2020年11月6日金曜日

法廷闘争、敗北拒否の構え トランプ氏、郵便投票「不正の温床」―大統領選出に影響―【私の論評】トランプもバイデンも大統領にならないというシナリオすらあり得る今後の米大統領選(゚д゚)!

法廷闘争、敗北拒否の構え トランプ氏、郵便投票「不正の温床」―大統領選出に影響

 開票が進む米大統領選で、共和党のトランプ大統領の陣営は4日、接戦州で集計中止などを求める訴訟を相次いで起こした。選挙人獲得数で民主党のバイデン前副大統領に後れを取るトランプ氏は、大幅に増えた郵便投票について「不正の温床」だと主張し、敗北しても結果の受け入れを拒否する構え。各州で選ばれた選挙人が大統領候補に投票する来月14日を目安に、法廷闘争を交えた論争が続きそうだ。

 トランプ陣営は中西部ミシガン州と東部ペンシルベニア州で、それぞれ「州内の開票所で陣営スタッフによる合法的な立ち会いが拒否された」として提訴。郵便投票分の集計中止を求めた。ミシガン州のベンソン州務長官は「根拠がない」と反発している。

 トランプ陣営は南部ジョージア州でも、投票日を過ぎて選管に到着した郵便投票に偽造用紙が紛れ込んでいる可能性があると裁判所に訴え、問題ありとされた票とそれ以外の票を分けて保管するよう求めた。

 今回の大統領選では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、史上最多の6500万人以上が郵便投票を行った。民主党支持者に郵便投票を選ぶ傾向が強いとされ、集計中止なら相対的に共和党が有利になるとみられている。

 法廷闘争は、その後の大統領選出手続きにも影響する可能性がある。来月14日には50州と首都ワシントンで選挙人集会が開かれ、正副大統領候補に投票。通常は形式的な手続きだが、裁判が長引くなどして同8日の期限までに選挙結果が確定しない州が出れば、その州から正規の選挙人が参加できない異常事態に陥りかねない。

 選挙人投票の結果は、来年1月6日の上下両院合同会議で正式に確認される。一部州で決着がつかず、トランプ、バイデン両氏とも選挙人の過半数(270人)を確保できなかった場合、憲法修正12条の規定に基づき、大統領選出は下院の手に委ねられる。

 下院では、州単位で構成する全50の議員団が各1票を投じ、過半数の26票を得た候補が大統領となる。下院は大統領選と同時に行われた選挙で全議員が改選されており、1月3日に就任する新下院議員の構成に議員団の投票行動は左右されることになる。

【私の論評】トランプもバイデンも大統領にならないというシナリオすらあり得る今後の米大統領選(゚д゚)!

現在でもまだ大統領選でトランプ氏が勝利する可能性はあります。トランプ氏が法廷闘争をしようがしまいが、12月14日の選挙人投票は行われる可能性が十分あります。なぜなら、法廷闘争を始めたからといって、すぐに選挙の差し止めということになることは考えにくいからです。ただし、最高裁で判決がでるというシナリオも否定しきれません。

バイデンもトランプも大統領にならないというシナリオも・・・・・

実は、この選挙人投票が曲者なのです。

大統領選でバイデン氏が選挙人の過半数270人以上を獲得した場合でも、270人ギリギリの場合だと、「選挙人投票」(12月14日)で造反投票が出て、当選できなくなる危険性すらあるのです。

選挙人投票は通常はセレモニー的に行われるといわれていす。通常は全くの形式でニュースにもならないのですが、今回はここが主戦場になる可能性もあります。

バイデン氏が270人以上の選挙人をこれからか獲得したとして、選挙人全員が宣言通りに投票すれば過半数を超えるでしょうが、これが確実にそうなるという保証はないのです。それは、不誠実な選挙人が存在するからです。

前回2016年の選挙人投票でも、トランプ氏は306人を獲得していたのですが結果は304人、クリントン氏も232人のはずが227人しか得票が入らず、両陣営で計7人が自陣営候補に入れない「謀反」があったとし、これはこのときの選挙に限らず以前から発生しています。

前回の選挙ではトランプ氏が過半数を大きく超える306とっていたので大勢に影響なかったのですが、今回のようなギリギリ270のケースだと、たった1人か数人の不誠実でもバイデン氏が当選できなくなる可能性が出てくるのです。

そうして、これは政治的に問題がありますが、違法というわけではありません。選挙人投票がまったくセレモニーなどとして軽視できないのです。現に違う人に入れている人は過去にも決して少ないとはいえなかったのです。

さらに、双方270に届かない場合は、連邦議会の下院の投票で決めることになります。この場合も混乱が予想されます。ただ、現状では下院州代表は共和党が多数派なので、トランプ氏に有利です。1800年代に2回、下院で大統領が選出された例があります。

とはいいながら何があろうと、1月20日に次の大統領の任期が始まると、憲法は定めています。

1月20日の正午には、誰かを大統領にしなくてはならないのです。結論が出ないときは、後任選びの計画を進めることになります。

ペンス氏が大統領になるというシナリオも・・・・

下院が大統領を巡ってこう着する一方で、上院が副大統領候補を承認する状況も考えられます。

仮に下院が大統領就任式の日までに決着しない場合は、上院が選んだ副大統領が大統領になります。もし、上院が現行のペンス氏を副大統領として承認した場合は、ペンス氏が大統領になる可能性もあります。

下院議長ナンシー・ペロシ氏が大統領になるシナリオも・・・・・

上院が副大統領を選べない場合は、下院議長(現在は民主党のナンシー・ペロシ氏)が大統領の職に就くことになります。

トランプでもバイデンでもない人が、米国大統領になる可能性もあるのです。どのシナリオになったとしても、1月20日の午前には次期米大統領が決まります。


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