【日本の解き方】医療崩壊これから止めるには「札束のムチ」しかない 2月下旬からのワクチン接種も万全の準備を
新型コロナウイルス感染症患者の対応に当たる医療スタッフら =さいたま市大宮区の自治医科大附属さいたま医療センター |
経済学のイロハとして、「需要」と「供給」がある。需要は短期間で増減したりするが、供給は短期的に増減しにくく、特に生産設備が毀損(きそん)して短期に減少することはあっても、増加させるのは難しい。だから、あらかじめ昨年5月に10兆円の予備費を組んで中期的な供給対応を図ったのだ。
カネの力で中期的な供給アップを図ることができるのは、医療でも同じだ。専用病床など医療設備の増強、手当を拡充させた上で退役医師・看護師の確保や医療体制の人員シフトなどについて、中期的な対応ができるからだ。
しかし、多額の予備費に対する一部野党やマスコミの批判があり、関係者が萎縮してしまった。夏頃にコロナがひと段落していたこともあり、現場の医師会、知事からの具体的な要請もなく、厚生労働省の積極的な予算消化もないまま、無為な時間を過ごしてしまった。
今の段階でできることは、病床に余力のある民間病院のコロナ専用病床への転用について補助金を出すことで、これは既に行われている。さらに、医師・看護師への手当アップもやるべきことだ。こうなったら、カネの力に頼るしかない。
政府の要請に従わない医療関係者に、罰則などのムチを打つのは、いうまでもなく適切ではない。ムチではなく、札束でたたくのなら、いいだろう。
海外のような戒厳令に近い非常事態法制について、平時に議論さえ行われず、存在しない日本では、個人の私権制限や罰則は無理で、現実策として、言葉は悪いが「札束のムチ」しかできない。
準備しておくべきことは、病床・医師看護師の確保だけでない。2月下旬からのワクチン接種もある。この予算手当も、昨年5月の第2次補正予算で1300億円計上されている。
このワクチン接種は、予防接種法に基づくものなので、実務についてこれまで厚労省中心で都道府県、市町村で検討されてきた。昨年12月には実務マニュアルも作られ、自治体向けに説明会も行われている。ワクチン接種に伴う冷凍施設や配給体制も整備されているが、ほとんど報道されていない。もちろん、全てが予定通りに行かないかもしれないが、国民も含めて万全の準備をしなければいけない。
こう考えると、今回、河野太郎規制改革担当相がワクチン担当相になったのは、同氏の発信力を生かす意味で時宜を得たものだ。
マスコミはコロナ報道であおりたいだけになりがちだ。ワクチンについても副作用を過度に強調して、子宮頸がんワクチンの愚を繰り返しそうなので、筆者は心配している。河野大臣の発信力に期待したい。(内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)
【私の論評】コロナも過去のインフルエンザのように、近いうちに必ず収束する(゚д゚)!
このブログでも過去に掲載したように、医療崩壊は本来防ぐことができます。実際、2016年の2月には、1週間で200万人のインフルエンザ感染者が出たのですが、医療崩壊も起きず、インフルエンザ由来の経済の落ち込みもありませんでした。
インフルエンザとコロナは違うという方もいらっしゃるとは思いますが、ウイルス由来による病ということでは同じです。それにインフルエンザを軽く見るべきではありません。コロナは高齢層にとって特に危険なのですが、インフルエンザはすべての年齢層に感染して深刻な事態が生じていました。
コロナでは10歳以下の重症化はありません(1例あったが後に間違いってあったことが判明)が、インフルエンザは、子供でも重症化する例も多く、当時はインフルエンザ脳炎でなくなる子供もいて深刻な状況でした。
医療崩壊が起きなかった最大の要因は、インフルエンザが日本伝染病の分類では5類だったのに対し、コロナは2類であり、一部は1類扱いされているところだと思います。
無論、コロナの正体が見えなかった、昨年の初期の段階では2類扱いにするのは妥当だったと思いますが、現状でもまだ2類扱いしているのは、過剰だと考えられます。
これには、エビデンスもあります。
2019年にインフルエンザが直接的に死因の人は3575人。インフルエンザによる慢性疾患悪化による死亡者を含めて毎年約1万人だといいます。昨年のコロナ死亡者は3800人ほどです。コロナが直接死因の人とコロナによる慢性疾患悪化の死亡者が含まれています。
それに、コロナ死亡者の平均年齢は、平均寿命より4歳くらい若いだけであり。その大半が持病など基礎疾患があることを考えればコロナが直接の原因で死亡したと言えるのかと言う問題もあります。
結局、日本のやり方は全部平常時の対応ということにつきると思います。そのため、コロナ対応でも、5類から2類への転換とか、民間病院や医療従事者への手厚い保護など、喫緊の課題であったはずなのに、昨年の夏の段階で何もできなかったのでしょう。
コロナを5類扱いにしていれば、医療崩壊の危機に見舞われることなどあり得なかったと思います。
ただ、そうは言っても、未だ2類扱いしているわけですし、ワクチンもまだ接種が開始されていないわけですから、これに対する解消法は、やはり高橋洋一氏が主張するように、病床に余力のある民間病院のコロナ専用病床への転用について補助金をさらに出すことと、医師・看護師への手当アップもやるべきことです。
しかし、これは当然といえば、当然のことだと思います。民間病院はまずは利益を出すことが至上命題です。これは、なにやら悪い事のように考える人もいますが、そんなことはありません。
経営学の大家であるドラッカー氏も語っていますが、利益とは単なる儲けではなく、未来への投資でもあるのです。そもそも、利益がなければ、どんな民間組織でも継続は不可能です。
このようなことは、利益などとは関係のない官僚や、日刊新聞法や放送法などの法律で手厚く保護されているマスコミ関係者などの行動や発言などをみていれば良くわかるでしょう。利益を考えなくても良い人たちは、ともすると物事がまともに考えられず、時に馬鹿というか幼稚な行動や発言をします。
利益を前提とするまともな民間企業や組織では、若い頃は空虚な理想論を語っても、それを続ける人はいません。どんなに素晴らしい理想論を語ってみても、すぐに現実に打ちのめされるからです。だから、民間企業で働く人達は、官僚やマスコミ関係者からみれば、まともにみえます。
政治家も問題行動、発言をする人もいますが、選挙という縛りがあります。選挙に落ちてしまえばただの人です。官僚やマスコミは違います。
だから、コロナのような危急存亡の時にこそ、民間病院や働く人達を手厚く補助するのは当然のことです。これらの組織やそこで働く人たちは、これは一時的なものであることを十分に理解していて、官僚やマスコミの一部(多く?)の人にみられる、馬鹿で幼稚な行動や発言をすることはないからです。
それと、コロナの最前線で働く、医師・看護師は当然のこととして、その他の看護助手や消毒などをする事業者を含めたコロナ患者に直接関わり、リスクのある医療従事者にも資金面で手厚い保護をすべきでしょう。
これでしのいでおきながら、後はワクチン接種が始まった頃から、コロナウィルスの2類から5類への分類のし直しをするべきでしょう。
コロナ対策においても、官僚主導の問題とは何かというと、平時の安定した環境で、少しずつ改善していけばいいというようなときには官僚主導はうまく機能するのですが、緊急事態が起きて前例なき決断や大転換をしないといけないときには対応ができないということです。
このようなときこそ、政治家が活躍すべきだと思うのですが、エリートの“お坊ちゃま”官僚たちや二世議員たちで占められている日本の統治機構に「戦時の対応」など、ハナからできるはずはなかったのです。コロナで日本が示した体たらくは、むしろ当然であって、不思議でも何でもなかったのです。
その中で最近の最大の極めつけは、新型コロナウイルス変異種の死亡率の高さです。この変異種は英国では従来型よりも最大70%感染力が強いとされ、諮問グループが分析結果を政府に報告。
ジョンソン首相の記者会見に同席したバランス首席科学顧問によると、60代の感染者1000人あたりの死者は従来型の場合は約10人だが、変異種は13~14人に増えると推計されたそうです。他の年齢層でも同様の傾向がみられたというのです。
計算上は従来型よりも死亡率が約3割増えるが、同氏は「(死亡率が高まる)確かな証拠はまだないといいます。(分析データの)数値には不確かな点も多く、さらなる作業が必要だ」と強調。英国で接種が進む英製薬大手アストラゼネカ製と米製薬大手ファイザー製のワクチンは有効と説明しました。
これも良く考えてみてください。感染者が日本よりはるかに多い英国では、以上が事実なら確かに重大問題ですが、もともと感染者数が少ない日本では、少ない感染者が3割増えたところで、英国よりは深刻な問題にならないはずです。これよりも、2016年インフルエンザのほうがはるかに深刻でした。
コロナが終息したあかつきには、これら政治の問題や、マスコミの問題も白日のもとにさらし、あるべき姿にもっていく努力をすべきです。
多くの国民の皆様には、2016年のインフルエンザも収束したように、コロナも必ず収束すると信じていただきたいものです。特に収束は意外に近いかもしれません。少なくとも半年しないうちに訪れるでしょう。オリンピック開催も夢ではなくなるかもしれません。少なくとも、完全な形ではなくても、ある程度限定した形ならできる可能性は十分にあると思います。
私達としては、将来に希望を持って、日々目の前のすべきことをやって、終息後に備えていこうではありませんか。
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