2020年9月11日金曜日

中国の南シナ海進出に経済でも圧力をかけ始めた米国―【私の論評】そのうち中共高官や富裕層が、ホームレスになったり餓死するかもしれない(゚д゚)!

中国の南シナ海進出に経済でも圧力をかけ始めた米国

岡崎研究所

 8月26日、米国は南シナ海で人工島や施設の建設に関与してきた中国交通建設など24企業に対する輸出規制や役員の米入国の規制などの制裁措置を発表した。商務省の「エンティティ・リスト」にこれら24企業を追加し、米国製品の輸出を事実上禁止する措置である。これに関して、8月26日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙の社説は、米国政府の今回の制裁を評価している。


 制裁措置は、直接の効果は別として、中国の南シナ海政策のコストを引き上げるとともに、東南アジアの国々のこれら問題企業に対する姿勢を一層慎重にさせるだろうと述べている。なお、中国交通建設は、国有資本による従属会社で、関係企業は港湾、河川、道路、橋梁、鉄道、浚渫などの交通インフラの建設や設計、港湾向けの大型機械の製造などを行っている。同企業は「一帯一路」の活動もしているのであろう。

 今回の米国の措置は、大きな直接効果があるかどうかは分からないが、評価される。最近、米国は中国による南シナ海軍事化に対する反対を強めている。7月13日は、中国の南シナ海での九段線等の領有権主張等を非合法とした2016年7月12日のハーグ仲裁裁判所の判決の4周年に当たる日の翌日だったが、この日、ポンペオ国務長官は、声明を発出し、「中国が南シナ海を自らの海洋帝国として扱うことを世界は認めない」と述べるとともに、仲裁裁判所の判決に「米国の立場を一致させる」と述べ、中国の主張は「全面的に非合法」と、それを否定した。また米国は、英国や豪州など関係諸国と協力して、南シナ海で「航行の自由作戦」を強化している。8月26日にも米国は南シナ海へ偵察機R132を飛来させた。なお、7月のポンペオ声明は歓迎されるが、もっと早期に明確にすべきだったという意見もある。

 中国は着々と既成事実を積み上げている。習近平が2015年に南シナ海を軍事化することはしないと約束したにも拘わらず、中国は仲裁裁判所の判決をゴミ紙だと言い放ち、その後、南シナ海の島嶼に次々と軍事基地を建設し、戦闘機などの運用や配備を進めている。香港紙によると、8月26日、中国は南シナ海に向けて弾道ミサイルの発射実験をしたという。「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイル「東風21D」(射程1500㎞)と中距離弾道ミサイル「東風26B」(射程4000㎞)の2発とされるが、米軍によると、発射されたのは4発だったと言われる。これは前日渤海湾への米偵察機U2飛来に対する対米警告だったと言われる。目下中国は南シナ海、東シナ海、黄海、渤海湾の4水域で大規模な同時軍事演習をしている。中国の南シナ海の軍事化は、国際法に違反し、周辺国に脅威を与え、中国の正当な安全保障ニーズを超える挑発的なものと言わざるを得ない。

 中国に対しては、関係諸国の結集が重要である。ベトナム、インドネシアなど東南アジア諸国が中国の行動に抵抗していることは当然のことだ。その中で、フィリピンが独自の対中行動を見せていることは気掛りである。関係国はフィリピンとの協力、連携に努めていくことが重要である。

 8月末、エスパー国防長官はハワイ、パラオ、グアムを訪問した。それに先立ち、エスパー長官は8月24日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙に「国防省は中国に備えている」と題する論説を寄稿した。中国軍の活動を念頭に、南シナ海、東シナ海などを含むインド太平洋の情勢について、関係諸国と協議するとともに、米軍を視察する旨述べている。8月29日にはグアムで日米防衛相会談が開催された。エスパー長官が太平洋に対し関心を強めることは歓迎されることである。なお、パラオ共和国は台湾と外交関係を維持する大洋州4か国の一つである。

【私の論評】そのうち中共高官や富裕層が、ホームレスになったり餓死するかもしれない(゚д゚)!

一度、中国が南シナ海を掌握し実効支配しているという認識が、中国および東南アジア諸国に定着すれば、この認識を覆すのは困難です。実際に戦闘して中国に勝利すれば結果は明らかですが、米国にも中国と戦争する意思がない限り、米国は南シナ海においてこれまで以上に軍事プレゼンスを示さなければならないでしょう。

4月下旬、オーストラリア海軍がフリゲートを派出して米軍と行動を共にさせたのは、南シナ海における米海軍の存在感が下がったと中国や東南アジア各国に認識させないよう、同盟国としての役割を果たしたのだと言えます。

4月下旬 米軍は南シナ海で演習 オーストラリアのフリゲート艦も参加

米国は、上の記事にもあるように、中国に対してさらに強い圧力を掛けました。7月13日、ポンペオ国務長官が「南シナ海の大部分に及ぶ中国の海洋権益に関する主張は完全に違法だ」と声明を出したのです。

これまで米国は、他国間の領土紛争について立場を明確にしたことはなく、極めて異例の声明です。領土紛争は、イデオロギー対立と同様に落としどころがありません。ポンペオ国務長官の声明は、米国は南シナ海において中国と対決する決意を示すものであると言えます。

一方の中国も、米国が軍事プレゼンスを向上させ、南シナ海を掌握しようとする中国の試みを妨害していると認識し、危機感を高めています。特に中国海軍の現場指揮官レベルは、中国国内報道を見て自らが海上優勢を保持していると誤解しているかもしれないです。

これは、昨日も示したように、米軍の原潜が中国のそれの能力をはるかに凌駕していることと、米軍の対潜哨戒能力が中国のそれをはるかに上回っていることでも、米軍優位は明らかです。中国が超音速ミサイルなどを有していても、発見できない敵を攻撃できません。逆に米軍は敵を正確に発見できるため攻撃は容易です。

南シナ海において米海軍が活動を活発化させれば、増長した中国海空軍と予期せぬ衝突を起こす可能性もあります。中国指導部は、こうした可能性を理解しているように見受けられます。中国が日本の動向にも注目しているからです。

万が一、米国と中国が南シナ海において軍事衝突した際に、日本がどのように行動するのか、情報収集しているのです。それは、中国が、南シナ海における米国との軍事衝突の可能性を真剣に考えていることを意味します。

こうした状況下、日本は、中国の「常態(NORMAL)」に対する認識が、日本や米国の「常態」に対する認識と異なることを認識する必要があります。日本や米国は、安定している現状が常態であると考え秩序を維持しようとするが、中国は、自らの影響力が及ぶ地理的空間が拡大することが常態であると認識し、最終的に国際秩序を自らに有利なものに変容させることを企図します。

この認識のギャップが、過去に米国の対中政策を誤らせてきたとも言えます。中国の挑発的行動を止めるためには、実力を見せてこれを止める他にないのです。

その意味では、南シナ海で人工島や施設の建設に関与してきた中国交通建設など24企業に対する輸出規制や役員の米入国の規制などの制裁措置を発表したことは、誠に正鵠を射たものと思います。

なぜなら、これに対して中国には報復手段がありません。そもそも、国際金融はドルにより米国がその情報を完全に把握し、支配しており、国際金融をカジノにたとえると、米国は胴元であり、中国はいくら金を大きく動かしたにしても、一プレイヤーに過ぎません。

胴元にカジノから出ていけといわれれば、プレイヤーは何もできずに追い出されるだけです。一方、米国の政府幹部や、富裕層は、中国に金を預けていませんし、中国に入国できなくなってもほとんど支障がありません。困るのは、中国をビジネスをいまだ継続しているほんの一部の人間だけでしょう。

経済的な制裁は、かなり効果があります。今後、米国は南シナ海での軍事的プレセンスを高めるとともに、経済的にも中国の個人や組織に制裁を拡大しつつ、中共を弱体化させていくでしょう。今頃中共幹部と富裕層は大パニックに至っているでしょう。

中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は8月12日、平日午後に毎日実施している定例会見について、今年は夏休み期間を設定しない方針を示しました。近年は8月中下旬に2週間程度の休暇期間をとっていたのですが、台湾や南シナ海、新型コロナウイルスなどの問題をめぐって米国が対中圧力を強めていることへの危機感から、今年は夏休み返上で対応しました。

中国外務省の定例会見には通常、国内外の記者ら数十人~100人超が出席。この日、夏休みの時期について問われた趙氏は「今年、われわれに休みはない」と回答し、理由については「地球人なら誰でも知っている」とだけ述べました。

趙氏は8月11日、米国務省のオルタガス報道官が「中国共産党は人命救助よりもメンツを守ることを重視する」とツイッターに投稿したことに反発し、「米国は自らの身を省みるべきだ」と米国の新型コロナ対応を批判。10日には米国が香港政府トップら11人に制裁を科したことに対抗して米上院議員らへの制裁措置を発表するなど、対中圧力を強めるトランプ米政権への反論や対抗策の発表に連日追われています。

趙立堅氏


とこが、趙立堅氏の娘は、米国に留学しているとされています。それで、米国に対して厳しいコメントをするのは仕事であって、本当は米国が好きなのではないかと揶揄される始末です。

トランプ政権は、中国人の留学生やその家族を米国から追放する政策も実行しようとしています。そうなれば、趙氏の娘も追放されるかもしれません。

実際、中国にはこのような幹部が大勢います。将来は、米国に住むことを夢見て、米国に家族を移住させて、不正行為などで蓄財した金をせっせと米国に送金して、時期がくると、中国から米国に逃げるという人たちも大勢います。そういう人たちを中国では裸官といいます。

米国は国際金融を支配しているため、ドルの流れに関しては、かなり詳細まで把握しており、米国以外のEUなどの国々の、中国人の資産も正確に把握しているといわれています。

今後、こちらのほうにも米国は手を伸ばしていく可能性があります。そのうち、中共の高官や、富裕層の中には、米国などに巨万の富を蓄えているにもかかわらず、それが凍結されて、ホームレスになる人もでてくるかもしれません。

それどころか、中国にはセーフティーネットがほとんどないので、老後米国に移住しようとしていた人たちが資産を凍結され米国やEU等にも入国できず、年老いたときに餓死寸戦になる人がでてくるかもしれません。米国は中国が体制を変えない限り、ここまで制裁を強化していくでしょう。


左上の女性はアウシュビッツ収容所で発見された餓死寸前の女性。収容所に入る前に75kgあった体重が出る頃には25kgだっといいます。

ホームレスや餓死までいなかなくても、かなりの中共幹部や富裕層の家族も含めて、貧乏生活に追いやられ路頭に迷う人もでてくるでしょう。そのときになって初めて、中国の多くの人民や貧困層、少数民族の苦境に思い至り、自分たちの考えが間違っていたことに気づくのかもしれません。しかし、そうなってしまえば手遅れです。

中国がいつまでも南シナ海の「常態」にこだわれば、米国は中国を国際金融から弾き出すでしょう。そうなれば、中共は統治の正当性を失い崩壊して、大陸中国に新たな秩序が生まれることになります。

軍事的にも、経済的にも中国に勝ち目はありません。

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