2020年10月7日水曜日

中国念頭に連携強化、日米豪印外相が会談 ポンペオ米国務長官「中国共産党の腐敗、威圧から守らないといけない」―【私の論評】本当の脅威は、経済・軍時的にも市民社会も弱く他国に介入されやすい国々の独立を脅かす中国の行動(゚д゚)!

中国念頭に連携強化、日米豪印外相が会談 ポンペオ米国務長官「中国共産党の腐敗、威圧から守らないといけない」

   日米豪印外相会合に臨む茂木敏充外相(右から2人目)、ポンペオ米国務長官
   (左から2人目)、ペイン豪外相(左端)、ジャイシャンカル印外相(右端)
   =6日午後

 日本、米国、オーストラリア、インド4カ国の外相は6日、東京都内で会談した。新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)を引き起こしながら、軍事的覇権拡大を進める中国共産党政権を念頭に、ルールに基づく国際秩序の構築など「自由で開かれたインド太平洋」の推進に向け、4カ国が連携を強化することで一致。同会談を定例化し、毎年1回開くことも確認した。

 「(新型コロナの感染拡大は)中国共産党が隠蔽したことで事態が悪化した」「連携して中国共産党の腐敗、威圧から守らないといけない」

 マイク・ポンペオ米国務長官は外相会談でこう語り、中国への“徹底抗戦”を呼び掛けた。

 ポンペオ氏はこれに先立つNHKのインタビューで、「これは米国vs中国という問題ではない。『自由』と『専制政治』のどちらを選ぶかの問題だ」「次の世紀が、ルールにのっとった国際的秩序による支配になるか、中国のような威圧的な全体主義国家による支配になるのか、という話だ」と指摘した。

 注目の会談には、茂木敏充外相とポンペオ氏、オーストラリアのマリーズ・ペイン外相、インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外相が出席した。

 茂木氏は「さまざまな分野で既存の国際秩序は挑戦を受けている」「4カ国は(『自由・民主』『人権』『法の支配』など)基本的価値観を共有し、ルールに基づく自由で開かれた国際秩序を強化していく目的を共有している」と述べた。

 4カ国外相は、地域の秩序確保へ、より多くの国と連携していく方針で一致した。東シナ海、南シナ海、台湾海峡情勢をめぐって議論し、中国による一方的な現状変更の試みに対する懸念の声が上がった。

 「中国ベッタリ」と揶揄(やゆ)されるテドロス・アダノム事務局長率いる世界保健機関(WHO)の新型コロナ対応を検証すべきだとの意見も出た。

【私の論評】本当の脅威は、経済・軍時的にも市民社会も弱く他国に介入されやすい国々の独立を脅かす中国の行動(゚д゚)!

マイク・ポンペオ米国務長官は10月6日、中国共産党政権に対抗するため、米国・日本・オーストラリア・インドによる4カ国安保対話(Quad、クアッド)を公式化し、拡大する意思を示しました。

クアッドとは、非公式な同盟を結んでいる米日豪印の4カ国間の会合で、第一次政権時の安倍前首相が2007年に提唱し実現させたのです。安倍首相はその後、間もなく退陣してしまうことになりまいが、この方針は後を受けた麻生政権にも引き継がれ、そして民主党政権を経た後の第二次安倍政権でもこの4カ国の枠組みの維持が図られてきました。

クアッドの生みの親 安倍前首相

QUADは、自由で開かれたインド太平洋戦略のための「4カ国イニシアティブ」とも呼ばれ、安全保障における協力関係を強化することを目的にしており、これらの国による海軍合同演習も行なわれてきました。

言うまでもないことですが、この枠組みは中国を意識した連携です。そのため、これまで各国もそのときどきの政権によっては、この枠組みとの距離を置こうとする動きもありました。そのため本格的な連携関係にはなってこなかったのが実情です。

それが今日、再び注目されています。きっかけは、8月31日の米印戦略フォーラムにおける、米国務省のスティーブン・ビーガン副長官によるQUADについての踏み込んだ言及です。


ビーガン国務副長官の発言は以下のようなものでした。

「トランプ政権が続こうが、トランプ大統領が敗れようが、新しい大統領の新しい政権だろうが、QUADを4カ国ではじめることは非常に重要なきっかけになるだろうし、この連携の行方を探っていくのは非常に価値があることだ。ただこのイニシアティブを、中国に対する防衛のため、または、中国を封じ込めるためだけの目的にしないように気をつけるべきだ。それ以上のものにしたほうがいい」

要するに、ビーガン国務副長官が米政府として今後のQUADの連携強化を求めたのです。

「中国を封じ込めるためだけではない」と言ったのは、参加国がそれぞれの事情で中国との関係性があることを踏まえたからだと考えられます。安倍首相が提唱してから現在まで、QUADと距離を置く国があった背景には、中国との2国間関係が作用したという経験があります。それはインドも同じであり、もともと同盟を重視しない非同盟主義を貫いてきたインドへのメッセージであるとも取れます。

ビーガンはさらにこう続けました。

「同時に、あまりに野心的になりすぎないようにもしたほうがいいだろう。インド洋・西太平洋地域のNATO(北大西洋条約機構)なんて声も聞いている。だが忘れてはいけないのが、NATOですら、最初は比較的に期待感は大きくなかったし、第二次大戦後の欧州でNATO加盟について多くの国が中立を選んだ。NATOの加盟国は現在では27カ国だが、もともとは12カ国だけだった。つまり、少ない規模ではじめて、加盟国を増やしてゆくゆくは大きくなることができる」

要は、NATOのような枠組みで結束して中国に対抗していこうという牽制でもあります。米国には、対抗意識を隠そうとしない中国の姿を見て、インドも仲間に呼び込みたいという思惑が見えます。

米国務省のスティーブン・ビーガン副長官

そしてこの動きはこの秋以降、一気に活性化することになりそうです。今回の日米豪印外相会談にポンペオ長官が参加したのに続き、ロバート・オブライエン米国家安全保障担当大統領補佐官も、10月にはハワイでQUADの安全保障担当の高官らと会う予定のようです。

さらに年末には、QUADの本格化に向けた地ならしの意味で、インドが日本と米国と共に毎年行っている海上軍事演習「マラバル」に、オーストラリアが招待されると言われています。

このQUADが、ビーガンが言うように、NATOのような軍事的同盟関係強化だけでなく、経済にもその範囲を広げれば、中国の広域経済圏構想「一帯一路」も牽制できるとの声も上がっています。

日本は最近インドとの2国間関係も強化しています。9月9日には、自衛隊とインド軍の物品や役務の相互提供を円滑に行う日・インド物品役務相互提供協定(日印ACSA)が締結されたばかりだし、11月には日印2プラス2が行われる予定です。

QUADにはさらに参加国が増えることもありえます。米国務省の関係者によれば、日米豪印に加えて、まずは韓国とベトナム、ニュージーランド(QUAD+3)を参加させるという目論見があるといいます。

もともとインドは非同盟主義の国だ。そのインドがQUADに興味を示している理由の一つには、やはり国境問題などで中国との関係悪化があります。2020年6月、ヒマラヤ山脈地帯の中印国境沿いで、インド軍と中国軍が素手での殴り合いや投石という形で衝突し、死者まで出る事態になりました。

そしてその後にインド政府は2度に分けて、180近い中国製モバイルアプリの使用を禁止すると発表し、世界が両国関係の行方を固唾を呑んで見守りました。

こうした動きを受け、中国はロシアを巻き込んだ「牽制」の動きを見せています。9月11日、ロシアが仲介するという形で、インドと中国が国境での紛争において、「信頼醸成措置を推進する」と合意したと発表。明らかにインドが西側と関係強化していることを意識した動きです。

現時点では、国境沿いの争いは小康状態が続いていますが、一触即発の状態は変りません。今後インドでは、前述のアプリ禁止措置のようにさらなる経済的な対中措置が取られる可能性もあり、中印関係はさらに悪化するという見方もあります。

そのインドも、中国の台頭を目の当たりにし、共闘する国が必要だと感じているというこでしょう。今後、さらにQUADとの連携強化を進めることになると見られます。

QUADが4カ国に留まるにせよ、さらに参加国を増やしていくにせよ、この対中国の多国間に渡る共同戦線が実効性を備えてくれば、やはり「安倍首相の外交レガシー」がもう一つ増えることになるでしょう。

今回のクアッド会合では、中国の海洋進出や5G(次世代移動通信網)構築などが話し合われました。また、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の世界的大流行も議題となりました。

日経アジア・レビュー6日付によると、関係者らは非公式のクアッドでは、4カ国間の具体的な連携が難しく、連携も長く継続できないと指摘しました。最近、中国当局は、米国だけでなく、日・印との領海や国境で挑発行為を繰り返し、中共ウイルスの発生源に関する独立調査を求める豪政府との関係もぎくしゃくしています。

ポンペオ長官

ポンペオ長官は日経アジア・レビューの取材に対して、クアッドを「制度化すれば、真の安全保障枠組みを構築できる」と話し、「この枠組みは、中国共産党政権がもたらしたわれわれへの課題に対処できる」としました。

また、長官は、クアッドが今後さらに拡大し、他の国も「適切な時期に参加できる」と述べました。

長官は、クアッドでは安全保障上の課題だけでなく、「経済的能力、法治、知的財産権保護の能力、貿易協定、外交関係、安全保障の枠組みを構成するすべての要素を議論している。これは軍事よりも深い話だ」とし、「これは民主主義国家が持つ力であり、権威主義体制では決して実現できないものだ」と強調しました。

さらに、長官は「われわれは紛争ではなく、平和をもたらすことを目指している」としながらも、「(対中)宥和政策は解決策ではない」との見解を示しました。

米国務省が発表した情報によると、ポンペオ氏訪日の主なトピックは、軍事的覇権の拡大を進める中国共産党政権へのけん制を念頭に「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に向けた連携の確認と、米国とアジアの同盟国との関係強化を目指したいとの考えだといいます。

デービッド・スティルウェル(David Stilwell)米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は2日、メディアに対し、ポンペオ氏は訪日中にクアッドに出席し、インド太平洋地域の安全保障、サイバーインフラおよびセキュリティ、参加国が直面する共通課題への具体的な協力方法の議論をする予定であると明らかにしました。

クアッドの目的は、インド太平洋地域でのセキュリティの確立および促進です。

その実現に対する外界の期待感は高まっています。米ワシントン・タイムズ紙の最近の報道によると、「中国からの脅威が増大するにつれ、クアッドの創設条件がより成熟してきている」と見ている米当局者が増えているといいます。

同報道は、米国のシンクタンクであるウッドロー・ウィルソン国際学術センターに所属する南アジア専門家マイケル・クーゲルマン(Michael Kugelman)氏の発言を引用して、「過去には一国だけが特定の時期に中国からの脅威に直面していたが、現在はそうではない。中国のアジアでの攻撃的な活動は、世界の安定をますます脅かすようになった。クアッドの設立に現在、同地域の他の国々も非常に関心が高まっている」と報じました。

また、米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は1日、米国は中国の膨張的な行動を抑制するため、南シナ海での主権紛争問題を提起し、太平洋地域の同盟国への武器販売を増やしたと報じました。 これらの行動戦略は、「価値観を共有する国と同盟関係を構築する」というポンペオ氏の提案と一致しています。

こうした最中にあり、カンボジアで新たな動きがありました。カンボジア政府は7日までに、同国南部のリアム海軍基地で、米国の支援によって建設された施設を取り壊しました。カンボジア側は「老朽化のため」と説明したが、施設の破壊後には中国が基地の利用を始める可能性が指摘されています。

同基地はタイ湾に面し、艦船が配備されれば、領有権をめぐって各国の摩擦が続く南シナ海進出の拠点ともなりうるだけに、米国は神経をとがらせています。

このような中国の拡張主義に対抗し得るQUAD諸国には、大きな脅威にはならないかもしれないです。きっと自ら防ぐことができるでしょう。しかし一方で、カンボジア等のインド太平洋地域や近隣の貧困国の独立を一段と脅かす恐れがあります。これらの国は経済・軍時的にも弱く、市民社会も比較的弱く、他国に介入されやすいからです。それこそがインド太平洋地域における大きな危機です。

このような国々の多くが中国の傘下に収まった場合、この地域で中国の主張は通りやすくなり、国連でも中国の意見が多数派を占めることになり、それを翻すことは困難になります。中共は無論、それを狙っています。

QUADの存在意義は、日米豪印の4カ国の提携というだけでなく、こうした脅威からインド太平洋地域をまもるためにも、発展させていく必要があります。

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