中国春節 |
中国は2016年、人口を2020年までに約14億2000万人にする目標を掲げていたが、この目標をわずかに下回ったことになる。
中国国営メディアはこのところ、今後数年で人口が減少に転じる可能性があるとの見方を伝えている。国連は中国本土の人口が2030年にピークに達し、その後減少に転じると予測している。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は4月下旬、状況に詳しい複数の関係者の話として、中国の人口が2020年に前年比で減少したと報道。中国国家統計局は、2020年の人口は増加したとの1行の声明文を発表したが、いつに比べて増えたかは明らかにしなかった。
経済力の強化を目指す中国では、以前から人口問題に対する懸念が浮上している。
中国政府は2016年に一人っ子政策を廃止し、二人っ子政策を導入した。
国家統計局の寧吉哲局長は11日、国内人口は今後ピークに達するが、時期は不明だと発言。高齢化が進み、出生数が減少しているため、政府は人口動態に関連するさまざまなリスクに積極的に対応していくと述べた。
2010年以前の6回の公式な人口統計(初回は1953年)では、人口は一貫して2桁の伸びを示していた。
今回の国勢調査では、若者の人口が予想外に増加した。14歳以下が占める割合は、2020年が17.95%。2010年は16.6%だった。
2016ー19年の年間の出生率は、2016年を除いておおむね低下している。同局長によると、2020年の出生数は1200万人、出生率は1.3だった。
北京のシンクタンク「全球化智庫」の人口統計学専門家は「出生数が急減していることは確かだ。さまざまなデータがそれを示している」と指摘。
全球化智庫の2020年報 |
中国では、特に1990年以降に生まれた都市部の夫婦の間で、子供をもうけるよりも、自由やキャリアを重視する傾向が強い。
人口が多い大都市で生活費が上昇していることも、出生数を抑制する要因となっている。
政府系シンクタンクの2005年の報告書によると、普通の世帯で子供1人を育てるには49万元(7万4838ドル)かかったが、地元メディアによると、2020年は199万元と、4倍に上昇している。
上海の保険会社に勤務する26歳の既婚女性は「私の年齢の女性が子供を産めば、自分のキャリアに破滅的な影響が出る。また、(上海の)養育費も高すぎる」と語った。
中国の老人 |
現在中国には、3億5千万人のミドルクラス消費者と10億人のその予備軍がいますが、彼らが目指すのは海外不動産を買うこと(中国では土地は政府の所有であり、不動産所有が認められていないため)。
対中同盟の旗印に民主主義を掲げるのは難しい―【私の論評】実は民主化こそが、真の経済発展の鍵であることを中国をはじめとする発展途上国は認識すべき(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国は中進国の罠に間違いなくはまり込みつつあるのは確かです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に結論部分の一部を引用します。
日本では、生産年齢人口が1995年、総人口も2011年から減少し、従属人口比率が高まる局面、すなわち働く人よりも支えられる人が多くなる状況で「人口オーナス」が常態化しています。中国でも少子高齢化が政府の大きな負担となりつつあります。「民主化」それに続く「政治と経済の分離」「法治国家化」が行われなければ、多数の中間層が生まれることもなく、今日の中国のように、いくら政府が音頭をとって巨額の投資をして、イノベーションをうながしたとしても、それは地域的にも、階層的にも、点のイノベーションにしかなりえず、一部の富裕層が豊かになるだけです。
そうして、あらゆる地域、あらゆる階層(特に多数の低所得層と数少ない中間層)の社会に非合理、非効率が温存され、旧態依然とした社会が残り、経済発展できないのです。
先進国が、故なく先進国になったのではなくそれにはまず「民主化」をすすめ、その後「政治と経済の分離」「法治国家化」をすすめたからこそ、先進国になったのであり、そうしなければ、「中進国の罠」からに阻まれ、先進国になることはなかったのです。
文革などで伝統文化が破壊されたことから、家族で高齢者を扶養する風習がなくなり、政府が主体となって介護サービスを提供する状態になっているのは日本と似ているところがあります。
中国の社会保障費(介護を含まず)は国家歳出の2割以上を占め、その伸びは国防費を上回っていますが、実態に比べて財政の投入量ははるかに少ないです。このような事情から、「中国経済も2015年に人口オーナス時代に突入したのではないか」との懸念がすでに出ています。
日本の場合は、民主化が達成さているので、人口オーナスが常態化していますが、それでも様々なイノベーションが可能で、この問題を解決できる可能性が十分あります。
しかし、民主化されていない中国では、たとえ政府が音頭をとって、少子高齢化問題に対するイノベーションを起こそうと思っても、それは点のイノベーションに過ぎす、あらゆる地域、あらゆる階層において不合理・非効率が温存され、少子高齢などの問題を解決することは困難を極めることでしょう。
民主化が期待できない、これから先の中国は、少子高齢化と、中進国の罠に阻まれて、先細りしていくだけです。
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