2021年2月13日土曜日

トランプ弾劾裁判は政治的駆け引きの舞台に過ぎない―【私の論評】退任した大統領を弾劾する米民主党は、相当追い詰められているとみべき(゚д゚)!

 トランプ弾劾裁判は政治的駆け引きの舞台に過ぎない

<引用元:デイリー・シグナル 2021.2.11>カル・トーマス氏による論説

トランプ氏の弾劾裁判で裁判長を務めるリーヒ上院議員

ドナルド・トランプの2度目の弾劾裁判が劇なら、1回の公演後に終了するだろう。筋書きは分かっていて、結果は明白であり、演出は不自然だ。

映画だったら「50人の怒れる上院民主党」(「12人の怒れる男」にお詫びする)か、この現在の駄作にしっくりくるようなタイトルの2003年の映画、「Runaway Jury(邦題:ニューオーリンズ・トライアル)」というところだ。

要点は何か?民主党上院議員に、気高く見えても現実には低俗な政治的駆け引きの演説をさせているところだ。

憲法弁護士のジョン・ホワイトヘッドが次のように書いたのは正しい。「トランプを弾劾して得られるものはほとんどなく、決して一般のアメリカ人の窮状を向上させることはない。現在の政治と同義になった見世物と茶番を増強するだけのことだ」

トランプの弁護団は、1月6日に米国議事堂に侵入した暴動者を前大統領が扇動したという1つの訴えの棄却を要求した文書の中で「憲法に違反する政治劇」という言葉を使った。民主党はトランプが米国大統領の犯した中で「最も重大な憲法上の犯罪」を犯したと反論した。

どこかでリチャード・ニクソンが微笑んでいる。

これは、報復を狙う貪欲な左派支持基盤を満足させ、ワシントンの考えを改めるよう改革できると考える者全員に思い知らせるために意図された見せしめ裁判だ。メッセージ?エスタブリッシュメントは再び沼をさらおうとする者がいれば破滅させるということだ。沼の生き物は沼が大好きだ。それが彼らの生き方なのだ。

また両サイドにとっての資金集めの道具でもあり、それがワシントンに残された唯一の超党派の動きであるようだ。

トランプが再び無罪判決を受ければ公の場に復帰するだろうが、ひょっとするとしばらく待つことを検討すべきかもしれない。良い劇には付き物だが、緊張を作り上げることだ。それから自分のことばかりにこだわらないことだ。その芝居はもう見てきた。そうではなく、ジョー・バイデンの政策と公約違反についてコメントすべきだ。バイデンが過去に言ったことを引用し、失業、ガソリンの値上がり、上向きかけていた景気に彼がどれほど貢献しているかを、そして大統領令の偽善を全国に伝えよ。

それから数週間経てば、トランプが視聴率を奪って大規模集会を行うためにメディアは怒り狂う。それでも中傷はなしだ。人格ではなく、政策に固執せよ。

上院に提出した文書で、トランプ弁護団は次の点を指摘した。
  1. 弾劾について説明する文書と構造は、上院に前大統領に対する権限を付与していない。
  2. 憲法は合衆国の前大統領ではなく大統領に対する上院司法権しか与えていない。
  3. 弾劾条項はトランプの憲法修正第1条の権利を侵害している。
  4. 上院は憲法修正第1条と最高裁で長らく確立された言論の自由法を無視することはできない。
  5. トランプは選挙で選ばれた立場として、政治的な演説に自由に従事するための憲法修正第1条の権利を持っている。
  6. トランプの演説は憲法修正第1条によって完全に保護されている。
  7. 最後に、「戦う」と「戦うこと」というトランプの比喩的な言葉遣いは多くの人が使用しているが、どれも弾劾に値しない。
結論として、下院はトランプに適正手続きを許可しなかったと訴えることによって、弾劾条項は「不完全であり無罪判決の結果となる以外なく」「法律問題としては弾劾に値する違反を説明できていない」としている。

法学者が既に提起した疑問は、すでに辞任した大統領を「弾劾」できるのかどうかということだ。

民主党の最終的な意図は、トランプが2024年に再出馬できないようにすることのようだ。彼らはトランプに投票した7360万人の力を恐れているらしい。トランプはベテラン政治家とエスタブリッシュメントにとっては脅威であるから、当然のことだ。

この実にひどい劇はロードショーとして生き残ることもないだろう。どちらかと言えばまずい道化芝居だ。

カル・トーマスは企業共同体が雇用するコラムニスト、著者、放送局出演者、講演者であり、世界の指導者、米国大統領、著名人、教育者など数多くの名士につながりを持つ。複数の本を執筆しており、近著は「“America’s Expiration Date: The Fall of Empires and Superpowers and the Future of the United States.”」である。

【私の論評】退任した大統領を弾劾する米民主党は、相当追い詰められているとみべき(゚д゚)!

米国のIpsosの調査では、トランプ大統領は「2024年の大統領選挙に立候補すべきか」という問いに対して、共和党支持層の57%が賛成しています。反対は41%です。まだ共和党支持層には「トランプ期待論」があるのです。民主党支持層では、97%が反対しています。

同調査では、トランプ大統領支持率は29%に低下したという結果がでています。多くの日本のメディアは同調査を引用して、「トランプ支持率、最低へ」という記事を配信しています。同調査は、選挙後のトランプ大統領の行動は「稚拙(poor)」という回答は、昨年11月の54%から62%へ上昇しています。

さらに回答者の68%が、トランプ大統領は退任後、政治活動をすべきではないと答えています。賛成と答えた比率は29%でした。党派別の内訳は書かれていません。共和党支持者の賛成の比率は、もっと高いと予想されます。

 米議事堂乱入事件:Parlerの投稿動画とGPSデータをリンクしたら、現場のリアルが!

また議事堂乱入事件の責任はトランプ大統領にあると答えた比率は52%でした。24%がトランプ大統領にまったく責任がないと答えています。弾劾に関して、「トランプ大統領が弾劾されたほうがアメリカは良くなる」という回答は54%に達しています。

任期一杯、大統領職に留まるべきだという比率は45%でした。この数字が高いのか、低いのかは、判断しにくいです。他の調査と同様、実質的に賛成と反対は拮抗しています。共和党支持層でみれば、79%が弾劾に反対しています。民主党支持層の95%が弾劾を支持しています。

民主党支持者の意見を重視すれば、トランプ大統領は弾劾されるべきであり、アメリカの世論の大勢も同様だと理解することになる。逆に共和党支持者の意見を重視すれば、共和党支持者のトランプ大統領支持は基本的に変わっていないということになる。

米国には様々な分断があります。特に政治の世界では、民主党支持者と共和党支持者の間には共通点がまったくありません。お互いに妥協し、歩み寄ろうという意識は皆無です。

ある資料を読んでいたら、ある共和党上院議員が民主党との妥協点を探し、協力し合える可能性を模索していたところ、同議員は「絶滅危惧種」と揶揄されたと書かれていました。

1970年代まで民主党と共和党は妥協し合える関係にありました。ところが、もはやその可能性はまったくなくなっています。民主党支持者と共和党支持者は決して分かり合えない世界に住んでいるのです。

その背後には社会観、倫理観、宗教観の違いがあり、地域的な分断、教育による分断が重なっています。民主党支持層と共和党支持層を分断する川幅はずっと広がってきているのです。バイデン次期大統領が共和党に妥協と協力を呼び掛けても、共和党や共和党支持者のほとんどは呼応することはないでしょう。

もうひとつ注目すべきことは、Ipsosの調査で、共和党支持派の36%が「共和党ではなく、トランプ支持派である」と答えている点です。トランプ大統領は白人労働者や保守的なキリスト教徒であるエバンジェリカル、さらにティー・パーティの一部を取り込み、「トランプ連合」を作り上げました。


それが現在、共和党の大きな支持基盤となっています。共和党議員は、トランプ大統領支持派の支援をえなければ選挙で当選できない状況になっています。日本の自民党に対する公明党の存在どころではなく、共和党は保守主義の政党から「トランプの党」へと変わってしまったのです。

共和党は、トランプ大統領と決別すれば、大統領支持派が離反していくことを知っていようです。世論調査は、そうした現実を端的に示しています。一方、民主党のバイデン氏は民主党ほ「バイデンの党」にすることはできそうもありません。

元共和党支持派であったのですが、現在は無党派を自認する弁護士のDavid Frenchは著書(『Divided We Fall』、2020年刊)の中で、「共和党支持者は、トランプは欠陥だらけの人物だが、それでも国家を救う人物だと信じている。トランプを支持しないのは共和党に対する裏切りであり、国家に対する裏切りであると信じている」とも書いています。

それが現在の共和党の実態です。共和党はトランプ大統領に依存し続けるのか、トランプなき共和党を指向するのか、選択を迫られるでしょう。そうして、おそらくトランプ氏と協調することになるでしょう。

有罪評決には民主党上院議員50人に加え、共和党議員から17人の同意が必要ですが、現時点で造反が広がる可能性は低いです。早期幕引きを図りたいトランプ陣営の意向を受けて、弁護団は持ち時間を13時間以上残して陳述を終えました。証人招致の有無については決定していないですが、13日中に検察、弁護側双方の最終弁論が行われ評決が出る可能性があります。

検察役の弾劾管理人である下院議員たちが弾劾裁判に向かうところ

米国では最初から禁じ手とわかっている「弾劾」を今回だけではなく、過去に二度も、一度は結局断念し、二度目は実際に弾劾裁判を実施しましたが、結局失敗しました。退任した大統領を弾劾する民主党は、相当追い詰められているとみべきです。

これは、日本の政治を考えてもよく理解できます。野党は、良く内閣不信任決議案を国会に提出されますが、一度も成立したことはありません。一方自民党は、そもそも下野したことがすくないのですが、一回も内閣不信任決議案を提出したことはありません。米民主党は日本の万年野党のようになり、日本の野党のように弾劾を繰り返すようになる可能性が高いです。

次の大統領選挙も中間選挙も、民主党にとってそんなに簡単ことではありません。そうなると、やはり余程のことがない限り共和党が勝つ可能性が高いですし、トランプ氏の再選ということもあり得ないことではありません。

その頃には、トランプ氏は78歳になっていますが、バイデンが高齢大統領への道を開きました。バイデンは大統領に就任の年齢がまさに78歳です。あり得ないことではないのです。トランプ氏にはその時に備えて、減量等にも取り組んでいただきたいものです。

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