2021年5月2日日曜日

バイデン大統領の議会演説の視聴人数がトランプ演説の最低視聴人数を約2400万人下回る―【私の論評】国家レベルの危機に関しては、米国議会が超党派で米国の政治を主導すべき(゚д゚)!

バイデン大統領の議会演説の視聴人数がトランプ演説の最低視聴人数を約2400万人下回る

<引用元:デイリー・コーラー 2021.4.29

ジョー・バイデン大統領の議会演説は、ドナルド・トランプ前大統領の一般教書演説で最も視聴率の低かったものより約2400万人少ない視聴人数だった。

4月28日夜の議会合同会議に対するバイデンの初の演説は、未調整の関連データによると米国東部時間の午後9時に1160万人の視聴人数を記録したとDeadlineが29日に報じた。演説はちょうど1時間を超えたが、近年では最も視聴されなかったものの1つだ。Univisionの108万人の視聴者とTelemundoの88万4千人の視聴者が、ABC、CBS、NBC、そしてFOXを含む放送局の合計に加算されると、視聴人数は1350万人にまで増える。


トランプが下院議会で2017年4月40日に行った初の演説と比較すると、49パーセント低かった。全放送局が最終の数字を集計すると、トランプのその演説の視聴者は4800万人となったとDeadlineは指摘した。

昨晩の大統領の演説をより深い文脈でとらえると、昨年のトランプの最も低い視聴率だった演説でも視聴人数は3720万人となった。トランプの就任中の視聴者数は、2020年の3720万人から2017年の4800万人に及んだ。 

【私の論評】国家レベルの危機に関しては、米国議会が超党派で米国の政治を主導すべき(゚д゚)!

視聴人数がこれだけ低いということは、何を意味しているのでしょうか。多くの米国民は、バイデンの政策がどうのこうのとか、バイデンの人柄がどうのというのではなく、とにかくトランプを落とせば良いと考えたからかもしれません。

あるいはバイデン勝利は不正選挙によるものと考えているのかもしれません。あるいは、この両方があいまって、視聴人数を低くしているのかもしれません。

日本では、不正選挙があったかもしれないというと、まるで陰謀論に与しているかのようにもいわれますが、当の米国でも、多くの国民が不正選挙を疑っています。

バイデン次期米大統領について、ワシントン・ポストとABCニュースは1月17日、米国民の世論調査で、32%が「大統領選で正当に勝利しなかった」と答えたことを明らかにしていました。

この真偽について、述べてももう意味はないかもしれませんが、保守派もリベラル系も注意しなければならないことがあります。

保守系派に関しては、もしバイデン氏が大統領の職務を全うできなくなれば、左翼系のカマラ・ハリスが自動的に米国大統領になるということです。

リベラル系に関しても、同じことがいえると思います。リベラル系の民主党の主流派も、これだけは避けたいと考えているでしょう。

この危機をさけるためには、米国議会が超党派で、米国の政治を主導していくべきです。特に、バイデン氏が左翼系の政策に引きづられないように、協力すべき思います。

さて、以下にバイデン大統領の議会演説の動画(日本語訳つき)を掲載します。


議会演説の全文(英語)は以下からご覧になれます。


この動画をご覧いただければ、おわかりになるように、日本のメディアではこの演説の中国への言及部分だけをピックアップして、拡大し、いかにもバイデン大統領が主に中国について語った「中国政策演説」のように提示したものが多いです。

実際には、演説全体では中国への言及はきわめて短く、演説全体としてはコロナ対策、経済対策、共和党批判、人種問題など国内の諸課題が圧倒的な重みと分量を占めています。

この長い演説のなかでバイデン大統領があえて触れなかった重大課題がありました。それはメキシコ国境から怒涛のように侵入してきた大量の違法入国者によるアメリカの社会や国家の危機でした。国境沿いの各州はもちろんアメリカ全体にとっても国家の危機と呼べる状態にまでなっています。

バイデン政権の誕生以来、米国のメキシコ国境に中米からの入国の希望者が巨大な流れとなって押し寄せてきました。大多数が違法の入国希望者、つまり米国側の入国の規則を無視する不法の移民、難民、亡命者とされます。そうして、とくに幼い子供たちが単身で送りこまれる事例が多いことがこの危機の特徴です。

       メキシコからアメリカに入国しようとする子供の移民の数が、2021年初頭と比べて9倍に
       増加していると、国連児童基金(ユニセフ)が19日に発表


しかしバイデン大統領は議会演説ではこのようなことには一切、触れていません。

国境地帯にはバイデン政権の登場直前から違法入国を試みる男女がそれこそ奔流のように多数、押し寄せてきました。

中米グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルなどからの多数の人間がメキシコを経由してアメリカ国境に集まってきたのです。目的はただ一つ、違法合法にかかわらず、とにかく米合衆国の領土内に入ることです。

その理由は簡単です。バイデン大統領がトランプ前政権の国境の壁の建設を停止し、米国への移民や難民の受け入れ制限を緩和する政策を打ち出したことでした。その中米の人たちは、その新政策に奨励され、われもわれも、米国へ、という動きをとり始めたのです。

トランプ政権では未成年者だけの違法入国者は米国側で身柄を拘束すれば、原則としてみなメキシコ領内に追い返し、その場で改めて米国の入国手続きなどを審査するという措置をとっていました。

ところがバイデン政権では未成年者が成人の保護や同行なしに密入国してきても、そのまま米国領内への臨時の滞在を認めて、その後の審査をするという寛大な措置へと変えたのです。

ただ、バイデン大統領もこの状態を重視して3月24日にはハリス副大統領を国境難民殺到問題への対処の最高責任者に任命しました。ところがその後の1ヵ月、ハリス副大統領もバイデン大統領も国境地帯の現地視察を一切、実行していません。

カマラ・ハリス

その結果、共和党だけでなく一般からも批判されるようになりました。4月末の世論調査ではバイデン政権の移民政策への不支持は52%と、コロナ対策、経済対策など主要政策の中では最も不人気でした。

一方、共和党側ではテッド・クルーズ上院議員らが国境調査団を組織して、テキサス州の国境や難民収容所の現地視察を重ねてきました。その結果、バイデン大統領に対していまの国境の違法入国者殺到の状況を「国家危機」と認めることを求めました。

同大統領は4月17日、地元のデラウェア州のゴルフ場での記者団との簡単な質疑応答で、いまの国境地帯の状況を「危機」と呼びました。

ところが同19日にはサキ大統領報道官は「この言葉は大統領の真の意図ではない」と述べ、事実上の発言撤回をしました。その結果、共和党側からは「この政権では大統領よりも報道官の言葉が権限を持つのだ」(マコネル上院院内総務)と皮肉られました。

この国境の違法入国者の大波の侵入はいまの米国にとって国家レベルの危機となったのです。

このような問題については、先程も述べたように、米国議会が超党派で、米国の政治を主導していくべきです。国家レベルの危機を招いてまで、リベラル・左翼の主義主張を貫く必要性など全くないのです。これは、日本も同じことだと思います。

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