2020年11月28日土曜日

コロナ起源は中国外との主張「かなりの憶測」=WHO幹部―【私の論評】WHOは中国派でない勢力が息を吹き返したようだが、組織変革しなければ使命を果たせない(゚д゚)!

 コロナ起源は中国外との主張「かなりの憶測」=WHO幹部

マイク・ライアン氏

 世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は27日、新型コロナウイルスの起源が中国「外」とする主張について、かなりの憶測だという見方を示した。

中国は国営メディアを使って「コロナの起源が中国」との見方を否定する情報の拡散を続けている。ウイルスは昨年終盤に武漢の海鮮市場で確認されたが、それ以前に海外に存在していたという主張だ。 ライアン氏は会見で「コロナウイルスが中国で発生しなかったとの主張はかなりの憶測で、公衆衛生の観点から、ヒトの感染が確認された場所から調査を始めるべきことは明白だ」と指摘。WHOとしてウイルスの起源を調べるため、専門家らを武漢の食品市場に派遣する方針を確認した。

WHOの疫学者マリア・バン・ケルコフ氏

こうした中、WHOの疫学者マリア・バン・ケルコフ氏は27日、新型コロナの新規感染者数が減少したとしても、各国は警戒を怠らないようにする必要があると述べた。 オンライン会見で、ロックダウン(都市封鎖)の再導入は避けたいとし、「われわれには感染率を低く抑える力がある。数十カ国がウイルスをコントロールし、それを継続できることを示した」と語った。

【私の論評】WHOは中国派でない勢力が息を吹き返したようだが、組織変革しなければ使命を果たせない(゚д゚)!

テドロス事務局長は中国寄りとされていましたが、WHOも一枚岩の組織ではないようです。マイク・ライアン氏や、マリア・バン・ケルコフ氏は、中国寄りではないようです。

上の記事では、ライアン氏が専門家らを武漢の食品市場に派遣する方針を確認していますが。これについて、テドロス事務局長は会見で、「調査チームは武漢に行く」と述べ、現地での調査を行うことを明らかにしましたが、具体的な時期については言及しませんでした。

WHOの中でも、中国寄りのテドロス氏でさえも、現状ではコロナ起源は中国外であると主張したり示唆することはできないのでしょう。

テドロス事務局長は、新型コロナウイルスの感染者との接触が確認されたとして、今後、数日の間、自主的な隔離措置をとることになりました。熱などの症状は出ていないということです。



WHOのテドロス事務局長は1日、「私は、新型コロナウイルスの検査で陽性が確認された人の接触者だと認定された」と自身のツイッターに投稿しました。

熱などの症状はなく、今後、数日の間はWHOの規定に従って自主的な隔離措置をとり、自宅から勤務を続けました。

このようなこともあり、一時的にテドロス氏のWHO内での権限は弱まり、WHOの他の勢力が権限を増したという背景もあるのでしょう。

世界保健機関(WHO)は16日、新型コロナウイルスの流行が始まって以降、スイス・ジュネーブのWHO本部で65人の感染者が出たと、オンラインでの記者会見で明らかにしました。先週には5人の感染が判明し、本部内でクラスター(感染集団)が発生した可能性についても調査しています。

感染者と接触したため自主隔離していたテドロス・アダノム事務局長も本部から記者会見に参加しました。「症状がなかったため検査の必要はなかった」といいます。そうして、会議に出席したということは、現在は全面復帰したと判断しても良いでしょう。

16日に復帰して、27日にマイク・ライアン氏が、新型コロナウイルスの起源が中国「外」とする主張について、かなりの憶測だと発言しているのですから、WHO内におけるテドロス氏の中国寄りの勢力は弱まったと見て良いです。

WHOに関しては、中国問題以外のもう一つ批判があります。それは「基本的な義務を果たさなかった」というものです。

WHO憲章によれば、WHOの義務とは健康に関する様々な基準を設定すること、必要な国に支援を行ったり、支援のための様々な協力を調整したりすることです。感染症対応に関しては必要な情報を集め、状況を評価し、適切な勧告を行うことがその義務です。

WHOは1月30日に専門家会合を招集して「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」であると宣言し、2月3日には国際社会に向けて対応のためのガイドラインを発表、3月11日には「パンデミックの様相をなしている」と発表しました。

その後も連日ブリーフィングを行い、5月末にはワクチン、治療薬、診断ツールを国際的に共有するためのイニシアティブを立ち上げました。基本的な義務は怠りなく果たしてきたのです。

むしろ今回明らかになったのは、「できることをやっていない」不作為の現状ではなく、「できることが限られている」という現状でした。

WHOはグローバル・ヘルスの情報塔として機能しつつ、各国に必要な指針を与え、連携を促し、協力に向けた調整をその任務とするのですが、いずれも強制力は伴わず、加盟国の自発的な協力があって初めて機能するのです。

例えば、感染症対応の国際条約である国際保健規則には、各国がその領域内で国際的拡大をもたらすおそれのある公衆衛生リスクが確認された場合には、24時間以内にWHOに通報するように義務付けられています。

しかし、現状ではその義務を多くの国が適切に果たせずにいます。WHOがより積極的に情報を収集し、発生が疑われる国に立ち入って調査できていれば、少しは状況は違ったのかもしれないです。

現状ではそのような権限は持たず、発生国が自発的に申告する情報に依拠するよりほかないのです。WHOが発生国・中国に特別な配慮を行ったことは、このような限界が招いた一つの帰結でもありました。

それではこのような各種問題点をいかに是正していくべきなのでしょうか。

まずは、先進国民間企業のように、新たな組織論によって国際組織そのものを新たなつくりかえるべきです。まずは、統治に関わる部分と、実行に関わる部分を分離すべきです。これに関しては、経営学の大家であるドラッカー氏の政府に関する主張が大いに参考になります。

ドラッカー氏は次のように主張しています。
統治と実行を両立させようとすれば、統治の能力が麻痺する。しかも、決定のための機関に実行させても、貧弱な実行しかできない。それらの機関は、実行に焦点を合わせていない。体制がそうなっていない。そもそも関心が薄い。
先進国の大企業では、統治と実行が両立できないように法律で義務付けられています。統治に関しては、いわゆる本部で行われるようになっています。形式は様々ですが、たとえば「セブン&ホールディングス」は、セブンイレブンとイトーヨーカドーの持株会社であり、統治を行う本部機能を有しています。

最近では日本でも「○○ホールディングス」という名前の会社を聞くことが多くなりましたが、これらはただ株式を所有するだけではなく、本部としての統治機能を担っているのです。このように民間では大企業は「コーポレート(統治会社)」と「カンパニー(事業会社)」とは厳密に区分されているのです。

このように、WHOも統治と実行に関わる部門とを厳密に分けるべきです。

以下は、マーガレット・チャンが事務総長だった頃のWHOの組織図です。WHOが組織変革をしたという話は聞いたことがないので、今も同じような組織なのでしょう。


この組織図をみる限りでは、「統治と実行」を分離するという思想はない組織のようです。無論、WHOが直接実行することないでしょうが、実行に関わる部署としては、局長クラスなのだと思います。その上の組織たとえば、保険システム革新部なども、直接実行することはないのでしょうが、それでも実行とは強く関わっているように見受けられます。

このままの組織で、憲章などを変えただけでは、何も変わらないでしょう。WHOに限らず国際組織の役割は、国債社会のために意味ある決定と方向付けを行うことです。社会のエネルギーを結集することです。問題を浮かびあがらせることであり、選択を提示することです。これが、国際組織による統治といわれるものです。

それ以外の部分は、WHOなどの国際組織の外に出すべきなのです。

まずは、このような国際組織を作ったうえで、憲章などを変えていくべきです。

まずは、WHOの権限を強化すべきでしょう。たとえば、各国がその領域内で国際的拡大をもたらすおそれのある公衆衛生リスクが確認された場合24時間以内にWHOに報告の義務があるのでほすが、これを怠った場合、強制的に調査できる権限を与えるのです。

それでも、拒否する場合には、当該国の国境を封鎖できる権限を与えるのです。

さらに罰則も強化すべきです。感染症対応の国際条約である国際保健規則には、先に述べたように各国で公衆衛生リスクが確認された場合には、24時間以内にWHOに通報するように義務付けられていますが、罰則はありません。

もし、このような違反があった場合には、当該国の国民やその支援を受けている国の国民は、違反があった日から5年間は、WHOの事務局長、事務局次長にはなれない、さらに職員になるにも制限を受けるなどの罰則規定を設けるべきでしょう。

いずれにしても、WHOは組織変革をするか、全く別の組織にしなければ、中国からの干渉などを防ぐことができないばかりか、本来の使命を実行することはできません。そうして、第2、第3のテドロスが登場することにもなりかねません。

そのことが、今回のパンデミックで白日のもとに晒されました。そうして、現在はWHOのみならず、国連そのものが、本来の使命を果たせず、機能不全に至っています。国連そのものを現在の世界に合わせて組織変革するか、それが不可能なら新しい組織を創設すべきです。

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