2020年12月13日日曜日

コロナ“震源地”中国、いまだにWHOの調査受け入れず 責任の謝罪と賠償、制裁関税課すべきだ―【私の論評】中共が態度を改めなければ、最悪他国から恒常的に国交を絶たれる可能性がある(゚д゚)!

 コロナ“震源地”中国、いまだにWHOの調査受け入れず 責任の謝罪と賠償、制裁関税課すべきだ

看板の文字が消され、塀に囲まれた中国・武漢の華南海鮮卸売市場=10月

 中国湖北省武漢市で新型コロナウイルスの初症例が確認されてから1年で、世界の100人に1人を感染させ、死者は150万人を超えた。経済損失も約3000兆円と試算され、こちらも命にかかわる重大事態だ。感染症発生当初に情報を隠蔽し、パンデミック(世界的大流行)を引き起こした習近平政権の罪は重いが、責任逃れに終始し、いまだに世界保健機関(WHO)による調査も受け入れていない。各国が制裁を下す日は来るのか。

 米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、11日時点で、全世界の累計感染者数は約6943万人、死者数は約158万人に達している。

 武漢で原因不明の肺炎が確認されたのは昨年12月8日だったが、中国がWHOに通知し、27人が原因不明のウイルス性肺炎にかかったことを公表したのは同31日と遅きに失した。

 今年1月から3月にかけて世界各国で感染者が急増、入国制限やロックダウン(都市封鎖)を余儀なくされた。当の中国は4月ごろにはいち早く感染拡大に歯止めがかかったと判断。欧州への医療支援やマスク外交などを展開し、立場を一転させた。そしてウイルスの発生源についても「複雑な科学的問題だ」(外務省報道官)として、“武漢起源説”に否定的な姿勢を示す。

 中国は6月以降、輸入冷凍食品からウイルスが検出されたとする事例を相次いで報道し、税関当局が11月には「検疫強化」を発表した。

 ロイター通信は同17日、新型コロナの検査を名目にした中国による輸入食品の監視に、主要国が不満をあらわにしていると伝えた。

 これに対し、中国共産党の機関紙、人民日報系の「環球時報」は、ロイターの報道を受けて、冷凍食品からのウイルス検出に関する報告を「非常に詳細な時間、場所、基本的な患者情報、活動歴、さらには関係する製品数、企業などが記載されている」として当局擁護の論陣を張った。

 WHOで緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は11月末、ウイルスの発生源が中国国外だとする説を「相当な憶測だ」と否定している。ただ、WHOは夏に調査チームを派遣したが、中国当局はいまも武漢入りは認めず、調査は遅々として進んでいない。

 元厚労省医系技官の木村盛世氏は、「中国は情報公開の透明性について信頼が置けず、発表も遅かった。WHOは本来、権限があるわけでもないので、中国でコロナが流行していた時点で発表を待たず、日本を含む各国が『人道的支援』という形でモニタリングに入るべきだった。中国の状況の注視を続けなければ、致死率の高い感染症に対応できなくなる」と振り返る。

習近平


 日本も4月に発出された緊急事態宣言や、相次ぐ自粛要請で、足元の経済の疲弊も顕著だが、世界では2020年内中にも9000万人近くが極度の貧困に陥ると指摘されている。

 国際通貨基金(IMF)は10月に改訂した世界経済見通しで、20年の世界の実質成長率は4・4%減で、コロナ禍がない場合に比べ、25年まで世界で約28兆ドル(約2916兆円)の経済損失になると試算した。

 今年5月以降、ドナルド・トランプ米大統領は、中国の情報隠蔽や感染拡大の責任を明確にし、制裁関税を含む「究極の懲罰」を課す意向を表明してきた。

 大統領選で勝利宣言したジョー・バイデン前副大統領は、現状では中国に対して厳しい姿勢を見せると強調するが、根本には「親中派」との懐疑的な見方も強い。今後、国際社会による中国への「報復」は見込めるのか。

 中国事情に詳しい評論家の石平氏は、「当然の権利として、各国政府は中国に対し、正式な謝罪と賠償を求め、責任を追及しなければならない。本来、各国政府は中国製品への制裁関税を課し、関税分を犠牲者の遺族への補償に充て、後々は経済的損失を含め賠償を求めるべきだ。国連に頼らず、各国政府の有志が一致団結して、国民的な持続的な運動として発展させる必要がある」と力説した。

【私の論評】中共が態度を改めなければ、最悪他国から恒常的に国交を絶たれる可能性がある(゚д゚)!

ウイルスはどこで発生したのでしょうか。当初は市場で売られていた野生動物が有力視されたのですが、その後の調査で市場以外の可能性が高まりましたた。市場では排水などからウイルスが検出されたのですが、野生動物のサンプルからは出なかったためです。また中国当局が昨年12月8日の発症を認定した最初の患者は市場を訪れていません。

中国政府はさらに論理を飛躍させています。「武漢で最初に流行したからと言って発生源とは限らない」(外務省報道官)と強調し、冷凍食品経由で国外からウイルスが持ち込まれたとの説に肩入れしています。

中国メディアも十分な根拠を示さずに国外発生説を盛んに報じ、中国では定着しつつあります。中国ではすでに発生源について冷静な議論はできないようです。それこそが発生源をあいまいにし、責任を逃れたい中国政府の狙いなのかもしれません。

結果として、発生源を巡る見方は中国の内外で大きな乖離が生じました。WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏は11月下旬、「中国が起源ではないとの説はあやふやな臆測だ」と指摘し、「最初に人への感染が起きた武漢」での調査が必要だと強調しました。

ライアン氏

「発生源が分からなければ、私たちは同じような感染爆発に対して脆弱なままだ」。ライアン氏は2月中旬にも調査を求め、習近平国家主席も5月に受け入れを表明しました。ところが進展はありませんでした。調査の進め方について中国側は厳しい注文をつけているとみられます。

米紙ニューヨーク・タイムズは2月に武漢入りしたWHOの調査団について、中国側に市場での調査を拒まれたと報じました。同紙は親中的なWHOが迎合したとも指摘しています。WHOは7月にも先遣隊を中国に送ったのですが、武漢は訪れていません。

欧米を中心に高まる調査実施の圧力を受け、WHOのテドロス事務局長は今月7日の記者会見で「今計画している。できるだけ早く武漢の地を踏ませたい」と応じました。欧米メディアによると、中国側の専門家が市場などで調査を行い、国外の専門家はそれを評価して補完する形で調整が進んでいます。中国側の条件をWHOが受け入れたとみられ、調査の公平性に今後、疑問が生じる恐れもあります。

ただ、ある程度わかっていることで、公表されている事実もあります。新型コロナウイルスの大流行が深刻な事態を引き起こしていることから、世界中の研究者が査読の過程を省略し、遺伝子配列のデータや報告書を従来の学術雑誌ではない場所で公表してきました。2月の上旬には、華南農業大学の研究者2人が、遺伝子配列がSARS-CoV-2と99パーセント一致するコロナウイルスをセンザンコウから発見したと発表しました。

センザンコウ

この研究者たちは詳細を明かさなかったのですが、主張はテキサス州のベイラー医科大学の研究者が2月13日に公開した別の予備報告によって裏付けられた[編註:3月26日付の『Nature』にも、中国に密輸されたマレーセンザンコウが新型コロナウイルスと類似するウイルスを保有していたとの研究結果が掲載されました。ウイルスの遺伝子配列が85〜92パーセントの割合で一致していたといいます]。

コウモリとセンザンコウが市場で並べられていれば、2種の間でウイルスが伝染することもあるでしょう。そうして、センザンコウから人にうつり、その人から他の人へと伝染していった可能性もあります。

しかし、このような研究はいまのところ、すべて推測の範囲を超えないのです。なぜなら、中国が調査を受け入れないからです。

このような態度では、再度中国自体が危険にさらされる脅威は拭えません。SARSや今回のコロナ感染で懲りた世界中の国々が、再度中国で感染症の危険情報を知った場合、それも致死性の強いものであれば、多少不正確なものであれ、中国共産党の情報など全く信用せず躊躇なく国境を閉じることになるでしょう。

世界中の国々が国民の命を守るために、中国をデカップリングせざるを得なくなる

いずれの国もこうした国々を批判することはできないでしょう。例外は、ロシア、北朝鮮くらいかもしれません。いや、ロシア、北朝鮮も他国が一斉に国交を絶てば、結局これに追随するかもしれません。

そうなると、中国だけが、世界中から閉じられた環境の中で未知の病原体に立ち向かわなければならなくなります。それでも、多くの科学者は協力できることは協力できるでしょうが、それでも中国共産党がこれが拒めば、十分な協力ができなくなります。

こういうことが何度も起これば、中国は世界中の国々から恒常的に国交を絶たれる可能性もあります。どの国も、目先の利益よりも、再度コロナのような伝染病で再び苦しみたいなどと思わないはずです。

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