もこれに異議を唱えるどころか、追随したために、日本は古今東西で一番長い間、デフレに悩まされることになったのです。

感染症においても、同じようなことが繰り返され、あまり必要とも思われない、「緊急事態宣言」が継続されてしまうという実態が発生してしまったといえるのではないかと思います。そうして、実際に実行されて、非常に筋が良い経済対策であることが認識された「GOTOキャンペーン」も中止されてしまいました。

髙橋氏によると、「GOTOキャンペーン」が実施されても、これによる移動は日本人全体の1%にしかあたらないとされているそうです。実際「GOTOキャンペーン」が実施されていたときに、これによりクラスターが多数発生したとされる記録はありません。

それにしても、経済でも感染症でも、いや安全保障や様々な対策でも、専門家的なミクロ的な見方はもちろん重要ではありますが、同時にマクロ的な見方もしないと、とんでもない不合理や非条理が発生することになりかねません。

高橋洋一氏のいうようの、感染症を限りなくゼロにすることは必ずしも、マクロ的な見方をすれば、正しいこととはいえません。感染症を限りなくゼロにするために、経済や社会が毀損され、自殺者が増えるなどの事態になれば、無意味です。

そのあたりのバランスをとりながら、コロナ対策を実行するのが、本来の政府の役割です。感染の専門家は、政府のように選挙によって選ばれた人達によって構成されているわけではありません。専門家は、責任をとることはできません。

責任が取れるのは政府です。だから、政府が最終的に政策を決めるべきなのです。政府は、そのことをもっと自覚して、コロナ禍対策を実行していくべきです。

それにしても、マスコミや野党は、マクロ的な見方を養わないと、これから存在意義が問われることになりそうです。まずは、直近の衆院選挙では、ボロ負けして、とんでもないことになりそうです。

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