2021年4月27日火曜日

奇妙な3度目の緊急事態宣言 ワクチンの遅れや五輪危機はマスコミが騒いでいるだけだ―【私の論評】マスコミのコロナ報道は「さ・ぎ・し・か・な」で疑え(゚д゚)!

奇妙な3度目の緊急事態宣言 ワクチンの遅れや五輪危機はマスコミが騒いでいるだけだ 

高橋洋一 日本の解き方

3度目の緊急事態宣言発令前日、東京・表参道をマスク姿で歩く人たち=24日午後

 東京、大阪、京都、兵庫の4都府県を対象にした新型コロナウイルスの緊急事態宣言は、今回で3度目となる。正直言って辟易(へきえき)している住民も多いのではないか。

 もともと日本には、世界で当たり前の「非常事態宣言(戒厳令)」が存在していないため、個人に対して強制力のある行動制限はできない。このため日本では「緊急事態宣言」にとどまっている。

 日本で「感染第4波」と騒いでいるが、人口当たりの感染率を世界で比較すると、元厚生労働省技官の木村盛世氏は「さざ波」レベルだと指摘している。実際のところ今の日本は、ワクチン接種が進んで収束しつつある英国と同程度の水準だ。

 この意味で、日本の「緊急事態宣言」は、世界からは奇妙に見えるだろう。今回も個人に強制力はないが、その分、飲食店や商業施設、イベントなどの事業者にしわ寄せがある。筆者は本コラムで一貫して書いてきたが、休業要請するなら補償措置は当然である。

 2020年度補正予算では、資金使途自由の地方創生臨時交付金を地方自治体に約4兆5000億円計上したが、ほかにも事業者に対する協力金を地方自治体から給付するため、予備費(協力要請推進枠等)として約3兆3000億円も計上した。

 21年度予算でも、予備費に5兆円計上したので、当面地方自治体が休業補償するには困らないだろう。さらに必要ならば、今年度も補正予算を組むことができる。東京都は他の地方自治体とは異なり、財政余力がたっぷりあるので、独自に休業補償を行えばいい。

 それにしても、新型コロナでのマスコミのあおりはひどい。日本のワクチン接種が遅れている理由は「厚生労働省が副反応の責任を取りたくなくて及び腰だったから」とか、「この状況では東京五輪どころでない」といった意見も少なくない。

 だが、これはミスリーディングだ。日本のワクチン接種率は世界の中でも低いが、それは日本の感染率が低いからだ。感染の度合いを加味して順位を出すと世界の中で平均的になる。

 ワクチンの供給は原則として感染がひどい国・地域から行われている。データ入手可能な世界84カ国で、日本は71位と下位であるが、感染の度合いを加味すると、日本は45位だ。感染が少ないのに、人口の多い日本がワクチンを大量に集めたら、世界から批判を受けてしまうだろう。一刻も早くワクチンを確保してもらいたいのが人情だが、カネにものを言わせず、ワクチン格差に加担しないのは、奥ゆかしい日本らしいスタンスとの見方も可能だ。

 メディアがワクチンの副反応をあおっておいて、「厚労省が及び腰」というのはまさにあおりの典型だ。それを言うなら、マスコミがワクチン副反応をあおったために、日本では集団接種ができなくなって、今回自治体にノウハウがなく困っていると正確に伝えるべきだ。

 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が、日本の緊急事態宣言は、感染拡大予防のための措置で五輪の開催に関係ないと言ったのも当然だ。(内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】マスコミのコロナ報道は「さ・ぎ・し・か・な」で疑え(゚д゚)!

冒頭の記事で、高橋洋一氏が語っている、マスコミのコロナ騒ぎは困ったものです。その中でも、テレビ番組の煽りは酷いものです。どうしてそうなってしまうかといえば、それは検証の困難さにあるのかもしれません。

テレビのコロナ煽りはいつまで続くのか・・・・

新聞・週刊誌・月刊誌の報道については、現物を保存しておけばその内容をいつでも検証することが可能です。

それに対してリアルタイム視聴が前提であるテレビの報道については、特別に録画をしない限り、後に検証できません。多くの人は、録画等しないでしょう。

ただし、最近ではYouTubeなどで、ワイドーショーの明らかに間違った発言の部分を切り抜き、その間違いを指摘しているものもあります。実際、私自身も、ワイドーショーなどで明らかに間違いであると思ったMCなどの発言の切り取りをYouTubeで何度もみたことがあります。

ただ、仮に検証して問題を発見したところで、著作権による保護があり、現物の放送録画を広く国民に示して立証することもできません。放送への苦情や放送倫理の問題に対応する第三者機関を名乗るBPO(放送倫理・番組向上機構)についても、バラエティ番組のやらせを検証することがあっても、日夜デマ報道や問題報道を繰り返し乱発している報道番組を自律的に検証することはほとんどありません。

このように、テレビ・メディアは、国民の電波を独占しているにもかかわらず国民からの検証をほとんど受けることのない極めて優越的で安全な立場にいるといえます。他業種と比べて緊張感のない中で製造された製品に欠陥が多いのはむしろ当然の成り行きです。品質保証の基準が事実上は放送法ではなく「自律」しかない彼らにとっては「ワイド・ショー」ほど素敵な商売はないと言えるかもしれません。

インターネットの登場で、テレビの情報発信力が以前より低下したことは間違いありません。しかし、『報道ステーション』や『サンデーモーニング』といった報道・情報番組は、いまだに10%を超える視聴率を保持し、社会に大きな影響を与えています。特に高齢者層には、未だに大人気です。


今回のコロナ禍でも、この恐怖発生源にゼロリスクの対応が当たり前であるかのよう印象操作されてしまった日本社会には、恐怖が蔓延し、大衆は集団ヒステリーを起こし、一部は自粛警察として暴徒化しました。大衆を一方向に誘導するテレビが発信のインフォデミックは社会に深刻な影響を与えるのです。

ちなみに、インフォデミックとは、英語のインフォーメーション(情報)とエピデミック(ある地域で短期的に感染症が流行すること)の合成語であり、噂やデマも含めて大量の情報が氾濫し、現実社会に影響を及ぼす現象のことです。疫病流行の際には出所不明の情報が広がりやすく、世界保健機関(WHO)も科学的に根拠のない情報を信じないよう、公式サイトで注意を呼びかけています

そんなテレビ報道に対して、数年にわたって収集した実際の報道を示した上で論評したものが本書です。

テレビ報道を録画するきっかけを私に与えてくれたのは、破滅的な政権を生んだ「民主党絶賛報道」と、原発関連死を多数誘発させると同時に日本経済の生産性を破滅的に低下させる原因を作った「原発反対報道」です。いずれもワイドショーを中心とするテレビ報道が一糸乱れぬ偏向報道を連日行い、大衆を特定の思想に誘導しました。

テレビの印象操作は昔からありましたが、記憶に新しいところでは「戦争法案反対報道」「小池劇場」に多くの人々が熱狂し、「モリカケサクラ報道」にハマりました。そして今、恐怖を煽る「コロナ報道」によって、多くの大衆はヒステリックなゼロリスクの追求者に仕立て上げらてしまったようです。

これが、昨年の夏くらいであれば、コロナ感染症の本質が知られていませんでしたから、まだしも、その後もテレビはゼロリスクを煽り続けています。

新型コロナウイルス(COVID-19)は感染者の75%は他の人に感染させていないことが知られています。ただ感染者が3密の状態にいると感染力が18.7倍になるとのデータが出ており、感染拡大の決め手はやはり「3密(密閉、密集、密接)」にいるかどうかということになります。

ウイルスが感染しやすい時期もわかってきました。ウイルス培養(生きているウイルスが検出される)期間は発症後8日まであり。6日が経つと接触者(家庭内接触も含む)であってもほぼ感染しないこともわかってきました。

最も感染しやすい時期は発症0.7日前で、実に44%は発症前に感染させていることがわかっています。だからこそ無症状の人も3密のところではマスクが必要です。症状が治まり、発症後10日(8日+2日間の猶予)が経てば人にうつすことはまずないでしょう。学校への登校、仕事復帰も大丈夫です。

このようなことが、コロナウイルスの発生したばかりのことはわかつていませんでしたが、現在ではそのような知見が得られているのです。

しかし、テレビ主導のインフォデミックが一度発生すると、日本の政治は停滞し、普通の人々が生きていくために必要な経済や安全保障が理不尽に犠牲にされ、生活に苦しむ弱者が決定的な打撃を受けるのです。

インフォデミックを発生させないためには、テレビの視聴者が、テレビのデマ報道や問題報道のやり口を見切って騙されないことが重要であり、騙されないためには、騙しのテクニックを知ることが効果的です。

ワイドショーの扇動報道は、もはや誘導される情報弱者のみの不利益の問題だけではなく、そのヒステリックな感情によって理不尽な被害を連帯して負わされる日本社会全体の深刻な問題になったといえます。

メディア・リテラシーを考える画像

現成では一人でも多くの方々が、メディア・リテラシーを身につけるべきです。リテラシー(英: literacy)とは、原義では「読解記述力」を指します。一昔前に言われた「読み・書き・算盤」です。現代ではインターネットやテレビ、新聞などのメディアを使いこなし、メディアの伝える情報を理解する能力のこと、または、メディアからの情報を見きわめる能力のことです。

メディア・リテラシーは、主に5つの原理によって成り立っています。

第一の原理は、「すべてのメディア・メッセージ」は「構成されている」ということです。
ここでいう「メディア・メッセージ」は、テレビや新聞など大手メディアだけでなく、個人で発信するソーシャルメディアを含みます。

第二の原理は「メディア・メッセージは、創造的な言語とその原理を用いて作られている」ということです。テレビのCMなどを考えるとわかりやすいですが、さまざまなカメラワークや音声などの要素によって、メディア・メッセージは構成されています。

第三の原理は、「メディア・メッセージは、多様な人々によって、多様に感じ取られる」ということです。一つの同じメッセージでも、東京に住むか、沖縄に住むかで、米軍基地問題についてのとらえ方も変わってきます。

第四の原理は、「メディア・メッセージは、価値観と視点を有している」ということです。新聞社や放送局にはそれぞれ「癖」があり、同じニュースを報じるにも、その価値観が反映されがちです。それはソーシャルメディアで個人が発信する際にも、同じことが言えます。

第五の原理は、「ほとんどのメディア・メッセージは、力や利益を得ることを目的として作られている」ことです。メディア企業には公益性もある一方、株式会社である以上、利益を得ることを目的としている面があります。また、クリックすればお金を稼げるような仕組みを利用して、「フェイクニュース」を作る人もいます。利益が目的でなくても、何らかの力(影響力)を得ようとする場合もあります。メディア・メッセージには、必ず目的があるということを頭に置く必要があります。

以上が、国際的にみたメディアリテラシーの基本原則だが、これだと、実際には使いにくいですし、忘れやすいです。法政大学・坂本旬教授は、米国のメディアリテラシー団体であるCenter for Media Literacyの5つのチェックリストを日本語に翻訳し、「さ・ぎ・し・か・な」というわかりやすい標語にしました。

それぞれ、上記の第1から第5の原理に対応しています。
さ:誰がメッセージを作り出したのか(作者の「さ」)
   (Authorship) Who created this message?

ぎ・私たちの注意を引くためにどんな創造的表現技法が使われているか(技法の「ぎ」)
   (Format/Techniques) What techniques are used to attract my attention?

し:他の視聴者は自分と比べてどのように違った理解をするだろうか(視聴者の「し」)
   (Audience) How might others interpret this message differently?

か:どんな価値観やライフスタイル、視点が表現されているか、あるいは排除されているか(価値観の「か」)
   (Content/Framing) What values, lifestyles and points of view are represented in-- or omitted from -- this message?

な:なぜメッセージが送られてきたのか(なぜの「な」)
   (Purpose) Why is this message being sent?

2015年に実施された「第6回世界価値観調査」という国際調査によると、「日本国民の73%が新聞から、94%がテレビから毎日情報を得ていることが判明」、そしていずれも「調査を実施した57カ国中で1位の数字」なのだそうです。ただ、この頃よりは、さすがに、新聞・テレビだけから、情報を得る人は減ったとは思いますが、それでも今でも多いのだと思います。

近年の新聞とテレビはオールドメディアと呼ばれて斜陽産業のレッテルを貼られてきましたが、影響力はいまだ充分に大きいです。コロナ禍でもテレビのワイドショーやニュース番組の情報は視聴者の心情と行動を逐一左右しましたし、見聞きした情報をまっすぐに受け止めてしまう素直な視聴者たちによってトイレットへーパー等の買い占め騒動が起きるなど、国民もどうかしていたのは我々の実感するところです。

去年はトイレットペーパー買い占め騒動があった

ワイドショーやニュース番組が番組カラーとして打ち出す政治色、攻めるコメンテーターの発言に対する生放送ゆえの検証不足、素人発言の確信犯的な利用など、テレビは様々な方法を駆使して、私達を印象操作しようとしている部分は間違いなくあると認識すべきです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関して、SNSなどで正しい情報を発信している医師はたくさんいます。

しかしなぜか、テレビ番組に頻繁に出ている人の中に、疑問符がつく人がいます。もちろん、全員とは言いません。

COVID-19患者を1人も診ていない医師がどや顔で最前線の医療従事者を批判したり、新型コロナウイルスのPCR検査について明らかに誤ったコメント(検査を増やせば増やすほどよいと受け取られるような発言等)をしていたり、よくもあそこまで断言できるものだと感心することがありました。

一人の人間として「感想」を述べるのはかまわないと思いますが、「世の中のみなさん、こうですよ」と間違ったことを流してしまうのは、かなりメディアリテラシー上問題があると思います。

COVID-19に関して言えば、Twitterはデマも多いですが、インフルエンサーによる真実の流布も相応に多く、情報を集めるツールとしてはとても良かった思います。特に信頼に値する具体的な数値をもとにしたものは信用できます。しかし、テレビについては、出ているコメンテーターによってはひどいものがありますし、総合得点ではSNSをはるかに下回っています。

今回の騒動により、メディアに対するSNSの下克上が進んでいくのではないでしょうか。ただし、SNSにも明らかなデマも多いので、メディア・リテラシーがますます重要になってくるでしょう。

まともな感染症専門家の、SNS上のコメントだけではなく、そのエビデンスなども含む、添付資料にも目を通す人は、現在のさざなみ程度のコロナ感染症のことを十分熟知しており、マスコミ報道にはうんざりしているのではないかと思います。


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