習近平 |
異様な発言は、北京の人民大会堂で、23日に開かれた中国軍の朝鮮戦争(1950~53年)参戦70周年の記念大会で披露された。
習氏は重要演説で、朝鮮戦争当時の米中両国は国力差が巨大だったにも関わらず、中朝両軍が「米軍の不敗神話」を打ち破り、「尊大な侵略者」に休戦協定を結ばせたと主張。「どんなに強大な国も、世界の発展の潮流に逆らえば必ず散々な目に遭う」と述べ、中国側の対米強硬姿勢を誇示した。
さらに、ドナルド・トランプ米政権とその対中政策について、「現在の世界では一国主義や保護主義、極端な利己主義は全く通用しない。恫喝や封じ込め、極限の圧力も通用しない」と言い切った。
習氏は13日、台湾侵攻の主力部隊とされる広東省の海軍陸戦隊(海兵隊)の部隊を視察し、「全身全霊で戦争に備え、高いレベルの警戒態勢を維持しなければならない」と指示。19日には北京の中国人民革命軍事博物館を訪問し、「あらゆる強大な敵にも打ち勝つ」と発言している。
米国では現在、大統領選(11月3日投開票)後の政治的混乱が予想されている。新型コロナウイルスの打撃も大きい。中国がこの機に乗じて、台湾に「行動」を起こす危険性が指摘されている。
日米両国は、台湾と「自由・民主」「人権」「法の支配」という基本的価値観を共有し、連携を強めつつある。
こうしたなか、航空自衛隊は23日、青森県・三沢基地に配備されているステルス戦闘機「F35A」2機が20日、太平洋上で、長崎県・米海軍佐世保基地所属の強襲揚陸艦「アメリカ」と戦術訓練を実施したと発表した。空自のF35Aと米海軍との訓練は初めて。
さらに空自は23日、北海道・千歳基地と、宮崎県・新田原基地、石川県・小松基地、沖縄県・那覇基地所属の「F15」戦闘機16機と、茨城県・百里基地所属の「F2」戦闘機2機が20日、日本海、東シナ海および沖縄周辺空域で、超音速で敵地に侵入する米空軍の戦略爆撃機「B1B」と編隊航法訓練や要撃戦闘訓練を実施したと発表した。
「力による現状変更」は許さない、というメッセージといえそうだ。
【私の論評】中国は哨戒能力や兵站で米国と同等とならなければ、台湾を奪取できない(゚д゚)!
習近平氏本気で戦争しようとしているのでしょうか。私にはどうしてもそうは思えません。このブログにも掲載したように、米軍は5月の時点で、原潜を派遣していることを公表しています。
実際米海軍太平洋艦隊の潜水艦が多数、東シナ海、南シナ海など西太平洋海域で活動中であることが5月下旬、明らかにされました。その任務はアメリカ国防総省の「自由で開かれたインド太平洋」構想に沿って中国への抑止を誇示することにあるのだといわれました。
米軍全体としては当時新型コロナウイルスの感染が海軍艦艇の一部乗組員にも及び、艦隊の機能低下が懸念されることに対応しての潜水艦隊出動の公表のようでした。
米軍全体としては当時新型コロナウイルスの感染が海軍艦艇の一部乗組員にも及び、艦隊の機能低下が懸念されることに対応しての潜水艦隊出動の公表のようでした。
これは無論コロナウイルス対応という側面もあるでしょうが、そもそもこの方面に米軍の原潜が存在している事で、米軍は十分に中国に対する牽制になると考えていることを示しているものと思います。
これは、このブログでも何度か掲載してきたことですが、簡単にいうと、中国の対潜水艦も含めた哨戒能力が献上でもかなり劣っているので、米軍の原潜を発見することは困難であるということです。しかも、その原潜がかつて緒戦半島有事のときに語ったトランプ大統領の言葉を借りると「空母」なみの破壊力持っていという事実があります。
一方、米国は世界一の哨戒能力を持つので、中国軍の潜水艦を含む全ての艦艇や、航空機は米軍によって簡単に発見されてしまいます。
そうなると、台湾に侵攻しようとする人民解放軍は、米軍の原潜により攻撃され、艦艇も航空機も破壊されてしまうことになります。
たとえ守備よく、人民解放軍が台湾に上陸したとしても、米原潜が台湾を包囲してしまえば、中国の補給船はことごとく撃沈されて、台湾に上陸した人民解放軍に食料や、消耗品などを補給できなくなります。
そうなると、人民解放軍はお手上げになり、結局米軍や台湾軍に追撃され、掃討されることになります。
それに、日本の自衛隊も協力ということになれば、日本の通常型潜水艦は人民解放軍には、探知不可能で、台湾海峡を含めあらゆる海域に航行して、偵察行動を行い米軍をサポートできます。
以上のことはこのブログでは、何度か解説してきたことです。
いずれにせよ、人民解放軍はそもそも、台湾に上陸できないか、上陸したとしても橋頭堡を維持できません。
中国は南シナ海と東シナ海、黄海、渤海の4海域で同時に軍事演習を行うなど大規模な演習をしましたが、10月になると小規模なものに変化しました。しかも南シナ海で軍事演習を行ったですが、他の海域では行っていません。それに対して日米の合同軍事演習は、堅実にインド洋でも行っています。これは、何を意味するのでしょうか。結局兵站の差であるといえます。
軍事演習は定期的に行い、部隊の練度向上と練度維持に行われるというのが表の目的ですが、裏の目的は仮想敵国への政治的な恫喝です。
そのため米国は、中国共産党への対抗措置として合同軍事演習を行っているのです。政治の延長の仮想敵国への恫喝として軍事演習が行われているのですが、物資消費は実戦と同じです。
端的に言えば兵士1人当たり1日3000kcalの食糧、重さではおよそ100キログラムです。2万人規模の一個師団なら、2000トンの物資を消費します。さらには、弾薬その他消耗品の補給も必要です。
米軍のMRE(Meals,Ready to Eat=携行食) |
これを適宜補うためには、作戦本部が予め消費を予測し、生産・輸送・備蓄・補給がネットワークとして存在しなければならないのです。
人民解放軍の軍事演習は、上にも述べたように9月には4海域で同時に行われました。ところが1ヶ月を経過すると、人民解放軍の軍事演習は南シナ海などの一部で行う様になりました。これは中国共産党が、開戦初頭で敵を数で圧倒する構想を持つことの証左です。ところが1ヶ月を経過すると、人民解放軍の攻勢が止まることを示しています。
人民解放軍の軍事演習は、上にも述べたように9月には4海域で同時に行われました。ところが1ヶ月を経過すると、人民解放軍の軍事演習は南シナ海などの一部で行う様になりました。これは中国共産党が、開戦初頭で敵を数で圧倒する構想を持つことの証左です。ところが1ヶ月を経過すると、人民解放軍の攻勢が止まることを示しています。
沖縄の第3海兵遠征軍は今月6日、神奈川県に拠点を置く米海軍第7艦隊との合同演習「ノーブル・フューリー21」を始めたと発表しました。15日まで沖縄県内や周辺、硫黄島などで活動する。対中国戦を想定し、前方で攻撃や給油の拠点を設ける作戦構想「遠征前方基地作戦(EABO)」を念頭に置いているとみられます。
ノーブル・フューリー21 |
どうしてこのようなことになるかといえば、やはりその原因は人民解放軍の兵站の貧弱さです。人民解放軍は近代化して数も多いとされながらも、生産・輸送・備蓄・補給のネットワークが完成していないようです。
だからこそ、1ヶ月を経過すると物資不足で攻勢が行えないのです。仮にまともな兵站が完成していれば、米軍の演習が続いている現在人民解放軍の大規模な軍事演習は今も続いているはずです。
以上で、元々兵站が貧弱な人民解放軍が、たとえ台湾に上陸できたとしても、補給が1ヶ月程度で不十分になることが予想されます。
さらに、人民解放軍が探知できない、日米の潜水艦に台湾が包囲されてしまえば、中国は台湾急襲部隊に補給ができません。人民解放軍がたとえ台湾に橋頭堡を築けたにしても、日米や台湾軍は積極的に人民解放軍を攻撃しなくても、包囲して補給を絶てば、人民解放軍はお手上げになります。
人民解放軍が兵站に弱いということは、なんとなく理解できます。人民解放軍は兵站を重視する先進国と戦ったことは一度もありません。兵站を軽視しがちであったものの、それでも近代的な日本と戦ったのは、戦後台湾に移った中華民国であり、大日本帝国と中共は戦ったことはありません。中共が戦った手強い相手といえば、旧ソ連とはありますが、これは国境紛争の域を超えず、兵站の重要性は高いものではありませんでした。
中越戦争では人民解放軍は、あと10キロで当時の敵国ベトナムの首都ハノイを落とせるとろころでしたが、結局補給が追いつかず前進することができなくなりました。他にも様々な理由がありますが、これが最も大きな原因といわれています。これは、人民解放軍の補給経路へのベトナム軍による襲撃はかなり激しかったからとされています。
1979年の中越戦争では中国は惨敗 |
これは戦争時における兵站でも最も重要な、補給線路の沿線の安全の確保が十分になされていなかったからです。
中国は、中越戦争と同じ愚を繰り返すのでしょうか。いくら、中国が三戦で強くなったり、超音速ミサイルを開発したり、宇宙兵器を開発しても、政治的には意味があるかもしれませんが、対潜哨戒能力や兵站で米国以上にならなければ、台湾を実際に奪取することなどできません。実際に台湾を攻撃して奪取することと、強硬発言をすることとの間には大きな乖離があるのです。たとえ、一時的にそれができても、すぐに奪い返されます。
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