2021年5月30日日曜日

「習氏の野望」日台で粉砕 バイデン政権、対中共闘で文政権を排除も…真意は日韓ともに「次の政権」に期待か 大原浩氏緊急寄稿―【私の論評】安倍晋三氏の再々登板は、内外ともにあり得る状況になってきた(゚д゚)!

「習氏の野望」日台で粉砕 バイデン政権、対中共闘で文政権を排除も…真意は日韓ともに「次の政権」に期待か 大原浩氏緊急寄稿

習近平

 中国との対立姿勢を強める米国。ジョー・バイデン大統領の思いとは別に、米国は習近平氏が事実上の「皇帝」として君臨する可能性がある中国を「最大の脅威」として標的に定めたとみるのは国際投資アナリストの大原浩氏だ。大原氏は緊急寄稿で、米国が対中包囲網の主軸を日本と台湾に託す一方、韓国の現政権には見切りをつけていると指摘する。

 1月の大統領就任以来のバイデン氏の言動を見ると、ドナルド・トランプ前大統領が「居眠りジョー」と揶揄したのがズバリ当たっているように思える。自動運転モードの乗用車の中で、ハンドルも握らずに優雅に昼寝を楽しんでいるかのようだ。

 イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの軍事衝突に関する「停戦の仲介」でも、バイデン氏自身がどこまで関与したのかは不明だ。米国の真意は、首脳会談で菅義偉首相にハンバーガー、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領にカニ肉を使ったクラブケーキが出された-などという表面的行動を見ているだけでは全く分からないのだ。

 それを読み解く上で最も重大なのが「習氏が権力を掌握している限り、中国は冷戦時代のソ連と同じ最大の脅威(敵国)」ということであろう。

 米中の「蜜月」は、1990年代前半のビル・クリントン政権から続き、トランプ政権で覆されたが、2018年の3月11日に、全国人民代表大会で、国家主席の任期を「2期10年」までとする規定を撤廃する憲法改正案を採択した。

 そもそも、「2期10年」の規定がつくられたのは、西側推定で8000万人の国民を死に追いやった毛沢東時代への反省からである。反省の気持ちを持ち続けていたからこそ、西側諸国も共産主義国家である中国を受け入れてきたのだ。

 規定が撤廃されただけで「終身国家主席」=「皇帝」の地位が保証されるわけではないが、そのような野望が西側諸国を警戒させるだけではなく、強権的な政治に対する内外の反発を招くという意味で、「中国包囲網」は、習氏自身が招いたものだといえる。

 米国が、中国包囲網の頼りになるメンバーだと考えているのが日本と台湾だ。だから、日本は堂々と米国と渡り合えば良い。ただし、ウイグルの人権問題を抱える中国に「味方した」などととらえられることがないように細心の注意を払うべきだ。

 台湾は少々複雑だ。蔡英文総統が率いるのは、米民主党と同じ左派の民進党だ。この複雑な問題については、人間経済科学研究所HPにある研究パートナー・藤原相禅による「台湾人は本当に親日なのか?」が参考になる。

 韓国も自由主義陣営に取り込みたいはずだが、文政権は、バイデン氏が副大統領を務めていたバラク・オバマ政権時代に、当時の朴槿惠(パク・クネ)政権に繰り返しアプローチしてようやく締結した日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を、安全保障とは全く無関係な日本への嫌がらせの道具として使った「実績」がある。

 バイデン政権の閣僚は、オバマ政権時代から引き継いでいるケースが多いこともあって、文氏をまともな交渉相手と見ているとは思えない。韓国の大統領は再選が禁じられており、1年を切った任期が終われば「韓国歴代大統領の伝統」に従って厳しい末路が待っていることも考えられる。だから米国は、韓国の「次の政権」に期待を寄せていると思われる。

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相も再出馬しないと宣言しており、秋の退任が決まっている。

 また菅義偉首相は9月までの総裁任期だが、現状では苦境に立っている。米国の真意は、もしかしたら「次の世代の首脳たち」と強固な関係を築くことにあるのかもしれない。安倍晋三前首相の再々登板はあり得るだろうか。

 ■大原浩氏(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

【私の論評】安倍晋三氏の再々登板は、内外ともにあり得る状況になってきた(゚д゚)!

昨日のブログで私は、以下のような結論を述べました。

日本の進む道は明らかです。世界の経験からすれば、集団安全保障が平和を守り、単独防衛では平和維持がかなり難しいということが分かります。集団安全保障体制に入っていれば、戦争に巻き込まれる恐れはないのです。

QUADによる集団安全保障は日本にとっていかに大事かということを日本人大多数の共通認識にして、日本は東アジア・太平洋地域の平和維持に貢献すべきなのです。「弱小国の振り」などするのはやめて、他の普通の国と同じようにすべきなのです。

昨日も述べたように、現在のQuadは、まだ軍事同盟にまでは至ってはいませんが、4カ国は、いずれこれを軍事同盟としても機能させるべきでしょう。そのためには、Quadでも安全保障条約の締結をするべきでしょう。

これを締結すれば、仮に米国の大統領が、バイデンよりもさらに親中的な大統領になったとしても、米国自体が過去のオバマ政権のように、中国に対する曖昧な態度を取り、中国を増長させることはなくなります。

オバマ氏(左)とバイデン氏(右)

また、日本にとっても良い影響があります。Quad諸国が、集団的安全保障を確実にするために、日本にも応分の行動をもとめるようになれば、日本にとっては改憲をせざるを得なくなります。それに反対する勢力なども、ファイブアイズの諜報力により、明らかにされる可能性も大きいです。

そうして、いずれ台湾など他の国々もQuadに取り込むべきです。それにより、台湾等も集団的安全保障によって守られることになります。

そうして、昨日のブログにも掲載したように、クアッドとは、第一次政権時の安倍前首相が2007年に提唱し実現させたものです。安倍首相はその後、間もなく退陣してしまうことになりますが、この方針は後を受けた麻生政権にも引き継がれ、そして民主党政権を経た後の第二次安倍政権でもこの4カ国の枠組みの維持が図られてきました。

ここで、いう米国とは、バイデン政権そのものではありません。

米国の挙党一致で中国に対峙しようとする、大きな勢力のことをいいます。上の大原氏の記事で、結論部分で語っている「米国の意思」という言葉の中の「米国」という言葉も同じ意味で使っているようです。

このブログでも従来から語っているように、中国と対峙するという考えは、党派性などからは超越し、米国は挙党一致で中国と対峙する方向に向かっています。この流れは、次の大統領が誰になろうと変わりありません。

この方向性をさらに強化するのが、Quadです。もし、Quadが構築されていなかった場合、米国かいくら挙党一致で、中国と対峙しようとしても、時の政権が、中国に対して融和的であれば、中国に対して厳しい態度をとらないということも考えらます。

しかし、Quad があれは、日本、印度、オーストラリアが米国に対して圧力をかけ、米国に対して、中国に対峙する姿勢を維持させることが可能になります。

さらに、このQuadを名実ともにアジアのNATOのようにすれば、米国とて、Quadの意向は無視できなくなります。

そうして、米国はその立役者である安倍晋三氏が日本の総理大臣であることが米国にとってもQuadにとっても望ましいと考えるかもしれません。なにしろ安倍晋三氏は、バイデン大統領よりも、はるかに中国の脅威について熟知しており、それに対峙する枠組みを最初に提供したのです。


さて日本では、安倍前首相が存在感を示す場面が最近、目立っています。自民党の議員連盟や議員グループの顧問に就き、表舞台での発信にも積極的です。保守派の代表格として党内外で影響力を保つ狙いがあるとみられます。

「自民党は保守政党だ。違う方向に党役員が進むようであれば、行動する気概を持って取り組んでほしい」

安倍氏は先月22日、顧問を務める自民の保守系議員グループ「保守団結の会」で講演し、こう激励しました。同じ日には憲法関連のシンポジウムで持論の憲法改正を訴え、会場を沸かせました。

安倍氏は昨秋、持病の悪化で首相の座を降り退任直後の一時期は活動を控えました。

しかし、体調が回復したこともあり、最近は活発に動いています。安倍氏は同月27日、動画サイト「ユーチューブ」の番組で「新しい薬を使ったら、(治療が)大変うまくいった」と語りました。先月に入って自民の保守系グループ「伝統と創造の会」と、原子力発電所の新増設を推進する議連の顧問に就きました。自民憲法改正推進本部の最高顧問も引き受けています

そのような安倍氏に、出身派閥の細田派(96人)では「ポスト菅として再々登板してほしい」との期待が広がっているようです。細田派は党総裁選に意欲を示す下村政調会長や西村経済再生相らを抱えるものの、残念なが支持の広がりを期待できないという事情もあります。

安倍氏自身は安倍前首相は26日発売の月刊誌「Hanada」のインタビューで、9月末の任期満了に伴う自民党総裁選に向け、菅首相の続投を支持する考えを改めて示しました。


「菅政権はたった1年しかたっていない。政権には春もあれば冬もある。歯を食いしばって、みんなで支えていくべきではないか」と述べました。盟友の麻生副総理兼財務相とは菅首相を支える立場で一致しているようです。首相の憲法観や安全保障への取り組みに物足りなさを感じていると見る向きもあるようですが、当面は首相の政権運営を見守る構えのようです。

そうして、この考えは正しいと思います。現状のコロナ禍が収束するまでは、政権が余程弱体化しているとか、大きな問題がない限り、同じ政権であったほうが良いです。野党は、現在のコロナ禍が「さざ波」程度は認識していないどころか、かなり厳しいと認識しているようです。

であれは、こういうときは野党も政権に協力する姿勢をみせるべきですが、本当に矛盾しています。安倍総理としては、直近の総裁選挙に出馬することはないでしょう。直近では菅政権の続投できるように、応援することになるでしょう。

菅義偉首相自身は、安倍晋三前首相から引き継いだ自民党総裁任期の切れる9月末以降の続投に意欲を示しています。

安倍晋三氏の細田派への復帰は次期衆院選後となる見通しです。安倍氏は周囲に「衆院選では派に縛られず、若手の応援に飛び回りたい」と漏らしているといわれています。総裁として政権を奪還した2012年衆院選で、自民は119人もの新人議員を当選させました。

以来、連続3回の当選を重ねた議員の多くは逆風の選挙を知らず、足腰の弱さが指摘されています。選挙応援に汗をかいた上で派閥復帰を果たせば、党の実力者としての立場は一層強まることになるでしょう。

さらに安倍氏には好材料もあります。すでに1年以上を経過して、マスコミと反菅政権の人たちのコロナ煽りによる倒閣運動にはさすがに多くの人が呆れ果てています。

彼らは、ワクチンや五輪での揚げ足取り的な「もりかけ桜」的手法でワイドショー民とともに菅政権を貶めようと躍起になっています。マスコミや野党が、コロナやワクチンや五輪中止論議で煽るたびに、野党の矛盾が露呈して、その悪質さは逆に批判を浴びるようになっています。

ところが、菅内閣の支持率は落ちているものの、自民党への支持率は横ばいであり、立憲民主党や共産党の支持率も上がっていません。

ここにきて、安倍晋三氏の再々登板は内外ともにあり得る状況になってきたといえます。

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