■全く違う「汚染水」と「処理水」
福島第一原発では放射性物質に汚染された水が現在も毎日約140トン出続けている。10年前に起きた事故で1~3号機の原子炉内にあった核燃料が溶け落ちて固まり、現在も熱を発している。これを放置すると、高濃度の放射性物質がさらに漏れ出すことになりかねない。そのため、水をかけ続けることで冷やしているが、溶け落ちた燃料に触れた水は放射性物質を含むようになる。さらに、建物に地下水や雨水が入り込むことで水の量が増えている。これが「汚染水」だ。
汚染水に含まれるほとんどの放射性物質は「ALPS(アルプス)」と呼ばれる装置で取り除くことができる。こうして浄化処理された後の水が「処理水」と呼ばれている。つまり、汚染水と処理水は全く異なるものだ。
これまでは処分方法が決まっていなかったので、年間約5~6万トンずつ増える処理水も保管し続けなければならなかった。福島第一原発の敷地内には、現在、1000基を超えるタンクがある。しかし、このタンクの容量も来年の秋以降、限界を超えるとされている。
政府は、処理水の処分方法について、事故直後から検討してきた。その結果、まず、汚染水からトリチウム以外の放射性物質を取り除く処理を徹底したうえで、最後まで残る「トリチウム」が基準値を下回るまで十分薄めてから海に放出することを決定した。
■処理水に含まれる「トリチウム」
それでは、処理水に残ってしまう放射性物質トリチウムとはどのような物質なのか。実はトリチウムは水素の仲間で、雨水や人体などにも微量ながら存在している。トリチウムは水と同じ性質を持つため、トリチウムだけを処理水から分離することが難しい。そのため、処理水を海水で100倍以上に薄め、国で定めている濃度限度の40分の1にして放出する方針だ。
これは、世界保健機関(WHO)で定める飲料水のガイドラインと比べても、7分の1にあたる。実は、日本を含めた世界の原子力施設でもトリチウムは発生しており、施設のメンテナンスの際などに薄めて海に放出されている。経産省によると、例えば、韓国の古里原発で液体として放出しているトリチウムの量は年間約55兆ベクレル、フランスのラ・アーグ再処理工場では年間約1.4京ベクレルに上るという。福島第一原発でも事故前にはトリチウムを出していた。
今回決まった基本方針では、トリチウムの年間の放出量について福島第一原発が事故前に通常運転していた時に目安としていたのと同じ、「22兆ベクレルを下回る水準」とした。まずこの水準で放出を始め、量については定期的に見直すという。
■処理水放出に向けて
今後、処理水を海洋放出する前にトリチウムの濃度を薄める必要があるが、そのためには処理水と混ぜる海水を取り込むためのポンプなど、新たな設備が必要となる。また、浄化処理が途中のままタンクに保管されている汚染水は、ALPSでもう一度、処理をしてトリチウム以外の放射性物質が確実に基準を下回るまで取り除いておく必要がある。
そのため、実際に海洋放出が始まるまでには2年程度かかる見通しだ。そして、2年後に放出が始まったとしても、全ての処理水を放出し終えるには、約30年かかるという試算もある。
■漁業関係者の強い懸念
地元の反対は根強い。事故後、福島県では、安全性を確かめるため漁の回数を制限した形で操業してきた。今月からようやく事故前の水準に戻そうと移行し始めた矢先の決定に、漁業関係者は反発している。
そのため政府は今回、放出前後に漁場などでトリチウムの検査を行い、風評被害の対策を強化したうえで、それでも生じた風評被害には原発を持つ東京電力が賠償することを担保する方針だ。政府や東京電力は、処理水への理解を広げ、風評被害をできるだけ抑えることが必須の課題だ。
福島第一原発では放射性物質に汚染された水が現在も毎日約140トン出続けている。10年前に起きた事故で1~3号機の原子炉内にあった核燃料が溶け落ちて固まり、現在も熱を発している。これを放置すると、高濃度の放射性物質がさらに漏れ出すことになりかねない。そのため、水をかけ続けることで冷やしているが、溶け落ちた燃料に触れた水は放射性物質を含むようになる。さらに、建物に地下水や雨水が入り込むことで水の量が増えている。これが「汚染水」だ。
汚染水に含まれるほとんどの放射性物質は「ALPS(アルプス)」と呼ばれる装置で取り除くことができる。こうして浄化処理された後の水が「処理水」と呼ばれている。つまり、汚染水と処理水は全く異なるものだ。
これまでは処分方法が決まっていなかったので、年間約5~6万トンずつ増える処理水も保管し続けなければならなかった。福島第一原発の敷地内には、現在、1000基を超えるタンクがある。しかし、このタンクの容量も来年の秋以降、限界を超えるとされている。
政府は、処理水の処分方法について、事故直後から検討してきた。その結果、まず、汚染水からトリチウム以外の放射性物質を取り除く処理を徹底したうえで、最後まで残る「トリチウム」が基準値を下回るまで十分薄めてから海に放出することを決定した。
■処理水に含まれる「トリチウム」
それでは、処理水に残ってしまう放射性物質トリチウムとはどのような物質なのか。実はトリチウムは水素の仲間で、雨水や人体などにも微量ながら存在している。トリチウムは水と同じ性質を持つため、トリチウムだけを処理水から分離することが難しい。そのため、処理水を海水で100倍以上に薄め、国で定めている濃度限度の40分の1にして放出する方針だ。
これは、世界保健機関(WHO)で定める飲料水のガイドラインと比べても、7分の1にあたる。実は、日本を含めた世界の原子力施設でもトリチウムは発生しており、施設のメンテナンスの際などに薄めて海に放出されている。経産省によると、例えば、韓国の古里原発で液体として放出しているトリチウムの量は年間約55兆ベクレル、フランスのラ・アーグ再処理工場では年間約1.4京ベクレルに上るという。福島第一原発でも事故前にはトリチウムを出していた。
今回決まった基本方針では、トリチウムの年間の放出量について福島第一原発が事故前に通常運転していた時に目安としていたのと同じ、「22兆ベクレルを下回る水準」とした。まずこの水準で放出を始め、量については定期的に見直すという。
■処理水放出に向けて
今後、処理水を海洋放出する前にトリチウムの濃度を薄める必要があるが、そのためには処理水と混ぜる海水を取り込むためのポンプなど、新たな設備が必要となる。また、浄化処理が途中のままタンクに保管されている汚染水は、ALPSでもう一度、処理をしてトリチウム以外の放射性物質が確実に基準を下回るまで取り除いておく必要がある。
そのため、実際に海洋放出が始まるまでには2年程度かかる見通しだ。そして、2年後に放出が始まったとしても、全ての処理水を放出し終えるには、約30年かかるという試算もある。
■漁業関係者の強い懸念
地元の反対は根強い。事故後、福島県では、安全性を確かめるため漁の回数を制限した形で操業してきた。今月からようやく事故前の水準に戻そうと移行し始めた矢先の決定に、漁業関係者は反発している。
そのため政府は今回、放出前後に漁場などでトリチウムの検査を行い、風評被害の対策を強化したうえで、それでも生じた風評被害には原発を持つ東京電力が賠償することを担保する方針だ。政府や東京電力は、処理水への理解を広げ、風評被害をできるだけ抑えることが必須の課題だ。
【私の論評】「汚染水」煽りができなくなったマスコミは「風評被害」煽りに切り替え、歴史の徒花になろうとしている(゚д゚)!
2019年9月、大阪市の松井一郎市長は、記者会見で「メディアは汚染水という表現はやめた方がいい。あれは処理水」とした上で、一部メディアを名指しして批判しました。その上で、福島第1原発処理水の大阪湾放出に応じる意向を示し、話題を呼びました。
処理水を大阪湾に放出という松井市長の意見は決してとっぴではなく、世界中で行われているものです。あえて大阪湾といったのは、風評に科学が負けてはいけないという強い信念をわかりやすく言ったものでしょう。
菅政権としても、無害な処理水をいつまでも貯蔵しているつもりはありませんでした。当たり前のことを行うというのが、菅政権のモットーなので、処理水放出の決定は時間の問題でした。
しかし、一部マスコミは、原発「処理水」を「汚染水」と呼び続けてきました。一昨年の松井発言による問題提起から、見出しでは「処理水」という用語を使うようになったものの、記事では「汚染水」を使っているものもありました。見出しで「処理」としていても、文中では「処理済み汚染水」「汚染水」という言葉を使う報道もありました。現在でも「汚染処理水」としているところもまだあります。
こうした不正確な言葉を使い続けた一部マスコミの報道姿勢こそが、誤解と風評被害を拡散させてたのです。約2年前にニュースサイトで「科学を振りかざすな」と朝日新聞は発言しました。客観的な事実を無視して、感情であおってきたと自ら認めたようなものです。
しかし、一部マスコミは、原発「処理水」を「汚染水」と呼び続けてきました。一昨年の松井発言による問題提起から、見出しでは「処理水」という用語を使うようになったものの、記事では「汚染水」を使っているものもありました。見出しで「処理」としていても、文中では「処理済み汚染水」「汚染水」という言葉を使う報道もありました。現在でも「汚染処理水」としているところもまだあります。
こうした不正確な言葉を使い続けた一部マスコミの報道姿勢こそが、誤解と風評被害を拡散させてたのです。約2年前にニュースサイトで「科学を振りかざすな」と朝日新聞は発言しました。客観的な事実を無視して、感情であおってきたと自ら認めたようなものです。
米国務省プライス報道官は声明を発表し、処理水の海洋放水決定について「選択肢と効果を検討し透明性を保ち、世界的な原子力安全基準に従った方法を採用したようだ」として、認める考えを示しました。
日本の処理水海洋放水を認めた米プライス報道官 |
一方、韓国・ソウルの日本大使館前では市民団体が「海洋放出ではなくタンクを増設して長期間保管し代案を探すべきだ」などと主張しました。また、韓国政府は緊急会議を開き、「強い遺憾」を表明しました。
高橋政治経済科学塾講義2021年(令和3年)2月号特集 高橋洋一教授の日本マスコミ崩壊の衝撃予測!!―【私の論評】明けましておめでとうございます!10年で新聞消滅という厳然たる事実(゚д゚)!
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なにやら、この構図、「慰安婦問題」にも似ていまいます。慰安婦問題では、最初に朝日新聞が、当時の記者植村氏の書いた誤った記事を掲載し、それが発端となり、韓国で反日運動が、活発になりました。それまでは、韓国でも反日運動はありましたが、今日のような苛烈なものではありませんでした。
慰安婦問題などにみられるように、日本のメディアが煽り、韓国がそれを反日に利用するという一定の構造があるようです。まさに、マッチポンプそのものです。
しかし、今回はそうはならないでしょう。これ以上、マスコミが「汚染水」で煽り続ければ、国民はますます離反していくことになるでしょう。
それを敏感に察知したマスコミは、今度は「風評被害」で煽っています。「風評被害」があっても、「処理水」海洋放水を断行する政府というイメージを植え付けようと躍起になっています。
しかし、これに簡単に煽られるほど、無垢な人はそうはいないと思います。慰安婦問題、放射能問題それに続く汚染水問題、それだけでなく「もりかけ桜問題」やコロナ感染煽りでマッチポンプにさらされた多くの人々は、もういい加減にうんざりしていると思います。
この上マッチポンプに煽られるのは、毎日ワイドショーを視聴している一部の老人たちだけでしょう。
風評被害を煽るTVのニュース画面 |
このようなマスコミは、もういりません。このブログでも、マスコミの寿命あと10年であるとの根拠を掲載しましたが、もうその前に消えてほしいです。マスコミの消滅を危惧する人もいるようですが、私はそうは思いません。
現在のマスコミが消滅すれば、必ずそれを補完する集団がでてくるはずです。それも、日本を貶めたり、国民を互い反目させて分断させること、権力を悪と決めつけその悪と対峙することなどを使命とするのでなく、事実をなるべく客観的に伝えようとする真のジャーナリズムが興隆してくるはずです。無論全部がそうなるとは思いませんが、一部にはそのようなメディアがでてくるはずです。
その日が来るのが楽しみです。
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