2020年12月17日木曜日

中国による米選挙介入疑惑、トランプ政権が新たな情報入手か―【私の論評】中国による選挙介入疑惑は何らかの形で解明されるべき(゚д゚)!

 中国による米選挙介入疑惑、トランプ政権が新たな情報入手か

ラトクリフ米国家情報長官、報告書の議会提出保留を検討-関係者
米国家情報長官、中国の脅威を十分に反映した報告書を望む

 11月3日の米大統領選挙に外国勢力が介入した可能性について、ラトクリフ米国家情報長官は報告書の議会提出を保留することを検討している。米有権者に影響を与えようとした存在として、中国にもっと言及するべきだというのが理由。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

 トランプ大統領が選挙結果の受け入れを拒む中、同報告書は18日に議会への提出が予定されている。

 情報の機密性を理由に匿名で語った関係者によると、ラトクリフ氏は中国がもたらした国家安全保障上の脅威を十分に反映した報告書を望んでいる。 

ラトクリフ米国家情報長官

 トランプ政権ではラトクリフ氏のほか、オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)、ポンペオ国務長官、バー司法長官らが今夏、米選挙に対しては中国がロシアよりも大きな脅威だと示唆していた。ただ、当時の情報機関の評価はそうした主張を支持していなかった。

 関係者らによるとラトクリフ氏が懸念を強めたのは、トランプ氏の再選を阻むために中国指導部が取った行動、もしくは立てた計画についてより詳しい最新情報が出てきたことが理由。

 関係者の1人は、その情報の一部は中国語によるもので、選挙の前後数週間で集められたものだと述べた。内容についてはまだ評価中だという。

 中国側は以前、トランプ政権の主張を虚偽だと否定していた。在ワシントン中国大使館はコメントの要請に応じていない。国家情報長官室(ODNI)はコメントを控えた。

【私の論評】中国による選挙介入疑惑の解明は、誰が大統領になるかよりも、米国と他の民主主義国にとってはるかに重要(゚д゚)!

今回の米大統領選で、トランプ大統領の陣営は大規模な不正が行われたと主張していますが、そこには中国の関与があったと断言しています。「両雄並び立たず」という格言が示すように、バイデン政権の誕生は、米中の力関係を逆転させ、中共の世界支配へ王手をかけるものです。

オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は9月4日の記者会見で、外国政府による米大統領選への介入工作について「中国が最も活発だ」と非難しました。「過去40年の米外交で最大の失敗は対中政策だ」と述べ、中国への批判を強めました。

オブライエン氏は中国、イラン、ロシアを挙げ「この三つの敵国が米国の選挙を妨害しようとしている」と指摘。中でも「中国による米政界への工作が最も大規模」と強調し「介入しようとすれば深刻な結果を招く」と警告しました。

1989年に中国当局が民主化運動を武力弾圧した天安門事件を引き合いに「目を背ければ、中国は豊かで民主的になると思い込んだ」と過去の米政権の対中姿勢を問題視。中国による少数民族ウイグル族や香港、台湾への強圧的姿勢を例示し「全く逆に、人権侵害は年々ひどくなっている」と非難しました。

今度の選挙に中国共産党が関係したという様々な情報が巷に流れています。12月に入ってからの主なものを下に列挙します。

第1に、「紅3代」の伊啓威は中国広東省の工場で米大統領選挙の投票用紙が印刷された事実を暴露している(『エポックタイムズ』「中国製の偽投票用紙が米国に大量流入 選挙介入狙う 元高官子弟が証拠動画を公開」12月8日付)。


第2に、FBIが中国など外国での取引で税法やマネーロンダリング(資金洗浄)関連法に違反の疑いがあるとして、バイデン候補の息子、ハンター・バイデンに事情聴取を行っています(『CNN』「米連邦当局、バイデン氏息子を刑事捜査 中国ビジネスが焦点」12月10日付)。また、FBIが(バイデン候補に投じられたと疑われている)不正票に関する捜査がようやく動き出しました。(『BonaFidr』「FBIが50万枚の偽造されたバイデン票を犯罪捜査中―接戦州の4州が捜査対象」2020年12月12日付)。

第3に、シドニー・パウエル弁護士が大統領選挙当日、(日米開戦の象徴「パールハーバー」を模して、主に中国からの)「サイバー・パールハーバー」が起きたと発言しています(『Media Matters』「シドニー・パウエル氏、2020年の選挙は「サイバー・パールハーバー」攻撃の対象だったとルー・ドブス氏に語る」12月10日付)。

第4に、リン・ウッド弁護士が、中国製の投票用紙がメキシコ経由で米国に入ったと証言しました(『新唐人テレビ』「リン・ウッド弁護士『米国は決して共産主義に支配されない』」12月12日付)

第5に、中国人民大学国際関係学院副院長の翟東昇が、思わず口が滑ったのか、米中エリート同士の深い関係について暴露してしまいました(『看中国』「習近平のシンクタンクが米国エリート階層への潜入詳細を暴露」12月8日付、及び 同「翟東昇氏の演説は炎上を続け、彼が言及した人物の正体が明らかになった」12月11日付)。


第6に、「ロシアゲート」疑惑の急先鋒、米民主党エリック・スウォーウェル(Eric Swalwell)議員らが、中国共産党の女性スパイ(方芳<Christine Fang>)のハニートラップにかかった事が報じられています(『蘋果日報』「米情報機関:大量の女性スパイ  中国の女性スパイの手法は最高レベル」12月13日付)。

中国共産党の女性スパイ(方芳<Christine Fang>)

12月に入ってすら、これだけの情報が巷に流れているわけですから、これに関してはやはり、最高裁判所で審議をすべでした。

ただし、テキサス州パクストン司法長官やパウエル軍事弁護士の提訴は、『国家反逆罪』の審理であり、連邦最高裁の管轄外だという見解も出てきました。

連邦最高裁は、第3条の 反逆条項1および2により、 これらの提訴は連邦最高裁の管轄外というものでしたが、今回の不正選挙の疑義の中には、国家反逆罪とまではいかなくても、様々な不正疑惑があったはずで、それは管轄内であると考えられます。

次のシナリオ としては『軍事法廷』 か 『外国情報監視法(FISA)裁判』が考えられます。ただ、残念なのは、これらの裁判はその性格から審議は非公開となります。

FISA裁判所の権力は米国最高裁判所と並行し、判事による判決は最終判決として確定し、上告はありません。法廷審理は非公開であり、場合によっては一部抜粋された情報を公開することもありますが、すべての情報を公開することはまずありません。

訴訟の秘密性により、米国政府が許可した特別免許を保有する弁護士の出廷のみが認められています。国家安全を脅かす情報が一旦確定すれば、実質的抗弁すらできない状況であるため、FISA裁判所の被告にさえなれば、ほぼ有罪確定となります。

トランプ陣営が外国情報監視法裁判所に提訴できた場合、バイデンが敗北したと見て良いと思います。

国家情報長官「ジョン・ラトクリフ氏」のこれらに向けての早々の動きが注目されています。

ラトクリフ米国家情報長官は、米国と世界の民主主義にとって中国がナチスドイツ以来最大の脅威であり、政策担当者は中国政府との長期的な対立に備える必要があると指摘しました。

ラトクリフ長官は、中国をより重視すべく、850億ドル(約8兆8200億円)の情報予算の中で既に資源を移しつつあると述べた。「中国の意図や活動に関する率直な洞察を政策担当者に与えるのに必要な資源」が米情報コミュニティーに備わるようにするといいます。

3日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルへの寄稿で、同長官は「中国は現在の米国にとって最大の脅威であり、世界中の民主主義と自由に対する第2次大戦後最大の脅威だ」と指摘。「情報は明確に示している。中国政府には米国やその他地域を経済、軍事、技術の面から支配しようとする意図がある」としました。

さらに同長官は「今後、中国を米国家安全保障の第一の焦点とすべきだ」と主張。「中国政府は米国との終わりなき対立に備えている」と続けました。

民主党の一部の議員は、中国による選挙介入についての懸念を一蹴していました。日本では、選挙直後からバイデン勝利の決め打ちをしていました。一部の保守層にも同じような動きがありました。彼らは、大統領選挙が終わった直後から、「不正はあったかもしれないが、選挙の結果を左右するだけのものではない、そんなことよりも日本はバイデン政権への対処法を考えるべき」と早急に結論を出していました。

このような性急な対応は危険です。中国に対してそうして米国の有権者に米政府が中国政府による干渉を「厄介だとは思っても危険だとは思っていない」というメッセージになりかねないです。日本の一部の早急な結論を出した保守層にも同じようなことがいえます。

それが中国をさらに勢いづかせるのはほぼ確実で、そうなれば彼らは米国をはじめとする先進国に対するさらなる介入工作を続けるでしょう。現に彼らは、南シナ海でのますます積極的な活動を含め、そのほかの地政学的な目標を追求する上でも同様の戦略をとっています。

行政や立法の当局者による早まった発言は、中国による選挙介入に関する米政府の知識がきわめて少ないという厳しい現実を無視したものでもあります。西側諸国では、ロシアの脅威に対処するための先進技術の開発が進む一方で、中国による悪質な活動をリアルタイムで暴き、阻止する能力や手段はないのが現状です。

最近では、オーストラリアでも、中国の情報機関が中国系の男性に資金を出して選挙に立候補させようとしたことがありました。オーストラリアの例が参考になるならば、中国による複雑な政治介入工作を解明するのには、何年もの時間がかかる可能性があります。

さらに悪いことに米国の政界は党派間の対立が激しいため、オーストラリア政府が採用したような、市民社会や学会、諜報コミュニティーや実業界からの先入観にとらわれない意見に頼る形の調査を行うのは難しいです。

中国による米選挙への介入について、これまで以上に統合的な対処を行い、民主・共和両党が協力して一般市民に脅威を伝える努力をしない限り、米国は2022年にも2024年にもほぼ確実に、また同じような状況に直面することになるでしょう。そして日本も含む他の民主主義諸国も適切な対策を講じない限り、同じような介入に直面することになる危険があります。

米国はまず、党派を超えて中国による介入の脅威を認めることで、第一歩を踏み出すべきでしょう。

そうして、今回の中国による選挙介入疑惑は何らかの形で解明されるべきでしょう。これは、誰が大統領になるかよりも、米国と他の民主主義国にとって、はるかに重要なことです。ただし、結果としてトランプ氏が再選されるなら大歓迎です。

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