2021年5月5日水曜日

東京五輪へ札幌でハーフマラソン大会 女子は一山選手が優勝―【私の論評】「世論」で五輪不開催を決めることは避けるべき!瞬間的な「感情」で決められる軽い問題ではない(゚д゚)!

東京五輪へ札幌でハーフマラソン大会 女子は一山選手が優勝

東京オリンピックのマラソンのテスト大会となるハーフマラソンが5日、札幌市で行われ、女子では代表に内定している一山麻緒選手が自己ベストとなる1時間8分28秒のタイムで優勝しました。

テスト大会は本番と同じコースで行われ、マラソンの代表に内定している男女6人の選手のうち男子の服部勇馬選手、女子の前田穂南選手、鈴木亜由子選手、一山選手の4人が出場しました。


大会は新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、沿道での観戦を控えるようレース前から主要駅や沿道で呼びかけが行われるなどの対策がとられ、本番を想定した感染予防策や警備など運営面の確認が行われました。

女子のレースは代表に内定している一山選手と鈴木選手、補欠となっている松田瑞生選手の3人がスタート直後からトップを併走し、終盤に鈴木選手が遅れる中、一山選手が松田選手を突き放して自己ベストとなる1時間8分28秒のタイムで優勝しました。

2位は松田選手でこちらも1時間8分32秒の自己ベストの走りでした。
鈴木選手が1時間8分53秒で3位、前田選手は1時間10分50秒で5位でした。
一方、男子の服部選手は順位やタイムよりもコースを確認することを重視して大会に臨み、自ら設定したペースより速いペースの1時間2分59秒でフィニッシュし24位でした。
男子の優勝はケニアのヒラリー・キプコエチ選手でタイムは1時間46秒でした。

【一山選手“走りやすかった”】
女子で自己ベストをマークし優勝した一山麻緒選手は「ほっとしています。苦しい場面もありましたが、風も押してくれましたし、走りやすかったです」とオリンピック本番のコースを走ったレースを振り返りました。
その上で開幕まで79日となった東京オリンピックに向けては「まだ万全な状態まで持ってこれていないので、残り3ヶ月で状態を少しずつ上げていって本番ではみなさんの前で私らしい元気な走りをしたいです」と意気込んでいました。

「札幌チャレンジハーフマラソン」の女子で、1時間8分28秒をマークして優勝した一山麻緒

【鈴木選手“現状の力確認できた”】
けがからの復帰レースを3位で終えた鈴木亜由子選手は「オリンピックの実際のコースを走ってみて、細かなアップダウンや現状の力を確認できた」と冷静に振り返りました。
その上で3か月後に迫った本番のレースに向けて「しっかりとスピードと持久力を養えるように今できることに集中して、いい状態でスタートラインに立てるよう頑張りたい」と意気込んでいました。

【前田選手“ポイントつかみながら走った”】
前田穂南選手は「思った以上に曲がり角が多く、位置どりなどのポイントをつかみながら走りました。オリンピックでも重要になってくると思うので、いいレースになったと思います」と振り返りました。
その上でオリンピックに向けては「きょうのレースでイメージを作り、あと残り3ヶ月で強化していきたい」と話していました。

【服部選手“よいレース運びに”】
男子で代表に内定している3人の選手のうち唯一、テスト大会を走った服部勇馬選手は「風が強かったが、しっかりペースを維持することができた。レースの流れに乗りながら、よいレース運びができたと思う」と本番のコースを走ったレースを振り返りました。
その上で「レースという形で走ることができ本当に自信になった。本番に向けてしっかり準備していきたい」と3か月後の本番に向け意気込んでいました。

【橋本組織委会長“安全安心を立証”】
テスト大会の視察に訪れた東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長は「大会がより安全、安心だということを立証してもらった。札幌市や北海道の皆様には非常にご迷惑をおかけしたが、今回の開催が非常に意義があったと言ってもらえるような大会になったと思う」と評価しました。
その上で「オリンピックの機運を高めるためには新型コロナウイルスの対策をしっかりやらないと安心感を得られない。国や北海道、札幌市などの関係者とコロナの感染を抑え込んで、安心と安全を実感してもらったなかで8月の本番を迎えたい」と話していました。

【運営責任者“沿道で感染対策理解”】
札幌市で行われたオリンピックのマラソンのテスト大会について大会の運営責任者が会見し、沿道の観客数を少なく抑えられたことを成果としてあげ感染対策を理解して沿道での応援を控えた人たちに感謝の意を示しました。
テスト大会ではオリンピックの代表に内定しているトップ選手も出場して本番のコースでハーフマラソンが行われ、選手への給水やコースの安全対策など運営のテストに加え感染対策の確認などが行われました。
大会のあと運営を取りしきった組織委員会大会運営局の森泰夫次長が会見を行い、大きなトラブルはなかったとした上で、今回の成果として沿道での感染対策をあげ、「非常に少ない観客で実施できたと感じている。みなさまのご理解によるもので、感謝しかありません」と述べました。

その上で、「どういうポイントが多くなるのかわかったので、そういうところはあらかじめ周知を強くうながすのか、ハード的に対応できるのか、検討していきたい」と改善を加える考えを示しました。

また、今回は参加した選手の感染対策として給水所に体を冷やすスポンジは置かれませんでしたが、レースに参加した代表の服部勇馬選手から「きょうのコンディションでは必要ないが、夏場は必要だと思う。暑さ対策は自分でも用意するが、スポンジと氷はMGCの時も用意されていたので、大会側で用意してもらいたい」という意見が寄せられました。

これに対し森次長は「選手からの貴重な意見だ。暑熱対策をどういうもので行っていくか、コロナの対応の中で決定していきたい」と述べ、感染対策と安全なレースに必要な対策とをどう両立させていけるか検討していく方針です。

また、外部との接触を極力制限した海外選手の感染対策について、「選手にある程度、ストレス与えていると認識しているが、選手もある意味容認し、『レースができてよかった』というコメントをいただいた。その点はよかった」と振り返りました。

その上で、感染防止に必要なルールをまとめた「プレーブック」の内容の周知徹底が課題だという認識を示しました。

【世界陸連会長“運営力示した”】
テスト大会には、2012年のロンドン大会で組織委員会の会長を務めた世界陸連のセバスチャン・コー会長が視察に訪れました。
コー会長は大会のあと会見し、「オリンピックにとってテスト大会を繰り返すことが大事だというのは、ロンドン大会の組織委員会の会長として身にしみてわかっている。きょう、札幌と北海道が最高レベルの大会を運営する力があるということをまさに示した」と評価しました。
また、海外選手が外部との接触を極力減らしたことなど新型コロナの感染対策については、「厳しい条件で選手のみなさんも参加してくれた。この状態の中で最高の成功を収めるためには受け入れなければならない条件だと理解していると思う。私たちは競技の責任だけでなく、地域社会に対しても責任を持っている」と述べました。
一方、議論が続いているオリンピックの観客の規模については、「選手にとってはオリンピックが開催されることが重要で、観客を入れるか入れないかは組織委や関係者がウイルスの状況を見て判断すると思う。選手が観客を入れてほしいと思うのは当然だが、もしそれが無理であっても大会はすばらしいものになる」と自身の考えを示しました。

【私の論評】東京五輪開催中止を当然とするのは、現時点では感情論!科学的・理論的な対応をすべき(゚д゚)!

私は、このハーフマラソン、テレビで観戦しました。自分の見慣れた街でのマラソンは、やはり素晴らしいです。

いくら、選手の数が制限されたとか、観戦もできない状況で行われたとはいえ、この大会、さしたる混乱もなく終了しました。これにより、東京五輪開催に一歩近づいたといえると思います。

それにしても、最近では「東京五輪開催中止」は、マスコミなどではあたかも規定事実の語られています。そうして、「東京五輪開催」そのものが暴挙のように語る人も多いです。


確かに、日本と世界のスポーツ界が、完全に動きを止めているなら、オリンピック開催はありえない暴挙かもしれないです。しかし、昨年の初夏以降、多くのスポーツが少しずつ活動や大会開催を再開しています。昨年秋以降は国際大会も活発に行われています。

そうして、札幌のハーフマラソンも、開催され、混乱もなく終了しました。

プロ野球は昨年6月に遅れて開幕し、日本シリーズまで実施しました。今年も開幕されています。Jリーグも中断したのですが再開しシーズンを終えました。体操は海外からトップ選手を招いて国際親善大会も実施しました。このように、コロナ禍の中でどうすればスポーツが安全に実施できるかの模索が続き、一部でクラスターも発生しましたが、大会を遂行できる安全性は一般的に認められています。

にも関わらず、「オリンピックはダメだ」と強硬に主張するのは、感情的すぎではないでしょうか。

確かに、「オリンピックは感動的でいいよね」という漠然とした世論で招致の支持を広め、スポーツやオリンピックの意義について国民が深い意識や価値観を共有するプロセスをほとんど取らずに来た面は否めません。そのため、コロナ禍になれば「スポーツどころじゃない」と叫ぶ世論が高まってしまっているようです。しかし、スポーツはそんな「どうでもいい活動」なのでしょうか。

私はそうは思いません。なぜなら、オリンピックの開催が、「重要なコロナ対策の一環にできる」と思うからです。

いまのところ、コロナ対策とオリンピックは正反対を向いているように理解されています。「コロナ禍に対応すべきなのに、オリンピックなどやる気か!」といったフレーズがそれを表しているようです。

そうではありません。オリンピック開催を模索し、スポーツを安全に推進する環境づくりを目指すことが、コロナ禍への具体的な対策の発見や開発にもつながります。それが、今後のオリンピック開催にも、おおいに参考になります。人類はこれからも、様々な感染症と戦うこになる可能性は大です。

その度にオリンピックを開催東京オリンピックを開催することをやめるのか、あるいは開催を可能にするノウハウを積み上げていくのか、現在はその分岐点にあるといえると思います。

そのことをもっと多くの人が理解し、着目してほしいです。

スポーツは言うまでもなく、最先端の人間科学の分野です。米国のNASAのアポロ計画が、宇宙を目指した副産物として日常生活に応用できる無数の新素材や技術を生み出したことはよく知られています。

スポーツも同様に、コロナ禍にあって、これを乗り越える手がかりを得るためのチャレンジができる領域です。そこにこそ、スポーツの社会的意義のひとつがあるといえるでしょう。

「スポーツをすればコロナにかからない」とまでは言いません。ところが、心身の基本的な健康と活力を育み、免疫力を高める効果がスポーツにあることは証明されています。ステイホームが求められ、「コロナ鬱」といった新しい苦悩が生まれている中で、スポーツの果たす役割は大きいはずです。スポーツを止めてはいけないです。無論どのような方法なら許されるのかという試行錯誤は必要です。

ただ、頭ごなしに「オリンピック中止」を叫ぶのでなく、上に挙げたように、スポーツがコロナ禍に貢献できる可能性も含め、アイデアを出し合い、不安の種をひとつひとつ消していく努力が先になされるべきと考えます。

五輪を開催する意義は他にもあります、無論五輪を目標に血のにじむような研さんを積んできたアスリートのためです。東京五輪開催に反対でも、池江璃花子選手が白血病から奇跡的に復活し、五輪代表権を獲得したことに、拍手を送った人は多いでしょう 。

また、それは我々のためでもあるのです。大坂なおみ選手、松山英樹選手、大谷翔平選手らの活躍に我々がどれだけ励まされているかを考えるべきです。アスリートの活躍の場を確保することこそが、コロナ禍に苦しみ、荒れがちになる我々の心を支えることになるでしょう。 

アスリートたちにとっては、五輪が東京で開催されるかどうかは、突き詰めると大きな問題ではないでしょう。それよりも、4年に一度の、偉大な王者を決定する競技会があり、そこでベストのパフォーマンスを披露できることが大事です。そこに彼らの「人生」があるのです。

自治体の「聖火リレー中止」という動きにも苦言を呈したいです。これは、科学性、論理性を欠き、感情的で世論に迎合した意思決定だと思えるからです。

愛媛県の中村時広知事が「聖火リレー中止」を発表する際に涙を流しました。中村知事の行為は、非科学的・感情的で五輪中止の世論をあおりかねないものでした。知事が取るべき態度ではありません。 



さらに「聖火リレー」そのものが感染を拡大することはありません。ランナーは、検査を受けて陰性であり、その後二週間程度発症することがなければ、走ること自体で感染を広げることはあり得ないです。 

感染拡大が起きるとすれば、リレーを見る沿道の人たちが「密」を作ってしまうことです。だから、感染防止のためには、札幌で開催されたハーフマラソンのように、沿道に観衆を入れなければいいのです。「聖火リレー」そのものを中止する必要性はまったくありません。 

だから、自治体が「聖火リレー」の中止を決定するのは、度を越した越権行為だといえると思います。現時点では、五輪は開催されると決まっていて、自治体はそれに従って、「聖火リレー」を実施することを前提にして、感染対策を万全にすべきです。 

世論の反発という「空気」を恐れて、「聖火リレー」そのものが感染を広げることがないのに中止を決定をすることは、国民の五輪中止の感情をさらに高めてしまいかねないです。それは自治体の行動としてはやりすぎです。 

 「世論」で五輪不開催を決めることだけは避けるべきです。五輪は世界最大のイベントであり、その開催は「国家事業」でもあります。その時の瞬間的な「感情」で無責任に決めて良いような軽い問題ではありません。あくまで科学的、論理的に決定されるべきです。

最後に、私は東京五輪開催については、以上のような認識をしているのですが、北京五輪に関しては否定的です。ボイコットをすべきであるとさえ主張しています。それは、無論のこと中国には人権問題があるからです。

私達のような民主主義国のアスリートがこれに何の抵抗も示さずに北京五輪に参加することは、中共に私達が中共の人権問題を認めたという誤ったサインを送りかねません。

だからこそ、ボイコットすべきと主張しているのです。ただし、ボイコットにも様々な方法があります。単純にアスリートを送り込まないことだけが、ボイコットではありません。

他にも経済的・外交的ボイコットの方法もあります。たとえば、日本国民は日本にとどまり北京オリンピックの観客にならないこと、日本企業は顧客をオリンピックに招待することを止めること、政府高官が参加することは控えること、TV放送権を有する テレビ局が開会式や閉会式の好戦的愛国主義の場面の放映を控えることなどです。

アスリートを送り込まないなどという過激なことはしなくても、中国共産党の人権問題に抗議の意思を示すことはできるのです。

このあたりについては、長くなりそうなので、また時期をあらためて、このブログに掲載しようと思います。

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