2020年12月22日火曜日

中国、チベット弾圧を苛烈化、婦人を拷問し虐殺…ダライ・ラマ、化身認定制度継続を検討―【私の論評】中共が他国の宗教を破壊してまで支配しようとすれば、新たな「精神世界」が必要となり中共は中共でなくなる(゚д゚)!

 中国、チベット弾圧を苛烈化、婦人を拷問し虐殺…ダライ・ラマ、化身認定制度継続を検討

取材・文=相馬勝/ジャーナリスト



 「中国共産党の習近平指導部のチベットへの弾圧は苛烈を極めています。チベットも情勢についても、中国チベット自治区の情報を海外に漏らしたとして、つい最近もチベット自治区で牧畜業を営むチベット婦人がインドの親戚に送金しただけで2カ月間も留置所に拘束され、連日の激しい拷問の末、殺されてしまったのです」

 こう語るのは10月下旬にダライ・ラマ法王日本代表部の新代表として着任したばかりのアリヤ・ツェワン・ギャルポ氏(55)だ。アリヤ氏は10月24日、代表を引き継ぎ、28日には安倍晋三前首相を表敬訪問するなど、着任早々活発な活動を展開している。日本には2010年から15年まで、同代表部の事務局長を務めており、インドのデリー大学で日本語を学び、成田山新勝寺にも留学僧として1年以上滞在するなど日本通だ。

 アリヤ氏はインド北東部のヒマチャルプラデシュ州ダラムサラに本部を置くチベット中央政権(CTA)では情報国際省次官補や情報局長を務めるなど、中国大陸のチベット情勢にも精通している。冒頭のチベット人婦人の不当な拘束による不幸な事件の情報も、独自のルートで得たものだ。とはいえ、アリヤ氏が語るように、情報統制やチベット文化の破壊などの面で、習近平政権が発足後、中国での締め付けは年々厳しくなるばかりだ。

 アリヤ氏は「習近平政権の弾圧はチベットの仏像や寺院などを根こそぎ破壊し、チベット仏教の僧侶ら多数のチベット人を死に追いやった文化大革命(1966~76年)時代より激しいといわれるほどです」と指摘する。

 チベット自治区などチベット人居住区では魔除けや祈りに用いる「ルンタ」と呼ばれる色とりどりの旗よりも、中国の国旗や共産党の宣伝用の旗や看板のほうが多いくらいだという。また、チベット仏教寺院はすべて共産党幹部が管理しており、仏教僧はお経を唱えるのも党幹部の許可を得なければならないほどだ。子供も寺院に連れていくことは禁止されているなど、信教の自由は制限されている。

 さらに、チベット文字やチベット語の使用も禁止されるなど、「チベット文化のジェノサイド(虐殺)」と言っても過言ではないという。

ダライ・ラマ法王「私が先に逝くか。共産党が先に逝くか」

 しかし、アリヤ氏はこう指摘する。

 「このような弾圧はいつまでも続くはずはない。(チベット仏教の最高指導者)ダライ・ラマ法王(14世)は『私が先に逝くか。あるいは、共産党が先に逝くか。どちらが先に逝くのか、わからないよ』とおっしゃっている。この言葉通り、中国の民衆が習近平の圧政にいつまで耐えられるのか。いずれ民衆の積もり積もった不満が爆発する時が来るのは間違いない。早晩、それが現実のものになるに違いない。このようななかで、いま中国が虎視眈々と狙っているのは、ダライ・ラマ14世の後継者である15世を中国政府の手によって指名しようということだ」

 アリヤ氏によれば、これについてもダライ・ラマ法王は次のように明確に否定しているという。

 「彼らは私(ダライ・ラマ14世)の死を待ち望み、彼らの思い通りにダライ・ラマ15世を認定しようしています。最近の法律や関係省令の公布からも、チベット人やチベット仏教徒をはじめとする国際社会を欺くための詳細な戦略が彼らにあることは明らかです。そこで、私には仏法と衆生を守る責任があり、このような悪しき政策が現実化してしまう前に未然に防ぐことが急務なのです。

 私は、私が90歳くらいになったら、チベット仏教の大ラマ、民間のチベット人、その他チベット仏教に関わる人たちと相談して、ダライ・ラマの化身認定制度を継続する必要があるかどうか再度検討したいと考えています。それをもとに、継続の有無を決めるのです」

 ダライ・ラマ14世は現在、85歳。5年後の2025年7月の誕生日以降、後継問題について、決着をつけることになる。14世自身は「私は113歳まで生きる」と最近、明言したという。「113歳」といえば、いまから28年後の2048年となる。

 前述の通り、14世は最近、「私が先に逝くか。あるいは、共産党が先に逝くか。どちらが先に逝くか、わからないよ」と語ったというが、ダライ・ラマ14世と中国共産党との闘いは、14世自身の寿命との闘いといってもよいかもしれない。

(取材・文=相馬勝/ジャーナリスト)

【私の論評】中共が他国の宗教を破壊してまで支配しようとすれば、新たな「精神世界」が必要となり中共は中共でなくなる(゚д゚)!

最近は、このブログではチベットの状況に関しては、以前ほどは掲載しなくなりました。しかし、中共によるチベット弾圧はますますひどくなるばかりです。そのようなこともあって、本日はチベット情勢を掲載することにしました。

中共による、チベット弾圧に対して米国は、本格的に対抗しようとしています。

チベット亡命政府は21日、ロブサン・センゲ首相が米国の招待でホワイトハウスを訪問したと明らかにしました。亡命政府首相のホワイトハウス訪問は初めてです。

センゲ氏は20日、ホワイトハウスで米国側の関係者と面会したもようです。亡命政府は訪問を「歴史的な偉業」としており、「米国は亡命政府を認めていないが、(今回の訪問は亡命政府の)民主的なシステムと政治的責任者の両方を承認したことに匹敵する」と強調しました。

チベット亡命政府は、1959年のチベット動乱をきっかけにインドへ亡命したダライ・ラマ14世が樹立し、インド北部ダラムサラに拠点を置いています。センゲ氏は2011年から首相を務めています。

米上下両院は21日、中国チベット自治区での人権弾圧を批判し人権や信教の自由を擁護する法案を賛成多数で可決しました。今後ホワイトハウスに送付され、大統領が署名すれば成立します。

チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の後継者選出に中国当局者が介入した場合、制裁を検討するとの規定があります。

与野党が20日に合意した新型コロナウイルス関連の追加経済対策法案などとともに一括でまとめられた法案に盛り込まれました。

法案はチベット自治区の区都ラサに米領事館設置を中国が認めない限り、新たな在米中国領事館の設置を米政府が許可しないことも規定しています。

下院は1月にいったん法案を可決しましたが、上院の審議が遅れていました。下院可決時、中国側は「チベットに関する問題は人権問題ではない」と主張し、法案を批判しました。

チベット、ウイグル、モンゴルで中共がしつこく宗教を弾圧しています。

現在は中共に弾圧されていますが、かつてモンゴルは世界最大の帝国でした。しかしあまりにも被支配民に対して寛容でありすぎたのか、モンゴル帝国は降伏した相手を宗教や言語も元のままで支配下においていました。それが結局帝国の版図を拡大する原動力となったのでしょうが、維持することはできず仇となったようです。

ローマ帝国も当初は被支配民に対して、宗教も含めて寛容だったのですが、帝国内にキリスト教が普及した頃から寛容さを失い、それが後に崩壊に結びつきました。

人は一時的には強大な支配者に従う事はありますが、その影響力が弱まれば虐げられていた記憶とともに人は強い反発心を抱くようになります。こうならない為に、普通は強大な帝国は支配した国を「自民族」へと洗脳しようとします。

たとえば現在、中国はモンゴルや香港といった地区に住む人々を「中国人」として取りまとめようとする制度を推し進めています。ご存知のように、「一国二制度」を廃止してまで、香港を支配下に治めました。なぜそうするかといえば、自治権を与えたが最後、固有の文化を持つ者共はいつか必ず離れていくからです。

現在の中共はかつてのモンゴルのようにならないように、宗教を徹底的に弾圧するのです。

ただ、日本では宗教を弾圧することの意味が良く理解されていないようです。

日本の場合は、宗教が広く普及する以前に他の国では消え去ったアニミズムや、シャーマニズムを昇華させ神道による霊性の支配の次元にまで高めてしまったため、あらゆる意味で宗教が強く支配するということはありません。ここでいう、霊性とは万物に霊が宿るという考え方です。

これについては、ここで詳細を述べると長くなってしまいますので、説明はしませんが、詳細を知りたい方は以下の記事をごらんになってください。
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詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から二人のフランス人による霊性の世界に関する言葉を引用します。
フランスの作家で、ドゴール政権の文化相を長く務めたアンドレ・マルローは自著各編で、こんな趣旨のことを書いています。
アンドレ・マルロー
「21世紀は霊性の時代となろう。霊性の根源には神話があり、それは歴史の一面を物語っている。世界の神話が現代なお生きているのが日本であり、日本とは、それ自体、そのものの国で、他国の影響を吸収し切って、連綿たる一個の超越性である。霊性の根源に万世一系の天皇がある。これは歴代天皇の連続性であるのみならず、日本文化の継続性の保証でもあるのに、戦後日本はそのことを忘却してしまった。しかし、霊性の時代が、今や忘却の渕から日本の真髄を取り戻すことを要請している。また文化は水平的に見るのではなく、垂直的に見るべきだ」

確かに、中国や朝鮮文化の影響を過大に語る一部日本の文化人には大きな誤解があるように思えます。知る限り、英仏独の文化人、史家には、後生大事にギリシャ・ローマを奉る人など皆無であり、米国の識者がイギリスをむやみにもてはやす事例を耳目にしたこともありません。日本文化・文明と日本人は、中華文明や長年にわたりその属国であり続けた朝鮮文明とは全く異質であり、むしろアジアの中でも、もっとも遠い存在であるといえます。日本人の氏神、天照大御神に思いを致すのは今でしょう。

キリスト教中心の西洋文明の終末

スイスの心理学者グスタフ・ユングも「キリスト教中心の西洋文明の終末は20世紀末から21世紀初頭にかけて到来する。そして次の文明は、一神教や独裁専制ではなく、霊性の支配する時代となるであろう」と期せずしてマルローと同じ予言をしております。
霊性の世界は、天皇を頂点とした日本固有の文化として日本人の心にしっかりと刻みこまれているため、普段ほとんど意識することもないほどになっています。日本人として生まれた直後から様々な形で潜在意識の中に埋め込まれているのです。しかし、それは日本人の価値観、文化、善悪感に大きな影響を及ぼしています。

このような日本人ですから、宗教をあまり重要なものと考えず、心の問題などとしてしまう向きも多いようです。日本人は、宗教心がないから、世界を理解できないとするむきもありますが、そのようなことを言う人は、日本の「霊性の世界」を軽くみていると言わざるを得ません。

天皇陛下と上皇陛下

日本は世界の中で例外中の例外なのです。そういう意識を持って、他国、そうしてチベット、ウイグル、モンゴルをみるとまた違った見方ができると思います。

私が考えるに、中共がチベット、ウィグル、モンゴルなどの宗教を破壊もしくは中国に恭順させることができれば、これらを支配できると考えるのは間違いです。もし、それを成功させることができるとすれば、宗教のかわりに日本のように宗教以前の「霊性の世界」に匹敵するような「精神世界」を導入する必要があると思います。

それができなければ、混乱するばかりで、中国の名の下に支配することは相当困難です。一時支配できたようにみえても、必ず離反します。そもそも、支配することなど不可能です。それに新たな「精神世界」を導入して、定着させるためには、少なくとも1000年はかかります。日本が「霊性の世界」を定着し現在の形の昇華させるにも、1000年以上の時が必要でした。それに本当に支配することができたとすれば、その瞬間から中共は中共でなくなります。仮に支配できたとすれば、それは「支配」とは程遠い体制になるでしょう。

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