2021年1月31日日曜日

トヨタや日産、VWなど半導体不足で自動車メーカーが減産に―【私の論評】日本の産業界のイノベーションが、中国の世界覇権、GAFAの世界市場制覇を抑制し、平和な世界を築く礎になり得る〈その2〉(゚д゚)!

トヨタや日産、VWなど半導体不足で自動車メーカーが減産に


日産の自動車工場


150万台に及ぶとの観測も


 1月中旬から半導体の不足で世界中の自動車メーカーが減産に追い込まれている。「米国と中国の復調を足掛かりに、巻き返しに向けて『さあ、これから』というときだったのに……」と関係者は嘆声をあげる。

 トヨタ自動車は米テキサス州の工場でピックアップトラック「タンドラ」を減産。日産自動車は追浜工場で主力小型車「ノート」の減産を余儀なくされている。ホンダも北米や鈴鹿製作所での減産を明らかにした。

 日系メーカーのみならず、フォルクスワーゲンやフォード・モーター、フィアット・クライスラー・オートモービルズも減産に陥るなど影響は広がる。

「昨年コロナで自動車メーカーが減産して半導体の受注が減少したところに、思わぬ形でゲームやパソコンの巣籠もり需要が発生。車用の生産に回らなくなってしまった。いま急に作れと言われても対応できない。今後、自動運転やEV(電気自動車)が増えればもっと半導体の奪い合いが進むことが予想されるだけに、各社の確保策が問われるだろう」(電機業界関係者)

 一般的にガソリン車1台当たり半導体は約30個搭載される。だが、EVや高級車になると搭載数は一気に3倍弱に増える。奇しくもクルマの高度化に伴う歪が現れた格好だ。半導体不足で、世界の自動車メーカーで150万台前後の減産につながる可能性があるとも言われる。

 自動車メーカーは自然災害などで一部の部品の供給が停止し、生産が止まった事例を何度も経験してきたが、「半導体は業界を跨ぐ製品であるだけに異質だ」(自動車会社関係者)

 コロナによる直接の影響が収まっていない中での新たな不安要素の出現で、自動車業界の先行きに更に不透明感が増している。

【私の論評】日本の産業界のイノベーションが、中国の世界覇権、GAFAの世界市場制覇を抑制し、平和な世界を築く礎になり得る〈その2〉(゚д゚)!

現状では、自動車業界に限らず、世界中の多くの産業で半導体の供給不足が懸念されています。コロナでどちらかというと、人々の外出も減り、世界中で景気が低迷してるのに、なぜこのようなことになるのでしょうか。


その答えは、意外なものでした。味の素の子会社である、味の素ファインテクノが供給する、層間絶縁材料「ABF」が、世界的な半導体供給不足のボトルネックとなっている可能性があることを複数のメディアが報じているのです。

「ABF」は、微細な複数の層を積み上げていく、現代のCPUにおいて取り扱いや加工性能に優れることから、1999年に採用されて以降、現在ではほとんど全てのCPUにこの「ABF」が使用されていると言われています。

特に世界的な大手であるTSMC(台湾セミコンダクタ・マニュファクチャリング)では、現在好調である次世代ゲーム機、「PS5」や「Xbox series X」の7nmプロセスCPU製造をAMDから請負い、更にPC向けでは、5nmプロセスで製造するAppleの「M1」チップが同様に好調であり、どちらも市場では品薄となってしまっています。

2020年11月に発売された家庭用ゲーム機のPlayStation 5Xbox Series Xは、どちらもAMDのZen 2アーキテクチャベースのCPUとGPUを搭載していることで話題となりました。しかし、発売から2カ月経った記事作成時点でも市場には十分な数が供給されておらず、品不足が続いています。

PlayStation 5Xbox Series Xに搭載されているCUP

ExtremeTechによれば、ソニーやMicrosoftがAMDから購入した7nmプロセスチップの最大80%が、家庭用ゲーム機用に確保されているとのこと。そのAMDのチップはAMD自身が生産しているのではなく、世界最大の半導体ファウンドリであるTSMCが生産ラインを抱えています。

ExtremeTechによると、PlayStation 5やXbox Series Xの登場によってAMDのCPUやGPUの需要が急増したことで、2020年秋頃からTSMCがチップの絶縁体に用いられる「Ajinomoto Build-up Film(ABF)」の不足にあえいでいることが供給のボトルネックになってしまっているそうです。

ABFは味の素グループが開発した高性能半導体の絶縁材です。ナノメートルレベルで回路が構築される現代のCPUでは、複数の回路が何層にも重なった多重構造が当たり前になっており、その層の間を絶縁するためにABFは使われています。味の素によれば世界の主要なPCのほぼ100%に使われているとのことです。

このABFの不足はAMDだけではなくIntelやNVIDIA、Qualcomm、Apple、Samsungなど、数々のチップメーカーに大きな影響を与えています。経済ニュースメディアのDigitimesは「2021年にはABFの供給不足が悪化する可能性がある」と2020年6月に報じていますが、この予測は的中したようだとExtremeTechは述べています。

また、PlayStation 5やXbox Series Xに採用されているGDDR6の歩留まりが悪いことがGPU不足の一因とす可能性もExtremeTechは認めています。ただし、ExtremeTechは「どのコンポーネントの不足がゲーム機の供給不足を引き起こしているのかははっきりしていない」とも述べ、今回のPlayStation 5やXbox Series Xの供給不足は単なる歩留まりの問題では説明できないとしています。

海外メディアでは、主要なABFサプライヤーはいずれもABFの供給不足に陥っており、2021年に入ってもしばらくはABF、AMDやAppleが供給するCPUの供給不足は続いて行くと推測しています。

ABFに限らず、フッ化水素なども含め高性能な半導体を製造する材料のほとんどを供給しているのが日本企業です。GAFAMといった巨大IT企業と言えども、半導体の供給がストップすると、彼らのサービスを提供することができません。

いまや半導体、テレビ、パソコンの製造は台湾、チャイナが担っているのですが、そのための材料や部品や製造装置、基礎的な資源や技術は日本にあるのです。

本当に日本の底力は、末恐ろしいです。これらのいずれかの輸出をストップしてしまえば、日本しか優れたCPUや半導体を製造できないことになってしまいます。

 東京エレクトロンが開発・販売する、「マイクロ波励起高密度プラズマ技術を
 用いた半導体製造(エッチング)装置」


それに、日本の産業界はこれからも、さらに優れた素材、製造装置などを開発し続けていくことでしょう。

冒頭の記事にもあるように、世界的半導体不足で、自動車の生産が一部で止まっています。スマートフォンの生産にも問題が出てきており、仮想通貨もマイニングマシンの生産に問題が出始めています。 TSMCやサムスンなど生産拡大を急いでいますが、味の素グループがアミノ酸技術で作った絶縁体の供給量以上の生産は不可能です。まさに、 世界の工業生産は味の素等の日本産業界が握っていると言っても過言ではありません。

以上の事実を知れば、先日私がこのブログで主張した、「日本の産業界のイノベーションが、中国の世界覇権、GAFAの世界市場制覇を抑制し、平和な世界を築く礎になり得る」とした私の主張はあながち誇張ではないことがお分かりいただけると思います。

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