2021年2月18日木曜日

菅首相が中国にガツン! 海警法施行などに「冷静かつ毅然と対応」 QUAD外相会合18日にも開催―【私の論評】「二階おろし刺客SHKトリオ」のほうが「菅おろし老人NHMトリオ」より、現状では相対的に有利(゚д゚)!

 菅首相が中国にガツン! 海警法施行などに「冷静かつ毅然と対応」 QUAD外相会合18日にも開催

中国への毅然とした対応を強調した菅首相

 菅義偉首相が、中国に強い態度を示した。17日の衆院予算委員会の集中審議で、中国が海警局に武器使用を認める海警法を施行したことなどについて、「冷静かつ毅然(きぜん)と対応したい」「わが国の懸念を中国にしっかりと伝えたい」と明言した。また、日本と米国、オーストラリア、インドによる事実上の中国包囲網「QUAD(クアッド)」の外相が18日にも会合を開くことが分かった。

 集中審議では、国民民主党の前原誠司元外相が質問に立ち、海警法に関して、「国際法違反の懸念があると明確におっしゃいませんか」と菅首相に答弁を求めた。

 菅首相は「国際法との整合性から問題がある」と語った。

 さらに、尖閣諸島に関する質問に、菅首相は「切れ目のない対応を十分に行うため、引き続き、大型巡視船の整備や自衛隊の能力向上を図り、わが国の領土・領海・領空を断固として守るという方針のもと、冷静かつ毅然と対応したい」と強調した。

 こうしたなか、米国務省のネッド・プライス報道官は17日、日米豪印の外相によるオンライン会合を18日にも開催すると発表した。

 4カ国による外相会合は昨年10月に東京で開催して以来で、ジョー・バイデン政権発足後は初めて。

 中国が軍事的覇権拡大を進めるなか、「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進に向けて協議する見通しだ。

【私の論評】「二階おろし刺客SHKトリオ」のほうが「菅おろし老人NHMトリオ」より、現状では相対的に有利(゚д゚)!

この菅総理の発言、ひさしぶりの中国に対する明快な発言でした。そうしてなにやら自民党内の派閥政治の変化を伺わせます。ほんの数ヶ月前までなら、菅総理は、二階氏に配慮して、ここまではっきりと中国に対する発言ができなかったのではないかと思います。

二階俊博氏

自民党内で何かが変わっているとしか思えません。二階氏は、習近平を国賓待遇で迎え入れ
ことを、どこまでも譲らない自民党のいわば癌です。このブログでも昨年掲載したように、米国のピューリサーチセンターの世論調査では、日本人の89%が中国に対してネガティブな見方をしています。

それに、最近では米国が中国によるウィグル人への迫害を「ジェノサイド」であるとしました。さらに、日本ばかりではなく、中国が起因となったパンデミックで苦しみました。このようなことがあるにもかかわらず、たとえコロナが収束した後にしても、習近平が国賓来日して、天皇に謁見することでもあれば、自民党は国民から総スカンをくって、菅政権の支持率はかなり落ちるのは、目に見えています。

しかし、二階氏中国に対する宥和姿勢を頑として、崩しません。これでは、国民はもとより、自民党内でも二階氏に対する批判が高まるのは当然です。
自民党の “骨格3ポスト” とされる幹事長、党紀委員長、金庫番の経理局長を、二階派が占めています。これは、いつでも他派を 強請ることができる ということです。 二階さんは “キングメーカー” を気取っているようですが、二階派だけではなく、他派閥の支援かなければ、菅さんは勝てなかったかもしれません。ましてや、党内で二度と、石破氏の芽が出ないように、叩き潰すことはできなかったかもしれないです。党内で不満が出るのも時間の問題だったといえるでしょう。 そうして、権謀術数が渦巻く永田町に今、“二階おろし” の狼煙が上がり始めているといわれてます。 2021年春にかけて、東京五輪開催の可否が判断され、新年度予算も成立します。それらが終わったら “二階おろし” が始まると囁かれています。その中心となるのが、“反二階” の急先鋒として動いている『SHKトリオ』だというのです 「S」とは、世耕弘成参院幹事長(58)を指します。 世耕氏は、次の衆院選で二階さんの選挙区である和歌山3区から、鞍替え出馬する意思を固めています。周囲には、「私には、まだ時間があるから焦らない」と言っているようですが、世耕さんは衆院に転じれば、細田派の総裁候補の目が出てきます。 世耕氏は選挙に自信があって、二階さんが相手でも、後継と目される二階さんの三男が相手でも「勝てる」と踏んでいるようです。 そうして、「H」は林芳正元文科相(60)、「K」は河野太郎行革担当相(58)です。党内から上がる “反二階” の声の出所を探ると、“HとK” の周辺に行きつくとされています。




2012年に総裁選に出馬した林氏と、新聞の世論調査で “次期首相にふさわしい政治家1位” になった河野氏は、いま政界で一挙手一投足が注目される存在です。 林氏は2021年、「次期衆院選で山口3区へ鞍替えする」と宣言しましたが、同区は二階派の河村建夫元官房長官の地元で、二階氏は林氏に激怒しました。二階氏は、「売られた喧嘩は買う」と集会で啖呵を切ったのですが、林氏も折れる気はなく、無所属でも出馬するつもりのようです。 河野氏が “ワクチン担当大臣” をまかされた件でも、二階氏は「誰でもやれるのに」と、起用に不快感を露わにしました。官邸からの根回しがなかったようですが、このところ菅首相と二階氏のあいだには、隙間風が吹いているようです。 河野氏は次期総裁選で菅氏の後ろ盾が欲しいので、菅首相に恩を売っておきたいわけで、親しい議員たちが “反二階” で呼応している構図のようです。 最近動き始めた「二階おろし」は、「SHKトリオ」がこうして外堀を埋め、重鎮たちが二階氏へ “最後通牒” を突きつけるというシナリオです。 二階さんを幹事長から外さずとも、実質的な力を削ぐ必要があります。麻生さん、各派閥領袖、二階派最重鎮の伊吹(文明・元衆院議長)さんがまとまって、「もう、政府の言うことに口を出さないで」と二階さんに “忠告” することになるかもしれません。あるいは、もうしているかもしれません。 菅総理は無派閥なので、二階派よりも、政権運営を安定させて、総選挙に臨むために、数が多いほうに与することでしょう。

このブログでも何度が掲載しましたが、本当は、世界的に見ても素早く、手厚い日本のコロナ対策なのですが、なぜかマスコミや野党から言わせると、後手後手に回ったと言われるコロナ対策でひところ菅政権が窮地に陥っているともいわれていました。実際、支持率も下がってはいました。

その菅政権の命運を決めるのは、4月25日に行なわれる北海道2区と参院長野選挙区のダブル補選です。

北海道2区は鶏卵業者から現金を受け取り、東京地検特捜部の捜査を受けて自民党を離党した吉川貴盛・元農水相(議員辞職)の後任を争い、参院長野選挙区は立憲民主党の羽田雄一郎・元国交相がコロナで急死したことによる補選です。

長野は雄一郎氏の弔い合戦で、後継候補が出馬すれば勝利の可能性が高いです。北海道2区もスキャンダル批判で自民党に勝ち目はないということで、1月15日に自民党は候補擁立断念を表明しています。連敗すれば党内から“菅義偉・首相では総選挙を戦えない”という声が噴き出し、政権の致命傷になり得ます。

“政権の余命は3か月”というわけです。そうした“菅降ろし”のタイミングを虎視眈眈と見計らっているのが、二階俊博・幹事長、林幹雄・幹事長代理、森山裕・国対委員長の「3人組」です。

    二階俊博幹事長(中央)、林幹雄幹事長代理(右)森山裕国対委員長(左)
    =党本部で2018年10月18日午前11時45分

こちらは、老人NHMトリオというわけです。

昨年の総裁選では、菅氏を総理・総裁に担ぎ上げる原動力となりました。ところが、昨年12月のステーキ会食が批判されて以来、頻繁だった3人組と菅首相の会合がパッタリなくなりました。これは、ステーキ会食はきっかけに過ぎず、上であげた、SHKの動きがあったからでしょう。

菅首相は支持率急落に合わせるように3人が自分と面会しなくなったことに、“菅降ろしに動くつもりなのでは”と疑心暗鬼になっているようです。二階さんは菅政権の生みの親ではあるのですが、菅首相の続投にはこだわっていません。野田聖子氏を幹事長代行に抜擢し、石破茂氏についても『まだ可能性はある』と発言するなど、ポスト菅候補2人を手駒にしています。

ただ、石破茂氏に関しては、自民党内では人気が最も低く、はっきりいえば自民党の大部分の議員が「あいつだけは総理大臣にしたくない」と思っています。総裁選で負けるのは当然でしたし、自民党内では、石破氏を総裁選で最下位にするための、駆け引きがあったことは確かなようです。そのため石破氏の芽は完璧に摘まれてまったと言っても良い状況なので、石破氏を手駒にすることは自民党内でかなりの大反発を招いたのはあきらかです。

自民党内は、キングメーカーの二階氏ら「老人NHMトリオ」がどんなタイミングで動くかに注目しているようです。

もちろん、菅政権の“大幹事長”として好き放題に権勢を振るってきた二階さんへの不満も党内には根強くあります。下村博文・政調会長がわざわざテレビ番組で、2か月後の補選で2つとも負けたら「政局になる可能性もある」と言及したのですが、政局となれば選挙の責任者である幹事長は当然、総理と一緒に退場してもらうのが筋です。

補選のうちすでに一つは自民党は候補者を出さず、負けたも同然の状況です。参院長野選挙区はどうなるかは未知数ですが、自民党は小松裕(59)を擁立、立憲民主党は、羽田氏の実弟である羽田次郎氏を擁立しました。

この選挙で勝てば、菅政権にとっては優勢になり、無論SHKトリオは有利になるでしょう。この選挙で負けて、この負けが政局になれば、二階幹事長も菅総理も辞任ということになるでしょう。

政局にしなければ、両方とも辞任はしないでしょう。それよりも、両者とも今後の衆院戦に向けて、自民党を立て直すことに注力することになるでしょう。

そうなるとやはり、先に述べた「SHKトリオ」のほうが「老人NHMトリオ」より現状では相対的に有利と考えられます。

現状はまだ見極めが難しく、今後どうなるかはわかりませんが、今回の総理の中国に対する明快は発言からみると、「SHKトリオ」のほうが、優勢なようです。

今後、習近平の国賓待遇で来日を無期限延期か、断るということにでもなれば、「SHKトリオ」が圧倒的に優勢になったとみるべきでしょう。

そうして、そのほうが日本にとっても良いです。私としては、今日なぜ二階氏が中国に対してあれほどまでに宥和的なのか理解に苦しみます。

二階氏の最大の矛盾は、自民党本部ビルの九階の幹事長室にいることかもしれません。「老人菅おろしNHMトリオ」は従来は、菅政権を支えてきました。その状態に戻ることが、自民党もやりやすいはずです。ただし、そうなったからといって、中国宥和政策をすすめようというなら、幹事長室から追い出すべきです。

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