2021年4月16日金曜日

日米首脳、共同文書で対中牽制「台湾」明記へ 菅首相とバイデン大統領、初の対面首脳会談―【私の論評】日米から圧力を受ける現在習近平は7月1日共産党結成100周年演説で何を話すのか(゚д゚)!

日米首脳、共同文書で対中牽制「台湾」明記へ 菅首相とバイデン大統領、初の対面首脳会談

バイデン米大統領と菅総理

 菅義偉首相は米東部時間15日夜(日本時間16日午前)、ワシントン郊外のアンドルーズ空軍基地に政府専用機で到着した。ジョー・バイデン大統領と16日午後(同17日未明)、初の対面形式による首脳会談に臨む。会談では、軍事的覇権拡大を進める習近平国家主席率いる中国への対応を協議し、新型コロナウイルス対策や気候変動問題での協力も申し合わせる。会談後に発表する共同文書に、台湾海峡の平和と安定に関する問題が明記される可能性が高まっている。

 「(日米首脳は会談で)中国や台湾海峡について深く話す」

 米政権高官は15日、首脳会談に先立つ電話記者会見でこう語った。

 ホワイトハウスで行われる会談では、日本の外交・安全保障の基軸である日米同盟を強固にする重要性で一致。「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に向け、日本と米国、オーストラリア、インドによる戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」の連携強化を申し合わせる。

 菅首相は東京五輪・パラリンピックの成功に向けた協力も呼び掛ける。新型コロナワクチンをめぐり、途上国向け支援を含む日米協力の在り方についても意見を交わす。

 こうしたなか、会談後に発表する共同文書に、台湾海峡の平和と安定の重要性について記載することが調整されている。外務省によると、日米首脳の共同文書で「台湾」を明記することは、佐藤栄作首相とリチャード・ニクソン大統領による1969年の会談以来。

 米台関係をめぐっては、クリス・ドッド元米上院議員と、リチャード・アーミテージ元国務副長官らの非公式代表団が訪台し、15日に蔡英文総統と会談した。

 こうした動きに対し、中国側は軍事的挑発を行った。

 台湾の中央通信社が運営する日本語サイト「フォーカス台湾」によると、中国軍は15日から、台湾周辺海域で6日間の実弾射撃演習を実施しているという。

 日米首脳の共同文書に、台湾が明記される意義は何か。

 国際政治学者の藤井厳喜氏は「ドナルド・トランプ政権が米中関係を逆転させて以来、バイデン政権も『台湾重視』の基調は踏襲している。バイデン政権は、台湾海峡での軍事的紛争を望まず現状を維持を望んでいる。沖縄県・尖閣諸島周辺に中国海警局船が連日侵入している日本にとっても安全保障上、メリットがある。日米が立場を明確にすることは、中国にとっては『内政干渉』で、非常に嫌がることだろう」と語った。

【私の論評】日米から圧力を受ける現在習近平は7月1日共産党結成100周年演説で何を話すのか(゚д゚)!

日本の首相が近隣諸国以外で最初の外国訪問先として米国を選ぶことは、これまでも珍しいことではない。しかし、今回の菅首相とバイデン米大統領の首脳会談には特筆すべき点があります。菅総理は、バイデンが大統領就任後初めて直接対面する外国首脳なのです。 菅総理が一般の米国民の間ではほとんど無名の存在であることを考えると、今回の首脳会談はバイデン政権が菅総理を極めて重視していることの表れとみて良いでしょう。

これは、バイデン政権が日本を特別な存在とみていることの現れです。これは日本にとって日米同盟を強化するための絶好の機会であり、米国と協力して軍事力で脅威を増す中国に対し、「ノー」を突き付けることにつながります。

バイデン大統領はクアッドの4カ国首脳会談で「『自由で開かれたインド太平洋』は不可欠である。アメリカはこの地域の安定を目指し、全ての同盟国やパートナーとの協力を強く約束する」と述べました。

3月12日米豪印の首脳とテレビ会議をするすが首相(右端)

バイデン氏は大統領選挙の前から対中戦略の大きな柱として同盟国との協力を前面に打ち出すことを構想していました。特に中国の習近平政権と長期的に競争していくために地理的にも歴史的にも中国との関係が深い、日本との協力関係を重視しようとしています。日本はインド太平洋地域での駐留米軍の最大拠点で、経済力では中国に世界第2位の地位を奪い取られたものの、世界第3位を保っています。

こうした日本との連携を強化することで、米国の同盟国や友好国に安心感を与えることも狙っているのでしょう。

中国の行動、言動には目に余るものがあります。

沖縄県の尖閣諸島周辺海域での中国海警局船の日本領海侵入、東・南シナ海での軍事的行動、台湾に対する威嚇、香港からの民主派の強硬的一掃。習近平政権は、地域の安全と平和を脅かしています。国際社会を蔑ろにする一連の行動はどこから生まれるのでしょうか。

習近平国家主席(中国共産党総書記)は「党の指導や中国の主権と安全、それに党と国の利益が損なわれるようなことがあれば、どこまでも強く闘う」とことあるごとにその闘争の意志をあらわにしてきました。

すでに日本は否応なく、中国との最前線に置かれています。中国が最も恐れるのは、米国の世界最強の軍事力です。日本が強権的な中国に対抗するには、この米軍の軍事力を利用して中国に無謀な軍事行動を思いとどまらせ、軍事的圧力、すなわち抑止力を効かせることです。

そうして、その体制は確実に構築されつつあります。これからもさらに強化されていくでしょう。今回の日米首脳会談はまさに、それを中国に対して強烈に示しました。日米は、中国が台湾に侵攻すれば、日米は動かざるを得ないとの強烈なメッセージを受け取ったことでしょう。

QUAD、日米安全保障協議委員会(日米「2+2」)、それに続く日米首脳会談です。さらに米国は日米首脳会談以前に、台湾にアーミテージ氏などを含む代表団を台湾に送っています。日米が中国に対してこのような動きをすることは、前から十分に予測できたことです。

日米安全保障協議委員会(日米「2+2」)を伝えるテレビ

これに呼応して中国で気になる動きがあります。今年7月、中国共産党は党創設100年を迎えます。2049年には毛沢東(党主席)が中華人民共和国の建国を宣言した1949年から100年となります。

中国共産党は3月23日、7月の党創立100周年に関する記者会見を開き、軍事パレードを行う予定はないことを明らかにしました。党中央軍事委員会政治工作部の李軍少将が「建党100年の祝賀活動の中に閲兵は入っていない」と明言しました。

今年の中国は中国共産党の建党100周年だけではなく、新経済五カ年計画の初年度という節目の年でもあります。党・政府としては年初から勢いよくダッシュをかけ、大きな成果を挙げたいところでしょう。

ところが昨年末の中央経済工作会議で決まった今年の経済運営方針をみると、内外の不透明要因があまりに多過ぎて、いかにも歯切れの悪い内容となっています。

昨年第14次五カ年計画を打ち出した周近平だが・・・・・

重点政策として打ち出されたのは、(1)国家の戦略的科学技術力の強化(2)産業チェーン・サプライチェーンの自立的なコントロール能力の増強(3)内需拡大を戦略的ベースにすることを堅持(4)改革・開放の全面的な推進(5)優良種子と耕地問題の解決(6)独占禁止の強化と資本の無秩序な拡大の防止(7)大都市の住宅の突出した問題の解決(8)カーボンニュートラル活動の推進-という8項目でした。前年の6項目から2つ増えたうえに、これまでになかった政策がずらりと並んでいます。

(1)と(2)はいずれも新登場の最重要課題で、ともに米中経済戦争の激化の中で、早急な解決を迫られています。米国からの対中制裁による打撃が、いかに深刻かを物語っていますが、これまでやってこなかったことを急にやり始めるわけですから、そう簡単には望んでいる結果を出せないでしょう。

(6)はアリババ子会社の上場中止という衝撃的な事件を受けて、急遽追加されたとみられます。ある程度の規制は必要としても、締め付けが過ぎれば、せっかく盛り上がってきたネット消費に冷水を浴びせかねないです。

8項目政策で明らかなのは、党・政府がこれまで以上に前面に出て、なりふり構わずに成長率を確保し、建党100周年を祝いたいという思惑でしょう。そして新型コロナウイルスの流行からいち早く立ち直り、中国が「独り勝ち」したことを世界に誇示したいのでしょう。

建党記念日は7月1日に設定されてきましたが、実際には7月23日に最初の共産党大会が開催されたようです。この日はくしくも東京オリンピック開会日の7月23日と重なっています。

いずれにしても7月に入れば、世界の関心の目は、東京が新型コロナを乗り越えて、オリンピックを無事に開けるかどうかに集まってくるでしょう。新型コロナを世界に拡散させた中国を見る国際社会の目が依然として厳しい中で、中国はどのように建党100周年の記念日を祝うのでしょうか。ただし、中国は7月1日、中国共産党(中共)の結党100周年記念日に習近平国家主席(68)が「重要演説」を行う計画だと明らかにしました。

中国の習近平指導部は、「抗日戦争勝利70周年」の15年、軍創設90周年の17年、建国70周年の19年と、ほぼ2年に1度のペースで軍事パレードを実施し、内外に軍事力を誇示してきました。党創立100周年という重要な節目でのパレード見送りは、台湾問題や新疆ウイグル自治区の人権侵害などをめぐり欧米が批判を強める中、中国脅威論がさらに高まるのを避ける思惑もありそうです。

それに変えて、習近平が重要演説を行うというのですが、はたしてどのような演説をするのでしょうか。良い材料が一つもない現状の中国です。あまり期待できそうにもありません。

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