2020年12月20日日曜日

高橋洋一氏「批判ありきのマスコミを官僚が誘導する構図だ」 新著『マスコミと官僚の「無知」と「悪意」』で霞が関の実態解き明かす―【私の論評】この書籍を読んで「日本の解き方」読めば正しい認識を持った上で、様々な議論に参加できる(゚д゚)!

 高橋洋一氏「批判ありきのマスコミを官僚が誘導する構図だ」 新著『マスコミと官僚の「無知」と「悪意」』で霞が関の実態解き明かす

高橋洋一氏

 菅義偉政権で内閣官房参与に就任した高橋洋一嘉悦大教授が、夕刊フジの連載「日本の解き方」をベースに加筆した新著『マスコミと官僚の「無知」と「悪意」』(産経新聞出版)を出版した。表題の通り、マスコミの報道や財務省を筆頭とする官僚らの行動が、日本経済や社会の妨げになっている実態を解き明かしたものだ。高橋氏は「批判ありきのマスコミを官僚が誘導している構図だ」と語る。

 同書は、安倍晋三政権時の2019年4月から菅政権誕生後の今年11月までの連載を再構成したもので、新型コロナウイルス対策や消費税減税論、大阪都構想といった問題についてマスコミ報道の間違いや官僚のミスリードなどを指弾している。

『マスコミと官僚の「無知」と「悪意」』表紙 帯をとった表紙

 官僚の世界を知り尽くし、財務省時代に多くのメディアと接したという高橋氏は、両者のもたれ合いの構図についてこう指摘する。

 「専門性がない記者は財務省など当局の話を聞いて書くしかないのだろう。そのため主計局の見解を代弁したような内容の記事ばかりになる。私に聞いてくれれば違う意見を言えるが、社内で怒られるのかもしれない。そこで一般紙では読めない見解が夕刊フジに載るというわけだ」

 コロナ禍の経済対策をめぐる議論でも、高橋氏は、財務省の意向が強く反映された報道に問題が多いと指摘する。

 「私は需給ギャップや自殺者、失業者の予測に基づいて規模を重視すべきだと主張したが、予備費や補正予算の規模が大きすぎるという批判ありきの報道ばかり。もし小さい規模にしていたら経済はもっとひどいことになっていたはずで、そうするとまた批判の種とするのは、『GoTo』をめぐるマッチポンプの報道をみても明らかだ」

 マスコミと官僚が結託し、世論を誘導するような状況は以前から変わっていないという高橋氏だが、「最近はインターネットの普及で反論を書くのも簡単になったし、ユーチューブで発信もできる。かつてのように言われっぱなしではなくなった」という。

 夕刊フジの連載について、永田町でも霞が関でも「読んでますよ、としょっちゅう言われる」という高橋氏。「連載の中でも繰り返し書いているが、現状は政府が国債を発行しても日銀が買い取るので国民負担は発生しない。政治家にはこれだけでも理解してもらいたい」と強調する。

 安倍政権当時から政策に関して見解を示すこともあったが、菅政権では正式に内閣官房参与という肩書が付き、風当たりも強まっている。NHK・Eテレの周波数帯売却案や受信料の値下げ案を打ち出したことも大きな話題になった。

 「前から同じことを言っているのに反応が大きくなった」と笑う。

 今後のマスコミについて「専門性のある記者がいろんな意見を聞いて、読者や視聴者の判断に委ねるのがいいと思う」としたうえで、「ヘンな内容の記事を書き続けてくれれば、ネタには事欠かない」と皮肉を込めた。

 ■高橋洋一(たかはし・よういち) 1955年東京都出身。東大理学部数学科・経済学部経済学科卒業。大蔵省(現財務省)理財局資金企画室長、米プリンストン大客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(官邸・総理補佐官付き)などを歴任。2020年10月、内閣官房参与(経済・財政政策)に就任した。

【私の論評】この書籍を読んで「日本の解き方」読めば正しい認識を持った上で、様々な議論に参加できる(゚д゚)!

この書籍さっそく、amazon kindleで電子書籍を購入して読み始めています。パラパラとめくったところでは、「夕刊フジの連載「日本の解き方」をベースにしているだけあって、ほとんど知っているものばかりでした。

ただし、新著には「日本の解き方」に書かれたことにさらに加筆ということなので、その加筆の部分に注目しつつ読んでいこうと思います。

また、一冊の書籍にまとめるということで、高橋洋一氏の考え方が体系的に理解できるということでも注目です。新聞の記事は、単一の短い読み物として構成されているため、他の記事との繋がりや関係などはほとんど考慮されないのが普通です。書籍にまとめるということは、そのようなことも十分に配慮されていると思います。

このブログを購読されている方ならおわかりのように、このブログでは、様々な記事を引用してそれを解説するという形をとっているのですが、「日本の解き方」の引用率はかなり高いです。調べたことはないのですが、おそらくこのブログでは一番引用率が高いのではないかと思います。

なぜそのようなことになったかといえば、現在の日本の大きな問題は、結局官僚とマスコミの問題に行き着くことが多く、特に財務省にはかなり問題があります。そうなると、高橋洋一氏のようにかつて官僚だった人であり、しかも官僚の世界にあまり毒されることもなくマクロ経済を熟知した上で、自由な発想で物事を語る人の意見がかなり参考になります。

太田財務次官

本日は、「日本の解き方」を産経新聞のサイト「ZAKZAK by 夕刊フジ」で検索してみたところ、一番古い記事で2020年7月11日のものでした。このブログでは、かなり古いものでは2012年あたりから、そのまま掲載してありますので興味のある方は、「日本の解き方」のキーワードで検索してごご覧になってください。

この「日本の解き方」ブログに掲載して解説するという目的もあったので、結構長い間読んでいます。それもあってか、日本の経済の問題については、従来よりはかなり詳しくなりました。それととともに、マスコミと官僚の問題点も良く理解できるようになりました。

大方の経済学者等が言っていることは大体わかるようになりましたし、いわゆるエコノミストや、アナリストなどと称する人々の言うこと、テレビのコメンテーターの言うことや、新聞記事など言うことを鵜呑みにすることはなくなりました。

池上彰氏の経済ニュースほどあてにならないものはない・・・・

その中で、これは間違い、これは正しいとそれなりの背景から確信を持って言えるようになりました。これは、ブログの記事を書く上でも、経済の問題を考える上でもかなり役立っています。このようなことは、ネットで高橋洋一氏をはじめとして、他のまともな意見を語る少数の人々の記事を読んだ上で、マクロ経済の書籍などを読まなければなかったと思います。

そうして、「日本の解き方」を読むことで、マクロ経済の書籍を読むこともあまり苦痛ではなくなりました。私は、高橋洋一と同じく理学部の出身者なので、そもそもマクロ経済など大学で学んだこともなく高校で習ったはずの知識も忘れていました。それでも何度か読んでみようと思って、何冊か購入したこともあるのですが、結局積ん読で終わっていました。

しかし、「日本の解き方」を読み始めてからは、関連したところを読んだりしているうちに、徐々に読み慣れてきて、読むことがあまり苦痛に感じなくなってきました。

その上で、いいますが日本のマスコミの経済記者や政治家などほとんどマクロ経済を理解していないようです。私がみるところ、日本の大手新聞でマクロ経済を理解している人は、数人しかいません。金融機関の幹部の人でも、わからない人も多いことに驚きました。これは由々しき問題です。

マクロ経済学というと、非常に難しく考える人も多いでしょう。しかし、定量的に何かの答えを出すというのは、確かに難しいですが、その時々でどのような財政政策・金融政策をすべきか程度の判断は十分に可能です。それも、常識的に考えればわかることが多いです。

たとえば、為替に関しては、長期的にいえば相対的により強力に金融緩和をしている国の通貨が安くなることなどは、簡単に理解できます。お札をたくさん刷っている国のほうが、刷っていない国よりも安くなるのは当然です。モノもたくさんあれは、価値が低くなりますが、逆に少ししかなければ、価値はあがります。お金も同じことです。

実際には、様々な要素が絡まっているので、すぐにはそうはならなくても、長期的にはそうなります。だから、為替介入などあまり意味はないのです。できるのは、急速な為替変動を緩やかにするくらいのものです。これがわからない金融アナリストもいるようで、様々な複雑な要素を難しくこねくり回して、結局数ヶ月の目先のことしか予想できないようです。

高橋洋一氏の「日本の解き方」やその他の記事を読み、さらには自分で他の情報にあたったりしているうちに、日本は平成年間のほとんどの期間を財政政策、金融政策を間違えてきて、それでもなお、政治家やマスコミがそのことに気づかず、さらに同じ間違いを繰り返そうとしていることにかなりの危機感を持ちました。それが、このブログを書くことの原動力にもなりました。

上の記事で、高橋洋一氏が「最近はインターネットの普及で反論を書くのも簡単になったし、ユーチューブで発信もできる。かつてのように言われっぱなしではなくなった」と語っていますが、これは本当にそうだと思います。特にここ10年間あたりはそうだと思います。

やはり多くの人々がテレビや新聞などの情報に飽き足らず、ネットの情報を閲覧するようになってから、変わったようです。10年以上前だと、世間では高橋洋一氏の考えなど、「異端」的に扱われていたところがありましたが、ここ10年くらいでそのようなことがなくなってきました。

これは、高橋洋一氏をはじめとする、良心的な人々が、ネットなどを通じて、この10年間努力してきた成果だと思います。この努力に比して、最近のマスコミや官僚、一部の政治家や識者の発言や行動は旧態依然として見苦しい限りだと思います。

今までマクロ経済に疎いと感じられている方で「日本の解き方」を読んだことのない人たちも、今回の新著『マスコミと官僚の「無知」と「悪意」』(産経新聞出版)を読んで頂き、その後継続して「日本の解き方」を読んでいただければ、日本経済や日本の官僚とマスコミの問題について、正しい認識を持った上で、自分の頭で考え、様々な議論に参加し生産的な話ができると思います。

特にコロナ禍の現在、政府の役割が大きくなっている現在、様々な分野で議論をしなければならい人にとっては、役に立つと思います。

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