2020年10月21日水曜日

深刻な欧米のコロナ第2波、日本の輸出産業にも打撃に 第3次補正予算の編成急務だ ―【私の論評】第二次補正予算の予備費を使い切り、第三次を成立させることが当面の菅政権の最優先課題(゚д゚)!

深刻な欧米のコロナ第2波、日本の輸出産業にも打撃に 第3次補正予算の編成急務だ 

高橋洋一 日本の解き方

マクロン仏大統領

 「私たちは第2波のただ中にいる」とマクロン仏大統領は14日、危機感を表した。

 「4週前の4倍に増えた。これらの数字は旅客機の計器盤の警告のように、われわれに向けて点滅している」。これは12日、ジョンソン英首相が国民に警戒を呼び掛けたものだ。

 欧州では新型コロナウイルスの感染が再拡大し、夜間の外出禁止など再び規制を強化する動きも出ている。コロナは世界的に長期化するのか。

 まず、データを整理しよう。16日時点の主要7カ国(G7)の人口100万人当たりの感染者数についてみると、日本は718人、米国は2万4780人、カナダが5067人、英国が9908人、フランスが1万2396人、ドイツが4159人、イタリアが6314人。死亡率は日本が1・8%、米国が2・7%、カナダが5・0%、英国が6・4%、フランスが4・0%、ドイツが2・8%、イタリアが9・5%だ。

 欧米の感染者数は日本と比較して5・8~34・5倍、死亡率は1・5~5・3倍と、かなり深刻だ。

 日本でのコロナ感染は、感染者数と死亡率から欧米から見れば大したことではなく、コロナと経済活動は両立できる程度だ。特に日本の7月からの第2波では、感染者数は増えたが、若年層が多くなったことに加え複合的な薬の投与により全体の死亡率はかなり低下した。このため、緊急事態宣言どころか、各種の自粛措置も取られていない。

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 しかし、欧米でのコロナ感染は、社会的には看過できない水準だ。特に死亡率の高さは深刻であり、ある程度の感染防止のための社会的な規制は国民感情からしても避けられない。

 経済へのひどい悪影響が懸念されるため、非常事態宣言のような強力な措置が取られることは当面ないだろうが、地域を絞ったうえでの夜間外出禁止などの規制はあり得るだろう。

 つまり、コロナと経済活動の両立はなかなか困難だ。経済活動よりコロナ対策を優先せざるを得ない状況だ。となると、欧米の経済活動は制約を受け、低迷するだろう。

 もちろん、財政支援策により経済低迷をある程度抑えることもできるが、悪影響は残るだろう。しかもかなり長期化する可能性が高い。やっと最悪期を脱したところで再びコロナショックに見舞われたわけだ。

 日本としても、国内環境から見ればコロナと経済活動の両立はできても、国内への感染を予防するために、感染が深刻な欧米との人の往来は当分の間できないと思われる。

 欧米の経済活動低迷を受け、日本からの欧米向け輸出もさえなくなるだろう。日本経済は内需が大きいとしても、せっかく経済とコロナの両立ができかけてきたのに痛い打撃だ。

 その意味でも、第3次補正予算をしっかりしなければいけない。2次補正の予備費もまだ5兆円以上残っている。予備費を早く使い切り、3次補正によって、日本経済が欧米のコロナ第2波の悪影響を回避する必要がある。(内閣官房参与・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】第二次補正予算の予備費を使い切り、第三次を成立させることが当面の菅政権の最優先課題(゚д゚)!

以下に三次補正の動きなどに関して、まとめておきます。

政府・与党は10月13日、追加の経済対策を盛り込む2020年度第3次補正予算案を年内に編成し、2021年1月召集の通常国会に提出する方向で調整に入りました。新型コロナウイルスの影響で落ち込む景気の下支えや雇用対策が中心となる見通しです。

自民党の有志議員グループ「経世済民政策研究会」の長島昭久元防衛副大臣らは14日、首相官邸に菅義偉首相を訪ね、新型コロナウイルスの経済対策のため令和2年度第3次補正予算の編成を求める要望書を手渡しました。定額給付金の支給継続を盛り込みました。

要望には打撃を受けた病院の経営支援や、マイナンバーの活用を念頭に社会保障給付の情報基盤整備も求めました。

14日、官邸で菅首相と面会したのは、自民党の有志グループ「経世済民政策研究会」(座長・三原じゅん子厚労副大臣)の長島昭久衆院議員や細野豪志元環境相、武部新衆院議員、渡嘉敷奈緒美衆院議員、三宅伸吾参院議員らです。

首相に提出した要望書には、第2次補正予算で積んだ予備費の残りから国民1人当たり5万円の給付金を追加で支給すべきだとした。さらに給付金の支給継続や、持続化給付金の追加給付などを盛り込んだ3次補正の年内編成を求めました。

面会に同行した田中氏は、菅首相の印象について「既得権を打ち破る成長戦略を実現すべく、経済全体を活性化させるマクロ経済政策の必要性を認識されていた。まさにアベノミクスの継承だ」と振り返りました。

面会では長島氏が要望書について説明した後、田中氏が雇用や財政について、菅首相に補足説明を行いました。

8月の完全失業率(季節調整値)が3・0%に上昇したことが話題となりましたが、菅首相は鋭い現状認識を示したといいます。

「私が『雇用の悪化で現状のままでは最悪40兆円程度の経済損失が出る』というと、菅首相から『失業率は公式統計は3%だが、本当はもっと高いのですよね』と切り返しが来た」(田中氏)

要望書では金融政策についても、政府と日銀の連携を継続したうえで、日銀に2%のインフレ目標を2021年度中に達成するよう求めています。

菅首相は「金融政策への関心も高く、地方経済の医療の現場に対する問題意識も強かった」という田中氏。スガノミクスの財政支出についても、「明言は避けたが、『もっとしなければならない』と語っていた」と明かしました

注目の追加給付金について、メンバーの一人、細野氏はツイッターで、「5万円は2次補正の予備費からの給付、3次補正も合わせると15万円の給付を提案した。首相は3次補正に前向きだったが、定額給付金への直接的な言及はなかった」と説明しています。

田中氏は、「金額を出すと独り歩きするので、首相への要望は『5万円』のみだったが、3次補正での定額給付金も、最低でも10万円はなければ日本経済は支えられない。先行きが不確実な中、大きなバスケットに予算を詰め込むべきだ」と主張、合計15万円を上回る給付金が必要だとの認識を示しました。

これは、本人もTwitterなどで示しているように、5万円の定額給付金という金額が一人歩きし、多くのSNSや報道番組でとりあげられたからと思われます。5万では、日本経済は支えられないとしています。

田中秀臣氏(左)と菅総理(右)  田中氏のツイターより

10月26日から臨時国会が開かれる運びになっていますが、そこではなく年明けの通常国会で第三次補正予算が提出されます。

これは、少しのんびりしているようにもみえますが、第二次補正の予備費7兆円ていどがあるので、当面は何とかしのぐことができます。何かあればそこから出せばいいということです。ただし、予備費はもっと積極的使うべきです。

7兆円ということはGDPの1%くらいですが、これはたとえば次のGo To トラベルのようなものに使えば良いとおもいます。医療関係にもさらに使うべきです。

日本では過去に予備費を10兆円も積んだことはありませんでした。予備費を先に積んだのですから、どんどん使うべきです。それに対する執行を誰かが抑えているのではないかと勘ぐってしまいたくなります。

しかも、予算で決定しているのですから、予備費を使うには閣議決定などいりません。後で報告が出て来ます。いろいろなとき機能的に使えるのが予備費なのです。

10兆円が大きすぎるという議論もありますが、当初予算に比べれば10兆円などさほど大きな額ではありません。それを使うために予算計上したのだからどんどん使うべきです。

補正予算は政府が国債を発行して、それを日本銀行がすべて買いとります。この方式だと、財政破綻などありえません。唯一のリスクはインフレですが、元々デフレ傾向だった日本経済は、コロナでさらにデフレに触れる危機にある現在では、そのような心配は全くありませんし、将来世代へのつけになることもありません。

そのために日本銀行の黒田総裁と麻生財務大臣の2ショットの共同会見を実施したという背景もあります。日本銀行が買えば、実質的な財政負担はありません。

「安倍政権の継承」と菅総理は語っていますが、金融政策と財政政策について、特に金融は緩和して財政出動を適切に実行していく方針です。

ただ、金融政策とはいっても、英語で言うとフィナンシャルマネタリーと2つの意味があるので、日本語で言うとどちらなのかわからなくなってしまいます。マネタリーの意味での金融政策は従来通りになるでしょう。菅総理が日銀の黒田総裁と会談したときに確認しているはずです。

菅首相との会談を終え、報道陣の質問に答える日銀の黒田総裁(9月23日、首相官邸)

自民・公明両党の幹部は、今後編成が見込まれる今年度の第3次補正予算案や、来年度予算案に追加の経済対策を盛り込む必要があるとして、両党で具体策を検討していくことで一致しました。

本日東京都内で開かれた会談には、自民党から二階幹事長や森山国会対策委員長らが、公明党から石井幹事長や高木国会対策委員長が出席しました。

この中で両党の幹部は、新型コロナウイルスによる経済への影響は依然として厳しい状況で、今後編成が見込まれる今年度の第3次補正予算案や、来年度予算案に追加の経済対策を盛り込む必要があるとして、両党で具体策を検討していくことで一致しました。

また、来週26日に召集される臨時国会に政府が提出する10本程度の法案を、12月5日までの会期内に確実に成立させるとともに、継続審議になっている国民投票法の改正案も、野党側の協力を得ながら成立を目指すことを確認しました。

一方、会談では、衆議院議員の任期満了まで21日で1年となったことに関連し、二階氏が「1年しかないので常在戦場だ」と述べ、これを踏まえて両党で連携して選挙準備を進めることになりました。

とにかくはやく対策をしていく必要があります。予備費7兆円を、所得税現なしの、5万円の給付金で使い切り、その後にさらに第三次補正で最低でも1回、10万の給付金をすみやかに実施すべきです。

経済が落ち込むものとみなし、私としては、第三次補正でも予備費を積んで10万円の給付金をさらに、最低2回くらいはできるようにしておくべきと思います。これを対策の柱として、他は補助的に実施し、必要があればまた予備費で対応するなど柔軟な対応が必要です。

そのような備えがあれば、どのような対策でもすぐに実行できます。所得制限なしの給付金にする意味としては、GOTOトラベルなどは、いくら前もって制度設計を十分に行っても、不平等な点等が必ず出てくることや、他の給付方式だと詐欺が出てくる可能性が大ですが、所得制限なしの給付金であれば、そのようなことはないからです。

旅行に使うとか、他の目的に使うかは、国民一人ひとりに任せるべきと思います。そうして、第二次補正の予備費の消化はもとより、第三次補正もすみやかにすすめるべきです。

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