国営の中国中央テレビは、南部・海南島三亜にある軍港で23日、3隻の軍艦が就役する式典が、習近平国家主席も出席して、行われたと伝えました。
式典で習主席は艦長らに軍旗などを手渡した後、艦内を視察したということです。
中国共産党系のメディア、「環球時報」によりますと、就役したのは中国軍で初めてとなる大型の強襲揚陸艦、大型の駆逐艦、そして、最新鋭の原子力潜水艦の3隻で、いずれも周辺国と領有権の争いがある南シナ海の海域を管轄する艦隊に配備されたということです。
「海洋強国」を目指す中国は、3隻の主力艦を同時に配備することで、海軍力の急速な増強を内外に誇示した形で、南シナ海や台湾周辺などでの活動を一層活発化させていくとみられます。
中国は米大統領選の混乱をついて台湾に侵攻するのか―【私の論評】中国は台湾に侵攻できない(゚д゚)!
日本の潜水艦は、このブログにも掲載したように、原潜ではない通常型のものですが静寂性は世界一です。その静寂性を利用すれば、あらゆる海域で中国に発見されず哨戒活動等にあたることができます。無論、これによって得られた情報は米軍と共有することができます。
これでは、中国に勝ち目は全くありません。そのため、中国は台湾に侵攻しても、意味がありません。中国ができるのは、せいぜい台湾海峡等で大規模な軍事演習をして台湾を脅すことくらいでしょう。そのことを理解しているからこそ、中国は三戦に力をいれているのでしょう。
それでも敢えて中国が台湾に侵攻した場合、ますば米国潜水艦隊によりほとんどの中国の艦艇、航空機が破壊されることになります。無論上陸用舟艇なども破壊され、上陸部隊は殲滅されるかもしれません。
それでも、中国軍が無理やり上陸した場合は、米軍は場合によっては、中国本土のミサイル基地等も潜水艦によって破壊するでしょう。そうして、中国の脅威を取り除いた後に、さらに台湾を包囲して、補給を断ち弱らせた後に空母打撃群を派遣して中国陸上部隊を攻撃してさらに弱らせ、最終的に強襲揚陸艦等で米軍を台湾に上陸させ、上陸した中国軍部隊を武装解除して無力化することになるでしょう。
今年4月11日、上海にある造船所の桟橋に係留艤装中だった中国海軍初の 大型強襲揚陸艦「075型」1番艦から出火、未だに中国は公表していない |
よく軍事評論家の中にも、空母を派遣しても中国の超音速ミサイルに攻撃されて、米国は負けるなどとする人もいますが、こういう人たちに限って、なぜか潜水艦隊のことをいいません。
今年(ブログ管理人注:2021年)の5月に、太平洋艦隊所属の潜水艦の少なくとも7隻が西太平洋派遣されたことをもって、米軍は有事の時には、特に海洋での有事の時には最初に潜水艦隊を用いる戦術に変えたと認識すべきです。私自身は、ずっと前から変えていると思います。海洋で、わざわざ初戦で空母打撃群を派遣して、敵に格好の的を提供する必要性などありません。
ただ、手の内をわざわざバラす必要もないので、黙っていただけだと思います。ただ、コロナ禍に中国につけこまれることを防ぐため、わざわさ公表したということです。この公表の裏には、以上で述べたことを、それとなく中国に伝える目的もあったと思います。
ちなみに、今回就役する大型強襲揚陸艦は、上の記事の写真で示したように、昨年火災にあった「075型」1番艦です。
現状の中国の海軍力は、日米に決定的に劣っている部分があります。それは、哨戒能力です。特にその中でも、対潜哨戒能力(潜水艦を哨戒する能力)が徹底的に劣っています。一方日米の哨戒能力は世界のトップレベルです。
特に対潜哨戒能力は、米国は世界1です。日本は、おそらく2番目でしょう。
そのため、中国の艦艇は、潜水艦を含めて、日米にとっては常時丸裸状態です。中国軍のほとんどすべての艦艇は、港を出た途端に日米の潜水艦等から監視されており、常にその行動を把握されている状態です。
一方中国は、日米の艦艇の行動はある程度把握できますが、日本の潜水艦の行動は把握できません。特に、日本の潜水艦は静寂性(ステルス性)が高いので、その行動を中国は全く把握できません。
良く横須賀の日本の潜水艦隊基地には潜水艦がむき出し状態に置かれているという方もいますが、日本の潜水艦は一度潜水すると、中国側はそれを探知することはできないのです。
おやしお型潜水艦。横須賀・楠ヶ浦地区にて |
このステルス性には、逸話があります。日米が合同訓練をしているときに、米軍側が日本の潜水艦がどこにいるのかわからないので、「一体どこにいるのだ」と米側が照会すると、日本の潜水艦は米空母のすぐ横に浮上したそうです。これは、日本の潜水艦は米軍にも気が付かれずに、米空母を撃沈できることを意味します。
しかも、これは現在の最新型ではなく古いタイプの潜水艦だったそうです。現在の最新型は、リチュウム乾電池で駆動しており、事実上ほとんど無音です。さらに、潜航時間も思いのほか、長いです、最新型より一つ前の潜水艦では潜航時間は二週間といわれていましたが、最新型ではそれよりはるかに長いそうです。軍事機密なのか、潜航時間が大幅に伸びたとしか公表されていません。
米国の原潜に関しても、原潜そのものが、構造的に騒音が出るので、日本の潜水艦ほどには静寂性はありませんが、それでも、中国のお粗末な対潜哨戒能力ではそれを完全把握することは困難です。
さらに、米原潜の攻撃力は凄まじいものがあります。たとえば、巡航ミサイル原潜オハイオは、トマホーク巡航ミサイルを154基搭載しています。巡航ミサイルは、現在は撃ち落とすことが可能になったとはいえ、オハイオから魚雷攻撃や巡航ミサイルによる飽和攻撃を受ければ、中国の空母も、強襲揚陸艦もひとたまりもありません。
トマホークミサイルが2018年の試験で米海軍の潜水艦から発射される様子。 オハイオ級巡航ミサイル潜水艦はトマホーク154基を搭載できる |
これは、潜水艦20隻体制になった現在の日本の潜水艦隊もやるつもりなら、日本が単独でもできるでしょう。無論、尖閣、台湾の守備も可能です。
尖閣や台湾を潜水艦隊で包囲してしまえば、たとえ中国人民解放軍が台湾や尖閣に上陸したとしても、中国は上陸部隊に補給することができなくなり、上陸部隊は弾薬、食料・水が尽きてお手上げになります。
中国海軍がまず最初になすべきは、日米並の哨戒能力を持つことです。これができれば、中国も日米と互角の海洋戦ができます。さらに、日本の潜水艦と同程度のステルス性のある潜水艦を開発することです。これができて、はじめて中国は世界一の海軍になれるかもしれません。
ちなみに、台湾はそれを実行中です。将来は、5隻の新型潜水艦で台湾を守備する計画です。米国の専門家は、台湾がこれに成功すれば、今後数十年間中国の台湾侵攻をとめることができるだろうと予測しています。
これに対して、中国の強大な軍事力を用いれば、中国はなんでもできるように言う方もいますが、目の見えず、耳が聞こえない人が、いくら重機関銃やレーザー銃を手に入れたとしても、たとえ素手であっても目が見える人と戦うことになれば、圧倒的に不利であるのと同じく、中国がどのような破壊力のある艦艇や潜水艦や超音速ミサイルなどを持ったにしても、哨戒能力が低ければ、哨戒能力が格段に高く、攻撃力もある日米に太刀打ちすることできません。
そうして、対潜哨戒装置や潜水艦の静寂性に関する技術は機密中の機密なので、さすがに中国も剽窃などで簡単にその能力を身につけることはできないようです。それにテクノロジーだけではなく、長い間の積み重ねによる、ノウハウもあるようで、この蓄積も中国海軍にはありません。特に中国は対潜哨戒能力はロシアのものを導入しているようですが、そのロシアの哨戒能力が元々格段に低いのです。これが、陸上国の宿命というものなのかもしれません。
低い哨戒能力しかない中国の海軍は、日米のみならず、通常型のステルス性の高い潜水艦を持つフランス、ドイツなどの海軍とも戦えば不利です。戦って、確実に勝利できるのは、発展途上国の海軍です。
これでは、現在の中国海軍は、軍事力というよりは、先進国、特に日米英などの海洋国に対しては「政治的メッセージ」と呼ぶほうがふさわしいかもしれません。
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