2021年4月23日金曜日

上院外交委員会が研究所流出説の評価を命じる法案を圧倒的多数で承認―【私の論評】何でも陰謀論と片付けていては、真実は見えてこない(゚д゚)!

上院外交委員会が研究所流出説の評価を命じる法案を圧倒的多数で承認

<引用元:デイリー・コーラー 2021.4.21
上院外交委員会は21日、米国の国家と経済の安全に中国がもたらす脅威に対する統一された戦略的手法を提示する、広範で超党派的な法案を圧倒的多数で承認した。

281ページにわたる2021年戦略的競争法(Strategic Competition Act of 2021)の方策の中には、COVID-19が武漢ウイルス研究所(WIV)からの流出によって人の中に入った可能性と、人畜共通の感染や波及といった他の起源説を評価したレポートを出すよう国家情報長官(DNI)に命じる条項がある。

「COVID-19パンデミックの起源を理解することは重要であり、そうすることで米国は将来のパンデミック的な健康被害に対して備えと予防を高めることができる。COVID-19パンデミックが米国人全員にもたらした影響を考えると、米国民は必要に応じて、米国がCOVID-19の起源についてどのような情報を所有しているかを当然知るべきだ」と法案には記されている。
米国の外交委員会の委員長である民主党のメネンデス氏(左)と共和党のリッシュ氏(右)

法案は、外交委員会の民主党委員長であるニュージャージー州のボブ・メネンデス上院議員と、委員会幹部のアイダホ州のジェームズ・リッシュ上院議員が後援した。委員会は21日に21対1で法案を承認し、共和党ケンタッキー州のランド・ポール上院議員だけが反対した。

法案が議会で可決されてジョー・バイデン大統領の署名で成立すれば、DNIはパンデミック前にWIVが行っていたコウモリ由来のコロナウイルスに手を加える研究について、連邦政府の知識を詳細に説明することも要求される。

アンソニー・ファウチ博士が主導する国立アレルギー感染症研究所(NAIAD)は、機能獲得実験としても知られるそのような研究を実施するために、2014年から2019年にWIVに対する60万ドルの送金を含めた補助金を拠出していた。

本紙は4月初めに、機能獲得実験を監視するために存在する連邦政府の監視委員会が、その研究を調査対象としなかったためNAIADの補助金を調査しなかったことを報じた。審査委員会が作られたのは2017年で、そうした実験のもたらすリスクは大きすぎるという幅広い科学的な懸念のために、機能獲得実験への連邦政府予算が3年間中止された後のことだった。

戦略的競争法では、COVID-19の起源についての世界保健機関の報告は中国政府の干渉によって妨害されたという、バイデン政権とその他13人の民主党議員が示した懸念を議会も共有するとしている。中国政府はどの科学者が調査に参加できるかについて拒否権を持ち、パンデミック初期の完全なオリジナルのデータとサンプルへのアクセスを禁止した。

DNIに研究所流出説の情報開示を命じる措置を上院外交委員会が超党派で支持する前には、WHOの報告後に、ウイルスが武漢の研究所から流出した可能性を完全に調査することが必要だと24人の科学者グループが4月初めに公開書簡で述べていた。科学者らによるとWHO報告は「信頼できる分析と評価の最も基本的な一定の基準に達しなかった」ということだった。

研究所流出説の支持がますます主流になって来る前、共和党アーカンソー州のトム・コットン上院議員のような初期の仮説提唱者は、2020年の全国メディアかや多くの科学コミュニティから陰謀論者というレッテルを貼られた。

【私の論評】何でも陰謀論と片付けていては、真実は見えてこない(゚д゚)!

研究所流出の可能性に関しては、中国寄りと批判されたあのWHOですら、完全否定していません。

世界保健機関(WHO)は3月30日、新型コロナウイルスの起源を調べるために中国に派遣した調査団の報告書を公表しました。WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、新型ウイルスが武漢市の研究所から流出した可能性は極めて低いものの、この説を決定的に排除するにはより広範な調査が必要との認識を示しました。

新型ウイルスは2019年末に中国・武漢市で初めて見つかりました。

中国政府は研究所からの新型ウイルス流出疑惑を否定しています。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、新型ウイルスが初めて確認されて以来、世界で280万人以上が死亡し、1億2800万人以上が感染しています(日本時間31日午前時点)。

WHOの専門家チームは1月、新型ウイルス感染症COVID-19の発生源を調べるため武漢に入りました。調査は中国当局から提供されたサンプルや証拠をもとに行われました。

テドロス事務局長は、専門家チームが生データにアクセスするのに苦労したとし、今後の「より適時かつ包括的なデータ共有」の実現を求めました。

同チームは新型ウイルスが武漢ウイルス研究所から流出した説も含め、あらゆる可能性を調査した。同研究所はコウモリのコロナウイルスの収集・保管・研究で世界的権威となっている。

米国のドナルド・トランプ前大統領も、新型ウイルス流出説を支持していました。

ドラナルド・トランプ全米大統領

しかしWHOと中国の専門家は30日に発表した報告書で、研究所から新型ウイルスが流出した可能性は極めて低く、コウモリから動物を介しヒトに感染した可能性があると結論付けたと、AFP通信は伝えました。

一方で、テドロス氏はこの説をめぐっては「専門家を交えた追加ミッションを行うなど、さらなる調査が必要」だと述べました。

「WHOに懸念がある限り、全ての仮説がテーブルの上に残っている。このことを明確にお伝えしたい」

WHOの調査チームを率いたピーター・ベン・エンバレク博士も30日、武漢の研究所が今回のアウトブレイクと関係があることを示す証拠は見つかっていないと述べました。

エンバレク博士は、同チームは中国国外からも含め、政治的圧力を感じていましたが、最終報告書から何かを削除するよう迫られたことはなかったと付け加えました。

また、2019年10月あるいは11月頃に武漢地域で新型ウイルスが広がっていた可能性は「大いにあり得る」としました。中国は同国内で最初の感染が報告されてから1カ月後の1月3日にWHOに新型ウイルスについて報告しました。

米国や日本、韓国など14カ国は今回の報告書に懸念を表明。中国に対し、専門家にデータへの「完全なアクセス」を提供するよう求めました。14カ国は声明で、武漢での調査が予定より「大幅に遅れ、完全な元データやサンプルへのアクセスが欠如していた」と主張しました。

また、WHOと協力していくことを約束しました。

武漢市で最初の集団感染が確認されたにも関わらず、中国はこれまで、同市が必ずしも新型ウイルスの発生源とはいえないと主張してきました。同国国営メディアは輸入した冷凍食品でウイルスが運ばれてきた可能性があるとしています。これは、ほとんどありえないことと、多くの専門家が指摘しています。

冒頭の記事で、機能獲得実験(gain of function research)という言葉がでてきましたが、これは問題視されています。機能獲得実験では、病原体を遺伝子操作して病原体が持つ機能を増強したり、病原体に機能を付加したりします。

それにより、病原体がどう変異して感染力が高まるか研究することができたり、より優れたワクチン開発に向けた研究ができたりするというベネフィットがあります。しかし、その一方で、恐ろしい病原体が生み出され、それが研究所から流出してパンデミックを引き起こすリスクもあると懸念されていたのです。

そのため、2011年、ウィスコンシン州とオランダにある研究所が、フェレット間で効率的にウイルスが感染するようにH5N1鳥インフルエンザウイルスを変異させる実験を行っていたことが明らかになった時は、抗議が起きました。ちなみに、研究所は、フェレット間での感染実験は、ヒトヒト間でのインフルエンザの感染のしやすさを研究するモデルになるという理由で行っていました。

2014年10月、オバマ政権は、機能獲得実験により、機能を獲得して強力化したウイルスが市中に漏れ出すリスクを懸念し、機能獲得実験に対する連邦助成金の提供を一時中断しました。

しかし、2017年には、危険な病原体の研究を監督する機関としてP3CO(米保健福祉省"Human and Health Service"内にある監督委員会)を設け、機能獲得実験に対する連邦助成金の提供を再開しました。

P3COは、「大流行の可能性のある強化された病原体」に連邦助成金を出す価値があるか、また、強化された病原体が安全な環境下に置かれているかなどについて審査を行っています。また、P3COは、連邦助成金があてられる機能獲得実験に対し、追加的に危険低減措置を行う必要があるかどうかレコメンドする責任も担っています。

武漢ウイルス研究所で行われていたコウモリのコロナウイルス研究(コウモリのコロナウイルスを遺伝子的に改変するためのプロジェクト)に対しては、ニューヨークの非営利研究機関エコアライアンスを通じて、米国立衛生研究所の連邦助成金60万ドルの一部があてられていました。


しかし、エコアライアンスが米国立衛生研究所から受け取った、武漢ウイルス研究所でのコウモリのコロナウイルス研究のためにあてられた連邦助成金は、このP3COの審査を受けていなかったのです。

では、なぜ審査を受けなかったのでしょうか。背後にはシステム上の問題が潜んでいるようです。P3COは、連邦助成金を提供する米国立衛生研究所(NIH)の副機関である米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が審査をするよう警告を出すまでは審査を行わないシステムになっているというのです。

つまり、米国立アレルギー・感染症研究所が、武漢ウイルス研究所でのコウモリのコロナウイルス研究のための連邦助成金について審査するよう警告を出さなかったことから、P3COによる審査が行われなかったのです。

ではなぜ、警告を出さなかったのでしょうか。NIHのスポークスパーソンはその理由について、デイリー・コーラーにこう話しています。

「NIAIDが連邦助成金を詳細に検討したところ、武漢ウイルス研究所でのコロナウイルスの研究は機能獲得実験ではないと判断したのです。ウイルスの病原性や感染力を強力化する研究が含まれていなかったからです」

NIAIDの判断に対し、分子生物学者であるラトガース大学のリチャード・エブライト氏は疑問を投げかけています。

先週出されたWHOの報告書によると、研究所で行われていた研究はコウモリのコロナウイルスの実験の際に組み替えウイルスを使っており、それは機能獲得実験に当たるとエブライト氏は指摘、「NIAIDが、エコヘルスアライアンスに認可した連邦助成金はコロナウイルスの感染力を増強させる機能獲得実験に関与していないと判断したことは間違っていた」と述べています。

CDC(米疾病対策センター)ディレクター(前所長)でウイルス学者でもあるロバート・レッドフィールド氏も、CNNで、コロナウイルスが効率的にヒトヒト間感染するような機能獲得実験が行われていた可能性を指摘しています。

ロバート・レッドフィールド氏

また、NIHの要約書は、コロナウイルスの感染実験については、P3COの枠組みの中で、その実験によりベネフィットがリスクを上回るか審査する必要があるとしているが、それがなされなかったとエブライト氏は指摘しています。

「NIAIDとNIHは審査をするよう警告せず、P3COをシステム的に無効にした」

実際、連邦助成金が交付されたコウモリのコロナウイルス研究はリスクがあった可能性があります。

ワシントンポストによると、2018年、中国にあるアメリカ大使館の外交官が武漢ウイルス研究所を訪問した後、外交公電で、研究所の安全運営に問題を見出し、研究所で行われているコウモリのコロナウイルス研究は、新たに、SARSのようなパンデミックを引き起こすリスクがあると警告していたからです。

もし、レッドフィールド氏の私見通り、武漢ウイルス研究所から新型コロナが流出していたとしたなら、その遠因には、コウモリのコロナウイルスの研究に対する連邦助成金が事前に米保健福祉省のP3COにより審査されていなかったという問題があったのかもしれないです。

もし、審査され、ベネフィットを上回るリスクが見出されていれば、追加的な安全措置が講じられたか、あるいは、連邦助成金が認可されなかった可能性もあります。翻せば、審査されなかったために、リスクが見出されることなく交付された連邦助成金で研究が行われ、それが新型コロナの流出に繋がった可能性もあるのかもしれないのです。米連邦助成金の審査問題は「研究所流出説」の信憑性を高めることになりそうです。

以上のことから、上院外交委員会が研究所流出説の評価を命じる法案を圧倒的多数で承認したことには、大きな意味があると思います。無論だからといって、「研究所流出説」がすぐに正しいということにはなりませんが、これから調査する価値は十分にあります。

初期の「研究所流出」仮説提唱者は、2020年の全国メディアかや多くの科学コミュニティから陰謀論者というレッテルを貼られました。これは、トランプ氏のように政治家ならまだしも、科学者なら大変なことです。このようなことがあったので、多くの科学者が口を閉ざしてしまったたという点は否めないです。

陰謀論という貶めの言葉は、暗黙のうちに実在論の正当性を前提にしています。つまり、「自分が見えている世界」「自分たちが社会だと思っているもの」の外部に意図や動きがある、という考え方そのものに対する忌避です。しかし、それを忌避していれば科学や学問、社会の発展もなくなるのです。現在の中共のように・・・・・・・。



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