RCEP、91%関税撤廃 世界最大の自由貿易圏に―中韓と初の協定・15カ国署名
日本にとっては、中韓両国と初めて結ぶ経済連携協定(EPA)となる。貿易額で見ると、中国は最大、韓国は第3位の相手国。また、ASEAN各国には日本の自動車メーカーなどが多数進出しており、完成車や部品の関税がアジア広域で撤廃・削減されれば企業の国際展開に追い風となりそうだ。協定が発効すれば日本の貿易額に占めるEPA締結国の割合は8割弱となり、主要国で最高水準となる。
RCEP15カ国の首脳は15日昼すぎからテレビ会議形式の会合を開き、日本からは菅義偉首相が参加。会合後に公表した共同首脳声明で「世界の貿易および投資ルールの理想的な枠組みへと向かう重要な一歩」とRCEPの意義を強調した。
RCEPは、自動車をはじめ工業製品や農産品の関税撤廃、電子商取引、知的財産権の保護ルールといった幅広い分野にわたる。日本が「聖域」とするコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の農産品重要5項目は関税削減の対象から除外された。
【私の論評】ASEAN諸国の取り込みを巡って、日中の静かな戦いが始まった(゚д゚)!
上の記事は、JIJI.comのものですが、単にRCEPが合意されたことのみを伝えています。これが、中国や日本にとってどのような意味を持っているのか、何も報道していません。これは、時事に限らず、日本の殆どのメディアがそうです。
実はRCEPの同意は、日中のASEAN諸国の取り込みを巡っての、武器は使わないものの、本格的な戦いが始まったと言っても過言ではありません。
この戦いの趨勢いかんでは、ASEANは韓国とともに中国に取り込まれてしまうことになります。
日本はASEAN諸国を取り込む際、韓国、オーストリア、ニュージーランド、インドにも声を掛け、民主主義の価値観を中心に据えました。一方、中国は、ASEAN諸国のほか韓国だけを取り込みました。
その結果、ASEANプラス6(日本、中国、韓国、オーストリア、ニュージーランド、インド)という今の形で、RCEPが形成されました。
RCEP加盟国 |
RCEPは成長著しいASEAN諸国を含んでいるので、日本や中国にとっても重要な経済圏です。しかも、世界最大の経済貿易圏となります。
ここで経済連携という場合、物品貿易、サービス貿易の自由化にとどまらず、投資の自由化や知的財産権の保護などが含まれます。
一方、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)では、それらに加えて国有企業改革や資本の自由化もあり、共産党一党独裁の中国は国家体制を変更せざるを得なくなるので、参加できません。参加するとすれば、現体制を崩す、すなわち中国共産党一党独裁体制を廃止しなければできません。
今回のRCEPは経済連携とはいうものの、物品貿易やサービス貿易の自由化(FTA)に限りなく近いものです。この意味で、体制変更が必要ないため中国も加入することができます。
インドはRCEP参加国のうち、1割のGDPと4割の人口を占めます。ただし、インドは、貿易赤字などの国内事情から、中国産品の国内流入を懸念したのため、スタート時点からの参加を見合わせます。
その場合、インドの離脱は参加国の中で、中国の存在感が相対的に増すことを意味するので、インドが将来的に参加しやすい道を残す必要があります。そこで、インドがほぼ無条件で即時加入できると規定した特別文書を採択しました。
米国も、トランプ政権で結んだ日米貿易協定があるので、直ちにではないですが、いずれの政権になっても、いずれTPPへの加盟という流れも考えられます。実際トランプ大統領もTPPへの復帰の可能性を表明したことがあます。その場合、RCEPをTPPタイプの経済連携に持っていく方が日本の国益になるでしょう。
一方、中国はRCEPを現状で維持しつつ、ASEAN諸国の取り込みを図るとみられます。
RCEPがスタート後、どちらの方向に向かうのか、次のステージが気になるところです。ただ、日本もインドもRCEP参加しないとなると、ASEAN諸国はすぐにでも、中国に取り込まれることになります。そうして、中国、ASEAN諸国、韓国の強力な経済圏ができあがることになります。これらの国々でますます中国の覇権が強まることになります。
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ここで経済連携という場合、物品貿易、サービス貿易の自由化にとどまらず、投資の自由化や知的財産権の保護などが含まれます。
一方、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)では、それらに加えて国有企業改革や資本の自由化もあり、共産党一党独裁の中国は国家体制を変更せざるを得なくなるので、参加できません。参加するとすれば、現体制を崩す、すなわち中国共産党一党独裁体制を廃止しなければできません。
今回のRCEPは経済連携とはいうものの、物品貿易やサービス貿易の自由化(FTA)に限りなく近いものです。この意味で、体制変更が必要ないため中国も加入することができます。
インドはRCEP参加国のうち、1割のGDPと4割の人口を占めます。ただし、インドは、貿易赤字などの国内事情から、中国産品の国内流入を懸念したのため、スタート時点からの参加を見合わせます。
その場合、インドの離脱は参加国の中で、中国の存在感が相対的に増すことを意味するので、インドが将来的に参加しやすい道を残す必要があります。そこで、インドがほぼ無条件で即時加入できると規定した特別文書を採択しました。
東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定に署名する梶山弘志経済産業相(右)。 左は菅義偉首相=15日午後、首相官邸 |
米国も、トランプ政権で結んだ日米貿易協定があるので、直ちにではないですが、いずれの政権になっても、いずれTPPへの加盟という流れも考えられます。実際トランプ大統領もTPPへの復帰の可能性を表明したことがあます。その場合、RCEPをTPPタイプの経済連携に持っていく方が日本の国益になるでしょう。
一方、中国はRCEPを現状で維持しつつ、ASEAN諸国の取り込みを図るとみられます。
RCEPがスタート後、どちらの方向に向かうのか、次のステージが気になるところです。ただ、日本もインドもRCEP参加しないとなると、ASEAN諸国はすぐにでも、中国に取り込まれることになります。そうして、中国、ASEAN諸国、韓国の強力な経済圏ができあがることになります。これらの国々でますます中国の覇権が強まることになります。
これは、日本としても避けたいので、敢えてRCEPに参加し、中韓に対抗しASEAN諸国を日本のルール(自由主義圏で通用するルール)で取り込み、いずれは米国もASEAN諸国もTPPに取り込む方向に持っていくべきです。
中国としては、RCEPに日本が入ることでより大きな貿易協定となりますし、歓迎なのですが、その日本がRCEPをよりTPPに近づけようとと目論んでおり、頭の痛いところです。これは、ASEAN諸国の取り込みをめぐる武器を使わない日中の静かな戦争のはじまりです。
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