2021年5月15日土曜日

【日本の解き方】経済成長のカギ握るワクチン接種状況 高齢者の接種が順調に進めば4~6月期GDPの追い風に―【私の論評】マスコミは森叩きのホップで成功したが、ワクチン叩きのステップ、オリンピック叩きのジャンプでコケて8月にはお通夜状態に(゚д゚)!

【日本の解き方】経済成長のカギ握るワクチン接種状況 高齢者の接種が順調に進めば4~6月期GDPの追い風に



 5月18日に1~3月期国内総生産(GDP)速報値が公表される。緊急事態宣言の影響はどの程度になるのか。そして3度目の宣言が延長されたことによる4~6月期への打撃はどの程度大きくなると考えられるだろうか。

 1~3月期GDPについては、既に終わっているので予想しやすい。1月からの緊急事態宣言の影響で前期比年率5%減程度となるというのが多くの民間エコノミストの予想だ。

 4~6月期については、まだ半分以上残っているので、現段階では予想が難しい。3、4月の時点では多くの民間エコノミストがV字回復するとみていて、前期比年率5%増程度とする予想が多かった。

 しかし、連休前に緊急事態宣言が出され、5月末まで延長されることになったので、4~6月期も前期比年率で若干のマイナス成長になる可能性も排除できない。

 当面の課題は、緊急事態宣言を5月末で解除できるかどうかだ。これは新規感染者数の予測次第で大きく結論が左右される。新規感染者数自体の予測は、これまでのデータもあり、予測者によりそれほど大きな違いはないが、ワクチン接種状況によりブレが大きくなる。日本では本格的なワクチン接種が4月から始まったばかりなので、今後接種がどのように行われるかや、その効果について不透明な部分もあるためだ。

 効果についてはある程度分かるが、どのように接種率が高まるかを見込むのは簡単ではない。政府は7月末までに約86%の自治体で65歳以上高齢者(約3600万人)の接種が完了すると見込んでいる。

 海外の例をみると、高齢者のワクチン接種が終われば医療崩壊という最悪の事態はなくなり、ある程度の経済活動はできる。その意味で、まさに高齢者のワクチン接種がカギになる。

 日本でワクチン接種がうまくいくのか懸念されている主要な問題はワクチンの打ち手不足だ。

 菅義偉首相の訪米により海外からの供給にはメドがたったが、看護師不足は事実だった。

 ところが、本コラムで指摘したが、政府は4月26日に歯科医師にもワクチン接種を認めるという超法規措置を出した。

 これはほとんど報じられていないので、民間予測の前提にも盛り込まれていない。しかし、実際には、超法規的措置は思わぬ効果を呼んでおり、看護師協会にも好影響を与えているようだ。看護師の供給が潜在看護師の職場復帰を容易にする政府の措置の効果と相まって実際にはかなり増えそうだ。

 となると、緊急事態宣言の動向も変わってくる。ワクチン接種がうまくいかないという前提では、7月にまた感染者数が増加することが予測され、5月末の解除は難しく、長期再延長というストーリーになるが、接種がうまく進めば5月末解除、または短期の再延期ですむこともあり得るだろう。

 前述したように4~6月期GDPがどうなるかもワクチン接種状況に依存するので、現段階で確たることは言い難いが、幾分の明るい兆しもある。もっとも30兆円以上のGDPギャップは残っており、対策は必要だ。 (内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】マスコミは森叩きのホップで成功したが、ワクチン叩きのステップ五輪叩きのジャンプでコケて8月にはお通夜状態に(゚д゚)!

厚労省が4月26日に日本医師会へ歯科医医師によるワクチン接種への協力を求める通知を出していまずが、これは実は、かつてない超法規的措置です。そもそも、ワクチンを注射できるのは、医師法によって医師と看護師しかできないと定められています。

しかし、歯科医もできるとしたのです。これは、上の記事にもあるように、超法規的措置です。これは、現行の法律では、医師法違反ということになります。過去にもインフルエンザやその他の病気でワクチンを集団接種することはありましたが、このような超法規的措置は過去に一度あったきりです。

ポリオ生ワクチン(経口式)の接種をうける子どもたち(1961年)

それは、1960年(昭和35年)のポリオ大流行時にソ連やカナダから超法規的措置で生ワクチンを緊急輸入し、大流行を終息させた誇るべき先例です。

超法規的措置とは、法治国家において、法令が想定していない緊急事態などの場合に、法令に規定されていない非常の措置を行うことを言います。国家緊急権とはやや異なる概念です。

戦後日本において行われた事例は、上記を含めて以下に述べる事例も「超法規的措置」というより「超実定法的措置」が適切な表現となされ、憲法に反する行政権の行使ではなく、違憲ではないとされています(第183回通常国会衆議院内閣答弁書)。

戦後の日本においては、ポリオの生ワクチン輸入を除いては、日本赤軍が人質を取り獄中のメンバー釈放を要求した日本赤軍事件(クアラルンプール事件とダッカ日航機ハイジャック事件)があります。その結果、獄中にいる11人のメンバーが釈放されました。

ダッカハイジャック事件 開放されたよど号の乗客たち

ダッカ事件では、犯人グループの要求に応じた際に時の内閣総理大臣・福田赳夫が「人命は地球より重い」と述べました。この措置に対し、一部諸外国から「(日本から諸外国への電化製品や日本車などの輸出が急増していたことを受けて)日本はテロリズムまで輸出するのか」などと非難を受けたといわれています。

ただし、当時は欧米各国においても、テロリストの要求を受け入れて、身柄拘束中のテロリストを釈放することが通常であり(例、PFLP旅客機同時ハイジャック事件ハーグ事件、ルフトハンザ航空615便事件などを参照)、日本政府のみがテロに対して弱腰であったわけではありませんでした。1970年代後半は、このような無謀な要求をするテロに対処するために、世界各国で対テロ特殊部隊の創設が進められるようになりました。

さて、話をワクチンに戻します。いまでこそ、ポリオ(小児まひ)は、日本で自然発生はなく、世界でもパキスタンとアフガニスタンの2カ国以外では根絶されました。しかし約60年前、1960年の日本では大流行し、報告されただけでも5000例以上に達しました。ポリオウイルスは運動神経を冒し、一生残る手足のまひを引き起こすこともあります。ポリオが大流行した当時、幼い子供を持つ親たちの不安はさぞや大きかったことでしょう。

既に当時、海外ではポリオワクチンは実用化されていましたが、日本では開発途上で供給量はきわめて不足していました。国策としてワクチンの国産を目指すのは間違っていませんでしたが、対策が遅れていたという一面があったのは否定できませんでした。大流行の翌年、1961年にも流行の兆しがあった時点で、世論にも押され、ソビエト連邦から緊急にワクチンを輸入しました。

海外で実績があるワクチンであっても国内で使用するには、本来は承認の手続きが必要ですが、当時の古井喜実厚生大臣は「責任はすべて私にある」と言って、超法規的措置をとったそうです。1300万人分のワクチンが輸入され、日本全国で接種され、流行はおさまりました。以降、グラフに示すように、日本ではポリオの報告件数は急速に減少しました。



このようなことは、前例を踏襲するのが通例となっている官僚にはできない意思決定です。菅総理大臣が意思決定したからこその、超法規的措置です。 これと同じ考え方をすれば、実は薬剤師もワクチンを打てるし、獣医も打てるということになります。

まだ通達は出していませんが、本当は法改正しなければこれはできないことです。しかし、法改正をまともに行っていては、とても間に合わないことがはっきりしたので、超法規的措置を発令したということです。

法律に従って人の命を諦めるか、法律を無視しても人の命を守るかという究極の選択としてみれば、4月26日の超法規的措置は理解できます。

このような超法規的措置は先にも述べたように過去にはありません。これは、政府が本気で7月末までに約86%の自治体で65歳以上高齢者(約3600万人)の接種が完了させるつもりであることを示していると考えられます。

それにしても、60年前の、生コロナ緊急輸入の超法規的措置や、クアラルンプール事件とダッカ日航機ハイジャック事件での超法規的措置に関しては報道したのに、なぜマスコミは今回の超法規的措置を報道しないのでしょうか。

日本では、「超法規的措置」は滅多にあるものではありません、今回も含めて戦後三回しかなかった大事件です。

報道するのが当たり前であり、しないのはかなり異常です。これは、私の類推ですが、クアラルンプール事件とダッカ日航機ハイジャック事件での超法規的措置に関しては、時の政権を弱腰であると、批判することができたので報道したのでしょう。

ポリオワクチンに関しては、当時の国民の大きな関心事であり、これを報道しないなどということは、常識的に全く考えられなかったのでしょう。

しかし、それは現在でも同じです。コロナワクチンに関しては、今の国民の大きな関心事です。

それでもなお、報道しないというのは、マスコミはこれを現政権のプラスになると考え、プラスになることは、報道の自由という権利を行使して、報道しなかったのでしょう。

このブログでは、以前からマスコミの最終目標は、森叩きのホップワクチン叩きのステップオリンピック叩きのジャンプで、菅政権を退陣に追い込むことだと指摘してきましたが、今回の超法規的措置報道のスルーは、この通りに動いていることの証左であるといえると思います。

特に、ワクチン叩きや、オリンピック叩きに関しては、それがうまくいっても、失敗しても叩く腹だったのでしょうが、現状ではオリンピック開催阻止と、ワクチン接種の遅れを徹底的に叩く方向に定まったようです。

しかし、実際には、オリンピック開催中止はよほどのことがなければ、ありえないでしょう。小池知事は中止するかもしれないなどという噂がながれていますが、小池知事が中止するというなら、政府はIOCへの賠償金は、東京都が負担せよということになるでしょう。

そうなると、東京都は財源がかなり豊富であるにもかかわらず、コロナ病床を増やさなかったほどドケチな小池知事は中止に固執することはできなくなります。結局五輪は開催されるのです。

実際に日本国内では、様々な国際大会なども開催されています。五輪だけが例外になることはほとんど考えられません。

さらに、コロナワクチン接種は現在まで、日本の感染者数や死亡者がかなり低いということから、世界的にみてワクチン接種が遅れていましたが、これは、感染者数や死者数がかなり多いところから、接種を始べるべきという防疫上の常識から考えて当然だったといえます。

しかし、超法規的な措置までとって、政府は本気で接種の拡大をはかろうとしています。7月に入れば、状況はかなり改善されることになります。

8月に入れば、8日にはオリンピックは他の国際スポーツ大会と同じく、さしたる混乱もなく閉会し、その後はコロナ死者数はかなり減り、9月あたりには、誰の目から見ても、コロナの収束は近くなるでしょう。そのときには、マスコミは嫌々ながら、コロナが収束に近づいたことを報道するでしょうが、特にテレビのワイドショーはお通夜のような雰囲気になるでしょう。

そうして、その頃に解散総選挙が行われることになるでしょう。その後しばらく、野党もマスコミもお通夜状態のショックから立ち直れないことになるでしょう。

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