2020年12月25日金曜日

米、ウイグル族の虐殺認定を検討―【私の論評】中国共産党のウイグル人虐殺は周知の事実であって許しがたい世紀の大罪(゚д゚)!

 米、ウイグル族の虐殺認定を検討

中国政府の弾圧で国務省

ポンペオ米国務長官

 トランプ米政権が中国政府による中国新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族への弾圧について、国際法上の犯罪となるジェノサイド(民族大量虐殺)と認定するかどうかの検討に入ったことが24日、分かった。対中強硬派のポンペオ国務長官が検討作業を指示した。米当局者が共同通信に明らかにした。米政府が認定すれば、中国の強い反発が予想される。

 国務省で国際刑事司法問題を担当するタン大使が検討作業を取りまとめ、ポンペオ氏に報告する予定だというが、報告の時期は不明。ジェノサイドに認定した場合、中国に対する何らかの制裁措置を求める声が高まるのは確実とみられる。

【私の論評】中国共産党のウイグル人ジェノサイドは、周知の事実であって許しがたい世紀の大罪(゚д゚)!

ジェノサイドという言葉は、「人種」や「部族」を意味するギリシャ語と「殺害」を表すラテン語を組み合わせた造語で、ラファエル・レムキンというポーランド人法学者が1944年の著書で初めて使用したものです。日本語では「集団殺害」や「集団殺戮」と訳されることもありますが、そのままカタカナで「ジェノサイド」と呼ばれることが多いようです。

ジェノサイドの定義は、1948年に国連総会で採択された「ジェノサイド罪の防止と処罰に関する条約」(通称「ジェノサイド条約」)で定められています。この条約の第2条によると、ジェノサイドとは「国民的、民族的、人種的または宗教的な集団の全部または一部を集団それ自体として破壊する意図をもって行われる次のいずれかの行為」(注2)であるとし、5種類の行為を挙げています。この5種類の行為とは以下の通りです。
  • 「集団の構成員を殺すこと」
  • 「集団の構成員に重大な肉体的または精神的な危害を加えること」
  • 「全部または一部の身体的破壊をもたらすよう企てられた生活条件を故意に集団に課すこと」
  • 「集団内の出生を妨げることを意図する措置を課すこと」
  • 「集団のこどもを他の集団に強制的に移すこと」
このジェノサイド条約は、2019年時点で150カ国が批准しています。批准していない国はアフリカや東南アジアを中心に多数あり、日本もその一つです。

ジェノサイド条約における「ジェノサイド」の定義は、1998年に採択された国際刑事裁判所(ICC)規定でも踏襲されています。日本は2007年にこのICC規定に加盟し、それによってジェノサイド条約が規定する責務の大半を果たしていますが、国内法との整合性に課題があり加盟に至っていないジェノサイド条約の批准についても、国会での議論が繰り返し行われています。

ジェノサイド条約が採択されたのは1948年、第二次世界大戦終結の少し後です。この条約は、大戦中に侵された残虐行為を二度と繰り返さないという国際社会の強い決意の中で生まれたのです。

また、「ジェノサイド」という言葉をラムキンが考案した背景として、大戦中にナチスドイツによって行われたユダヤ人の大量殺戮や迫害、すなわち「ホロコースト」への対応という側面があります。

実は、法的にジェノサイドと認定されている事例は多くありません。

これは、ジェノサイドの定義にあるとおり、ある事例がジェノサイドにあたるかどうかの判断には行為者の「意図」が関わるためです。このため、個別の事例にジェノサイドという言葉を使用するかどうかを決定するためには、ICCや国際司法裁判所(ICJ)での慎重で詳細な調査が必要となります。

カンボジアのボルボト政権によるジェノサイドの犠牲になった人々の頭蓋骨

第二次世界大戦後のジェノサイドとして有名なのは、カンボジアでのポル・ポト政権による虐殺、旧ユーゴスラビアでの民族浄化、ルワンダでのジェノサイドです。これらのジェノサイドに関しては、かなり有名であり、すでにサイトで様々な論議がなされているので、ここでは詳細は述べません。興味のある方は、是非他のサイトにあたってみてください。

法的に認められたジェノサイドの事例は上述の3件のみですが、ジェノサイドの容疑で今も国際的な裁判が継続している事件や、各国が独自にジェノサイドであると認めている事件もあります。

今回の、米国によるウイグル族の虐殺認定を検討は、もちろん米国によりジェノサイド認定して、米国により制裁をするということです。


今月はじめ中国の電子商取引(EC)大手アリババ(Alibaba、阿里巴巴)が、新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル人を特定する顔認証ソフトウエアを提供していたと、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が報じています。中国政府のウイグル人弾圧への中国企業の関与が相次いで発覚しています。

報道によるとアリババは、クラウドコンピューティング事業のウェブサイトで、同社の顔認証ソフトウエアを使って画像や動画の中からウイグル人ら少数民族の顔を検出する方法を顧客向けに紹介していました。

問題のページは、監視関連の米調査会社IPVMが発見してニューヨーク・タイムズと共有したもので、現在はアリババによって削除されています。

ニューヨーク・タイムズによると、アリババはこの機能について、試験環境で使用されただけだと説明しているそうですが、全く信用できません。

アリババの商標とロゴ

ビデオ監視システムの米調査会社IPVMはこれも今月はじめに、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)がウイグル人の顔を認識すると警察に通知が届く顔認証ソフトウエアの試験に関与していると報告したばかりでした。ファーウェイはこの指摘を否定しています。

中国政府は近年、新疆ウイグル自治区の監視に割く予算を急増させており、テロ防止の名目で顔認証、虹彩認証、DNA採取、人工知能(AI)を駆使した監視網を自治区全域に展開している。

昨日もこのブログに掲載したように、現在の中国の大停電は、こうした監視網を自治区で展開するために、データセンターにおいて大量の電力需要が生じているためであることが考えられます。この記事では、中国に最新の省エネ技術を提供することは、データセンターの安定稼働を促し、それこそジェノサイドに手を貸しかねないことについても述べました。

中共政権のウイグル人虐殺は周知の事実であって許しがたい世紀の大罪です。米国政府には一日も早く認定していただきたいです。アリババやファーウェイのようなジェノサイドに関与したとみられる企業にはトランプ政権により鉄槌がくだされるでしょう。そして文明世界全体は毅然とした姿勢で中共に「No」を突きつけていくべきです。そうして、中国に機微な技術を提供してジェノサイドに加担するようなことは絶対に避けるべきです。

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