イエレン氏の財務長官起用で米国は積極財政と緩和両立へ 日本は無策なら円高で苦境に…半年後に120万人超の失業者出てもおかしくない
高橋洋一 日本の解き方
イエレン氏 |
バイデン次期米大統領は、イエレン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長を財務長官に指名すると発表した。
イエレン氏は、オバマ政権でバーナンキ氏の後任としてFRB議長になった。トランプ政権はイエレン氏を再任せず、現パウエル議長を指名した。バイデン政権では、トランプ政権と逆をやるのだろう。
イエレン氏は、クリントン政権下の1994年からFRB理事、97年から大統領経済諮問委員会委員長、ブッシュ政権下の2004年からサンフランシスコ連邦準備銀行総裁、オバマ政権下の10年からFRB副議長-と実務に長く関わってきた。民主党政権での中央の実務経験が多いので、民主党の財務長官としては格好の人物だ。
FRB副議長時代には、バーナンキ議長と長年の共通の考えであったインフレ目標政策を公式採用させたのが大きな貢献だ。FRBに長く関わってきたイエレン氏は2%のインフレ目標を理事時代から主張しており、暗黙のものとして事実上採用されていた。
雇用の最大化と物価の安定、金融システムの安定というFRBの使命にも理解を示すだろう。実務経験も長く、しかも学問的な素養も十分なので、安定感がある。イエレン氏の予測の精度は高いことで有名だ。思いつきで発言せず、十分な調査を行っているからだ。
イエレン氏は、オバマ政権でバーナンキ氏の後任としてFRB議長になった。トランプ政権はイエレン氏を再任せず、現パウエル議長を指名した。バイデン政権では、トランプ政権と逆をやるのだろう。
イエレン氏は、クリントン政権下の1994年からFRB理事、97年から大統領経済諮問委員会委員長、ブッシュ政権下の2004年からサンフランシスコ連邦準備銀行総裁、オバマ政権下の10年からFRB副議長-と実務に長く関わってきた。民主党政権での中央の実務経験が多いので、民主党の財務長官としては格好の人物だ。
FRB副議長時代には、バーナンキ議長と長年の共通の考えであったインフレ目標政策を公式採用させたのが大きな貢献だ。FRBに長く関わってきたイエレン氏は2%のインフレ目標を理事時代から主張しており、暗黙のものとして事実上採用されていた。
雇用の最大化と物価の安定、金融システムの安定というFRBの使命にも理解を示すだろう。実務経験も長く、しかも学問的な素養も十分なので、安定感がある。イエレン氏の予測の精度は高いことで有名だ。思いつきで発言せず、十分な調査を行っているからだ。
現在は跡形もなく消えた、米国のティーパーティー運動 |
FRB時代に、議会共和党の一部にいる緊縮財政論者の茶会派(ティーパーティー)ともうまく対処してきた。ただし、マクロ経済重視で雇用重視なので、緊縮財政とは一線を画している。現在、コロナで米経済がズタズタなので、かなり思い切った財政政策を行うだろう。コロナはデフレ傾向を加速するので、国債発行を伴った積極財政で、その国債を中央銀行が購入しても、ひどいインフレにならないので、積極財政は金融緩和と両立しうる。
となると、日本が第3次補正予算でショボい追加対策だと、追加国債もあまり発行されず、日銀の金融緩和に要する国債も市中に不足するので、結果として十分な金融緩和ができなくなる。米国で金融緩和、日本で緩和せずとなると、円高になり日本経済は苦しくなる。しかも、ショボい追加対策だと、筆者によるGDPギャップ(潜在GDPとの乖離)推計は40兆円程度なので、半年後の失業者は120万人、自殺者6000人以上が出てもおかしくない。
にもかかわらず日本の財政当局は、残り7兆円もある予備費を3次補正の一部に組み込み、さらに、民間需要が出てくるという考えにくい前提をとることで、3次補正を小さくしようとしている。
民間需要が出てくるというのは考えにくい。ちなみに、内閣府モデルでは政府支出乗数は1・1もない。これは政府支出に対して誘発される民間需要が1割にも満たないことを意味しており、GDPギャップを公的需要で埋めないと、失業や自殺の増加は不可避だ。(内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)
【私の論評】予備費すらまともに使わず「医療崩壊」の危機を招いた現状では、失業や自殺の増加は不可避か(゚д゚)!
大統領選挙の結果はまだ出ない状態ですが、バイデン氏が大統領になった場合の人選においては、他の人選はたとえば、中国問題の専門家がほとんどいないなどの問題点が指摘されていますか、財務長官の人選は良かったと思います。
トランプ政権も、経済を良くしてきたのですが、イエレン氏が財務長官になれば、少なくと誤った政策に翻弄されることはなく、それどころか的確な政策運営ができると思います。カマラ・ハリスを副大統領に指名するようなバイデン政権としては、かなりまともな人選だと思います。
さて、上の高橋洋一氏の記事では、日本のショボい経済政策で、現状のままなら、とんでもないことになりそうなことを指摘していますが、その状況はすでに露見しています。
それは、最近テレビのワイドショーで盛んに指摘されている「医療崩壊の危機」です。本当はこのような状況は完璧に防げたことのはずでした。
テレビでは毎日コロナ第三波と「医療崩壊」 |
事前に予測ができて、財源があれば、ほとんど対応可能のはずです。冬に入ると、またコロナが蔓延する可能性については以前から、複数の専門家が指摘していました。
それに財源もありました。その財源とは、2次補正において計上された、10兆円の予備費です。この予備費が少しは使われたようですが、未だに7兆円も積まれたままになっているといいます。
これを使って5月までにコロナ専門病棟をつくるとか、それにあてる人員を確保したり、足りなければ養成したりすることも十分に可能なはずでした。
多くの問題は事前に対応策がわからないことがあります。それは対応できません。さらに、対応策がわかっていても、それを実行するための財源がなければ、対応できないです。
ところが、事前にわかっていて財源もある事柄には対応策は簡単に実行できるはずです。今回の医療崩壊への対応はまさしくこの範疇にあてはまるものです。「第3波が来る」ということは、確実なことで、4~5月のときにわかっていました。
「いつ来るか、どの大きさか」は正確にはわからないことでしたが、来事自体確実でした。4月に1次補正をして、5月に2次補正をしました。その2次補正をしたときの、10兆円の予備費はそのこの十分に予測できる事柄に臨機応変に対応するためにつくったのです。
最悪でも、応急処置でプレハブを設置し、機械を入れれば問題ないですし、諸外国はそうやっているところもあります。
それに日本は感染者の数、重症者の比率は海外に比べて桁違いで低いです。1桁、2桁違います。それでなぜ対応できないのか、全く理解できません。そういうようなところをきちんと見て、いまからでも対応することが国民のためになるはずです。
それに当初はコロナは感染症法上の扱いで、特に最初の方で感染した方々は、厚生省の感染分類で2類相当の扱いで、全員入院しなくてはいけなかったのですが、10月の終わりくらいに変えました。基本的には5類相当で扱って、即入院でなくて自宅や宿泊施設での療養も可能になりました。そのためホテルを借り上げることでも対応できるはずです。そのための財源も十分ありました。
それを考えると、「厚生労働省は何をやっている」ということになります。野党も「桜を見る会」よりもそういうところを議論したほうが、国民にとってより意味があると思います。桜の話をされても一部野党は盛り上がりますが、いまのこのコロナには関係ありません。
それに、すでに検察当局がすでに介入しているわけですから、「桜問題」など国会で少し話すくらいなら良いですが、それで野党が審議時間のほとんど使ってしまうことは、多くの有権者は到底容認できないでしょう。そもそも、国会とは立法府であり、人を裁く場ではありません。
桜を見る会 |
ただ野党としては、「予備費」については積みすぎであると批判していた手前国会で審議することには抵抗があるのでしょう。しかし、元々厚顔無恥な野党なのですから、反対したことなどおくびにも出さす「せっかく積んだのだから使え」と批判する手もあったと思います。
いままで、野党はは恥ずかしいことを散々繰り返してきたのですから、いまさら恥の上塗りをしたところで、何も失うものはないはずです。今回は国民を救うことにもなる「予備費」で政府を責めてほしかったです。
「資金使途をどうのこうの」と言っていた人もいましたが、第二波、三派波が来るのは確実視されていたのですから、それを使うしかないかったはずです。もし、使って第二波、第三波が来なかったとしても、誰も批判する人はいないでしょうし、批判するような人がいたとしても逆に多くの人から批判されることになったと思います。
予備費は第三波事前に使うべきというのは、当然のことであり、なぜそうしなかったのか、あまりに不思議ですし、異様だともいえます。
政府、その中でも特に厚労省は、「いままで一体何をしていたんだ」ということになります。幸いなことに、日本では諸外国に比較して、重傷者、死者ともに桁違いに少ないですし、コロナ感染の過去の状況をみていれば、1月、2月あたりにはある程度落ち着くとは思われますが、それにしても今からでも遅くないので、予備費を使って感染症対策を十分に行うべきです。
政府、その中でも特に厚労省は、「いままで一体何をしていたんだ」ということになります。幸いなことに、日本では諸外国に比較して、重傷者、死者ともに桁違いに少ないですし、コロナ感染の過去の状況をみていれば、1月、2月あたりにはある程度落ち着くとは思われますが、それにしても今からでも遅くないので、予備費を使って感染症対策を十分に行うべきです。
第三波対応でもこの有様ですから、日本の財政当局は、本当に残り7兆円もある予備費を3次補正の一部に組み込み、さらに、民間需要が出てくるという考えにくい前提をとることで、3次補正を小さくしてしまうかもしれません。
完璧にできることですら、できないのですから、今のままだと3次補正も小さな規模になり、失業や自殺の増加は不可避となる可能性が大です。菅政権はこの問題を何とかすべきです。
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