2021年5月16日日曜日

台湾、感染拡大止まらず 16日は207人 動揺広がる―【私の論評】感染者・死者数ともに他国と比較して少ない日台は、ワクチン接種でも常識的な動き(゚д゚)!

台湾、感染拡大止まらず 16日は207人 動揺広がる


台湾当局は16日、新型コロナウイルスの感染者が207人確認されたと発表した。海外で感染した症例が1人で、残りの206人は全て台湾域内で感染した。3日連続で過去最多を更新した。感染を抑えていた台湾だけに、急増する感染者の拡大に、政府や市民の間では動揺が広がっている。

当局の衛生福利部(厚生省に相当)中央感染症指揮センターが16日、記者会見を開き、感染状況を説明した。台湾でこれまで見つかる感染者の大半は、海外からの渡航者だった。

しかし、台北市内の接客を伴う飲食店でクラスターが発生して以降、今週から域内で感染する人が急増した。15日は180人と一気に増え、わずか1日で、それまでの累計の域内感染者数(164人)を上回った。

会見で、新型コロナ対策の指揮を執る陳時中・衛生福利部長は「外出は極力控えてほしい」などと危機感を示し、対策の徹底を呼びかけた。

当局は15日、台北市の警戒レベルを引き上げ、5人以上の会食や、屋外での10人以上の集まりを禁止した。台湾全土では、接待を伴う飲食店やスポーツジム、サウナ、カラオケ店などの施設の営業を全て禁止した。

市民の間には動揺が広がっている。台北市内は16日、日曜日にもかかわらず、人出が一気に減った。市内中心部の飲食店で働く20代男性店員は「台湾人は非常に神経質だ。休日でも当面は外出をせず、お客さんはお店に来ないだろう。残念だが、仕方がない」と語った。

台湾の感染者は累計1682人。海外からの渡航者が多く、域内での感染者数は550人。死者は累計12人にとどまる。

【私の論評】感染者・死者数ともに他国と比較して少ない日台は、ワクチン接種でも常識的な動き(゚д゚)!

台湾国内では近日、北部・台北市、新北市、北東部・宜蘭県でクラスターが相次いで発生。関連の感染者や感染経路不明の患者などが急速に増加し、予断を許さない状況となっていると報道されています。

台湾の感染者数は、本日207人だそうですが、これは日本と比較してどうなのでしょうか。残念ながらネットには最新で、両国とも15日の分しか掲載されていないので、15日で比較します。

15日は、台湾では185人、日本では6331人です。台湾の人口は2357万人、日本は1.263億人ですから、日本の人口は台湾の、5.36倍です。185×5.36=991ですから。台湾が日本の人口に換算した感染者数は991人です。

日本と比較すれば、さほどのことはないです。ちなみに、本日のコロナ死者数は台湾は本日0人、日本は、94人です。ちなみにかなりコロナ禍が緩和されたと報道される米国では、737人です。日本の人口は、米国の約1/3ですから、米国の現在の死者数を日本にあてはめる(1/3にする)と、245人ということになり、米国の死者数は日本にあてはめても、未だに一桁多いということになります。


台湾と日本は、死者数で比較すると、米国よりは日本は桁違いに低く、台湾は皆無ということです。この事実から考えると、日台とも大騒ぎする必要はありません。

それにしても、台湾がなぜこのように日本よりは、感染者数も死者数も少ないのか、これにははっきりとした背景があります。

それは、このブロクでも何度か指摘したように、2019年の夏から中国が中国人の台湾旅行を禁止したため、元々感染拡大の危険性は少なかったという特殊事情もあります。

無論コロナ禍発生直後に、海外からの渡航者の受け入れ拒否をすぐにしたということも効いていると思います。日本政府が国家安全保障会議で、外国人の入国拒否の対象を大幅に拡大することを決めたのは、昨年の4月1日でした。日本が台湾なみに、入国拒否の対象を拡大していれば、日本も台湾並のコロナ禍ですんだという可能性は十分にあります。

では、ワクチンの摂取状況はどうなっているのでしょうか。

台湾では、新型コロナウイルス対策を担う中央感染症指揮センターは15日、1日当たりのワクチン接種者が、接種開始以来最多となったとして、自費接種の予約を一時的に中止すると発表しました。

3月22日からアストラゼネカ製ワクチンの接種を開始した台湾。医療従事者を最優先として、対象者を段階的に拡大してきたのですが、接種状況がふるわず、計31 万回分余りあるワクチンを保存期限前に使い切るため、4月下旬からは自費接種も開始されていました。

これは、自費接種では費用がかかることから、予約をキャンセルしたり、無断で接種に来ないなどということは、ほとんどないからでしょう。日本では昨日述べたように、超法規的な措置で、歯科医もコロナワクチンを打てるように本腰を入れて、ワクチン接種に取り組む姿勢をみせていますが、台湾のように接種状況がふるわない場合には、自費接種も検討すべきでしょう。

それに、日本でも医療従事者、高齢者の接種を優先していますが、キャンセルなどで余った場合は、接種会場近くにいる人に、優先順位などは無視して接種して、無駄をなくすべきです。

同センターによると、14日に接種を受けた人は3万2351人で、内訳は公費2万9159人、自費3192人。3月以来の累計は18万6149人になりました。陳時中(ちんじちゅう)指揮官は、ワクチンを余らせたり、期限を切らしてしまう事態は避けられるとの見通しを示した上で、自費接種の予約をストップさせるのは、公費対象者を優先させるためと説明しています。予約を済ませている人の予定は変える必要がなく、次のワクチンが到着したら予約を再開するとしています。


日本のワクチン接種数は、累計で、5月13日までで、約400万です。台湾は、約18万ですから、日本に換算(5.36倍)すると100万を若干下回る程度です。ということは、日本の接種が遅れているとはいえ、台湾よりはかなり進んでいるといえます。これは、台湾よりも日本のほうが、感染者数や死者が多いので当然といえます。

台湾のワクチン接種数=日本のワクチンを一回以上接種

これは、どういうことかといえば、このブログでは何回か述べてきたように、一般にワクチン接種は感染が多いところからやりはじめるというのが、防疫上の常識であるからといえます。

もし、台湾がこの常識を破り、強力にワクチン接種をすすめていて、日本などの接種がそのために遅れたとしたら、台湾は日本からかなり非難されるということにもなりかねません。

その意味では、日台ともにワクチン接種に関しては、常識的な行動をしているということです。

台湾のマスコミはどうなのか知りませんが、日本のマスコミは上記のようなコロナ禍について、他国との比較分析をせずに、単に数ヶ月前と比較する等して、感染者数が増えていると報道したり、日本のワクチン接種は遅れているとするのみで、結局何をいいたいのか、全くわかりません。マスコミだけをコロナの情報源としている人たちは、コロナの状況を客観的に理解していないといえると思います。

上で述べたデータはすべて、ネットから入手できるものばかりです。マスコミだけを情報源とするのでなく、自分で調べるということも重要なことだと思います。まずは、国際比較などもせず、具体的なデータは感染者数だけとか、ワクチン接種に関しては、日本よりはるかに感染者数が多い国と比較して、日本は遅れていると断定するというお粗末な報道は信じるべきではありません。そうしなければ、簡単にマスコミに操られ煽られることになります。

最近は、テレビに顔を出す感染症専門家というのもあまりあてにならないと思えるようになってきました。無論、彼らもその分野においてはそれなりの専門家であることは間違いないのだと思います。

しかし、経済学においてはマクロ経済とミクロ経済があります。ミクロ経済学とマクロ経済学では見方が、全く違います。ミクロで正しいことが、マクロでは正しいとは必ずしもいえません。たとえば、家計と、日本経済は全く別ものです。これを同次元に扱うことは間違いです。

しかし、マスコミなどでは、これをないまぜにして論じて、国の借金1000万円超などとして、不安を煽っています。

それと同じように、感染症学にも、ミクロとマクロの見方があり、現在テレビに出ている専門家は、ほとんどがミクロの専門家であり、当然のことながらマクロ的な見方ができず、それをマスコミに利用されているのではと思えるようになってきました。これに関しては、いずれまともな専門家自身の方に是非聴いてみたいです。

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