2020年10月13日火曜日

ノーベル経済学賞に米大学の2人 「電波オークション」で貢献―【私の論評】電波オークションは、テレビ局にとっても、政府にとっても打ち出の小槌ではなくなった(゚д゚)!

 ノーベル経済学賞に米大学の2人 「電波オークション」で貢献


ポール・ミルグロム氏(写真左)とロバート・ウィルソン氏=米スタンフォード大ホームページより

ことしのノーベル経済学賞に、電波の周波数の割り当てなどに使われるオークションの研究や実用化に大きく貢献したアメリカ・スタンフォード大学の2人の研究者が選ばれました。

スウェーデンの王立科学アカデミーは、日本時間の12日午後7時前、ことしのノーベル経済学賞の受賞者を発表しました。

受賞が決まったのは、いずれもアメリカのスタンフォード大学の、ポール・ミルグロム氏、それに、ロバート・ウィルソン氏の2人です。

オークションの研究や実用化に大きく貢献したことが理由で、王立科学アカデミーは、「電波の周波数の割り当てなど、従来の方法では売ることが難しかったモノやサービスに使われる新たなオークションの制度設計を行い、世界中の納税者などの利益につながった」としています。

2人の研究成果は、1990年代のアメリカで、それまでは政府の認可手続きが必要だった電波の利用免許について、より高い金額を示した事業者に割り当てる、「電波オークション」の制度設計に役立てられました。

電波の周波数は地域や帯域によってさまざまで、事業者ごとに必要な種類や数も異なりますが、多くの周波数と買い手から、オークションによって、最適な組み合わせを導き出せるようになったということです。

電波オークションは手続きの透明性や効率性を高めるとして、現在までに世界各国で実施されているほか、日本でも一時、検討されるなど、大きな影響を与えました。
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ウィルソン氏「環境分野への適用も可能だと思う」

ノーベル経済学賞の受賞が決まったロバート・ウィルソン氏は電話での会見に臨み、「とてもうれしいニュースでした」と喜びを語りました。

また、「環境への適用も可能だと思います」と述べ、自身の研究成果が温室効果ガスの排出権など、さまざまな分野に応用できるという認識を示しました。

そして、最後にオークションで買ったものは何かと問われたのに対し、いったんは「私自身はオークションに参加したことはありません」と答えましたが、その後、「妻に指摘されましたが、インターネットでスキーのブーツを買いました。あれはオークションですね」と話し、会場の笑いを誘っていました。

慶應義塾大学 坂井教授「理論を実用化のレベルに」

ことしのノーベル経済学賞に電波の周波数の割り当てなどに使われるオークションの研究や実用化に大きく貢献したアメリカ・スタンフォード大学の2人の研究者が選ばれたことについて、ノーベル経済学賞に詳しい慶應義塾大学の坂井豊貴教授は、「『理論』を『実用化』のレベルまで育て上げ、実際にアメリカの電波オークションにも活用されるほどの影響力を及ぼした」と述べ、経済学によって社会の課題を解決しようという姿勢が評価されたと指摘しました。

一方で、ノーベル経済学賞に日本人が一度も選ばれていない ことについて坂井教授は、マクロ経済学の研究で世界的に知られるアメリカ・プリンストン大学教授の清滝信宏さん(65)を引き続き有力候補として挙げたうえで、「今後に期待したい」と述べました。

【私の論評】電波オークションは、テレビ局にとっても、政府にとっても打ち出の小槌ではなくなった!(◎_◎;)

冒頭の記事にもでてくる、「電波オークション」とは電波の周波数の一定期間の利用権を競争入札で決める方式で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の米国や英国、フランス、ドイツなど先進国で実施されています。

日本では原則、総務省が審査して選ぶ比較審査方式が採用されていますが、旧民主党政権時代もオークション導入は検討されています。平成24年3月には導入を閣議決定し、関連法案を国会に提出したのですが、当時野党だった自民党の反対などで審議されずに廃案となりました。



総務省によると、27年度の電波利用料金の収入は総額約747億円。主な通信事業者やテレビ局の電波利用負担額は、NTTドコモ約201億円▽KDDI約131億円▽ソフトバンク約165億円▽NHK約21億円▽日本テレビ約5億円▽TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京約4億円-などとなっています。

同制度を導入している米国では、2014年11月から翌15年1月までに実施されたオークションで、3つの周波数帯が計約5兆円で落札されたといいます。日本でも制度の導入で競売によって収入額の増加が予想されています。関係者によると、民主党政権時代の議論では、毎年平均で数千億円の収入になると推計し、増えた収入は政府の財源とすることを想定していたそうです。

今回のノーベル経済学賞した二人の経済学者の研究は、電波の周波数の割り当てなどに使われるオークションの実用化に大きく貢献したものです。

日本では、総務省の認可を受けた場合にしかテレビ放送事業はできません。「放送法」によって免許制度になっているわけなのですが、このことがテレビ局を既得権まみれにしています。

日本では電波オークションが行われないために、電波の権利のほとんどを、既存のメディアが取ってしまっています。たとえば、地上波のテレビ局が、CS放送でもBS放送でも3つも4つチャンネルを持ってしまっているのもそのためです。

電波オークションをしないために利権がそのままになり、テレビ局はその恩典に与っています。テレビ局は「電波利用料を取られている」と主張するのですが、その額は数十億円程度といったところです。

もしオークションにかければ、現在のテレビ局が支払うべき電波利用料は2000億円から3000億円は下らないでしょう。現在のテレビ局は、100分の1、数十分の1の費用で特権を手にしているのです。

つまり、テレビ局からすると、絶対に電波オークションは避けたいわけです。そのために、放送法・放送政策を管轄する総務省に働きかけることになります。

その総務省も、実際は電波オークションを実施すれば、その分収入があるのは分かっているはずです。それをしないのは、テレビ局は新規参入を防いで既得権を守るため、総務省は「ある目的」のために、互いに協力関係を結んでいるからです。

そこで出てくるのが「放送法」だ。昨今、政治によるメディアへの介入を問題視するニュースがよく流れているので、ご存じの方も多いだろう。話題の中心になるのが、放送法の4条。放送法4条とは以下の様な条文だ。

放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
 一  公安及び善良な風俗を害しないこと。
 二  政治的に公平であること。
 三  報道は事実をまげないですること。
 四  意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

これを根拠に、政府側は「放送法を守り、政治的に公平な報道を心がけよ」と言い、さらに電波法76条に基づく「停波」もあり得るというわけです。

一方で、いわゆるリベラル派の人々は、放送法4条は「倫理規範だ」としています。つまり、単なる道徳上の努力義務しかない、と反論をしているのです。

しかし、世界ではそんな議論をしている国はありません。このようなくだらない議論をするのではなく、市場原理に任せ、自由競争をすれば良いだけの話だったのです。

今から15年くらい前であれば、電波オークションによって放送局が自由に参入して競争が起これば、新しい業者が参入してイノベーションも起こったかもしれません。質の高い報道や番組が生まれるたはずです。おかしなことを言っていたら人気がなくなるし、人気があれば視聴者を獲得しスポンサーも付くはずでした。そうやって放送局が淘汰されれば、放送法など必要性が無くなったかもしれませ。

電波オークションが実施されるとと一番困るのは既存の放送局でした。そのため、必死になって電波オークションが行われないように世論を誘導していました。そのためでしょうか、ほとんどの民放が今回のノーベル学賞の研究 が「電波オークション」に利用されていることを報道しません。

総務省はこうした事情を知っているので、「放送法」をチラつかせます。「テレビの利権を守ってやっているのだから、放送法を守れよ」というわけです。それはテレビ局も重々承知というわけで、マスコミは総務省と持ちつ 持たれつの関係になっているのです。

当時もし地上波で「実は電波利用料は数十億しか払ってないけど、本当は3000億円払わなければいけないですよね」などと言おうものなら、テレビ局の人間はみんな真っ青になって、番組はその場で終わって放送事故状態になったかもしれません。

テレビでコメンテーターをしているジャーナリスト等も、その利権の恩恵に与っているので大きな声で指摘しなかったのです。電波オークションをすれば、もちろん巨大な資本が参入しきたでしょう。国内企業をはじめ、外国資本にも新規参入したいという企業はたくさんありました。

既存のテレビ局は巨大な社屋やスタジオを所有していますが、これだけ映像技術が進歩している現在では、放送のための費用はそこまでかか らなくなりました。今では、インターネット上で自由に放送しているメディアがたくさんあるのだからそれは明らかです。中には、スマホだけでYouTubeやPodcastで、放送をしている人もいるくらいです。画質や音質等を問わなければ、現在では誰もが放送できるといっても過言ではありません。

しかし、現在では既存の放送局の権利を電波オークションで競り落とすと考えれば費用は膨大に思えますが、電波だけではなくインターネットを含めて考えれば、放送局そのものは何百局あってもかまわないのですから、新規参入者を増やせば費用は数百億円もかかるものではなくなりました。

資本力がある企業が有利かもしれませんが、技術が進歩しているために放送をする費用そのものはたいしたものでないのですから、放送局数を増やせば誰にでも門は開かれるようになりつつあります。

多様な放送が可能になれば、どのような局が入ってきても関係がないです。今は地上波キー局の数局だけが支配しているので、それぞれのテレビ局が異常なまでに影響力を強めています。影響力が強いから放送法を守れという議論にもなります。しかし放送局が何百もの数になれば影響力も分散され、全体で公平になります。そのほうが、健全な報道が期待できるでしょう。

加藤勝信官房長官は本日の記者会見で、菅義偉政権で周波数帯の利用権を競争入札にかける「電波オークション」を実施する可能性について「導入した各国のさまざまな課題も踏まえ、総務省においてオークション制度そのものを引き続き検討していくことが適当と考えている」と述べました。

同時に、オークション制度に関し「電波の割り当て手続きの透明性や迅速性の確保につながるなどのメリットがある一方、落札額の高騰により設備投資の遅延や事業運営に支障が生じる恐れがあるなど、デメリットも指摘されている」とも指摘しました。

ただし、先程指摘した通り、放送局自体の数を増やすことを前提とした場合、現在ではでは落札額が高騰することはありません。

そもそも、日本ではテレビでもラジオでもあまりにも放送局が少なすぎです。米国などで、テレビやラジオを視聴した経験のある人は、そもそもテレビのチャンネル数が段違い多いことに驚かれたことでしょう。

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米国のテレビには日本ではありえない程の数のチャンネルがある

たとえばニューヨークでは、ケーブルも含め、多数のチャンネルがあります。おそらく、数百はあるのではないでしょうか。ラジオ局もかなりです。2004年6月度、FCC(連邦通信委員会)は、AM局は4771局、商業FM局は6218局、および教育的FM放送局は2497局を認可しています。

あるラジオ局の司会者が居眠りをしてしまい、2時間ほど放送が中断になったのですが、誰も気づかなかったという笑い話のような話もあるくらいです。

このような状況を日本と比較すると、日本はいかに放送業界への参入障壁が高く、それによる一般ユーザーが不利益を被っていたかがわかります。多くの事業者がテレビ等の放送業界に参入したいと思ってもなかなかできないし、その結果多くの国民は、面白くないテレビをみなければならないという不利益を被っていたのです。

ただし、現在では状況が変わってきました。ネットの技術進歩で地上波の価値はかなり下がっています。15年くらい前に地上波TVがオークションに応じていれば地上波TVは既割当分を高値で売れたかもしれません。しかし、現在ではそのようなことはあり得ません。

政府としても、今となっから「電 波オークション」をしたとしても、2014年時の米国のように、収益を得ることはできないでしょう。

政府、テレビ局ともに時期を逸したと言えます。もはや、電波オークションは、テレビ局にとっても、政府にとっても打ち出の小槌ではなくなりました。

私は、最近テレビが全く面白くないです。視聴していて不愉快になることすらあります。いや、あまりのくだらなさに、倦怠感すら感じます。それでも、仕方なしに見ていることもありますが、最近は、YouTube,AmebaTV、Amazon Prime Video等を視聴する機会が多くなりました。

インターネットが台頭しつつある15年前に、こうしたことは十分予見できたはずです。このことを予見できないテレビ局は、今後ますます衰退していくことでしょう。

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