2020年11月3日火曜日

中国、2025年までに内部崩壊する可能性も…未曾有の少子高齢化、工場と人の海外逃避―【私の論評】中国は少子化で発展できなくなるのではない!中共が体制を変えないからだ(゚д゚)!

 中国、2025年までに内部崩壊する可能性も…未曾有の少子高齢化、工場と人の海外逃避


 中国共産党の重要会議である第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)が10月29日に閉幕した。

 会議に集まった約200人の最高幹部により「第14次5カ年計画」の骨格が固められたが、新たな5カ年計画の特徴は「2つの循環」である。貿易を柱とする「外」と消費を柱とする「内」の2つの経済循環で成長を維持する考えだが、その重点は「内」にある。中国指導部は今年5月、米国をはじめとする西側諸国との経済的デカップリング(切り離し)を想定し、国内経済(内循環)を柱とする新発展モデルを提唱していた。

 1978年に故トウ小平が掲げた「改革開放」の重点は「外」にあったのはいうまでもない。米国との良好な関係の下で中国は積極的に外貨を取り込み、「世界の工場」として輸出主導による高度成長をなし遂げた。今年の中国経済はGDPが100兆元(約1500兆円)を突破する見込みである。今回打ち出された「2つの循環」は、米国との対立の長期化に備え、消費など内需を拡大し、自力での安定成長を目指すものであり、改革開放からの大きな路線転換を図ろうとするものである。

「一人っ子政策」による人口構成のアンバランス

 だが「2つの循環」路線の成功の鍵を握る個人消費は、中国経済にとっての長年の懸案である。中国の昨年の個人消費の対GDP比は39%である。米国の68%、日本の55%、ドイツの52%に比べると格段に低いが、その理由は所得格差の大きさにある。

 中国の所得分配が非常に不公平であることは周知の事実である。人口の約半分にあたる7億1000万人の国民は、月収2000元(約3万2000円)以下で生活をしている。中国の高度成長を支えてきた2億9000万人の農民工の収入も、2015年以降、減り続けており、所得格差が改善されない限り、個人消費が伸びることはない。

 個人消費が今後さらに低迷する要因がある。少子高齢化である。中国民政部は10月23日、「2021~25年までの5年間に60歳以上の高齢者の人口は3億人を超える」ことを明らかにしたように、「少子高齢化」が急速なペースで進んでいるのである。

 「総人口に占める65歳以上の割合が14%を超える」社会を国連は「高齢社会」と定義づけているが、中国の民間シンクタンクは10月、「2022年に総人口に占める65歳以上の割合は15%以上になる」と予測した。

 日米など先進諸国が高齢社会となった時点の1人当たりのGDPは、2万ドルをはるかに上回っていたが、これに対して中国の1人当たりのGDPは1万ドル程度にとどまっている。中国社会は「豊かになる前に老いる」という事態に直面しているのである。

 中国の人口構成に極端なアンバランスをもたらしたのは、いわゆる「一人っ子政策」である。中国政府は2016年から「二人っ子政策」の実施を決定したが、多くの国民は住宅ローンや医療費、教育費などの負担が大きく、「産めても養えない」との不安を抱えており、出生数が増える兆しが見えない。2019年の出生率は、1949年以来の過去最低を記録する有様である。

 中国の生産年齢人口(15歳~64歳)は、2013年をピークに減少しているが、「中国の総人口も2018年から人口減少が始まった可能性がある」とする海外の研究がある。中国政府系シンクタンクの社会科学院は2019年1月、「人口減少は早ければ2027年から始まる」としている。社会科学院の予測の元になっている出生率は1.6との前提だが、「実際の出生率は1.05前後ではないか」との意見が多い。

 日本では、生産年齢人口が1995年、総人口も2011年から減少し、人口動態が経済成長にマイナスに働く「人口オーナス」が常態化している。中国でも少子高齢化が政府の大きな負担となりつつある。文革などで伝統文化が破壊されたことから、家族で高齢者を扶養する風習がなくなり、政府が主体となって介護サービスを提供する状態になっているのは日本と同様である。中国の社会保障費(介護を含まず)は国家歳出の2割以上を占め、その伸びは国防費を上回っているが、実態に比べて財政の投入量ははるかに少ない。このような事情から、「中国経済も2015年に人口オーナス時代に突入したのではないか」との懸念が出始めている。

「外循環」にも赤信号

 実現の目途が立たない「内循環」だが、中国経済をこれまで支えてきた「外循環」にも赤信号が点滅し始めている。人件費の高騰に加え、米国との貿易摩擦の激化により、外資企業が中国から相次いで撤退していることから、移転先であるベトナムに密入国しようとする中国の失業者が続出しているのである(10月28日付米ラジオ・フリー・アジア)。中国政府は国境付近に、長さ数百キロメートル、高さ2メートル以上の壁を建設せざるを得ない状況に追い込まれているが、このことは中国経済の悪化が予想以上に深刻化していることの証左だろう。

 5中全会では党幹部の人事が発表されなかったことから、習近平総書記が2022年以降も続投することが確定したとされている。「中国共産党の存亡に最も危機感を持っているのは習氏だ」と言われているが、「内外から批判が高まっている習氏が最高指導者の地位を他の人に譲らない場合、党内の権力闘争が一段と熾烈になる」との心配の声も上がっている。ネット上では「習氏は中国の崩壊を加速させる『総加速師』」と揶揄されている。

 「今後10年以内に米国を超え世界一の経済大国となる」とされている中国だが、「内外からの圧力の高まりで一瞬の内に瓦解してしまう」というリスクが高まっているように思えてならない。

(文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員)

【私の論評】中国は少子化で発展できなくなるのではない!中共が体制を変えないからだ(゚д゚)!

少子化や人口減少は「国難」ではなく、そこから生じる「弊害」はいかようにも対処可能で、むしろ少子化や人口減少の危機を過剰に煽ることが問題解決を誤らせることになります。これは、日本に限らず中国でも、他の国でも同じことです。

そもそも人口減少問題は、大した問題ではありません。国力を国内総生産(GDP)と定義すると、「GDP=みんなの平均給与✕総人口」となります。

人口が減ると国単位でのGDPも減るのは当たり前ですが、実生活では「だからそれがなんなの?」という話に過ぎません。

なぜなら人口減少は、GDP成長率に対して最大7%の影響がでるかどうかの程度に過ぎず、ほとんど影響はないからです。

たとえば人口減少が経済にマイナスに作用する「人口オーナス」は、女性や高齢者の積極登用やAIによる生産性向上によって回避できます。

さらに、ひところ国内ではやった「デフレは人口減少が原因」説にも根拠がありません。デフレ、インフレは純粋に貨幣の流通量の問題であつて、人口減少が原因ではありません。

極端な話をしますが、現在日本の人口が何かの原因で、半分になったとします。そのときに日銀が何もしなかったらどうなるでしょう。それはインフレです。なぜなら、人口が半分になっても、日本国内に流通している貨幣は変わらずそのままだからです。

逆に、現在日本の人口が何ら化の原因で2倍になったとします。そのときに日銀が何もしなかったらどうなるでしょう。それは、デフレです。なぜなら、人口が半分になつても、日本国内に流通している貨幣は変わらずそのままだからです。

そうはいっても、これをなかなか信じない人もいるでしょう。そういう方々のために、以下に物証をあげておきます。

以下のグラフは1870(明治3)年から20世紀の終わりまで125年間の人口と実質GDP(国内総生産)の推移を比較したものです。このグラフからマクロ経済の成長が決して人口によって決まるものではないということが見て取れると思います。


この間、GDPと人口はほとんど関係ないほどに乖離しています。戦後の日本経済にとって最大のエピソードといってもよい高度成長期(1955~1970)には、経済は年々10%成長したが、人口の伸びは約1%程度でした。1%という数字は、全人口、生産年齢人口、労働力人口、どれをとっても大差はありません。毎年10%-1%=9%ずつ「1人当たりの所得」が上昇していたのです。

グラフは20世紀末で終わっていますが、この図に描かれている125年間は人口が増えている時代です。人口が減り始めたら、どうなるか分からない、と思った人がいるかもしれません。

これはもっともな疑問です。人口減少はたしかにそれ自体としては経済成長にとってマイナス要因です。しかし、先進国の経済成長は人口要因よりも「1人当たりの所得」の上昇によってもたらされる部分のほうが大きい、という結論は、人口減少の時代にも人口増加の時代と同じように成立するのです。

では、人口が減り始めた人口が減り始めた現在の日本経済の実績を見てみましょう。厚生労働省社会保障審議会・年金財政における経済前提に関する専門委員会(2017年10月6日)の資料にある過去20年間(1996-2015)の「成長会計」の結果は以下の通りです。


「成長会計」とは、実質GDPの成長率を資本投入・労働投入と、それでは説明できない残差としての「全要素生産性」(Total Factor Productivity、頭文字をとりTFP、通常イノベーションないし技術進歩を表すものと解釈されている)、3つの要素それぞれの貢献に分解する手法です。

さて、結果をみると、1996年から2015年まで、この間には1997~1998年の金融危機、2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災などさまざまな出来事がありました。にもかかわらず、20年間の平均成長率は0.8%、そのうち資本投入の貢献分が0.2%、労働投入はマイナス0.3%であり、TFPの貢献が0.9%となっています。

注目されるのは、労働投入の貢献分マイナス0.3%です。この期間、人口は減り始め、それに先立ち労働力人口は減少してきましたから、労働の貢献は0.3%のマイナスになっています。しかし、TFP(イノベーション)の貢献0.9%により日本経済は年々0.8%ずつ成長しました。

人口が減っているから1人当たりに直せば、1%を超えます。人口減少それ自体はマイナス要因ですが、先進国の経済成長にとっていちばん重要なのは、やはりイノベーションなのです。

そのうえで、日本国内では出生率の推計や人口減少の動向も「想定内」に収まっており、人口は減るでしょうが、出生率もこれからほとんど横ばいでしょうから、社会保障の設計には支障は何もないでしょう。

では、大した問題ではないはずの人口減少が、なぜこれほどまで「危機」とされるのでしょうか。

人口が減り続けたら困るのは地方公共団体の関係者でしょう。なぜなら人口が減ると、行政規模の簡素化のため市町村を合併しなければならないからです。

また人口減少の危機を煽る世間の評論家も、なんでも人口減少のせいにすれば、誰も傷つかないので、いい方便になります。

こうした人たちは、人口減少の危機を高唱することで、本を売り、名前を売り、政策を売りこむことができます。

実は政府も「人口増加のストーリーを地方公共団体の関係者に示しておけば、彼らはきっと満足するだろう」というのが本音であり、出生率が上がらず、人口問題政策が失敗しても、何らダメージはありません。

それは歴代の日本政府が「人口減少は大きな問題ではない」と考えているからであり、働き方改革や子育て安心プランなどの少子化対策も、「人口減少を不安視している国民の要望に応える」という政治的な意味があって取り組んでいるに過ぎないからでしょう。

要するに少子化対策や人口減少対策は、人口減少危機論に煽られた国民の不安に応えるポピュリズム的政策にすぎないのです。

さて、以上は日本について掲載しました。結局のところ、日本では人口の増減そのものは、経済にさほど影響を与えないということです。

では、中国はどうなのでしょうか。私自身は、中国が「一人っ子政策」をしばらく間実行したために、少子高齢化が過度に進んだということがあり、これは人口問題だけではなく、特定の世代が少なくなったという問題を生んだことは間違いないとは思います。

しかし、特定の世代が少なくなったことは経済自体にはさほど大きな問題ではないです。たとえば、最近は緩和されたようですが、一人っ子政策の影響で、一時大学の教員が少なくなったということもありましたが、それは高齢になった教員でも働ける人は働けるようにして何とかしのいできました。これは、多くの分野でも同じように対応してきたのだと思います。

しかし、人口が減れば、スケールメリットを享受できなくなることも事実です。たとえば、南シナ海の中国の軍事基地に兵士を派遣しようとした場合、これに人口の1%を充当しようとしたとします。これは、全体の人口が多いほうがより多くの兵士を派遣できることになります。これは、軍事だけではなく、多くの産業にもあてはまることかもしれません。

しかし、以上のようなことは、AIなどか発展した現在では、経済に関していえば、いずれもさほどのもんだいではないと思います。やはり、個々の人民の経済を考えた場合は、人口そのものは関係はないようです。

これから、人口が減ったにしても、あるいは逆に増えたとしても、現在の中国の1人当たりのGDPは1万ドル程度という状況はさほど変わらないでしょう。この状況は俗に言われる、中進国の罠というものです。

これは、発展途上国が長足な経済発展をして中進国になっても、なぜかその後1人あたりのGDPは1万ドル台で止まってしまい、そこからなかなか発展しないというものです。実際多くの国々がそうです。この例外は、日本とアルゼンチンだけです。

日本は、中進国の罠から逃れて、先進国となりました。もう一つの例外は、アルゼンチンです。アルゼンチンは、先進国から發展途上国になりました。先進国と、発展途上国の垣根を超えた事例はこの2つしかありません。中国も例外とはならないでしょう。

アルゼンチン・タンゴは、ラプラタ川流域近辺で演奏されるタンゴの一伝統様式を指す

ただし、中国にもチャンスはあります。それは、中国でもある程度民主化を推進し、経済と政治の分離を行い、政府が経済に直接介入できないようにし、中国共産党が中国憲法の上にあるという現状の体制を改め、法治国家に転身するのです。

そうなると、何が変わってくるかというと、いわゆる経済・社会的に中間層といわれる人々が多数でてきます。この中間層といわれる人々が、様々な社会・経済活動を自由に展開するようになります。この活動が様々、社会のあらゆる場所でイノベーションに結びついていくのです。

富裕層だけでも、貧困層だけでもイノベーションは起こりにくいです。富裕層はそもそも経済的には満足しているので、それ以上の富を欲することもなく、イノベーションの担い手にはなり得ません。貧困層は目の前の生活に窮しているのですから、イノベーションなど思いもよりません。中間層は、イノベーションによって富を得ようとします。だから、多数の中間層が存在する社会ではイノベーションが起こりやすいのです。

これが、日本が通って来た道であり、それに先駆けて他の先進国が歩んで来た道でもあります。先進国の経済成長にとっていちばん重要なのは、やはりイノベーションなのです。だから、先進国は中国も経済的にある程度豊かになれば、体制を変えるだろうと思ってきたのですが、結局そうはなりませんでした。

中国もイノベーションの取り組みには熱心なようですが、政府が掛け声をかけ、それだけでなく金も出したということで今までの中国の経済力はついてきたのですが、一番の弱点は世界の知的所有権を盗んで成長してきたということです。

これをどこかで転換して、自前でイノベーションを起こせるようにしなければならないのです。それも、社会のあらゆる場所において、そうしなければならないのです。そうでないと、中国共産党が関わっている部分だけで迅速なイノベーションが起こっても他の大部分ではイノベーションが停滞したままになります。そのため、社会的な不経済・非効率が温存されてしまいます。これが、中進国の罠から抜け出られない原因となってしまいます。

先程も述べたように、民主化、政治と経済の分離、法治国家化は避けて通れないのです。しかし、そうすれば中国共産党は統治の正当性を失い、崩壊します。中国共産党を崩壊させても、中国を富める国、強い国にするつもりがなければ、今後中国は中進国の罠に嵌ったまま、終わるでしょう。

しかし、これを実行しない限り中国は「内外からの圧力の高まりで一瞬の内に瓦解してしまう」か、中進国の罠から逃れることができず、どちらの道を歩んでも図体が大きいだけの、凡庸なアジアの独裁国家にとどまることになるでしょう。それだけ、発展途上国から先進国に転身することは、難しいことなのです。

米国の中国への制裁は、もともとこのような状況の中国の衰退を早めるだけの話であって、早晩中国はそうなる運命だったのです。

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