菅首相、行革で10億円切り込む!? 日本学術会議任命見送り、朝日「学問の自由脅かす暴挙」産経「侵害には当たらない」
菅義偉首相が、科学者で構成する政府機関「日本学術会議」が推薦した新会員候補のうち、6人の任命を見送った問題が注目されている。会議の梶田隆章会長は近く、任命しなかった理由の説明と6人任命の要望書を政府に提出する方針だが、菅首相は「法に基づいて適切に対応した結果だ」と明言した。年間10億円以上の税金が投入される同会議の存在意義とは。新聞各紙は3日朝刊で、この問題を取り上げた。
東京新聞は前日に続き1面トップで「任命拒否へ解釈変更の可能性」と報じるなど、大々的に取り上げている。あの望月衣塑子記者も「広がる批判」との記事を担当。社説では「任命拒否の撤回求める」との見出しで、「憲法が保障する学問の自由に権力が土足で踏み込む暴挙だ」と訴えた。
学術会議 任命に関する東京新聞の記事 クリックすると拡大します |
朝日新聞と毎日新聞も1面トップや政治面で報じ、朝日新聞は社説で「学問の自由 脅かす暴挙」、毎日新聞は「看過できない政治介入だ」などと菅政権を批判した。
これに対し、産経新聞は「人事を機に抜本改革せよ」との見出しの主張(社説)で、「学問の自由の侵害には当たらない」「任命権は菅義偉首相にあるのだから当然だ」「学術会議が推薦した会員をそのまま任命する従来のやり方こそ、改めるべきだ」と記したうえで、同会議について以下のように踏み込んだ。
「学術会議は平成29(2017)年、科学者は軍事研究は行わないとする声明を出した」「技術的優位を確保する日本の取り組みを阻害しかねない内容だ」「(欧米諸国でも)防衛当局と産業界が協力して先端技術を開発するのは当たり前」「一方で、海外から集めた先端技術の軍事利用を図る中国から、多数の科学者を受け入れている事実には目を伏せたままだ」
読売新聞は政治面で、「首相『法に基づき適切に対応』…学術会議候補6人の任命見送り」とのタイトルで報じた。
日本学術会議は戦後間もない1949年に設立。民間のシンクタンクが自由闊達(かったつ)に政策研究や提言をしている現在、菅首相は「行政改革」の一環として同会議に切り込むのだろうか。
【私の論評】人事の本質を理解しない野党は、ますます勢力を弱める(゚д゚)!
日本学術会議任命見送に関しての、大手新聞の報道は産経新聞を除いて、常軌を逸しています。他の新聞も概ね異常です。これは、下の岩田温氏の動画をご覧いただけると、なお一層御理解いただけるものと思います。
そもそも拒否の理由や登用の理由は人事である以上言えないし、言うべきでもありません。人事でその理由をいちいち対象者に語るようなことをすれば、まともな組織運営ができなくなります。
人事の理由をオープンにしなければならなというのなら、学術会議を政府機関としておくことが不適切ということになり、学術会議を政府機関でなくするような組織改変をせざるをえなくなります。
そもそも、そのようなことは社会常識であり、学術会議のメンバーもほとんどの人が大学などの組織に属しているはずであり、大学の人事で、その理由を対象者に話すことなどありえないということは知っているはずです。また、まともな社会人で、会社の人事に疑問をいだき、人事の理由を問いただすような人はいません。
そもそも、そのようなことは社会常識であり、学術会議のメンバーもほとんどの人が大学などの組織に属しているはずであり、大学の人事で、その理由を対象者に話すことなどありえないということは知っているはずです。また、まともな社会人で、会社の人事に疑問をいだき、人事の理由を問いただすような人はいません。
会社の採用でも、対象者に採用の是非の理由を公表することはありません。入試だってそうです。対象者に合否の理由を公表することはありません。対象者はそれを自分で推量するしかないのです。
こんな、当たり前の社会常識が、梶田隆章会長には欠けているようです。そもそも、人事とはすべての組織において何ものにもまさる真のコントロール手段です。
これについては、以前このブログにも何度か掲載したことがあります。その記事の最新のもののリンクを以下に掲載します。
この方には、人事がどのようなものであるかも理解していないのかもしれません。このブログでは、人事に関しては何度か掲載したことがあります。
この方には、人事がどのようなものであるかも理解していないのかもしれません。このブログでは、人事に関しては何度か掲載したことがあります。
その最新の記事のリンクを以下に掲載します。
菅政権の政策シナリオを完全予想!改革を実現するために最も必要なこととは?―【私の論評】菅総理の政策は、継続と改革!半端な政治家・官僚・マスコミには理解できない(゚д゚)!
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経営学の大家ドラッカー氏も、人事こそ他のコントロール手段と比較して、組織において最も効果のある真のコントロール手段であるとしています。貢献させたいのならば、貢献する人たちに報いなければならない。つまるところ、企業の精神は、どのような人たちを昇進させるかによって決まる。(『創造する経営者』)
ドラッカーは、組織において真に力のあるコントロール手段は、人事の意思決定、特に昇進の決定だといいます。それは当然です。いかに数値などによる精緻なコントロールシステムを構築したとしても、人事によるコントロールにまさるものはありません。
それは組織が信じているもの、望んでいるもの、大事にしているものを明らかにします。
人事は、いかなる言葉よりも雄弁に語り、いかなる数字よりも明確に真意を明らかにします。
組織内の全員が、息を潜めて人事を見ています。小さな人事の意味まで理解しています。意味のないものにまで意味を付けます。この組織では、上司に気に入られることが大事なのか、それとも真に組織に貢献することを求められているのか。
“業績への貢献”を企業の精神とするためには、誤ると致命的になりかねない“重要な昇進”(平たくいえば各部の昇進)の決定において、真摯さとともに、経済的な業績(民間企業の場合)、を上げる能力を重視しなければならないのです。
それは組織が信じているもの、望んでいるもの、大事にしているものを明らかにします。
人事は、いかなる言葉よりも雄弁に語り、いかなる数字よりも明確に真意を明らかにします。
組織内の全員が、息を潜めて人事を見ています。小さな人事の意味まで理解しています。意味のないものにまで意味を付けます。この組織では、上司に気に入られることが大事なのか、それとも真に組織に貢献することを求められているのか。
“業績への貢献”を企業の精神とするためには、誤ると致命的になりかねない“重要な昇進”(平たくいえば各部の昇進)の決定において、真摯さとともに、経済的な業績(民間企業の場合)、を上げる能力を重視しなければならないのです。
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ドラッカーは、民間営利企業の人事を例にとって話していますが、それは日本学術会議任命人事でも同じことです。日本学術会議のメンバーは選挙によって、国民から選ばれるわけではないので、任命権者が真のコントロール手段として用いるのは、当然のことです。それができない組織は崩壊します。新聞や、野党はそれを狙っているのかもしれません。立憲民主党などの野党も、党内人事というものがあります。この党内人事の理由を立憲民主党などは過去に公表したことがあったでしょうか。当然ありません。いや、自民党や他の党でも、それは公表しません。そんなことをしていれば、党運営などできなくなります。
日本学術会議は、人文・社会科学や生命科学、理工など国内約87万人の科学者を代表し、科学政策について政府に提言したり、科学の啓発活動をしたりするために1949年に設立されました。。210人の会員は非常勤特別職の国家公務員で、任期は6年間。3年ごとに半数が交代します。
民間企業でも、正当でも、学術会議も組織の人事の理由を公表しないのは当然のことです。それを学術会議のみ違えるのは、ダブルスタンダードということになります。
中曽根政権下(1983年)では政府高官が「実質的に首相の任命で会員の任命を左右するということは考えていない」と国会で答弁していますが、これは学術会議はまともな活動するのが前提での答弁であると考えられます。実際学術会議はまともな活動をしてないことが以前からもいわれており、最近も明らかになりつつあります。
この国会での政府答弁を根拠として、任命にあたって会議推薦を拒否できないという法律論は無意味です。そのような議論がまかりとおるのであれば、憲法9条を唱えておけば世界平和になるというお花畑論のような議論もまかりとおることになります。
このことを野党がいくら追求したとしても、無意味です。野党が追求したとしても、菅総理はこのことに関しては、型通りの答弁を繰り返すだけで、埒が明かなくなる野党は得意の審議拒否をするでしょうが、それでも何も変わらず、また国会をサボっていると多くの有権者に批判されることでしょう。
これでは、全く民主主義的とはいえません。野党は、倒閣をしたいなら、非常識な人事のダブルスタンダードで政府を批判するのでなく、民意をくみとり、有権者に納得される政策を打ち出し、選挙で勝負すべきなのです。
このようなことに精力を費やす野党は、国会の審議時間を無駄づかいするだけですし、今後党内人事に関して党員にいちいち説明しなければならないことにもなりかねず組織運営に支障をきたし、ますます勢力を弱めることになります。
これは、表には出てこないでしょうが、人事の説明がないことに反発する野党議員がでてくるのは想像に難くないです。
考え見てください、たとえばあなたの会社の社長や幹部が、他の会社で人事の説明がないことを舌鋒鋭く激しく批判したとして、自分の会社で人事の説明をしないというのであれば、当然多くの社員はそのことに反発するか、それ以前に自社の社長は常識なしだと思うでしょう。
これは、多くの新聞社でも同じことになりかねません。
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