2021年2月11日木曜日

22年北京五輪に影落とす人権問題 ジェノサイドには敏感な欧州、カギ握るバイデン政権の動向 ―【私の論評】北京五輪と日本のマスコミ・芸人・識者による森叩きは、線香花火が消える寸前の最期の煌めきか(゚д゚)!

 22年北京五輪に影落とす人権問題 ジェノサイドには敏感な欧州、カギ握るバイデン政権の動向 

高橋洋一 日本の解き方

バイデン

 東京五輪については国内外の新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて、無観客での開催や延期、中止論までさまざま出ている。一方、2022年の北京冬季五輪では、人権問題がネックとなり、ボイコットの動きも出ているようだ。

 東京五輪まであと半年を切ったが、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視とも受け取れる発言をして問題になった。男女共同参画は国際オリンピック委員会(IOC)の使命と役割であり、森氏の発言は全く容認できない。森氏は謝罪し、IOCは問題は終了したと表明した。

 森氏は、問題発言以前に、無観客を含めてあらゆる事態を想定しているとしたが、これは、無観客をミニマムラインとして、開催自体は揺るぎないという決意だ。

 IOCのバッハ会長は1月23日、IOC委員全員の総意として、東京五輪を新型コロナ禍のトンネルの終わりの明かりにするとしている。菅義偉首相も、五輪を新型コロナに打ち勝った証しにすると国会の施政方針演説で述べていた。

 要するに、無観客であれば、コロナ禍であっても感染拡大のリスクは小さいので、五輪運営が行えるのは容易に分かる。無観客を最低ラインとして、観客をどこまで入れるかが、コロナワクチンの普及とともにポイントになってくるのだろう。

 一方、北京五輪まで1年になったが、問題は新型コロナではない。ウイグルでのジェノサイド(民族大量虐殺)だ。米国のトランプ前政権では、ポンペオ前国務長官は新疆ウイグル自治区における少数民族ウイグル族らへの弾圧を国際法上の犯罪としてジェノサイド認定をした。バイデン政権のブリンケン国務長官もこれに同意している。

 そもそもジェノサイドは、第二次世界大戦のドイツ軍の行為に由来している。

 国際連合で1948年に採択されたジェノサイド条約などによる事例としては、もちろんナチスのユダヤ人に対するホロコーストが含まれている。

 五輪との関係では、36年のナチス政権下のベルリン五輪がすぐに想起される。ナチスは、人種差別を隠蔽して、五輪をナチスのプロパガンダとして利用した。欧州の一部でボイコットの動きもあったが、ナチスの巧みな工作により開催されたことは、五輪の中でも暗黒史といってもいいだろう。ベルリン五輪中はなりを潜めていたが、直後から、ホロコーストが実行された。

 欧米は人種差別、とりわけジェノサイドに敏感である。一部の英国紙は、ラーブ英外相が中国当局によるウイグル族への人権侵害を理由に、ボイコットの可能性を示唆したと伝えた。世界の人権団体も北京五輪の再検討を求める文書をIOCに送っている。

 ベルリン五輪の時には、米国の態度が開催へのカギになったが、今回、バイデン政権がどう動くのかがポイントだ。(内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】北京五輪と日本のマスコミ・芸人・識者による森叩きは、線香花火が消える寸前の最期の煌めきか(゚д゚)!

森氏の発言は全く容認できないという方も多いようですが、それは、人それぞれで受け取り方は違うと思います。ただし、森氏が謝罪し、IOCは問題は終了したと表明した後まで、寄ってたかって叩きまくり、辞任にまで導くというのは、いかがなものかと思います。

これについては、昨日のブログに掲載したばかりです。興味のある方は、昨日の記事を是非ご覧になってください。

この記事では、最後に「現在のマスコミや芸人・識者による森叩きは、線香花火が消える寸前の最期の煌めきのようなものかもしれません」と結びました。現在のマスコミの衰退ぶりを考えると、新聞・テレビの両メディアは、今後10年以内に本当にほぼ崩壊すると考えられます。

それを象徴するのは、森氏発言問題で、これでもか、これでもかという程森氏を叩きまくったにもかかわらず、北京オリンピックに苦言を呈するメティアも、識者も、芸人もほとんど存在しなかったことです。


五輪関連でいえば、2020東京五輪の森氏の発言などより、2022北京五輪開催の中国のジェノサイドのほうがはるかに大きな問題のはずです。ところが、国内マスコ・識者・芸人は黙りを決め込んでいます。なぜなのか、全く理解に苦しみます。それとも、彼らは、中国応援団なのでしょうか。それが事実なら、疑問は解消します。

中国・武漢発の新型コロナウイルスの感染が再拡大し、世界各地で猛威を振るう中、英国と豪州を中心に、2022年北京冬季五輪をボイコットする動きが水面下で進んでいます。新彊ウイグル自治区での中国共産党による民族浄化ともいえる激しい人権侵害を見過ごすことができないためです。

コロナウイルス感染症の隠蔽をはじめ、香港デモへの弾圧や内モンゴル自治区での中国語教育の強化による同化政策、チベットでの人権問題など中国の行動は、国際社会から強い不信を招き、北京冬季五輪に自国選手を送り込んでよいのかとの懸念が英国と豪州をはじめ西側諸国に広がり始めました。日本は東京五輪を成功させるため、あまり波風を立てたくない事情もあり、今は中国の人権問題に絡んだボイコットには同調しにくいようです。

「一般論としては、スポーツと外交・政治は分離しなければならないと考えるが、それが不可能な場合もあり得る」

ドミニク・ラーブ英国外相が、中国による新疆ウイグル人への迫害の証拠が増えた場合、北京冬季五輪不参加の可能性を示唆したのは、2020年10月6日の英議会外交委員会でのことでした。

ドミニク・ラーブ英国外相

中国共産党による人権侵害が激化したとはいえ、平和とスポーツの祭典に政治が介入してよいのかという見方がある一方で、ウイグル自治区における中国の弾圧は許容範囲を超えており、人権の観点から、英国は同盟国と連携してボイコットすることは十分あり得ます。

ラーブ外相の発言は脅しではなく、本気で不参加を検討しているとされています。ただし、英国だけでは「超大国」中国には対処できません。「証拠を集め、国際社会におけるパートナーと連携し、どのような措置を講じるべきかを検討する」(ラーブ外相)ことになったそうです。

次期首相有力候補のラーブ外相は、中国の隠蔽が原因でコロナが感染拡大した4月、「中国との関係はコロナが終息しても、平常通りには戻れない」「中国は厳しい質問に答えなければならない」と対決姿勢に転ずる対中政策の見直しをいち早く表明しました。対中強硬派の旗頭だけに、発言にも重みがあります。

香港への国家安全法制の導入を決めた中国に対して強い姿勢で臨もうという動きは、さらに加速しています。昨年6月に日米欧の16カ国の議員らが結成した世界的な議員連盟、「対中政策に関する列国議会連盟」の初代議長で保守党の元党首、イアン・ダンカン・スミス議員も8月、英国政府が国際オリンピック委員会(IOC)に中国から2022年五輪開催権を「はく奪」するか、「公式代表者の参加禁止」を要請すべきだと提案しています。

また、世界60カ国以上の300以上の人権団体が、中国の人権侵害問題に対して緊急の対応をとるよう国連に呼び掛け、このうち160以上の人権団体が9月、IOCに人権侵害を理由に北京冬季五輪開催再考を求める書簡を提出しました。「中国全土で起きている人権危機の深刻化が見過ごされれば、五輪精神と試合の評価は一段と損なわれる」としています。

ラーブ外相の発言を受けて同じ10月6日、米ニューヨークの国連で開かれた人権会議で、ドイツの主導により、英国や豪州、日本など39カ国が中国の人権問題を批判する共同声明を発表し、中国に対して100万人が収容されている新疆ウイグル自治区の収容施設に、国連人権査察団が「直接的で意味のある自由なアクセス」ができるよう求めました。

「国際社会におけるパートナーと連携したい」。ラーブ外相の呼びかけに真っ先に応じたのは、コロナ感染経路の独立機関による調査を主張したことに端を発して中国の経済制裁を受け、対中関係が「過去最悪」となっている英連邦の兄弟国、豪州でした。

国会議員の多くが超党派で、「1936年のヒトラーのナチス政権下で開催されたベルリン五輪と類似性」があるとして、北京冬季五輪のボイコットを支持し、豪州選手に不参加を呼びかけました。上院のレックス・パトリック議員とジャッキー・ランビー議員が動議を出して豪連邦議会は11月9日、北京冬季五輪不参加について審議、採決したが、過半数に達せず、不参加の決議には至りませんでした。

しかし、中国が豪州産の輸入制限を継続し、外務省報道官が虚偽画像をツイッターに投稿するなど関係悪化が続いており、ボイコット論は「高度な長期戦」に突入した格好です。

パトリック議員は中国共産党による深刻な人権侵害がある中で、「豪州選手の五輪参加は無謀で危険。道徳的に誤り」と主張、エリック・アベッツ上院議員は、IOCが「野蛮で権威主義的、全体主義的な政権」に開催を許可すれば、IOCの立場は損なわれると警告しています。

英国のスミス議員は、「中国の経済制裁を恐れて、五輪ボイコットを躊躇してはならない」と毅然とした対応を求めました。五輪ボイコットでも英国はまず、機密情報を共有する政府間の枠組みであるファイブアイズのアングロサクソン同盟国の豪州とスクラムを組みました。

では、「特別の関係」の米国はどうでしょううか。世界的な反中の「列国議会連盟」に加入している共和党のマルコ・ルビオ上院議員とロバート・メネンデス上院議員がボイコットを呼びかけ、3月には共和党のリック・スコット上院議員が主導して12人の超党派議員がIOCに22年冬季五輪開催地を再検討するよう要請しました。スコット議員は五輪を中継するNBCに対し、人権に配慮して放映を取りやめるように求めています。

米オンライン外交論壇誌「The Diplomat」によると、冬季五輪でメダルを獲得できる国は西側先進国が多く、不参加を決めれば、結束しやすいといいます。そうして2019年7月にウイグル族の拘束を問題視して国連人権理事会に送付した共同書簡に署名した日本と英国をはじめとする22カ国に、署名しなかった米国を加えた23カ国がボイコットの潜在的連合になると指摘しています。

ただバイデン政権がどのような対中政策を取るかは未知数です。人権問題には厳しく対処すると伝えられますが、融和に転じる可能性もあります。1980年のモスクワ五輪は米国主導で西側がボイコットしました。米国がどのように判断するか、注目されます。

08年の北京夏季五輪でも、チベットなどでの人権問題が批判を集めたのですが、22年冬季五輪ではウイグルなどでの批判がより高まっています。「列国議会連盟」のメンバーのドイツのラインハルト・ビュティコファー欧州議会議員は「ワシントン・ポスト」紙に、「08年五輪開催の際、中国はIOCに人権問題向上を約束したが、12年経過して全く逆の方向に悪化した」と指摘し、「中国の王毅外相の訪欧の際に、欧州各国の議員と連携して対処したが、北京冬季五輪の対応でも共闘することを検討したい」と語りました。

対中政策で連携する仲間として英国は、ファイブアイズの次にアジアの最大のパートナーで日米豪印の「QUAD(クアッド、日米豪印戦略対話)」として日本に協力を求めるでしょう。しかし、日本オリンピック委員会(JOC)など日本側は、東京五輪を控え、腰が定まらないようです。

五輪に関わる官邸筋は「西側の一員として北京五輪ボイコットに参加すべきだが、東京五輪を成功させたいので、日本が旗を振りにくい」ようです。「列国議会連盟」に参加する自民党の中谷元衆議院議員、無所属の山尾志桜里衆議院議員は、北京五輪不参加について発信していません。

22年秋に共産党大会を控え、そこで再選を望む習近平国家主席にとって、北京冬季五輪は是が非でも成功させたい大イベントです。しかし中国の人権弾圧が拡大すれば、英豪米が中心となり、五輪ボイコットの流れが広がるでしょう。そこで、日本が座視すれば、英米との信頼関係を損ね、西側諸国の中で存在感を失いかねないです。

コロナが終息する保証はありません。IOCの最古参委員のディック・パウンド氏が「東京五輪が中止になったら北京冬季五輪も開催困難」との見通しを示していますが、英豪のボイコットの動き次第では今後、北京冬季五輪の開催はどうなるのか、日本も無関係ではいられなくなるかもしれないです。

オリンピックというと、全体主義国家であった、ナチス・ドイツとソ連は、オリンピックを開催後の約10年後に崩壊しました。

ナチスドイツは、当時通常の開催と同レベルで1936年ベルリンオリンピックを開催しました。その9年後に崩壊しました。

ベルリンオリンピックの金メダリストジェシー・オーエンス

冷戦下において東側諸国の盟主的存在である1980年ソ連で行われモスクワ五輪大会は、前年1979年12月に起きたソ連のアフガニスタン侵攻の影響を強く受け、集団ボイコットという事態に至りました。日本もボイコットしました。ソ連は五輪開催の約11年後の、1991年12月に崩壊しました。

こうした前例から、全体主義国でオリンピクを開催すると、その約10年後に崩壊するという、ことがいわれていました。

全体主義国家中国では夏のオリンピックが2008年北京で開催されました。その頃には、ネットで中国が10年後崩壊する可能性について囁かれていました。

結局北京オリンピックを開催してから10年後の2018年には、中国は崩壊しませんでした。ただ、崩壊につながるような象徴的な事態がこの年に発生していました。

実は、2018年に中国の習近平国家主席は、グローバルな統治体制を主導して、中国中心の新たな国際秩序を構築していくことを宣言したのです。

習近平氏のこの宣言は、中国共産党機関紙の人民日報(同年6月24日付)で報道されました。同報道によると、習近平氏は同年6月22日、23日の両日、北京で開かれた外交政策に関する重要会議「中央外事工作会議」で演説して、この構想を発表したとされています。

米国政府は中国に対してこのときまで中国は新たな中国を中心とした世界の新秩序を樹立するつもりではないかという、警戒や懸念を表明してきました。この時まで習近平政権はその米国の態度に対して、正面から答えることはありませんでしたが、この対外戦略の総括は、その初めての回答ともいえます。

つまり、米国による「中国は年来の国際秩序に挑戦し、米国側とは異なる価値観に基づく、新たな国際秩序を築こうとしている」という指摘に対し、まさにその通りだと応じたのです。

さすがに、これには米国でも超党派で中国への非難の声があがりました。それまでは、米国内では、トランプ政権は中国に厳しい態度をとってきたのですが、民主党内にはまだ中国を養護する意見もありました。

しかし、これを境に、米国では中国を表立って養護する声は消え失せ、超党派で中国に対峙をしはじめました。トランプ政権は中国に厳しく対峙し、政権末期には様々な中国に対する厳しい措置を取るようになりました。これは、このブログにも掲載したように、バイデン政権が中国に宥和的な政策をとれないようにするための措置です。

ただし、米国議会は超党派で、中国に対する危機感は相当高まり、中国に対峙するのは、今や米国の意思になったといっても過言ではありません。

今後バイデン政権が中国に対して融和策をとろうとしても、取れないと思われます。

そうして、上でも述べたように、英連邦に所属する、英国、オーストラリアはもとより、他の所属国の多くも、北京冬季オリンピックをボイコットすることになるでしょう。

これに同調する国も多くなることでしょう。そうなると、中国共産党はかつてのソ連のように、多くの国々ボイコットされても、オリンピック開催を強行することでしょう。

そうして、中国共産党は、かつてのナチス・ドイツやソ連が夏季オリンピックを開催して約10年後に崩壊したのと、同じように崩壊する可能性は十分にあると思います。

そうなると、先日も述べたように、日本のマスコミは約10年後に崩壊し、その1年後あたりに中国共産党の現体制が崩壊するということになるかもしれません。私達は、大きな歴史の転換点を目撃することになるかもしれません。

北京五輪と日本のマスコミ・芸人・識者による森叩きは、線香花火が消える寸前の最期の煌めきのようなものになるかもしれません。

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