2020年11月24日火曜日

韓国自動車産業炎上! 「米GM撤退」示唆、EV電池出火「LG」「サムスン」製リコール騒動 ウォン高進行で輸出急減速も―【私の論評】日本が締結する貿易協定にも、翻弄され続ける韓国(゚д゚)!

 韓国自動車産業炎上! 「米GM撤退」示唆、EV電池出火「LG」「サムスン」製リコール騒動 ウォン高進行で輸出急減速も 

韓国GMでは労使問題が起きている

 韓国経済に“冬将軍”到来か。主力の自動車産業で、米ゼネラルモーターズ(GM)が労働組合のストライキを背景に韓国撤退を示唆したほか、韓国産バッテリーを搭載した電気自動車(EV)で出火やリコール騒動が相次いでいる。為替も約2年ぶりのウォン高ドル安水準で、輸出に急ブレーキとなりかねない。

 ◇

 「韓国にこれ以上の投資や新製品を割り当てることができなくなる。非競争的な国にしている」

 深刻な現状を語るのは、GMの上級副社長兼海外事業部門代表、スティーブ・キーファー氏だ。ロイター通信が18日伝えた。韓国での労働組合によるストライキで約1万7000台の生産に影響が出ており、週末には2万台に達するとの見方を示した。

 韓国メディアによれば、韓国GMの労組は17日から20日まで断続的にストを実施したほか、10月から残業・特別勤務拒否も続けた。

 キーファー氏は「短期的に重大な影響を及ぼす」としており、組合に「自動車の生産が人質にされている」とも表現した。

 にもかかわらず、韓国GM労組は23日から25日まで、勤務時間を半減させる新たなストを決議したと朝鮮日報(日本語電子版)が報じた。生産態勢への影響が続くのは確実だ。

 そもそも韓国GMは2014年から6年連続の赤字で、新工場への投資が保留されているほか、同社のカハー・カゼム社長が9月に「労使紛争が悪化すれば、GM本社は韓国からの撤退も検討するだろう」と述べており、撤退が現実味を増している。

 韓国の自動車業界では、最大手の現代(ヒュンダイ)自動車も労使の対立が常態化している。現代自動車グループの起亜自動車労組も24日から27日まで勤務時間を半分にするストに突入した。

 元商社マンで韓国事情に詳しい朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は、「韓国の労組は会社の経営が苦しくても、発表される業績を信用せず、目先の利益のために衝突を繰り返す傾向がある。法律も労働者に有利なため組合を抑制することは難しい」と指摘する。

 また、韓国政府が「第2の半導体」とも称し、期待を寄せる韓国産EVバッテリーもトラブル続きだ。

 米GMは17~19年に生産されたシボレーのEV「ボルト」のバッテリーに不具合が見つかったとして、約6万8000台のリコール(回収・無償修理)を発表した。バッテリーは韓国のLG化学製で、米道路交通安全局(NHTSA)が同モデルの火災事故について調査中だという。バッテリーが完全に充電された時に火災が発生する危険があるとしている。

 現代自動車でも、LG化学のバッテリーを搭載した「コナEV」が、昨年7月から先月までの期間に韓国内外で13件の火災を発生させており、韓国や欧米、中国でリコールを実施する。

 そのほか、サムスンSDI製のバッテリーを搭載したBMWやフォードの一部モデルでもリコールが実施されていると韓国メディアは報じている。

 追い打ちをかけるのは、為替のウォン高だ。米大統領選で勝利宣言した民主党のジョー・バイデン前副大統領が巨額の財政支出による景気浮揚策を打ち出していることからドル安が進行、10月はじめの1ドル=1160ウォン台から、今月18日に1103ウォンまでウォン高が進む場面もあった。

 前出の松木氏は「韓国はこれから本格的に訪れるEV時代に期待を寄せていたが、これだけ事故が確認されれば、信用を回復させるのは至難の業だ。為替がウォン高であることからも、短期・中期的に自動車業界が韓国経済を支えるのは難しい」と断言した。

【私の論評】日本が締結する貿易協定にも、翻弄され続ける韓国(゚д゚)!

米GM撤退など、韓国自動車業界には厳しい状況が続いています。しかし、韓国の自動車業界というか、日本と競合する産業などがこのようなことになることは、昨年の1月にはもう予想できました。

日本のメディアなどはほとんど報道しませんが、韓国の自動車産業が不利になったのは、EV電池出火「LG」「サムスン」製リコール騒動だけが原因ではありません。もっと根本的なものがあります。

それは、日本と欧州とのEPAの発効です。このことについては、すでに昨年の年初にこのブログでも予想していました。その記事のリンクを以下に掲載します。
日欧EPA、世界GDPの3割 あす発効、世界最大級の自由貿易圏誕生へ―【私の論評】発効によって一番ダメージがあるのは韓国(゚д゚)!
仏ボルドーのワイン醸造元。日欧EPA発効で欧州産ワインの市場拡大が見込まれる

EPAとは関税撤廃をともない経済連携協定のことです。日欧EPAの規模等はこの記事御覧ください。EPAそのものについては、他のメディアにあたってください。ここでは、詳細は解説しません。

EPAというと、韓国は日本より以前から韓国欧州EPAを締結してきました。そのことが、欧州への輸出ということで考えると、韓国を日本よりは有利にしていました。なぜなら、欧州輸出に際しては、韓国の乗用車は関税が撤廃されているのに、日本車はそうではなかったのです。この有利さが日欧EPAが発効したことでなくなってしまったのです。

さて、日欧EPAが発効するとなぜ韓国に不利になるのか、それが掲載されている部分をこの記事より引用します。
"
例えば、日本からEUへオレンジを100万円分輸出します。EUが設定しているオレンジへの関税は、日本産が10%、韓国産の物が0%であるとすればどうるなでしょうか。
この場合、EU側の輸入者にとっては、
  • 日本産であれば10万円の関税(100万円の10%)
  • 韓国産であれば、関税はゼロ。
という状況だったのです。日欧EPAを結べば、この関税負担分がなくなり、これまでよりも価格競争力をつけた物を輸出できます。これが自由貿易協定を結ぶメリットの一つです。

日欧EPAが発効すると、韓国には、どのような影響があるのでしょか? それを考えるときは、日本とEU、そして韓国の三か国を多面的にとらえる必要があります。一般的に韓国で有名な企業(サムスンなど)は、日本企業と似た製品を輸出しています。しかし、もう少し韓国製品を詳しく見ると、製品の核となる部分は、日本からの輸入に頼っていることが多いです。

つまり、日本から製品に使う部品を輸入して、韓国の工場で最終完成品医にした後、EUへ輸出しています。韓国からの輸出品であれば、韓国とEUとのFTAを使い、関税ゼロで輸出ができます。また、韓国は、アメリカともFTAを結んでいるため、西へ東へと自在に関税ゼロで輸出ができるようにして、自国の競争力を保っていたのです。

ところが、日欧EPAが発効すると、関税面での不利な扱いが徐々に解消されていきます。関税無しで輸出ができるのは、日本の輸出企業にとって大きな追い風です。

では、一方の韓国企業を考えてみましょう。この場合、これまで当たり前にあった日本製品との関税の壁がなくなるため、まさに逆風です。本音のレベルでいうと、韓国企業にとって「日欧EPAの発効」は最も忌み嫌うところでしょう。

日欧EPA発効で、韓国国内自動車業界が少なからず打撃を受けるという見方が出ています。グローバル舞台で競争関係にある日本自動車企業がEU市場で関税引き下げ分を値下げしたり、マーケティング拡大、ディーラー網管理などのさまざまな戦略を通じて韓国車のシェアを蚕食する可能性があるからです。

韓国自動車産業協会の関係者は、『中国市場の供給過剰、米国市場の成長鈍化など主要市場が厳しくなる中、世界3大市場の欧州まで日本に奪われるかもしれないという危機感が強まっている』とし、『製品の競争力を高められるよう全方向での協力が必要な時期』と述べました。

おそらく、今後日本企業の韓国からの引き上げなども予想できるため、韓国の関連株(輸出企業・船会社・自動車など)も安くなりそうです。
"
実際、日欧EPAが発効してから、1年目で日本としては何がどう変わったのか以下に掲載します。


日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が発効して今年の2月1日で1年になりました。相互に関税を引き下げた結果、輸出では自動車や和牛、輸入ではワインが伸びました。国内自動車メーカーなどが恩恵を受け、消費者もより手頃な価格で欧州産品を楽しめるようになりました。一方、欧州産との競争激化に直面し、対応に追われる業界もあります。

日欧はEPAで、相互に貿易品目の9割超を関税撤廃の対象とし、知的財産権の保護や電子商取引など幅広い分野のルールも整備しました。発効により、世界貿易額の4割を占める巨大な自由貿易圏が誕生。政府は日本の実質GDP(国内総生産)を約5兆円(約1%)押し上げる効果があると試算しています。

輸出では乗用車への10%の関税が段階的に引き下げられ、発効8年目に撤廃される。牛肉や日本酒の関税は即時撤廃されました。財務省の貿易統計によると、2019年2~11月の輸出額は、自動車が前年同期比19%増加。和食ブームを追い風に和牛が28%増、日本酒は5%増となりました。

輸入については、関税が撤廃されたワインが12%増加しました。750ミリリットルのワイン瓶が1本当たり100円程度安くなったことに加え、販売店の宣伝が奏功しました。豚肉やチーズの輸入も増えており、国内業者は厳しい競争環境に立たされています。

EUを離脱する英国とは今春にも貿易交渉を始めています。当面は移行期間で、英国は日欧EPAの枠内にとどまることになります。日英交渉では、自動車関税の撤廃時期などが焦点になりそうです。

現在は、自動車の関税が、従来よりは低くなったとはいえ、まだ撤廃されたわけではありません。発効から8年目で撤廃されるわけですから、この時が来ると韓国自動車産業への悪影響はさらに深刻になるでしょう。

日米間も昨年新たな貿易協定を結んでいますから、これも韓国にとっては輸出に関しては、日欧EPAのような効果をもたらしています。

RCEPにも、日本が参加しています。そのため、RCEPでも韓国は日本に対して相対的に有利にはなりません。

GMが韓国からの撤退も検討しているのは、労働争議もありますが、そのほかにも、日欧EPA、日米の貿易協定、RCEPなどで、韓国で車を生産することに意義を見いだせなくなりつつあるという側面もあると思います。

それに今回のコロナ禍です。我が国の輸出依存度は下から2番目の「14.8%」で、米国に次ぐ「内需大国」です。因みに、韓国の輸出依存度は「38.6%」です。コロナ禍で輸出が期待できない現在、輸出依存度が高いことはかなり不利です。韓国はもっと内需を増やすべきでしょう。


国際競争力というと見栄えは良いですが、いざ貿易が不振になれば、悪影響をもろに受けるということです。やはり、米国のように内需を伸ばせるだけ伸ばして、輸出依存度は低いにこしたことはないです。輸出依存度が高いということは、外国の悪影響をもろにかぶりやすいということです。

韓国の産業構造は、日本とかなり似通ったところがあります。今後様々な分野で、韓国は一層不利になっていきます。韓国としては、日本と同じような産業構造を改め、韓国の得意な分野をつくらなければ、この状況しばらく続くことでしょう。韓国はしばらくは、日本が締結する貿易協定に翻弄され続けることになります。

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